Rubyエンジニアの転職事情
Rubyは1995年に公開されたスクリプト言語です。国際電気標準会議(IEC)によって国際規格に認定されおり、フリーソフトウェアとして無料で利用できるのに加えて、複製や再配布も可能です。
書籍等の日本語情報源が豊富にあり、プログラミングの初心者が学ぶ言語としても人気があります。25年以上の歴史がある言語ですが、Rubyエンジニアの将来性や転職事情はどうなっているのでしょうか?
将来性に疑問を持たれている?
Rubyは他の言語で代替できる機能が多かったり、近年注目されているデータサイエンスの領域ではあまり使われていなかったりするため、将来性がないという意見があります。実際、Pythonなどの人気の高い言語に比べると、近年はGoogleの検索数の伸び率やGitHubのランキングで劣っている、といったデータもあります。
しかし、日本においては多くの分野で活用されている人気の高い言語で、ライブラリも豊富です。何よりさまざまなWebアプリケーションがRubyで開発されている実績があるため、求人案件も豊富でコミュニティ内でも活発な意見が交換されています。
汎用性が高いため需要はある
Rubyはスクリプト言語として汎用性があり、さらに安定したシステム開発を望んでいる企業はRubyでの開発を望んでいることも多いです。スタートアップ企業からのニーズもあります。
また、初心者が学びやすい言語であるため、未経験からエンジニアになりたい人が独学で学ぶ言語としても人気が高いです。将来的には他の言語の案件が多くなる可能性はありますが、PHPと同じぐらいの求人案件があるので、まだまだスクリプト言語として価値があります。
Rubyエンジニアの仕事内容
Rubyエンジニアの具体的な仕事内容を知るにあたって、まずはRubyがどういった言語であるかをもう少し詳しく理解する必要があります。Rubyの特徴やメリットを確認していきましょう。
Rubyの基礎知識
上記のように、Rubyは25年以上の歴史があるスクリプト言語で、日本人のまつもとゆきひろ氏が開発し、日本で初めて国際規格として認証されました。もともとオブジェクト指向のスクリプト言語であり、汎用性が高くさまざまな領域で活用されています。
(※オブジェクト指向:開発するシステムを「オブジェクト同士の相互作用」と捉える考え方で、Rubyの設計思想もこれに基づいている。さらにRubyは記述したプログラムのテキストが、そのままプログラミング言語として実行できるスクリプト言語と呼ばれるもので、コンピューター側で実行できる形式に変換する必要がない)
Rubyの特徴とメリット
Rubyはシンプルで書きやすい言語として有名で、「Ruby on Rails」をはじめとした多くのフレームワークが利用できるのも特徴です。Rubyの求人案件の多くは フレームワークの利用を前提としているため、Rubyエンジニアとして活躍するには特にRuby on Railsの理解が欠かせません。
プログラミングの初心者でも学びやすいのがメリットで、関連書籍も豊富に取り揃っているので、独学からでもRubyエンジニアとして活躍できる道があります。
Webアプリのバックエンド開発がメイン
Rubyの求人案件の多くは、Ruby on Railsを活用したWebアプリケーションの開発や改修がメインです。Webアプリケーションの開発は、大きく分けてユーザーが操作する部分を開発するフロントエンドと、サーバー側での処理動作を開発するバックエンドがありますが、Rubyエンジニアはバックエンド側のプログラムを作成します。
Rubyで実現できること
Rubyを用いて開発されているのは、上記のようにWebアプリケーションが主で、有名なサービスではCookPadや食べログなどがRubyによって開発されています。また、決済機能を持つECサイトの構築やSNSの構築、異なるシステム同士の連携を実現するAPIの開発にも使われることが多いです。
Rubyエンジニアの平均年収
それでは、Rubyエンジニアの平均年収を確認していきましょう。
スキルや経験年数に応じて年収が上がる
ITエンジニア専門の人材エージェンシーであるプロエンジニアの調査によると、Rubyエンジニアの平均年収は20代で397万円、30代で520万円、そして40代になると603万円になっています。基本的にスキルや開発経験年数に応じて年収額が上がっていき、特に優秀なエンジニアの場合、年収1000万円を超えている人も少なくありません。
学びやすい言語のため20代のエンジニアも多く、若くても活躍できる土壌があることが分かります。ほとんどの開発環境ではRubyのフレームワークを活用するので、少なくともRuby on Railsのスキルは必須です。
出典:【最新版】プログラミング言語別稼げる平均年収ランキング|プロエンジニア
収入を決定する要因は?
Rubyエンジニアの収入を決定する要因としては、まずクライアント企業の業界での実績や、フレームワークを使っての開発経験が挙げられます。特に有名なWebアプリケーションの開発に携わっていれば、そのネームバリューで優秀なエンジニアだと認識してもらえるでしょう。Rubyだけでなく、PHPやJava、C言語といったプログラミングの知識があれば開発の幅が広がるため、より有利な条件で転職できる可能性が高まります。
また、システムの企画や設計など、上流工程の開発に関わる方が案件の単価が高いため、年収アップにつながりやすいです。下流工程に位置するシステムの保守運用などの業務に比べると、倍以上の年収差になるケースも珍しくありません。エンジニア自身の経験やスキル、携わる案件によって収入が決まってくるわけです。
未経験でも転職は可能?
このように、他言語の知識や開発経験、エンジニアとしての実績があれば、Rubyエンジニアとして転職できる可能性は十分あります。では、全くの未経験から転職は可能でしょうか?
実務経験者が有利だが未経験でも可能
Rubyエンジニアに限らず、エンジニアの転職は実務経験があった方が圧倒的に有利です。求人案件を確認してみても、エンジニアとしての開発実績を持っていることを応募要件としている企業が多いです。
ただし、全くの未経験でもRubyエンジニアとして転職できる可能性はあります。例えば、社会人向けの教育プログラムや講座などを利用してRubyを学び、実際にWebアプリケーションを自作すれば、それを開発実績としてアピールできます。
何の開発経験もなくエンジニアとして転職するのは難しいですが、Rubyの知識と開発経験があれば、エンジニアとしての実績がなくても転職できる可能性があるのです。社会人向けの講座の中には、転職活動を支援してくれるところもあるので、積極的に活用しましょう。
独学で経験・実績を積む方法もある
教育プログラムや講座などを利用せずに、独学でRubyの知識を習得し、開発実績を積む方法もあります。他の言語の場合、どうしても習得に時間が掛かってしまいますが、Rubyはさまざまな書籍や教材も販売されており、他の言語に比べて初心者の学びやすい環境が整っています。日本人が開発した言語であり、日本語のチュートリアルも充実しています。
独学で言語を学び、自らWebアプリケーションなどを開発することで、転職の道が拓ける場合もあります。上記のように、自らRubyを学んでアプリケーションを自作し、それを転職活動でアピールすることで採用を勝ち取った人もいます。
独学する場合の勉強方法
Rubyを独学する場合、書籍で勉強する方法や、未経験者を対象としたRubyの学習サイトを利用する方法などがあります。最も効率的なのは有料の講座や教育プログラムを利用することですが、時間の取れない人やコストを抑えたい人などは、安い金額で利用できる動画サービスや、無料のチュートリアルなどを利用すると良いでしょう。
Rubyエンジニアに転職する際のポイント
続いて、Rubyエンジニアに転職する際に、押さえておきたいポイントを解説します。
他の言語の習得も視野に入れる
すでに説明したように、Rubyに加えて、他のプログラミング言語も習得しておけば、好待遇で転職できる可能性が高まります。特にWebアプリケーションの開発では、他の言語やフロントエンドの知識や開発経験があれば現場で重宝されるでしょう。
さらに、ネットワークやサーバー、データベースの知識なども身に付けておけば、さまざまな案件に対応できるようになります。フリーランスの場合は受けられる案件が多くなり、報酬も高くなります、
資格もある
RubyにはRuby技術者認定試験という資格試験もあるので、資格の取得を目指して勉強するのも有効です。Rubyに関する基礎的な力とエンジニアとしての開発能力を評価してもらえるため、取得しておけば、転職活動の大きな武器になるでしょう。他にもITストラテジストなど、エンジニアとしてのキャリアアップに有効な資格もあります。
Rubyエンジニアに必要な知識・スキル
最後に、Rubyエンジニアに必要な知識やスキルを具体的に解説しておきます。
さまざまなプログラミングのスキル
Rubyエンジニアとして、さまざまな案件で活躍したいならば、上記のようにJavaやGoなどの他の言語の知識やスキルを身に付けておく必要があります。
さらにWeb系の開発に関わる機会が多いためフロントエンドの開発知識・経験もあるより有利です。他の言語を完全に習得する必要まではありませんが、ある程度の知識を身に付けておけば、開発に関わる他のエンジニアとスムーズにコミュニケーションが取れるようになります。
Ruby on Railsなどのフレームワーク
Rubyを用いたアプリケーション開発では、代表的なフレームワークであるRuby on Railsが頻繁に活用されます。Rubyのフレームワークは他にもSinatraやPadrino、Ramazeなどさまざまありますが、最低でもRuby on Railsは使えるようになっておきましょう。
フレークワークを活用できるようになれば、必要最低限のプログラムのみ書けばよいため、効率的に仕事ができるようになるだけでなく、少人数でも大規模なWebサイトやWebアプリケーションの開発が可能になります。
サーバーやネットワークに関する知識
Webアプリケーション開発では、サーバーやネットワークに関する知識も必要になります。Rubyの開発案件で最も多いのがWebアプリケーションですから、HTTPやDNSなどのネットワークに関する基本的な知識や、Linuxなどの知識も押さえておきましょう。
また、データベースに関する知識も必要になる場合があります。データベース管理システムを制御するSQLの知識があれば、開発現場で役立つこともあるでしょう。
UI・UXに関するスキル
UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)に関する知識やスキルがあれば、高単価の案件を獲得できる可能性が高まります。UIはWebサイトやWebアプリケーションの画面のように、ユーザーが直接操作する部分を指し、UXはサービスを利用した際の経験のことで、ユーザーの満足度に影響します。
いずれもフロントエンドエンジニアの業務に関わる部分ですが、バックエンドの開発を担当することの多いRubyエンジニアもUIやUXの知識やスキルを持っておくことで、上流工程の開発案件を獲得できるチャンスが広がるでしょう。
まとめ
Rubyエンジニアの転職事情と仕事内容、エンジニアとして転職するための方法を解説しました。Rubyエンジニアは経験やスキルによって高い報酬を得ることも可能な職種です。未経験からでもエンジニアとして活躍できる可能性はありますが、Rubyの開発実績が求められる求人案件が多いので、自ら言語を学んで開発経験を積んでおくと良いでしょう。エンジニアとして転職を目指す人は、まずは言語の取得から始める必要があります。
独学でRubyを学び、転職を成功させた人も多いので、まずは自分のキャリアプランを明確にして、できるだけ早く行動を起こしましょう。資格取得を目標にするのもおすすめです。