ストーリーボードについて知ろう
ストーリーボートとは何なのか、意味や使い方を理解しましょう。
ストーリーボードとは
ストーリーボードとは、ユーザー体験をストーリーに仕立て、イラストを用いて視覚的に表現する技法です。イラストや注釈を用い、ストーリーをマンガのように展開させます。
イラストを使うことで内容が印象に残りやすく、ストーリー仕立てにすることで内容が理解しやすくなることが、ストーリーボードの持つ大きな特徴です。
映画撮影の現場では、作成前に全体像を考えるための手法として昔から使われています。最近ではUXデザインやプレゼンなど、ビジネスの現場でもよく用いられます。
デザインにおけるストーリーとは
共感を生むストーリーは、見る人の心を大きく動かし、心情に変化を与える可能性があります。デザインにおけるストーリーも同様で、見る人の共感を呼び、アクションを起こすきっかけとなるでしょう。
デザインとストーリーは相性が良く、内容を視覚に訴えることで、見る人に強いインパクトを与えます。デザインの中でキャラクターが動き、キャラクターがストーリーを展開させる様子は、他の手法にはない独特かつオリジナリティの高い表現技法といえるでしょう。
ストーリーボードを用いるタイミング
プロジェクトや会議の場においてアイデアが提案された直後は、そのアイデアが持つ価値を参加者が十分に理解していない状態です。このようなタイミングでストーリーボードを使うと、全員の理解が深まり、アイデアがまとまりやすくなります。
マーケティングの戦略においても同様です。製品やサービスへの理解が漠然とした状態で、ストーリーボードを使って製品やサービスの情報を整理し可視化することで、ユーザーが受け取る恩恵をイメージしやすくなります。
ストーリーボードが効果的な理由
ストーリーボードを使うとどのような効果が期待できるのか、様々な観点から解説します。
視覚化
概念やアイデアを理解するためには、視覚化することが最も効果的な方法です。多くの文章が書かれた資料で説明するより、イメージを用いて説明するほうが理解しやすくなります。
ストーリーボードは単なる視覚化でなく、イラストに連続性を持たせマンガを読んでいるような印象を与えられる手法です。静止画とアニメーションの中間のような形にすることで、動的なイメージを残しながらナレーションで注釈を付けることもできます。
没入感
ストーリーはユーザーの興味を引きやすい側面があります。なぜなら、人が持ち合わせる好奇心は魅力的なストーリーに心を揺さぶられるからです。身近に感じるストーリーであれば、より関心を持たせやすいでしょう。
ストーリーボードは、紹介したい商品やサービスが対象とするペルソナを、キャラクターとして登場させることができます。キャラクターがストーリーを展開し、商品やサービスのメリットを表現します。
キャラクターの設定が身近であるほどストーリーへの没入感が強くなり、ユーザーがアクションを起こしやすくなるといえるでしょう。
記憶や共感しやすい
情報を記憶する際は、個人的な体験と結びつけると記憶に残りやすくなります。単なる情報の羅列と異なり、イメージと共に印象付けるストーリーは、『覚えさせる』という点で秀でているといえるでしょう。
また、ストーリー形式で表現することで、共感を呼びやすくなります。ストーリー内のキャラクターに親近感があるほど、その傾向は強くなります。
ストーリーボードのキャラクターを設定する際は、できるだけ条件を狭めターゲットを限定しましょう。共感度が増し、ユーザーのアクションを引き出しやすくなります。
ストーリーのポイント
ストーリーボードの作成において重要なストーリーについて、考え方や構成の作り方、キャラクターの設定方法を解説します。
キャラクターやシーン
商品やサービスの販売戦略を立てる際に、ターゲットとする一人の理想的な人物像のことを、マーケティング用語で『ペルソナ』といいます。ストーリーボードでキャラクターを作成する場合、ペルソナを適切に設定することが重要です。
ストーリーボードでは、販売戦略で設定したペルソナを、ステータスを変えずにキャラクターとして登場させることができます。
マーケティングにおいて『ペルソナを意識する』ことは重要とされており、ペルソナそのものがストーリーを描く表現手法は、他と比較にならないほどのインパクトを与えられます。
ペルソナはできるだけ具体的な設定を求められるため、ストーリーボードで提示したい価値に対し、適切なペルソナやシーンを設定する必要があるでしょう。
プロット
ストーリーを考える上で大切なことは、ストーリーやキャラクターに説得力を持たせることです。そのためには、ストーリーの背景から解説し、起承転結のメリハリを意識し、キャラクターの目標にフォーカスして作成する必要があります。
ストーリーの背景説明を省略し、冒頭から詳細を説明し始めると、全体像を捉えにくくストーリー仕立てにするメリットが半減します。
ストーリーの構成を考える際は、何らかのきっかけを持たせてからストーリーをスタートさせ、結末では解決策から得られる利益をユーザーに提示できるよう意識しましょう。
整合性や一貫性
ストーリーを作る際は、整合性を意識しましょう。筋の通ったストーリーを展開するためには、的確なキャラクター設定と、キャラクターが持つ目標をしっかりと定めることが重要です。ユーザー体験の中で何が起こるかを明確に表現することも大切です。
また、ストーリーに一貫性を持たせることで、ユーザーに注目して欲しいポイントを絞ることができます。一つの表題に対し一つの目的だけを扱うようにし、ぶれないストーリー作りを心がける必要があるでしょう。
全体をシンプルにまとめることも重要です。伝えるべきメッセージからかけ離れたものがあれば、余分なものとして取り除く必要があるでしょう。
ストーリーボードの書き方手順
実際にストーリーボードを作る際の手順を紹介します。
問題や現状とゴールを書き出す
ストーリーボードでは、問題や悩みを抱えているキャラクターが商品やサービスの価値を利用して、問題や悩みを解決していくサクセスストーリーを描きます。
イラストや注釈を用い、コマ単位でページを作成し、数コマを集めた構成に仕上げるのが基本です。全体像ができあがるまでは、それぞれのページを都度仕上げるのではなく、下書きレベルで描いていきましょう。
最初に、キャラクターが『問題や悩み』を抱えている状況を描きます。『問題や悩み』の内容は、ユーザーのニーズや悩みなどが反映されていることが重要です。次に、問題や悩みが解決した『ゴール』を描きましょう。始まりと終わりを最初に決めておけば、途中のプロセスが繋がりやすくなります。
プロセスを書いて整理する
スタートとゴールのイメージが定まったら、『問題発生から解決までのプロセス』をいくつか挙げてみましょう。プロセスは間延びせず、ポイントだけをとらえた内容にすることが大切です。
全てのページを下書きレベルで発想してゆくと、全体像が完成するまでの作業スピードを速められ、訂正もしやすくなります。
一連の流れを書き終えたら、全体の内容を整えましょう。ページごとに簡単なナレーションを入れることで、それぞれのポイントが明確になり理解しやすい内容になります。
全体の仕上げに関しては、ソフトを利用したりデザイナーやイラストレーターに依頼したりする方法もあります。下書きは自分で作業し、清書は加工やイラストが得意な人に任せることで、効率よくストーリーボードが作成できます。
ツールやサービスを活用しよう
ストーリーボードは、ツールやサービスを活用することでより作成が楽になります。
パワーポイントテンプレートの利用
パワーポイントでストーリーボードを作成する場合は、『VisualStudio』をインストールしましょう。上部メニュー内の『ストーリーボード』タブをクリックすることで、ストーリーボードの編集機能が使えるようになります。
ストーリーボード機能では、自作のイラストやネット上から集めたイメージを、ドラッグアンドドロップで簡単に貼り付けられます。可視化を重視したストーリーボードの編集にぴったりの機能といえるでしょう。
また、ストーリーボードで使えるパワーポイント用のテンプレートサイトを活用すると、より便利にストーリーボードの作成ができるようになります。
Visual Studio IDE、コード エディター、Azure DevOps、App Center - Visual Studio
PowerPointのための無料のシンプルなストーリーボードテンプレート
Storyboarderの利用
『Storyboarder』は、ストーリーボード作成専門のツールです。インターフェースが簡素化され使い勝手がよく、ストーリーボード作成に便利な描画や注釈、尺管理機能が搭載されています。
シンプルで滑らかな描画が特徴的で、脚本記述を目的に作成されたタグ言語『Fountain』で書かれた脚本を読み込みストーリーボードを展開できます。PDFをはじめ多くの出力に対応し、Photoshopで開くことも可能です。
Storyboarder - The best and easiest way to storyboard. | Wonder Unit
Canva ストーリーボードクリエーターの利用
ストーリーボード専用のソフトとして、『Canva』もおすすめです。無料テンプレートの中から好きなデザインを選ぶことができるほか、何百万種類もの中から用意されたイメージを選択できます。
アカウントの紐付けを行うことで、プロジェクトの共有管理も可能です。スケッチを描く人と台本を書く人が分かれている場合、ストーリーボードのデザインを共有して、一緒に完成させられます。
外出先でデザインする場合は、iPhoneやiPad、Androidアプリをダウンロードすれば無料で利用できます。
まとめ
ストーリーボードを作成する上で重要なことは、キャラクターとストーリーの適切な設定です。見る人に共感を与え、アクションを起こさせるような仕上がりを意識することが重要です。