フリーランスのエンジニアはスキルが低い?
フリーランスエンジニアには、企業所属のエンジニアに比べて高いスキルの習得が求められます。しかし、フリーランスのスキルの低さを指摘する向きもあるのが現状です。
フリーランスエンジニアの現状
エンジニアは業界全体で人手不足になっており、フリーランスでも会社員でも基本的に状況は変わりません。十分なスキルがあれば、案件の獲得は難しくないのが現状です。
しかし簡単にこなせてしまう案件が多いだけに、スキルアップのために独立したものの、思うようにスキルを伸ばせないエンジニアも少なくありません。実際、日本では海外に比べて、フリーランスエンジニアの技術が不足していると指摘されています。
スキル面の課題は多い
日本のフリーランスエンジニアがスキル不足に陥っている現状には、多くの理由があるとされています。当然ながらスキルレベルは個人によって違い、高度な技能を持つ優秀なエンジニアも多くいます。
しかし日本は海外のエンジニア育成環境と比較すると、どうしても実践の場が少ない面が否めません。例えば、学生のうちから言語を身に付け実際にプログラムを作成する場が多いアメリカに対して、日本では理論や考え方に偏りやすいとされています。
現場で活躍しているエンジニアの中にも、スキルの伸び悩みを感じている人は多くいます。初心者のうちから実践の場を増やすことが重要でしょう。
フリーランスの場合は特に、スキルレベルが収入に大きく関係してきます。独立しても十分な収入を得るには、必要な技能を積極的に身に付ける姿勢が欠かせません。
フリーランスエンジニアに必須のスキル
フリーランスエンジニアとして必要なスキルには、何があるのでしょうか? 請ける仕事の分野や内容によって変わってきますが、基本となるスキルは共通しています。フリーランスだからこそ必要な能力も含めて見ていきましょう。
システム開発のスキル
企業の業務システムやアプリケーションなどの開発スキルは、働き方を問わず開発系のエンジニアにとって欠かせません。具体的な業務範囲は職種によって変わってきますが、分野は違えど各種システムの開発を担う業務がメインとなります。
フリーランスの場合も企業のシステムやアプリケーションの開発案件が多いので、対応する言語のスキルを伸ばしておきましょう。バックエンド開発ではJavaやC言語が中心となりますが、近年はPythonをはじめAI開発に関わる言語も人気です。
コミュニケーションスキル
エンジニアはチームで開発を進める機会が多い職種です。円滑に意思疎通を図るためには、コミュニケーションスキルが欠かせません。チーム内でのコミュニケーションはもちろん、クライアントをはじめ非エンジニアとの意思疎通も必要です。
特にフリーランスの場合、基本的には案件ごとに参加するチームが変わります。エンジニアとしての背景やタイプの違う相手とも、コミュニケーションをとらなければなりません。
独自にコミュニケーションスキルを伸ばすだけでなく、コミュニケーションに関する講座に参加してみるの一つの方法です。
自己管理に関するスキル
企業に所属しているエンジニアの場合、決められた業務をこなしていれば問題ないことが多いでしょう、一方、フリーランスは自分のビジネス全体を1人で考えなければいけません。
獲得する案件の選択と営業活動のほか、スムーズに案件をこなすためのスケジューリングが必要です。自己管理に失敗すると仕事を続けられず、収入が途絶えてしまう恐れもあります。
フリーランスとして独立するなら、体調管理には特に気を遣いましょう。十分に休息を取れるよう、仕事とプライベートをしっかりと分けるための工夫が求められます。
収入アップに役立つスキル
フリーランスは会社員と違い、黙っていても仕事が入ってくるわけではありません。収入を上げるには、仕事を請けるために必要なスキルを磨く努力が必要です。求められる能力を知って、独立に向けた準備を進めましょう。
営業・交渉スキル
フリーランスエンジニアは、自ら営業をして案件を獲得する必要があります。エンジニアの中には営業活動の経験がない人もいて、独立後になかなか仕事を得られず収入が大きく落ち込んでしまうケースは珍しくありません。
営業は人によって得手・不得手がありますが、できるだけスムーズに案件を獲得できるように、営業スキルを磨いておきましょう。
ただし、どうしても営業活動がうまくいかない場合は、フリーランス向けのエージェントを利用したり営業担当者を雇用したりする方法もあります。
プレゼンテーションのスキル
営業力に加えてプレゼンテーションスキルを身に付ければ、クライアントにより説得力のある提案ができるでしょう。効果的なプレゼンは、単価アップや契約の継続につながります。
非エンジニアに対して分かりやすく話をする技術は、エンジニアに欠かせません。さらに効果的なプレゼンテーションができれば、意見が通りやすくなるだけでなく、クライアントからの信頼も得られるでしょう。
フリーランスがスキルアップをする方法
フリーランスに必要なスキルを効率的に身に付けるには、どうすればよいのでしょうか? 数ある中で、手軽に取り組みやすいスキルアップ方法を紹介します。
学習用のサイトでスキルを磨く
技術面のスキルを磨きたいなら、学習サイトやエンジニア向けの書籍で学ぶ方法があります。
特に活躍したい分野での経験が浅い人におすすめの方法です。自分のスケジュールやペースに合わせて、スキルを身に付けたい人にもマッチします。
学習サイトではプログラミングスクールが教材を提供している場合があるほか、無料で視聴できるものも少なくありません。
ただしサイトや書籍で勉強する場合、学ぶべき事柄を絞って集中して取り組まなければ効率が悪くなってしまうでしょう。事前に計画を立てておき、目的意識を持って始めるのがスピード化のポイントです。
勉強会やセミナーに参加してみる
エンジニアの勉強会やセミナーに参加して、フリーランスに必要なスキルを伸ばすのも一つの方法です。SNSの技術者コミュニティーが開催しているものもあれば、エンジニアの派遣会社が主催しているセミナーもあります。
SNSでは多くの情報が配信されており、スキルアップに役立つ講座やセミナー・勉強会などが見つかるはずです。広くアンテナを張っておき、スキルアップに寄与すると思ったイベントには積極的に参加してみましょう。
プログラミングスクールを利用する
挑戦したい分野のスキルが足りないと思うなら、プログラミングスクールを利用して勉強する方法もあります。相応の費用はかかりますが、その分野のプロフェッショナルに教えてもらえるので、実践的な知識やスキルを効率的に身に付けられるでしょう。
自分で計画を立てて学習するのが苦手な人には、サイトや書籍よりもプログラミングスクールがおすすめです。近年はオンラインで学べるスクールが多いので、地方に住んでいる人でも問題なく講座を受けられるでしょう。
通信講座であれば、通学講座に比べて授業料も安く済みます。
必要とされるエンジニアになるには?
フリーランスエンジニアとして求められる人材になるには、経験やそれをクライアントにアピールする行動が必要です。具体的にしておきたい準備を押さえ、行動の指針としましょう。
十分な経験と実績を積んでおく
たとえ高度なスキルを持つ人でも、現場で生かせない人材にクライアントが仕事を依頼するメリットはありません。経験や実績が不十分なうちは、安定して仕事を得るのは難しいでしょう。
特にエンジニアをはじめとした技能職は、未経験から請けられる案件は多くないのが現状です。独立前に問題なく案件をこなせるだけの経験と実績を積んでおきましょう。
実務経験が1年あるだけでも、請けられる案件の数が変わってきます。挑戦する分野が実務未経験の場合、まずは企業に所属して実績を作るのがおすすめです。
スキルシートやポートフォリオを充実させる
エンジニアとしての知識や専門スキルを客観的に証明するために、スキルシートやポートフォリオを充実させておきましょう。スキルシートとは名前の通り、エンジニアとして有しているスキルを整理して記載したものです。
ポートフォリオは簡単にいえば『作品集』であり、デザイナーの就職・転職では重要性の高いものとして広く認知されています。
エンジニアでも過去に携わったプロジェクトの内容や成果物を示すポートフォリオがあれば、クライアントに技能を証明でき、成約につながりやすくなります。
スキルシートを活用しよう
スキルシートはエンジニアとしての活動実績や、具体的なスキルを記載するレジュメのようなものです。ポートフォリオと同様、スキルシートを充実させることで案件の獲得につながりやすくなります。
スキルシートは有効な自己PRツール
スキルシートは職務経歴書と似ていますが、志望動機やパーソナルな情報を書かないケースもある点が違いです。厳密な定義はないものの、純粋に『どのような経歴があり、何ができるのか』を記載する書類と考えてよいでしょう。
経験や実績が分かりやすく提示されているスキルシートは、フリーランスエンジニアが案件を探すにあたって効果的な自己PRツールとなります。できるだけ相手が見てすぐにスキルを把握できるように作りましょう。
スキルシート作成のポイント
スキルシートを作成する際は、何よりもクライアントにとって理解しやすい内容にする必要があります。自分のスキルを詳細かつ分かりやすく書かなければなりません。大まかな書き方のポイントは以下の通りです。
- A4用紙2枚程度にまとめる
- 5W1Hを用いて記載する
- 相手に伝わらない略語や専門用語は使わない
スキルシートの分量としては、A4の用紙2枚程度が基本です。多すぎてもクライアントが読むのに負担を感じてしまうので、4枚は超えないようにしましょう。
文章は『5W1H』を軸にして、これまで手掛けた案件の内容や成果を簡単に記載します。ただし過去の案件に守秘義務があるケースでは、書く内容に注意が必要です。
前のクライアントとの契約違反とならないように、記載する内容は慎重に吟味しましょう。
具体的な書き方
スキルシートに記載する内容は、主に業務経験です。エンジニアにとって経験は最大の武器でありアピールポイントとなるので、具体的に書き出しましょう。
時系列に沿って必要な項目を記載していくと、整理されたスキルシートが作成できます。項目の例は次の通りです。
- プロジェクトの概要
- プロジェクトが始まった日や終わった日、期間
- 開発に携わったメンバーの人数
- 自分が担当したポジションや具体的な業務内容
- 使用した言語や開発環境
ただしクライアントによって、求める情報・刺さる書き方は変わってきます。インターネット上にあるフォーマットも活用しつつ、最も効果的にアピールできるスキルシートはどのようなものかを考えましょう。
スキル不足の場合は何を書けばいい?
エンジニアとしての経験が浅くスキルシートに記載できる内容が薄い場合は、まず『スキルシートを埋める』ことを意識しましょう。全く違う分野の経験も可能な限り思い出し、生かせる実績やエピソードがないかを考えます。
例えばエンジニアになる以前に接客業をしていたなら、コミュニケーションスキルを磨いた経験といえるでしょう。エンジニアとしてはまだ新人でも、ソフトスキルなら書ける内容が多いはずです。
もちろんエンジニアになってからの経験も記載し、現時点で最大限のアピールができるスキルシートを目指しましょう。
ただ実際に案件をこなせなければ、フリーランスとして十分に活躍できません。経験が足りないことはしっかり受け止め、安定して仕事を得られるようスキルを磨く必要があります。
まとめ
フリーランスエンジニアとして希望する案件を請けるには、クライアントから信頼される人材になる必要があります。基本となるシステム開発のスキルに加えて、コミュニケーションスキルや自己マネジメントスキルなどを磨かなければなりません。
自ら積極的にスキルアップを図りながらポートフォリオやスキルシートを作成し、クライアントに効果的にアピールすることも大事です。独学で知識を身に付けたり勉強会やセミナーに参加したりして、独立前に十分なスキルを備えておきましょう。