週20時間以上の勤務で会社が副業を確認できる理由
勤務先以外でバイトしていると、状況によって『保険の加入』が義務付けられることがあります。主なものは雇用保険と社会保険で、どちらも働く上で欠かせない内容です。保険に加入すると、保険料が変わるため、メインで働いている会社にも影響があります。週20時間以上別の会社で働く場合は、保険加入について知っておきましょう。
雇用保険の加入
雇用保険は1つの会社で加入できます。いろいろな場所で働いている人も、加入できるのは1か所だけです。いくつかの会社で働いていることを連絡しておかないと、雇用保険の加入手続きが行われた時に副業がバレてしまいます。
バイト先には雇用保険の加入手続きができないと連絡があり、メインの勤め先には新しい勤務先から雇用保険の加入手続きがあったことが知らされるためです。勤務先を変えた時、スムーズに雇用保険の加入手続きを進めるための連絡です。連絡が行かないようにすることはできません。
社会保険の加入
社会保険に入ると、他のところで働いていることが知られてしまいます。社会保険は複数の会社で働いた賃金を合計して計算されます。適用条件にあてはまった場合は、必ず加入が必要です。どんな時に入る必要があるのか、確認しておきましょう。
雇用保険と社会保険の加入条件を確認
保険は、どのような時に加入する必要があるのでしょうか。雇用保険と社会保険には、どちらも固有の加入条件が設定されています。加入条件を満たさないように副業をすれば、メインの勤め先に連絡が行く可能性は低くなります。それぞれの加入条件を見ていきましょう。
雇用保険の加入条件
雇用保険は、週20時間以上かつ31日以上継続見込みの勤務で加入が義務付けられます。短期のバイトでも日雇い労働者向けの雇用保険がありますが、申請は自分で行うため必須ではありません。
契約書が31日未満でも、継続して働くことが見込まれる場合は雇用保険の加入対象です。契約書の内容だけでなく、会社の意向を確認しておきましょう。
社会保険の加入条件
社会保険には、いくつかの適用条件が設定されています。主な条件は5つあります。
- 1週間の労働時間が20時間以上
- 月の賃金が8万8000円以上かつ年収106万円以上
- 1年以上の継続見込みの勤務
- 勤務先の従業員数が501人以上
- 学生以外(夜間学校などの例外を除く)
強制加入の条件は以上の5点ですが、従業員数が少ない会社でも社会保険の加入を推進していることがあります。現在、社会保険の加入条件を見直す議論が進んでいることも知っておきましょう。
政府は2020年、加入条件見直しの法案提出を予定しています。法案が可決された場合、月の賃金が6万8000円以上で社会保険の加入義務が発生するため注意が必要です。
雇用保険や社会保険の加入は拒否できる?
雇用保険や社会保険の加入を拒否できれば、副業がバレる可能性は低くなります。必要ないものなら加入したくない人も多いでしょう。保険の加入ルールを知っておくと、拒否できるかどうかが分かります。
条件を満たせば強制加入
雇用保険、社会保険どちらも条件にあてはまる人は加入必須です。保険に加入させなかった場合は事業主に対して罰則が課されます。罰則の内容は半年間の懲役、または50万円以下の罰金です。
加入したくない場合は、要件を満たさないよう働くようにしましょう。要件を満たしながら加入していなかったことが判明した時は、2年間さかのぼって社会保険料を支払うことになります。加入したくないと伝えても認められる可能性は低いため、副業がバレたくない場合は勤務時間や賃金を減らすことが必要です。あらかじめ要件を満たさないように考えておきましょう。
どちらの会社で加入することになる?
保険の加入は状況によって変わってきます。両方で条件を満たす場合や、片方のみで条件を満たす場合などそれぞれ見ていきましょう。
どちらの事業所でも条件を満たす場合
どちらの会社も週20時間以上働いているなら、雇用保険は選択制です。社会保険はどちらも加入することになります。社会保険は一定の条件にあてはまる場合、どちらも保険料が発生します。
雇用保険は1社でしか加入できない
雇用保険は原則、メインの勤務先で加入することになっています。賃金が多い方で雇用保険に加入していると、もう一方の会社では雇用保険に加入できません。勤務時間にかかわらず、賃金の多さで雇用保険に加入する事業所が決まります。すでに最初の会社で雇用保険に入っているなら、新たな勤務先に伝えましょう。
社会保険は両社で加入
社会保険は、健康保険や厚生年金保険の管轄によって保険料の支払い方法が変わります。会社によって管轄が違う場合、要件を満たした翌日から10日以内に書類提出が必要です。
書類の内容から、すべての賃金が計算されます。保険料の支払い先は任意の勤務先を選択可能です。この場合は保険料を1社でまとめて支払うことになります。保険の管轄が同じ場合は、両方の会社で保険料を支払います。勤務先の賃金によって、それぞれ支払う保険料が変わるしくみです。
予備知識:労災は両社で加入
労災はけがや病気で治療を受けた場合や、働けなくなった時に支給される保険です。労災保険は勤務時間や賃金にかかわらず、加入が義務付けられています。どちらの会社でも加入することになりますが、労災の保険料は全額事業所負担です。個人が負担することはありません。労災の加入で副業がバレることはなく、金額負担もないので安心しましょう。
本業先が副業を確認できない方法とは
保険などの手続きがあると、メインの勤務先に副業がバレてしまいます。バレずに副業をするには、どのような方法があるのでしょうか。具体的な方法を見ていきましょう。
雇用保険や社会保険に入らないように調整
雇用保険や社会保険は、条件を満たさない限り加入することはできません。勤務時間を週20時間以下におさえるなど、時間数や賃金を調整しましょう。
雇用保険は1つの会社で入ることになりますが、条件を満たした時に担当者が加入手続きを進めてしまう可能性もあります。副業であることを伝えていない場合、雇用保険の加入は必ず行うためです。手違いでメインの勤務先に連絡が行かないようにしたいなら、雇用保険の加入条件を満たさず働くようにしましょう。
まとめ
副業がメインの勤め先にバレたくない場合は、保険や年間所得などに注意しましょう。保険の手続きや確定申告による税金の増加がなければ、副業がバレる可能性は低くなります。
雇用保険や社会保険は週20時間未満の短時間労働の場合、加入義務はありません。短時間の副業なら、保険手続きなどでバレることはないでしょう。保険や確定申告以外でも人のうわさなど副業がバレる原因はありますが、保険に加入した場合は確実に副業がバレてしまうため注意が必要です。