画像ファイル形式について知ろう
画像オブジェクトには、『ラスター形式』と『ベクター形式』という二つのファイル形式があります。デザイナーを仕事にする場合、この形式の違いを知っておくと不要な修正を未然に防ぐことや、イメージを共有しやすくすることが可能です。
二つのファイル形式がどういうものかに注目して解説します。
ラスター画像
ラスター画像とは、ビットマップ画像とも呼ばれます。1ピクセルの細かい点の集合によって画像が作られているのが特徴です。
スマホやデジカメで撮影した画像は、ラスター画像の形式になります。細かいドットの集まりとして構成されているので、グラデーションによる色の移り変わりなど非常に繊細な表現が可能です。
一方、画像を拡大すると点の配置が歪んでしまい、画像が潰れてしまったり、ぼやけてしまったりすることがあります。
ベクター画像
対してベクター画像は、線・色・曲線といった描画の表現をすべて数値で管理しています。ラスター画像と比較して画像のデータが小さく、拡大縮小をする際には数値を修正することで対応するため、画質を維持することが可能です。
その代わり、ラスター画像のように繊細な色使いや細い部分まで表現することが難しいというデメリットがあります。写真を使わない印刷物やポスター、名刺のロゴなどで使われることが多い画像形式です。
また、ベクター画像はそのままではPCのディスプレイで表示することはできません。PCで表示されているのは、ラスター画像に変換されたものです。
拡張子について知ろう
ファイルを保存する際には『拡張子』を選ばなければいけません。拡張子にはそれぞれに違った特徴があり、活用方法が異なります。ここでは拡張子とは何か、またどんな種類があるのかを解説します。
拡張子とは
『.jpg』『.png』など、ファイル名の『.』(ドット)から続く3文字または4文字の表記が『拡張子』です。画像だけでなく、文書で使われる『.txt』や音楽ファイルとしてよく見る『.mp3』といったものも拡張子です。ファイルを保存する際には、何らかの拡張子を選択する必要があります。
拡張子は、Windows95以前は3文字以内で表記しなければなかったため、その名残として現在でも3文字で表される拡張子が多く存在しているのです。
ベクター画像の拡張子
ベクター画像を保存するための、主な拡張子は『SVG』や『AI』などです。『SVG』はXMLをベースにしているため、テキストファイルでも編集できるという特徴があります。
『AI』は画像編集ソフトである『Illustrator』の標準拡張子です。Illustratorはベクター画像を編集するためのAdobe製品で、ベクター画像の編集作業を行うツールとして知られています。
画像データで使われる『JPEG』や『PNG』といった拡張子はラスター形式の拡張子であり、ベクター画像を保存することはできません。
PDFはベクターとラスターの両方に対応
『PDF』には『ベクターPDF』『ラスターPDF』『ハイブリッドPDF』の3種類があり、ベクターとラスターの両方を保存することができます。ハイブリッドPDFはベクターとラスターの両方の形式に対応している状態のため、それぞれに変換することが必要です。
PDF自体は、画像や音声を埋め込める他、パスワードをかけられるなど多彩な特徴を備えています。反面、データの容量が重くなり、低スペックのPCだと開くだけで時間がかかることもあります。
ベクター画像の主な拡張子の特徴
ベクターの画像を保存する拡張子としてよく使われるものに『SVG』と『AI』があります。それぞれの拡張子の特徴について見ていきましょう。
SVG形式
SVGについて、先ほど触れたよりもさらに詳しく説明します。SVGはベクター画像を数値として保存しているもので、ファイルをテキストデータとして扱う『マークアップ言語』です。そのためテキストツールで編集を行ったり、HTMLと組み合わせたりできます。
元々はInternet Explorerがサポート対象としていなかったことから、あまり注目されない拡張子でしたが、Google ChromeやFirefoxなどのブラウザでサポートが進んだことで、現在ではよく利用されているファイル形式です。
JavaScriptやCSSでアニメーションとして動かすこともでき、テキスト形式のためデータが小さくて済むという特徴もあります。
AI形式
AI形式は『Illustrator』の標準ファイル形式です。ベクター形式であることからも拡大・縮小の画像変化に強く、特に近年では携帯モバイルの小さい画面で画像を表示する機会が多くなっていることからも注目が集まっています。
しかし一方で、AI形式のファイルはIllustratorでしか開くことができません。Illustratorはデザイナー御用達のツールですが、成果物としてはPDFなどに変換して提出を求められることが多いことは留意しておく必要があるでしょう。
まとめ
ベクター画像は、画像のファイル形式の一つで、拡大や縮小、劣化に強いという特長を持っています。
ベクター形式で利用される主な拡張子にはSVGやAIがあります。JPEGなどの拡張子はラスター形式の拡張子であり、ベクター形式で保存するには変換処理をかけなければなりません。ただ、中にはPDFのようにどちらのファイル形式にも対応している拡張子もあります。
ベクター画像のファイルは名刺のロゴやポスターなどで利用されることが多いです。これらの用途にはベクター形式が適していることを、その特徴とあわせて覚えておきましょう。