事業計画書の必須項目とは
事業計画書は、事業を始める際に重要なものといわれていますが、なぜ必要なのでしょうか。事業計画書作成の目的や記載すべき項目について説明します。
事業計画書をつくる目的
これから始める事業の方向性(ビジネスプラン)を書き表したものです。
大きな目的は三つあるといわれています。
- 融資・出資による資金調達を実現する
- 競合分析をすることで自社の強みを把握し、どのような商品・サービスで差別化していくのかを明確にする
- 働く上での方針や行動指針を社員と共有する
創業や規模の拡大など、ビジネスを軌道に乗せる上で融資は欠かせないものです。事業をどのように経営していくのかという計画・見通しが具体的に記載してあると、金融機関や投資家からの信頼度が増し、融資・出資のチャンスが高まるのです。
そして、どのような事業でも無視できないのが競合他社(ライバル)の存在です。自社の強みや特長をしっかりと考えた上で、競合他社の商品やサービスを分析し、差別化を図る必要があるといえるでしょう。
また、事業計画書は、社員やビジネスパートナーと事業の目的や方向性などを共有するのに役立ちます。
方向性がぶれてしまわないように、あるいは、すれ違いが生じたときはすぐに軌道修正できるように、本来の事業の姿に立ち戻るための大切な指針となるのです。
事業計画書に必要な項目
実際に事業計画書を作成するために必要な項目が八つあります。
- 事業プラン名:どんな事業内容なのかがすぐに分かる簡潔な名称
- 事業内容:商品・サービスの内容やどんな層をターゲットにしているか
- 市場環境:市場規模や成長性・傾向などの統計データ分析
- 競合優位性:競合他社と比較して、自社商品・サービスの優れている点
- 販路の開拓方法:商品・サービスの宣伝方法や販売網の築き方
- 経営プラン:仕入れ・人員の計画など、事業実現化のためのシステム
- リスクと解決策:予測されるリスクと、それに対する対処方法や解決策
- 資金計画:詳細な収支予測や資金調達案など
以上の点を分かりやすく簡潔に書くのがポイントです。事業計画書を見る側としては「書かれていて当たり前」と感じられる項目なので、必ず以上の項目を含めて作成しましょう。
そのほかの事業計画書の項目
事業の魅力を伝え、より説得力のある事業計画書にするためには、ほかにどんなことを記載すればいいのでしょうか。さまざまな角度から記載したほうがいい項目を説明します。
会社のプロフィールや組織図
まずは会社概要を記載しましょう。例えば、商号・所在地・電話番号・ホームページやメールのアドレス・役員・主要取引先・取り扱う主な商品やサービス・代表者の経歴が挙げられます。
この中でも代表者の経歴が創業時には重要視されるが多いです。今まで培ってきた経験やスキルを書くことで、立派なアピールポイントになります。
複数人でビジネスを行う際は、社内体制を書く必要があります。社内の人にとっては、役割分担が明確になり、業務をスムーズに実行するのに役立ちます。
社外の人にとっても、事業計画を実行できる組織なのか・トラブルに対処できる体制なのかを判断できる材料となるでしょう。
顧客が得るメリット
事業を進める中で、顧客がいないとビジネスが成り立ちません。顧客にはどのようなメリットがあるのかを書く必要があるでしょう。
自社を選ぶ理由を顧客視点で考えるには四つのポイントがあります。
- Customer Value(顧客にとっての価値):顧客のどのようなニーズに応えているか
- Cost to the Customer(顧客にとっての負担):自社の商品・サービスを手に入れるため顧客がどれだけの負担を払うか
- Convenience(利便性):自社の商品・サービスを手に入れる際の利便性はよいか
- Communication(コミュニケーション):自社と顧客とのコミュニケーションは図れるか
このように顧客目線でマーケティングを考えると、顧客が得るメリットがはっきりと見えてきます。
社会的な背景やビジネスモデルとしての価値
ビジネスと切っても切り離せないのが、外部との関係です。外部環境を把握・分析し、自社の事業が求められているという理由を説明しましょう。
外部環境は、主に以下の四つです。
- 経済状況:円安円高・為替や株価の動向・人口の動向・GDPや消費者物価指数の動向
- 社会情勢:人々の関心の変化・少子高齢化による社会構造の変化
- 政治情勢:政治の方針・法改正・規制
- 技術革新の状況:商品・サービスの生産性に影響を与える情報技術(IT)の情報把握
信ぴょう性の高い最新のデータを使って分析するのがポイントです。自社の事業が成功する社会的背景を説明できると信頼性が高くなります。
事業計画書を作る際のポイント
良い事業計画書を作成するためには、いくつか求められる要素があります。これらを取り入れて、誰が見ても分かりやすい事業計画書になるように意識しましょう。
サマリーをつけてわかりやすく
まずは内容が簡潔で具体的であることが大切です。約1分で事業の説明ができるようなイメージです。
立ち上げに至った経緯や収益をあげる方法・提供するサービスの概要など、すべての項目にサマリ―(要約)を設けるといいでしょう。
事業計画は長く複雑になってしまうことが多いですが、分かりやすくまとまったサマリ―を設けることで、相手に早く理解してもらうことができます。
仮説よりも客観的な事実を大切に
事業計画書は、今後の計画をあらゆる仮定に基づき作成したものです。未来のことは抽象的になることが多いですが、まずは目的を達成するため『今やらなくてはならないこと』を詳細に書くことで、信頼に値する事業計画書となります。
まとめ
融資や出資を受けるために必須となる事業計画書ですが、まずは作成する目的をしっかりと決める必要があります。
自社はどんな商品・サービスを提供するのか、そしてどのように展開していくのかを洗い出すことで、客観的に事業の目的や方向性を見つめ直すことができます。
記載すべき項目や顧客のメリット・作成時のポイントなどをしっかりと盛り込んで、誰が見てもすぐに分かるような魅力的な事業計画書を作成しましょう。