市役所で働く公務員の副業は可能?
近年、政府が副業を推進していることもあって、副業に対する注目度が上がっています。では公務員はどうなのでしょうか? 公務員と副業の関係についてまずは解説します。
公務員の副業は原則禁止
国家公務員法第103条ならび第104条によれば、国家公務員は営利企業の経営や役員の地位につくことを原則禁止されています。営利企業以外で報酬を得る場合は、内閣総理大臣の許可を得なければなりません。
また、地方公務員も地方公務員法の第38条により、任命権者の許可を受けなければ副業ができないことが定められています。国家公務員と地方公務員で若干法律が異なりますが、原則的に副業禁止ということは共通しています。
自治体によっては職員の解禁の動きも
前述のように、地方公務員に限っては任命者の許可があれば副業が可能です。そのため、地方公務員も自治体によっては、副業が解禁されている兆候が見られています。
その先駆けとなったのは神戸市と、生駒市です。条件こそあるものの、どちらの自治体も副業が許可された例となっています。
人手不足や高齢化による地域支援が目的
地方公務員が副業を解禁される背景には、地域住人の高齢化や少子化によって労働人口不足である状況が挙げられます。
高齢者の介護や農作業、地元のスポーツクラブのコーチなどが許可されている例があり、主な目的は地域支援です。副業によって、地域住民との距離を縮めるといった目的にも期待が集まっています。
公務員でもできる副業
営利企業との関わりを持たなければ、原則として公務員でも副業で収入を得ることは可能です。どのような副業が可能なのかを見ていきましょう。
投資
第1には『投資』です。土地や建物に対する不動産投資や、株式投資などが挙げられます。これらの活動については、公務員でも行うことは可能です。
ただし注意しなければならないことがいくつかあります。不動産投資の場合、一定規模を越えてしまうと『営利企業を経営している』と見なされるのです。
ワンルームマンションへの投資程度なら問題はないようですが、マンション投資をはじめ、複数物件への投資などは注意しなければなりません。また、株式投資やFXでは、公務員の仕事上で知り得たことで投資を行うことは『インサイダー取引』に該当し、法律で罰せられます。
公務員法などに抵触しないように、あらかじめ投資の規模や方法について確認しましょう。
家業の手伝い
家業の手伝いは、許可を取れば問題なく行える場合がほとんどです。農業や酪農などの小規模な場合であれば、問題なく許可が下りるでしょう。
ただし、規模が大きかったり報酬をもらったりする場合は許可が下りない可能性があります。
講演、作家活動
講演や作家活動については、禁止事項として定められていないため可能です。表現や趣味の範囲の活動と見なされる点も大きな要因でしょう。
ただし、守秘義務に抵触している場合や、その活動によって公務員の職務に支障が出るようであれば、禁止される場合がありますので注意が必要です。
副業をする場合の注意点
上記のように内容によっては公務員でも副業は可能ですが、実際に行うにあたってはいくつか注意しなければならないことがあります。処分を受けないためにも、次の点には気を付けましょう。
相談の上、許可を得る
問題がないとされる副業であっても、基本的には許可を取っておいた方が安全と言えます。
不動産投資などは継続していれば大きな利益が出るようになり、『営利企業を経営している』とみなされる範囲に入ってしまうこともあります。
副業によって懲戒処分が下ったケースもあります。後々になってトラブルにならないように、副業をする際には上役に相談し、自身が副業を行っていることを把握してもらっている方が無難です。
業務に支障がない範囲と内容にする
副業は、業務に支障が出ない範囲に抑えましょう。本業である公務員の仕事に支障が出ると判断されれば、許可が取り消されてしまう可能性があります。
公務員の副業は、あくまで地域への貢献や労働力不足の解消を目的に許可されているケースが高く、それに反する副業は許可が下りない可能性が高いです。
まとめ
公務員の副業は原則禁止とされています。ただし自治体の人手不足の解消や、地域支援を目的として、一部の自治体では副業の解禁を始めているようです。
また、営利企業に関係することなく、実家の手伝いや小規模な資産運用であれば禁止されていないため、公務員でも行うことができます。
ただし公務員の仕事に支障が出る場合や、規模が大きい場合はその限りではありません。副業を始める前に職場に相談して、自身の状況を把握してもらった方が、トラブルを防ぐことができます。