Offers の求人票を見る限り、WordPress エンジニアの年収は、WordPress の経験そのものより、その上に積んだ技術と結びついている傾向があります。

公的統計に WordPress エンジニアという区分は無く、最も近い区分「ソフトウェア作成者」の年収換算578.5万円は、職種別の年収換算を労働者数で重みづけた平均(約545万円)より高く、労働者の約7割はこれより年収換算の低い職種で働いています(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第1表・男女計・企業規模計を編集部で年収換算)。

一方、WordPress の土台であるプログラミング言語 PHP(PHP: Hypertext Preprocessor)を必須にする正社員求人を見ると、クラウドの AWS(Amazon Web Services)やフロントエンドの TypeScript が求人票に出てくる求人の方が、提示年収の上限が高い傾向が見えました。

ここでは公的統計と、Offers に載る正社員求人の提示年収の両方から、今の年収が相場のどこにあるか、どの経験を足せば上げられるかを確かめられるようにしました。

WordPressエンジニアの仕事内容とスキル

WordPress エンジニアは、CMS(コンテンツ管理システム)の WordPress を使って、企業のコーポレートサイトやオウンドメディア、EC サイトを構築・改修・保守する開発者です。WordPress は PHP で書かれているため、テーマやプラグインを作り込む仕事では PHP の開発経験が前提になります。職種名として独立した区分ではなく、求人では「Web エンジニア」「PHP エンジニア」「フロントエンドエンジニア」の募集の中で WordPress の経験が問われる形が一般的です。

WordPressエンジニアの主な仕事

WordPress エンジニアの仕事は、新しいサイトの構築から、既存サイトの移行・改修・運用まで広がります。担当する範囲は勤め先によって異なりますが、主に次の5つです。

  • 要件に合わせたオリジナルテーマの設計と開発
  • プラグインの選定・改修・独自開発
  • 他の CMS や静的サイトから WordPress への移行(URL の転送設定を含む)
  • WordPress 本体とプラグインの更新、脆弱性への対応などのセキュリティ保守
  • 表示速度の改善やサーバー・データベースの調整

新規構築より、運用中のサイトの改修と保守を長く担う仕事の方が多い職場もあります。自分がどの工程をどの規模で担ってきたかが、転職で評価される経験の中身になります。

WordPressエンジニアに求められるスキル

WordPress エンジニアに求められるスキルは、PHP でのテーマ・プラグイン開発、HTML(HyperText Markup Language)・CSS(Cascading Style Sheets)・JavaScript でのフロントエンドの実装、MySQL などのデータベースとサーバーの扱いの3つが中心です。加えて、Git でのバージョン管理、検索エンジンに正しく読まれるサイト構造の設計、表示速度の改善の知識が、実務では繰り返し問われます。

管理画面の操作やテーマの設定に加えて、PHP のコードを書いて WordPress の標準機能の外側をどこまで作ってきたかも、転職の場面では経験の中身として問われやすい部分です。

WordPressエンジニアに近い職種の年収は約580万円

WordPress エンジニアに最も近い公的統計の区分は「ソフトウェア作成者」で、会社員(短時間労働者を除く一般労働者)の平均年収は約578.5万円です。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(企業規模10人以上・男女計)の、毎月の給与(きまって支給する現金給与額)39.08万円の12か月分に、年間賞与など109.51万円を足した概算で、平均年齢は37.1歳でした。

賃金構造基本統計調査に WordPress や言語ごとの区分は無く、WordPress エンジニアに絞った年収は公表されていません。ソフトウェア作成者には WordPress 以外で開発する人も含まれるため、年収を考えるときの基準線として使います。勤め先の規模で分けた年収換算も見ておくと、今の会社と転職先の候補を比べるときの目安になります。

企業規模

毎月の給与

年間賞与など

年収換算

1,000人以上

41.86万円

138.59万円

640.9万円

100〜999人

38.33万円

95.03万円

555.0万円

10〜99人

36.06万円

85.51万円

518.2万円

企業規模計

39.08万円

109.51万円

578.5万円

出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」(2026年3月公表)を Offers Magazine 編集部が年収換算。

1,000人以上の企業と10〜99人の企業では、ソフトウェア作成者の年収換算に122.7万円の差があります(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第1表を編集部で年収換算)。毎月の給与と年間賞与などの両方で差がついており、規模の小さい会社から大きな企業へ移ると、同じ職種でも年収が上がる余地があると読める差です。職種全体の年収の傾向は「ソフトウェアエンジニアの年収」でも扱っています。

年齢別の年収は40代後半の約729万円まで上がる

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第5表を編集部で年収換算すると、ソフトウェア作成者の年収は25〜29歳の484.7万円から年齢とともに上がり、45〜49歳で729.2万円になります。30代前半の559.5万円、30代後半の636.0万円が、同じ年代の平均の目安です。

年齢

毎月の給与

年間賞与など

年収換算

25〜29歳

33.21万円

86.19万円

484.7万円

30〜34歳

38.45万円

98.12万円

559.5万円

35〜39歳

42.85万円

121.79万円

636.0万円

40〜44歳

45.03万円

145.93万円

686.3万円

45〜49歳

47.36万円

160.89万円

729.2万円

出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」(2026年3月公表・企業規模計・男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。

自分の年収が同じ年代の値を下回っているなら、転職で上げられる余地があるかを確かめるきっかけの1つになります。ただし平均には勤続年数や役職の違いも含まれるため、同じ年齢でも担ってきた役割によって差は大きくなります。

PHP必須の正社員求人は上限の中央値が705万円

Offers に掲載された正社員求人のうち、WordPress の土台である PHP を必須スキルに挙げる求人では、提示年収の下限の中央値が480万円、上限の中央値が705万円でした。上限が800万円以上の求人は49.2%、1,000万円以上の求人は22.7%あります(Offers(株式会社overflow)調べ・年収記載のある正社員求人 n=128・2022年11月〜2026年7月公開)。

指標

値

年収下限の中央値

480万円

年収上限の中央値

705万円

上限が800万円以上の求人

49.2%

上限が1,000万円以上の求人

22.7%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・PHP を必須スキルに挙げ年収の下限と上限を記載した正社員求人・n=128・2026年10月集計。

公的統計のソフトウェア作成者の平均578.5万円は、求人の下限の中央値480万円と上限の中央値705万円のあいだにあります。求人の上限は経験と役割が合えば出せる額で、応募者全員に提示される額ではありません。今の年収が求人の下限と上限のどこにあるかを見れば、転職で上げられる余地の目安がつかめます。

WordPress の経験で届く年収帯を確かめるには、実際の求人の下限と上限を見比べるのが早道です。Offers では、Web エンジニアや PHP エンジニアを含む IT プロダクト職の正社員求人を探し、企業から届くオファーで自分の経験への評価を確かめられます。

WordPressが出てくる求人はPHP必須の求人の約16%

Offers の PHP を必須にする正社員求人のうち、求人票の本文・スキル欄・開発環境欄のどこかに WordPress が出てくる求人は16.0%でした。同じ数え方で Laravel が出てくる割合は48.1%で、WordPress の3倍です。

WordPress の経験は PHP の実務経験として評価の材料になります。PHP の求人票の多くには Laravel やクラウドなど WordPress 以外の技術も出てくるため、そうした技術を足すと応募できる求人の幅が広がると考えられます。

PHPの求人の年収帯は5言語の中で下側

Offers の正社員求人で母数が100件以上ある5言語の年収帯を並べると、PHP を必須にする求人は上限の中央値が705万円で、Java と JavaScript の800万円、Python の900万円、TypeScript の1,000万円より低くなりました。上限が800万円以上の求人の割合49.2%も、5言語で最も低い値です。

必須の言語

求人数

下限の中央値

上限の中央値

上限800万円以上

上限1,000万円以上

TypeScript

166

600万円

1,000万円

84.9%

60.8%

Python

176

540万円

900万円

72.2%

46.6%

Java

201

500万円

800万円

54.7%

21.4%

JavaScript

130

500万円

800万円

53.1%

23.1%

PHP

128

480万円

705万円

49.2%

22.7%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・各言語を必須スキルに挙げ年収の下限と上限を記載した正社員求人・2026年10月集計。

表は言語ごとの平均ではなく、その言語を必須にする求人の集まりを比べたもので、上限の差には各言語の求人にどんな事業や役割が含まれるかの違いが混ざります。PHP を使う仕事でも、どの技術と組み合わせて何を担うかで、届く年収帯は変わります。

WordPressは全ウェブサイトの40.2%で使われる

W3Techs の CMS 利用統計の 2026年9月30日時点の調査では、WordPress はウェブサイト全体の40.2%で使われ、CMS を使うサイトの中での占有率は58.7%に達しました。WordPress で動くサイトが多い以上、本体やプラグインの更新、セキュリティ対応、機能の改修を担う仕事がすぐに無くなるとは考えにくい状況です。

WordPress の将来性の詳しい見通しは「WordPressの将来性」で扱っています。

年収を上げる余地があるのは、WordPress を API(Application Programming Interface)で他のシステムとつなぐ、表示を JavaScript のフレームワークで作り管理画面だけを WordPress に任せる構成(ヘッドレス CMS)を組む、といった開発の比重が大きい仕事だと考えられます。

WordPressエンジニアが転職で年収を上げる4つの方法

Offers の PHP 必須の正社員求人の求人票から見える、WordPress エンジニアが転職で年収を上げるための方法は、クラウドで運用まで担う、TypeScript とフロントエンドのフレームワークを足す、Laravel などのフレームワークで開発する、担った範囲を示して年収を交渉する、の4つです。求人票に出てくる技術と提示年収の関係から選んだもので、身につければ年収が上がると確かめたものではありません。いずれも WordPress の経験を捨てるのではなく、PHP の実務経験の上に積み増す形で進められます。

AWSとコンテナでサーバーの運用まで担う

Offers の PHP 必須の正社員求人では、求人票の本文・スキル欄・開発環境欄を合わせて数えると、AWS(Amazon Web Services)が76.3%、Docker や Kubernetes などのコンテナ技術が54.2%の求人に出てきます(Offers(株式会社overflow)調べ・n=131・2026年10月集計)。年収記載のある求人では、同じ数え方で AWS が出てくる求人(n=97)の上限の中央値は800万円で、出てこない求人(n=31)の700万円を上回りました。

レンタルサーバーで動く WordPress サイトだけを担当してきた人は、AWS 上での構築や、開発環境をコンテナで作る経験を足すと、応募できる求人が広がります。今の職場で担当するサイトのサーバー移行や、表示速度の改善でキャッシュや CDN(Content Delivery Network)の設定を担うところから関わるのが現実的です。

TypeScriptとReact・Vue.jsでフロントエンドを広げる

同じ PHP の求人(Offers の正社員求人)では、求人票の本文・スキル欄・開発環境欄を合わせて数えると、React・Vue.js などが74.8%、TypeScript が58.8%の求人に出てきます。年収記載のある求人では、同じ数え方で TypeScript が出てくる求人(n=76)の上限の中央値は800万円で、出てこない求人(n=52)の700万円を上回りました。

WordPress のテーマ開発で HTML・CSS・JavaScript を書いてきた人は、フロントエンドの経験を TypeScript と React・Vue.js へ広げやすい立場にあります。WordPress を管理画面として残し、表示を React や Vue.js で作るヘッドレス CMS の構成は、WordPress の経験とフロントエンドの技術の両方を示せる題材です。

LaravelなどPHPのフレームワークで開発する

PHP を必須にする Offers の求人のうち、求人票の本文・スキル欄・開発環境欄のどこかに Laravel が出てくる割合は48.1%で、WordPress の16.0%を大きく上回ります。PHP の求人の多くは、Web サービスや業務システムを PHP のフレームワークで開発する仕事です。

WordPress のプラグイン開発で経験したデータベースの設計やクラスを使った実装は、Laravel での開発にそのまま活かせる土台です。Laravel で Web サービスを開発する仕事の年収は「Laravelエンジニアの年収」で扱っています。

担った範囲を職務経歴書に書き、求人の年収帯を材料に交渉する

提示された年収を上げる交渉では、同じ条件の求人が示す年収帯と、自分が担った範囲の具体性が材料になります。Offers の PHP 必須の正社員求人では、上限が1,000万円以上の求人が22.7%ありました。

職務経歴書と面接では、「WordPress でサイトを作った」ではなく、どの規模のサイトの、どの工程を、何人のチームで担い、表示速度や運用の手間をどれだけ改善したかを書いてください。テーマやプラグインの設計で下した判断とその理由を1つ以上語れると、実装だけでなく設計を担える人として評価されやすくなります。転職活動の進め方は「WordPressエンジニアの転職事情」を、交渉の進め方は「転職時の給与交渉のタイミングとプロセス」を参考にしてください。

WordPressエンジニアの年収の要点

WordPress エンジニアに最も近い公的統計の区分であるソフトウェア作成者の平均年収は、令和7年賃金構造基本統計調査の年収換算で約578.5万円で、45〜49歳の729.2万円まで年齢とともに上がります。WordPress の土台である PHP を必須とする Offers の正社員求人では、提示年収の下限の中央値が480万円、上限の中央値が705万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=128)。

Offers の PHP の求人票で WordPress が出てくるのは16.0%で、AWS や TypeScript が出てくる求人は、出てこない求人より提示年収の上限の中央値が100万円高い結果でした。WordPress の経験を足場に年収を上げるには、クラウドでの運用、フロントエンドのフレームワーク、PHP のフレームワークでの開発を積み、担った範囲を具体的に示すことが選択肢になります。まずは自分の経験に合う求人の年収帯を確かめ、今の年収との差を知るところから始めてください。