Microsoft Azure の認定資格は、2026年に開発・AI・セキュリティの資格の一部が新しい資格へ置き換わりました。数年前の一覧や対策本のまま選ぶと、すでに受けられない試験を目標にしてしまうことがあります。
Azure を業務で使うエンジニアにとっては、今どの資格が取れるかに加えて、資格と Azure の経験が転職の年収にどこまで結びつくかも判断の材料です。資格の一覧は Microsoft Learn の資格ページで、年収は厚生労働省の統計と Offers の正社員求人の集計で確かめました。
Azure認定資格の一覧(2026年10月時点)
Microsoft Learn の資格ページで2026年10月10日に確かめた Azure の主な認定資格は、基礎(Fundamentals)3つ、アソシエイト9つ、エキスパート2つ、専門(Specialty)2つの16資格です。資格名は Microsoft Learn の日本語ページの表記に合わせ、向く仕事は試験の出題範囲をもとに編集部がまとめました。
レベル | 資格名 | 試験 | 主に向く仕事 |
|---|---|---|---|
基礎 | Azure Fundamentals | AZ-900 | Azure のサービス・管理の全体像 |
基礎 | Azure AI の基礎 | AI-901 | AI ワークロードの基本 |
基礎 | Azure Data Fundamentals | DP-900 | データの扱いの基本 |
アソシエイト | Azure管理者アソシエイト | AZ-104 | Azure 環境の構築・運用・管理 |
アソシエイト | Azure AI クラウド 開発者アソシエイト | AI-200 | Azure 上のアプリケーションと AI の開発 |
アソシエイト | Azure AI アプリとエージェント開発者アソシエイト | AI-103 | 生成 AI アプリ・エージェントの開発 |
アソシエイト | クラウドおよび AI セキュリティ エンジニア アソシエイト | SC-500 | クラウドと AI のセキュリティ |
アソシエイト | Azure ネットワーク エンジニア アソシエイト | AZ-700 | ネットワークの設計・構築 |
アソシエイト | Azure データベース管理者アソシエイト | DP-300 | データベースの運用 |
アソシエイト | Azure Cosmos DB AI 開発者アソシエイト | DP-420 | Azure Cosmos DB を使う開発 |
アソシエイト | Machine Learning運用エンジニア アソシエイト | AI-300 | 機械学習・生成 AI の運用(MLOps) |
アソシエイト | Azure Databricks データ エンジニア アソシエイト | DP-750 | Azure Databricks でのデータパイプラインの構築・保守 |
エキスパート | Azure ソリューション アーキテクト エキスパート | AZ-305 | Azure の構成の設計 |
エキスパート | DevOps エンジニア エキスパート | AZ-400 | 開発と運用の仕組みづくり |
専門 | Azure Virtual Desktop専門 | AZ-140 | 仮想デスクトップの基盤 |
専門 | Azure SAP ワークロードスペシャリスト | AZ-120 | SAP の基盤 |
各資格の名前・前提・更新の頻度は、Microsoft Learn の資格ページ(例: Azure管理者アソシエイト(AZ-104))で確かめられます。
エキスパートの資格には前提となる資格がある
エキスパートの2資格は、決められたアソシエイトの資格を持っていないと認定されません。Microsoft Learn によると、Azure ソリューション アーキテクト エキスパート(AZ-305)の前提は Azure管理者アソシエイト(AZ-104)で、DevOps エンジニア エキスパート(AZ-400)の前提は Azure管理者アソシエイトか Azure 開発者アソシエイトのどちらかです(Microsoft Learn の各資格ページ・2026年10月10日に確認)。
Azure 開発者アソシエイトは2026年7月31日に廃止されたため、これから DevOps エンジニア エキスパートを目指す人は、Azure管理者アソシエイトを先に取る順番が分かりやすくなります。
AZ-104 などの資格は12か月ごとに更新する
Azure管理者アソシエイト(AZ-104)は、取得から12か月ごとに更新が必要な資格です。Microsoft Learn の資格ページには、Azure管理者アソシエイトのほか、Azure ネットワーク エンジニア アソシエイト(AZ-700)、Azure データベース管理者アソシエイト(DP-300)、Azure Virtual Desktop専門(AZ-140)などにも「更新頻度 12 か月」の記載がありました。
更新は、有効期限の前に Microsoft Learn 上の無料のオンライン評価に合格して行います(Microsoft Learn「Renew your Microsoft Certification」)。
Microsoft Tech Community の2026年3月3日の資格の改編の発表によると、基礎(Fundamentals)の資格には有効期限がなく、更新の手続きも要りません。
2026年に廃止され、新しい資格に置き換わったAzure資格
2026年6月から8月にかけて、Azure 開発者アソシエイト(AZ-204)、Azure AI エンジニア アソシエイト(AI-102)、Azure セキュリティ エンジニア アソシエイト(AZ-500)などが廃止され、AI を扱う範囲を広げた新しい資格に置き換わりました。廃止日は Microsoft Learn の「廃止された認定試験」、後継は Microsoft Tech Community の2026年3月3日の資格の改編の発表によります。
廃止された資格(試験) | 廃止日 | 後継の資格(試験) |
|---|---|---|
Azure Data Scientist Associate(DP-100) | 2026年6月1日 | Machine Learning運用エンジニア アソシエイト(AI-300) |
Azure AI Fundamentals(AI-900) | 2026年6月30日 | Azure AI の基礎(Azure AI Fundamentals・AI-901) |
Azure AI エンジニア アソシエイト(AI-102) | 2026年6月30日 | Azure AI アプリとエージェント開発者アソシエイト(AI-103) |
Azure 開発者アソシエイト(AZ-204) | 2026年7月31日 | Azure AI クラウド 開発者アソシエイト(AI-200) |
Azure セキュリティ エンジニア アソシエイト(AZ-500) | 2026年8月31日 | クラウドおよび AI セキュリティ エンジニア アソシエイト(SC-500) |
Azure AI の基礎(英語名 Azure AI Fundamentals)は資格の英語名を変えずに、試験が AI-900 から AI-901 へ切り替わりました。他の4つは資格の名前も変わりました。同じ発表によると、Azure 開発者アソシエイト(AZ-204)の後継の Azure AI クラウド 開発者アソシエイト(AI-200)は、コンテナやサーバーレスに加えて、ベクトル検索に対応したデータベースやイベント駆動の AI パイプラインまでを対象にしています。
廃止前に取った資格の扱い
廃止前に取得した資格は廃止によって取り消されず、有効期限までは資格として有効だというのが、同じ発表での Microsoft の説明です。ただし廃止後は更新できず、Azure セキュリティ エンジニア アソシエイトの資格ページにも、2026年8月31日以降は取得も更新もできないと書かれています(Microsoft Learn「Azure Security Engineer Associate」)。
廃止された資格を持っている人が職務経歴書に書くときは、取得年月と有効期限を添えると、採用担当者が今も有効な資格かを判断しやすくなります。同じ分野で資格を持ち続けたい人の次の目標は、後継の資格です。
Offers は、エンジニア・デザイナー・PdM 向けの転職サービスで、登録した経歴をもとに企業からスカウトが届きます。Azure の資格を取得年月と実務の経験とあわせて経歴に書いておくことが、どんな企業が関心を持つかを確かめる最初の手順です。
経験と担当領域で選ぶAzure資格の順番
Azure を実務で扱っているエンジニアは、担当している領域のアソシエイトの資格から受け、設計や開発の仕組みづくりを担うようになったらエキスパートへ進む順番が現実的だと編集部は考えています。基礎(Fundamentals)の資格は、Microsoft Learn がエキスパートの前提として挙げる資格に入っていません。
担当している仕事 | 最初に受ける資格 | 次の資格 |
|---|---|---|
Azure の構築・運用(インフラ・SRE) | Azure管理者アソシエイト(AZ-104) | Azure ソリューション アーキテクト エキスパート(AZ-305) |
Azure 上のアプリケーション開発 | Azure AI クラウド 開発者アソシエイト(AI-200) | DevOps エンジニア エキスパート(AZ-400・前提に AZ-104) |
生成 AI アプリ・エージェントの開発 | Azure AI アプリとエージェント開発者アソシエイト(AI-103) | Machine Learning運用エンジニア アソシエイト(AI-300) |
データベース・データ基盤 | Azure データベース管理者アソシエイト(DP-300) | Azure Cosmos DB AI 開発者アソシエイト(DP-420) |
セキュリティ | クラウドおよび AI セキュリティ エンジニア アソシエイト(SC-500) | Azure ソリューション アーキテクト エキスパート(AZ-305) |
ネットワーク | Azure ネットワーク エンジニア アソシエイト(AZ-700) | Azure ソリューション アーキテクト エキスパート(AZ-305) |
表は、Microsoft Learn の前提資格と出題範囲をもとに編集部が組んだ順番です。Azure ソリューション アーキテクト エキスパートは前提に Azure管理者アソシエイトを求めるため、構築・運用以外の領域から設計へ進む人も、途中で Azure管理者アソシエイト(AZ-104)を取ることになります。
Azureエンジニアの年収の目安
Azure エンジニアの年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の近い職種で見ると、企業規模計で578.5万〜889.0万円が目安です。プログラマーや社内システムエンジニアを含む「ソフトウェア作成者」が578.5万円、システムコンサルタントやシステムアナリストを含む「システムコンサルタント・設計者」が889.0万円で、設計を担うかどうかで目安が300万円ほど変わります(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表・男女計をもとに編集部が年収を換算)。
職種(統計の区分) | 企業規模計 | 1,000人以上 |
|---|---|---|
システムコンサルタント・設計者 | 889.0万円 | 1,010.4万円 |
その他の情報処理・通信技術者 | 609.8万円 | 639.4万円 |
ソフトウェア作成者 | 578.5万円 | 640.9万円 |
年収は、きまって支給する現金給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を足して編集部が換算した値です。職種に含まれる仕事の例は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査 職種一覧と解説」から引きました。「その他の情報処理・通信技術者」には、サーバー管理者やシステム保守技術者が含まれます。
公的統計は Azure エンジニアを1つの職種として集計していません。Azure の構成を設計して提案する仕事は「システムコンサルタント・設計者」に、Azure 上でアプリケーションを作る仕事は「ソフトウェア作成者」に、Azure 環境の運用と保守は「その他の情報処理・通信技術者」に近いと編集部はみています。
求人でのAzureの書かれ方と年収帯
必須要件に Azure を書く正社員求人は、提示年収の下限の中央値が600万円、上限の中央値が1,000万円で、上限が1,000万円以上の求人が59.3%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=3,294・2022年3月〜2026年10月公開)。Azure を歓迎要件や仕事内容にだけ書く求人は500万円〜900万円で、Azure に触れない求人の550万円〜975万円より低い位置にあります。
求人での Azure の書かれ方 | 求人数 | 下限の中央値 | 上限の中央値 | 上限が1,000万円以上 |
|---|---|---|---|---|
必須要件に Azure を書く | 108件 | 600万円 | 1,000万円 | 59.3% |
必須要件以外にだけ Azure を書く | 484件 | 500万円 | 900万円 | 34.7% |
Azure に触れない | 2,702件 | 550万円 | 975万円 | 49.6% |
全体 | 3,294件 | 540万円 | 970万円 | 47.7% |
Azure の経験を応募の条件に置く求人は、クラウドの基盤を任せられる経験者を求めている分、提示年収も高めに置かれている可能性があります。職種の構成の違いなどを除いた比較ではないため、編集部の見立てとして読んでください。Azure に関わる求人は、Offers JobsのAzureの求人一覧で年収・勤務地を見比べられます。
求人で Azure 資格がどう書かれるか
Azure を含む正社員求人595件のうち、Azure やマイクロソフトの認定資格を指す語がある求人は29件(4.9%)でした。書かれている場所は歓迎要件が27件(4.5%)、必須要件が2件(0.3%)です(Offers(株式会社overflow)調べ・「Azure」を含む正社員求人 n=595・2022年3月〜2026年10月公開)。
求人の本文では、資格より他のクラウドや周辺の技術の方がよく一緒に書かれています。
Azure と一緒に書かれる語 | Azure を含む求人に占める割合 |
|---|---|
AWS | 95.6% |
Google Cloud(GCP) | 65.9% |
IaC(Terraform・Bicep・ARM テンプレート) | 12.1% |
Kubernetes(AKS を含む) | 11.8% |
生成 AI(Azure OpenAI・LLM を含む) | 11.4% |
Azure やマイクロソフトの認定資格 | 4.9% |
資格は応募の条件というより、Azure の知識を体系立てて学んだことを示す補助の材料として求人に書かれていると編集部はみています。
Azureの市場シェアと資格の位置づけ
世界のクラウドインフラ市場で、Microsoft のクラウドのシェアは2番目です。Synergy Research Group が2026年7月30日に公表した第2四半期の市場の集計では、Microsoft のシェアは20%で、首位の Amazon が28%、3番目の Google が15%でした。
求人の側では、Azure を含む求人の95.6%が AWS(Amazon Web Services)も書いており、Azure は AWS や Google Cloud と並ぶクラウドの選択肢の1つとして求められています(前の節の Offers の集計)。
Azure の資格を1つ持つことに加えて、AWS や Google Cloud との違いを説明できることも、応募できる求人の幅を広げる材料です。Azure の求人に載るスキルは「Azureの求人に載るスキルと年収帯、転職先の探し方」で詳しく扱っています。
Azure資格と経験を年収につなげる進め方
Azure の資格と経験を転職の年収につなげるには、担当領域の資格で知識を示し、必須要件に Azure を書く求人を中心に比べ、応募書類で設計・運用の中身を具体的に書く順で進めるのが確実です。
- 担当している仕事に合うアソシエイトの資格を、廃止されていない現行の試験から選ぶ
- 今の仕事が設計・開発・運用のどれに近いかを決め、前の節の統計で近い区分の年収と比べる
- 求人を比べるときは、Azure が必須要件にあるか歓迎要件にとどまるかを確かめる
- 職務経歴書には、資格名と取得年月に加えて、扱った環境の規模、構成を選んだ理由、IaC で自動化した範囲を数字と合わせて書く
- 提示年収の幅が示されたら、上限の側に届く根拠を経験から示して交渉する
職務経歴書の書き方は「エンジニアの職務経歴書の書き方」、提示年収の交渉は「転職時の給与交渉のタイミングとプロセス」で扱っています。
AWS も扱う人は、隣のクラウドの年収も比べる対象です。年収の相場は「AWSエンジニアの年収」と「クラウドエンジニアの年収」で確かめられます。

