フリーランスと派遣社員の違い
正規雇用以外の働き方では『フリーランス』や『派遣社員』が代表的なものとして挙げられます。この二つの違いについて、契約という観点から見ていきましょう。
フリーランスは業務委託契約
フリーランスとして働く場合『業務委託契約』を結ぶことが多いです。
業務委託契約とは、企業から成果物の作成などを依頼されて、それを制作し提出することで報酬を獲得する働き方です。業務委託契約の場合は、企業から働く時間や場所、仕事の手順などに関する命令を受けずに働くことができます。
その一方で、フリーランスの仕事には時間外手当や夜勤手当といった特別報酬が発生しません。そのため自身で仕事時間を管理するマネジメントスキルが必要になります。
派遣社員は雇用契約
一方の派遣社員は『雇用契約』に該当します。雇用契約とは、労働者が雇用者に対して労働力を提供し、その対価として雇用者は労働者に報酬をしはらうという契約です。
業務委託とは異なり、雇用側が勤務時間や規則、働き方などを決める『指揮命令権』を持っています。派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣会社から指揮命令を受けるという契約の形になっているのです。
掛け持ちのメリット
このように、フリーランスと派遣社員ではそもそも労働条件が異なっています。まったく別の働き方だと言えるでしょう。この二つの働き方で仕事を掛け持ちするメリットとは何でしょうか?
派遣の収入により生活が安定
業務委託契約を結んだフリーランスの場合、成果物を先方に提出するまで報酬をもらえません。制作に半年かかるような大きな案件であれば、報酬の獲得は作業開始から少なくとも半年は先ということになります。
一方の派遣社員の場合は、数カ月間は仕事を安定して確保できる上に、賃金も定期的に支払われます。フリーランスのみでは収入が不安定になってしまうことが多いですが、派遣の仕事を掛け持つことで、ある程度安定させることができるのです。
社会保険に加入できる
派遣社員であれば、契約期間や毎月の労働時間といった要件さえ満たせば、社会保険へ加入できます。
社会保険に加入できるため、万が一の時にも安心です。手続きは派遣会社が行ってくれるため、自身に負担がかかることもありません。フリーランスだけだと社会保険には加入できないので、これも派遣と掛け持ちをするメリットだと言えるでしょう。
人脈や経験の幅が広がる
フリーランスの中でも自宅を作業場としているワーカーは、1人で作業することが多いため、なかなか人脈を作る機会に恵まれません。
好きな仕事を選んで請けられるのがフリーランスのメリットですが、同時に知識や技術が偏りがちという欠点もあります。
しかし派遣社員との掛け持ちをすることで、両方の仕事から知識や技術を得ることができますから、多角的な視点を得ることが可能です。派遣社員は職場が頻繁に変わる場合もあるため、人脈作りやコミュニケーションスキルを培う場としても活用できます。
スキルアップについても同様で、まったく異なった分野での実践経験や技術を習得することで、フリーランスとしても仕事の幅を広げられる可能性が出てくるでしょう。
掛け持ちする場合の注意事項
掛け持ちには多くのメリットがある一方で、掛け持ちによるリスクやデメリットも存在します。トラブルなどの原因にならないように、以下の点について注意しましょう。
就業規則を確認
派遣社員として働く場合は、就業規則を確認しましょう。派遣社員は、場合は派遣先の企業ではなく、自身が派遣契約を結んだ派遣会社の就業規則に従わなければならないのです。
副業を禁止している派遣会社も少なくありません。その場合、フリーランスでの仕事が副業とみなされ、トラブルになる可能性があります。
また、副業を容認している場合でも、競合他社での副業は禁止しているなど、細かい規定がある場合もあります。事前に派遣会社の就業規則をよく確認するようにしましょう。
オーバーワークに気をつける
一つの仕事よりも複数の仕事を掛け持つことで、仕事に従事する時間が増えるのは明らかです。沢山働くことは悪いことではありませんが、オーバーワークには気をつけなければなりません。
オーバーワークを繰り返していると、心身に悪影響が出る可能性があります。せっかくお金を稼いでも、体が壊れてしまえば元も子もありません。
食事や睡眠時間の確保、週に1回は完全に休みの日を作るなど、自身のスケジュール管理をしっかりと行っていくのも、フリーランスにとっては重要です。
まとめ
フリーランスと派遣社員を掛け持ちで行うことにはさまざまなメリットがあります。派遣社員として安定した収入と社会保障を得つつ、フリーランスとしての仕事に挑戦するといったこともできます。
二つの仕事を通してまったく違う人脈や経験を得られるのも大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、就業規則によって副業が禁止にされている場合にトラブルになってしまう可能性や、オーバーワークによって体を壊してしまうこともあります。自身の体調やタスクをしっかり管理することが、仕事を続けていくために重要です。