業務委託契約書のテンプレートを作成する際の注意点を解説

フリーランスとして仕事をする上では業務委託契約書の締結が頻繁に起こるでしょう。契約書を自分で書こうとする時、検索して得られるテンプレートを用いるなら注意点があります。業務委託契約の区分と民法上、税法上の扱いの違いを見てみましょう。

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業務委託契約は3種類ある

フリーランスが覚えておきたい契約関係には『業務委託契約』として請負契約・委任契約・準委任契約の3種類があります。

委任契約・準委任契約が「法律行為を行うか否か」の違いはあるものの、民法上の規定は同じであることなどを見ていきましょう。

請負契約とは

『請負契約』は「仕事の完成」を目的とし、そのための手段として請負者は労務の供給を行い、注文者はその仕事の結果に対して報酬を支払うという形の契約です。

この場合の「仕事」は建築物などの有形物に限らず、講演や演奏などの無形物であっても良いとされています。

請負者の報酬請求権は仕事が完成した後に発生する、と定められていますので報酬には後払いが基本です。注文者に成果物を引き渡すなどして仕事を完成させなければ報酬は得られず、債務不履行責任を負う場合もあります。

委任契約とは

『委任契約』とは委任者(発注者)が「法律行為」をすることを受任者(受注者)に委託し、これを承諾する契約です。

委任契約は請負契約のように仕事の完成を目的としていない点で区別され、仕事の完成義務は負いません。また他人のために労務やサービスを提供する契約である点では請負契約と共通します。

例えば、弁護士における訴訟委任契約では、弁護士は勝訴を勝ち取るために仕事を行うとしても、敗訴して報酬が得られないということにはならないということです。

準委任契約とは

『準委任契約』とは、委任者が法律行為でない事務を受任者に委託する契約で、委任契約の規定が準用されます。この場合の「事務」は多岐に渡り、ソフトウェア開発における要件定義やコンサルティング、理容・美容やマッサージなども含まれるでしょう。

Web求人でよく見る例では、エンジニアの働き方で月150〜180時間勤務で50万円というような案件がこれにあたり、実務時間が清算幅以内なら仕事の完成は問わず報酬を支払うという形です。

榎本希

業務委託契約は3種類の契約のうちどれかまたは混合になります。

  • 請負契約

仕事の完成や成果物の完成を約す契約です。

  • 委任契約

法律事務の遂行を約す契約です。

  • 準委任契約

法律事務以外の事務を遂行することを約す契約です。

業務委託契約書のテンプレート作成は注意が必要

業務委託契約書のテンプレート作成を行う際には、特に記載漏れがないように気をつけたい内容がいくつかあります。

フリーランスが関わることになるのは請負契約・準委任契約がほとんどです。以下では委任契約でも通用する内容を準委任契約として記載します。

成果の基準

まず委託する業務の内容が準委任契約・請負契約どちらにあたるかという問題があります。準委任契約か請負契約かによって、「行為の遂行」か「仕事の完成(結果)」どちらの成果に対する報酬を支払う契約なのかが変わってきますので注意が必要です。

委託者・受託者双方の契約条項の解釈に影響を与える重要な項目ですので、契約の性質については明記しておきましょう。

またこれを明記することで、契約で定めなかった事項について民法上の委任・請負どちらの規定が及ぶのかが変わってくることにもなります。

これを記載する場合は「第◯条(本契約の性質) 委託者及び受託者は、本契約が準委任契約であることを確認する。」という形にしておくのが良いでしょう。

このように記載しても業務内容が仕事の完成や成果物の納品である場合には請負契約となります。

業務内容

委託する業務内容を契約書で明記しておかなければ、委託者・受託者の間で想定する業務内容についての理解が一致しません。委託者が求める業務内容を受託者に求められないだけでなく、思わぬトラブルを招く可能性があります。

想定している業務内容はできる限り細かく契約書に記載し、正しい共通認識を持たせることが重要です。また、業務内容についての記述が長くなりすぎる場合は、別紙に業務内容をまとめて書くという方法もあります。

この場合は「第◯条(業務内容) 委託者は、受託者に対し、本件業務を委託し、受託者はこれを承諾する。委託する本件業務の具体的内容は、別紙のとおりとする」という形で記述すると良いでしょう。

再委託の可否

委託者が受託者に対し、業務を第三者へ『再委託』することを認めるかどうかを記載しておくことも重要でしょう。

委託者は受託者を信頼して業務を委託しますが、これを定めておかないと再委託が行われ、想定とは大きく違う形で業務が遂行されてしまうことも考えられます。

また一方で再委託が一切できないことにするよりは、信頼のおける業務従事者に再委託する場合なら認める、という形の方が柔軟な対応ができて良いケースがあります。

これらを踏まえて条件付きで再委託を認める場合は「第◯条(再委託の禁止) 受託者は、委託者の事前の書面による承諾がある場合を除き、本件業務を第三者に再委託することはできない」という形で記述すると良いでしょう。

解約

契約違反ややむを得ない事由がある場合など、業務委託の継続が困難または不可能と考えられることがあります。

そういった状況でのトラブルを回避するために、あらかじめ契約書で取り決めていたケースに該当したときは連絡なしに契約を解除できると定めておくことも大事です。

この場合は「第○条(契約解除) 委託者または受託者は、相手方が以下の事項に該当すると認めたときは、催告または催告に代わる手続きを要することなく、直ちに本契約の全部または一部を解除できるものとする」という形で記述すると良いでしょう。

榎本希

業務の内容については特に後々のトラブルに発展しやすいので詳細を話し合った上でしっかり詳細に記入するようにしましょう。

近年では業務委託契約についてよく知らないまま委託をする事業者も一定数増えてきています。

指揮命令権はないにもかかわらず契約後に納品のペースや品質について契約内容にないものを指示してくるような場合があります。

このようなトラブルを予防するためにも雛形をそのまま使うのではなく、自分の契約にあった物に修正し、特に契約内容については詳細に記入するようにしましょう。

業務委託契約書の印紙について

業務委託契約書を取り交わすにあたっては、収入印紙の貼り付けが必要であるかどうかということを知っておくことも法令遵守のために大切です。

まずは印紙が必要ない場合を見てみましょう。

原則は必要ない

印紙税法に基づいて契約書などの課税文書には『収入印紙(印紙)』を貼り付けることとされています。

業務委託契約においては請負契約と委任契約・準委任契約の契約書が用いられますが、委任契約・準委任契約の契約書の場合は印紙税がかかりませんので、収入印紙を貼り付ける必要はありません。

また請負契約の場合でも、契約金額の記載がない契約書か、契約金額が1万円以下の契約書であれば収入印紙は不要です。

榎本希

契約書に印紙が必要であるか不要であるかは契約書のタイトルではなく契約書に記載された業務の内容で決まります。

準委任契約の場合には原則として不要です。

印紙が必要な契約書であるのか不要であるのか自分では分からない場合には税務署や専門家に相談しましょう。

業務委託契約書に印紙が必要な場合もある

業務委託契約書には契約金額が書かれているものであっても、印紙が必要なケースもあります。では、次に印紙の貼り付けが必要になる場合を見てみましょう。

2号文書

請負契約の契約書で、かつ契約金額の記載がある場合には『2号文書』に該当し、課税文書となります。

契約書に記載されている契約金額が高くなるほど課税金額も高くなるでしょう。契約金額が100万円以内の場合は契約書1通あたり200円、100万円を超えて200万円以下なら1通あたり400円、と金額の区分ごとに段階的に税額が高くなります。

出典:国税庁 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで

7号文書

また請負契約の契約書のうち、3ヶ月以上の継続的な契約内容を定め、かつ契約金額の記載がないものは『7号文書』に該当し、収入印紙4000円を貼り付けることになります。

また、準委任契約においても、販売代理店契約などの販売の委託に関しては、例外的に7号文書に該当する可能性があるので確認しましょう。

出典:国税庁 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで

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榎本希

継続的な請負契約であっても契約書の記載の仕方によっては7号文書ではなく2号文書となります。例えば「1年間の契約期間で報酬は月に5万円」というように期間と金額が明記されており合計金額が明確な場合には2号文書となります。

上記の例ですと5万円×12ヶ月=60万円となるので印紙は200円となります。金額が明確になっていなければ7号文書になってしまい印紙税は4000円となるので、このように金額を明確にすることで印紙税の節約ができます。

まとめ

業務委託契約書は契約の形態が請負契約なのか委任契約または準委任契約であるのかで税法上の取り扱いが変わるだけでなく、契約内容の履行に関する民法上の規定も異なります。

契約書のタイトルだけでは、その契約内容が請負契約なのか委任契約なのか判断し辛い場合がありますので、これを契約書内に明記しましょう。

その上で、求める業務内容を間違いなく遂行してもらえるように、できるだけ詳細な業務内容を記載しトラブルを回避していくことも重要と言えます。

榎本希 [監修]

医療機関・医大の研究室にて長年勤務をした後、行政書士試験を受験。医療系許認可をメインに扱う行政書士として、行政書士のぞみ事務所を開業。再生医療関係の許認可・診療所開設・医療広告ガイドラインに基づく医療広告のチェック等の他、任意後見・契約書作成・起業支援を扱う。

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