WordPress でサイトの構築や改修を担ってきたエンジニアが転職を考えるとき、「WordPress エンジニア」の名前で正社員の求人を探しても、応募できる求人はなかなか見つかりません。WordPress そのものは今も多くのサイトで使われていますが、正社員の求人では、WordPress は PHP(Web 向けのスクリプト言語)やフロントエンドの開発環境の一つとして書かれることがほとんどです。

WordPress の経験を持つ人が転職で確かめておきたいIT職の市場の状況、WordPress を挙げる求人の実態、応募先になる PHP の求人で同時に求められる技術と年収帯、評価されやすい経験の示し方と求人の探し方を、Offers に掲載された正社員求人の集計と、厚生労働省・W3Techs の資料で確かめました。

IT職の有効求人倍率は1.48倍で職業計を上回る

厚生労働省の統計では、WordPress エンジニアを含む情報処理・通信技術者の有効求人倍率は2026年8月に1.48倍で、職業計の1.17倍を上回っています(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」2026年10月2日公表・参考統計表・常用(除パート))。IT の技術職では、求職者1人に対して1件を超える求人がある状態です。

区分(2026年8月・常用(除パート))

有効求人倍率

新規求人倍率

情報処理・通信技術者

1.48倍

3.13倍

職業計

1.17倍

2.06倍

出所:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」(2026年10月2日公表)参考統計表(職業別・全国計・常用(除パート))。

前年同月と比べると、情報処理・通信技術者の新規求職者は10.4%増えた一方で、有効求人は0.9%減り、有効求人倍率は0.10ポイント下がりました。この統計が数えるのはハローワークを通じた求人と求職だけで、転職サイトやスカウトを通じた採用は対象外です。求人の多い職種であることは変わりませんが、応募する人も増えているため、経験の中身で比べられる場面は増えると考えられます。

WordPressは全ウェブサイトの40.2%で使われている

W3Techs の集計では、WordPress は2026年10月1日時点で全ウェブサイトの40.2%で使われ、CMS(コンテンツ管理システム)を使うサイトの中での占有率は58.7%です(W3Techs「Usage statistics of content management systems」)。WordPress で動くサイトがこれだけ多いため、構築・改修・保守の仕事そのものがすぐに無くなる見込みは小さいと考えられます。

ただし、利用の多さと正社員の求人の多さは同じではありません。WordPress の運用はサイトを持つ企業の社内や Web 制作会社で担われ、正社員の求人票では WordPress の名前が前に出ないことが多いためです。

スキル情報を持つ求人でWordPressを挙げるのは2.6%

Offers に掲載されたスキル情報を持つ正社員求人(n=2,961)のうち、スキル情報か本文で WordPress を挙げる求人は2.6%(77件)でした(Offers(株式会社overflow)調べ・スキル情報を持つ正社員求人 n=2,961・2022年3月〜2026年10月掲載の累計・2026年10月集計)。タイトルに WordPress を含む求人は1件だけで、スキル欄で WordPress を必須に挙げる求人も5件にとどまります。

77件は社名で数えて13社の求人で、そのうち61件は1社がサーバーサイド・フロントエンド・インフラといった職種と勤務地ごとに同じ形で載せた求人でした。この1社を除くと、WordPress を挙げる求人は12社・16件です。WordPress の経験を主な応募条件にする正社員求人は少なく、「WordPress エンジニア」の名前で探すだけでは応募先がほとんど見つかりません。

WordPressを挙げる求人にはWebディレクターやデザイナーの職種も含まれる

1社を除いた16件のタイトルを読むと、Web エンジニアやフロントエンドエンジニアの求人のほか、Web ディレクター・プロジェクトマネージャーの求人や、デザイナー・コーダーの求人が含まれていました(Offers(株式会社overflow)調べ・2026年10月集計)。WordPress の経験は、開発を続ける道だけでなく、サイト制作の進行や改修の企画を担う職種へ移るときの材料にもなる経験です。

WordPressエンジニアの応募先はPHPの求人

WordPress の経験を持つエンジニアが応募先を広げるなら、WordPress の開発言語である PHP を挙げる求人が中心です。Offers のスキル情報を持つ正社員求人(n=2,961)のうち、スキル情報に PHP を挙げる求人は18.1%(537件・社名で147社)で、WordPress を挙げる求人の約7倍ありました(Offers(株式会社overflow)調べ・スキル情報を持つ正社員求人 n=2,961・2026年10月集計)。

PHP を挙げる537件の本文には、PHP 以外に次の技術が出てきます。WordPress が出てくる求人は10.1%(54件)で、そのうち45件は前の章で触れた1社の求人でした。

本文に出てくる技術

PHP を挙げる求人に占める割合

件数

AWS

66.1%

355件

React・Vue.js・Next.js・Nuxt

50.5%

271件

TypeScript

41.7%

224件

Laravel

39.9%

214件

Docker・Kubernetes などのコンテナ技術

36.5%

196件

MySQL

33.9%

182件

WordPress

10.1%

54件

出所:Offers(株式会社overflow)調べ・PHP を挙げる正社員求人(n=537)・2026年10月集計。

PHP の求人の3分の2は本文に AWS(Amazon Web Services)を挙げ、半数は React・Vue.js などのフロントエンドの技術を挙げています。アプリケーションの開発に加えて、クラウドでの運用や画面の開発までを同じ求人の中で求める書き方が目立ちます。WordPress のテーマやプラグインを PHP で書いてきた経験は、PHP の文法とデータベースの扱いを身につけている点で、こうした求人に応募するときの土台です。PHP のフレームワークの中で最も多く挙がる Laravel の求人の年収は「Laravelエンジニアの年収|求人で見る相場と上げ方」で扱っています。

PHPを挙げる正社員求人の年収は上限の中央値が800万円

Offers の正社員求人で PHP を挙げる求人の提示年収は、下限の中央値が500万円、上限の中央値が800万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=532・年収の下限と上限を記載した求人・2026年10月集計)。上限が800万円以上の求人は58.6%、1,000万円以上の求人は27.6%です。

区分

n

下限の中央値

上限の中央値

上限800万円以上

上限1,000万円以上

PHP を挙げる求人

532

500万円

800万円

58.6%

27.6%

正社員求人全体

3,259

540万円

970万円

77.9%

47.5%

出所:Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人(2022年3月〜2026年10月掲載の累計)・2026年10月集計。

同じ条件で数えた正社員求人全体は上限の中央値が970万円で、PHP を挙げる求人は全体より年収帯が低い側にあります。全体には PHP 以外の言語の求人や、エンジニア以外の職種の求人も含まれる点に注意が必要です。WordPress の経験者の年収相場と、PHP の求人の年収帯を他の言語と比べた結果は「WordPressエンジニアの年収相場と上げる方法」にまとめています。

求人票に挙がる技術の有無で上限の中央値に大きな差は見えない

PHP を挙げる求人を、本文に Laravel・AWS・TypeScript が出てくるかどうかで分けると、上限の中央値はどの群も800万円で、技術の有無による大きな差は見えませんでした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=532・2026年10月集計)。上限800万円以上の割合は、下の表では AWS が出てくる群とない群で開きがあります。ただし、会社・職種名・年収帯が同じ求人を1件にまとめて数え直すと一部の群の中央値や割合が動くため、表の割合の差は数え方によって変わる値です。

本文の技術

n

上限の中央値

上限800万円以上

上限1,000万円以上

Laravel あり

213

800万円

60.1%

27.2%

Laravel なし

319

800万円

57.7%

27.9%

AWS あり

352

800万円

62.2%

27.8%

AWS なし

180

800万円

51.7%

27.2%

TypeScript あり

223

800万円

60.1%

30.5%

TypeScript なし

309

800万円

57.6%

25.6%

出所:Offers(株式会社overflow)調べ・PHP を挙げる正社員求人のうち年収の下限と上限を記載した求人(n=532)・2026年10月集計。

求人票に技術の名前が並ぶかどうかより、同じ技術でどこまでの範囲を任されるかが提示年収の差につながっている可能性があります。上限の高い求人に応募するときは、技術を1つ足すことより、設計や運用、チームの取りまとめまで担った経験を一緒に示すことが判断の材料になると考えられます。

提示年収の幅は求人ごとに違うため、自分の経験で届く年収は求人を見比べて確かめるのが確実です。Offers Jobs では PHP やバックエンド・フロントエンドなどの職種を条件に正社員求人を探し、提示年収の下限と上限、仕事内容に書かれた担当範囲を並べて比べられます。

WordPressエンジニアの転職で評価されやすい経験

WordPress の経験のうち転職で評価してもらう材料になるのは、管理画面での更新作業ではなく、PHP でテーマやプラグインを書いた開発の経験と、サイトの速度や安全性を運用で担った経験です。応募先になる PHP の求人の本文には、アプリケーションの開発とあわせて AWS などのクラウドや React・Vue.js などの画面の技術が並ぶことが多いためです。

PHPでテーマやプラグインを開発した経験

WordPress のフック(アクションとフィルター)やカスタム投稿タイプ、WordPress が標準で備える API(Application Programming Interface)を使って機能を組み立てた経験は、PHP でのアプリケーション開発と同じ考え方の上にあります。既製のテーマの設定だけでなく、独自のテーマやプラグインをどこまで自分で書いたかを具体的に示すと、PHP の開発経験として読まれやすくなります。

表示速度とセキュリティを運用で担った経験

アクセスの多いサイトでキャッシュを設計し、画像を最適化し、WordPress 本体とプラグインの更新や脆弱性への対応を続けてきた経験は、サーバーの運用まで任せられるかを判断する材料です。PHP の求人の3分の2が本文に AWS を挙げているので、WordPress を AWS などのクラウドで動かした経験があれば、それも書いておきたい経験です。

LaravelやTypeScriptへ担当を広げた経験

WordPress の外へ担当を広げるなら、PHP の求人の約4割が挙げる Laravel と、同じく約4割が挙げる TypeScript が近い候補になります。WordPress をヘッドレス CMS として使い、Next.js などのフロントエンドから API で記事を取得する構成を経験していれば、フロントエンドの開発経験としても示せます。

サイト制作の要件を整理して進めた経験

発注元や社内の担当者と要件を詰め、デザイナーや制作会社との進行を管理した経験は、Web ディレクターやプロジェクトマネージャーへ移るときに活かせる経験です。WordPress を挙げる正社員求人にも、こうした職種の求人が含まれていました。

WordPressの経験は職務経歴書に規模と担当範囲で書く

WordPress の経験を職務経歴書に書くときは、「WordPress でサイトを構築」とまとめず、サイトの規模、自分が担った範囲(設計・開発・運用)、使った技術、改善の結果をサイトごとに分けて書きます。読み手が、PHP の開発や運用をどこまで任せられるかを判断できるようにするためです。

書き方の例を挙げます。

  • 担当:コーポレートサイトの独自テーマの設計・開発と、公開後の保守
  • 技術:PHP、WordPress、MySQL、AWS(EC2・CloudFront)、GitHub Actions
  • 工夫:カスタム投稿タイプと API で、採用情報のページを社内の担当者が更新できる形にした
  • 成果:画像の最適化とキャッシュの見直しで、主要ページの表示を速くした(改善前後の計測値を添える)

成果は、表示速度の改善幅や更新にかかる時間の短縮など、計測した値があれば数字で書くのが基本です。公開できるコードや成果物が無い場合の実績の示し方は「エンジニアの転職に成果物は必要か|経験者の実績の示し方」で扱っています。

WordPressエンジニアの求人はPHPと職種の名前で探す

WordPress の経験を活かせる正社員求人は、WordPress の名前ではなく、PHP や Laravel などの技術名と、バックエンド・フロントエンド・Web ディレクターなどの職種名で探すと見つけやすくなります。Offers の正社員求人では、PHP を挙げる求人の件数は WordPress を挙げる求人の約7倍でした。

  1. 職務経歴を、PHP の開発・サーバーの運用・画面の開発・制作の進行管理のどれに強いかで分ける
  2. 強い領域に合わせて、PHP・Laravel・TypeScript などの技術名か、職種名で求人を検索する
  3. 求人票の必須条件と歓迎条件を読み、自分の経験と重なる部分と足りない部分を書き出す
  4. 提示年収の幅を見て、上限側に届くには何を担う必要があるかを、カジュアル面談や面接で確かめる

Offers Jobs では、職種や PHP などの技術をキーワードに正社員求人を探し、必須条件と開発環境、提示年収をまとめて見比べられます。

WordPressエンジニアの転職の要点

WordPress の経験を持つエンジニアの転職は、WordPress の名前で求人を探すのではなく、PHP の開発や運用、画面の開発、制作の進行管理へ経験を言い換えて応募先を広げることが出発点になります。

  • IT の技術職の有効求人倍率は2026年8月に1.48倍で職業計を上回るが、前年同月より求職者が増えている
  • WordPress を挙げる求人はスキル情報を持つ正社員求人の2.6%で、77件のうち61件は1社の求人だった
  • 応募先の中心になる PHP を挙げる求人は同じくスキル情報を持つ正社員求人の18.1%で、本文には AWS・React や Vue.js・TypeScript・Laravel が並ぶ
  • PHP を挙げる求人の上限の中央値は800万円で、本文の技術の有無で大きな差は見えない
  • 職務経歴書には、サイトの規模・担った範囲・技術・改善の結果をサイトごとに書く