フリーランスの課題は組織ではないこと
フリーランスは、仕事の内容や働き方を自分で決められる自由があります。しかし一方で、組織に属さないが故の責任や不安が伴うことも忘れてはいけません。
フリーランスとして働く人が感じている悩みや不安とはどんなことなのでしょうか。
トラブルは自分で対処する
他者と雇用契約を結ばずに働くフリーランスの場合、トラブルに対処するのは自分しかいません。
この場合のトラブルには仕事上のトラブルだけではなく、会社を経営していく上でのトラブルや税務上のトラブル、健康上のトラブルなども含まれます。1つのトラブルに対処しているうちにほかのトラブルも発生する、という最悪のパターンが生じれば、いよいよ手に負えなくなってしまうでしょう。
相談できる同僚がいない
会社で働いていれば、同じ仕事に取り組む仲間と連帯感を持って働けます。お互いの仕事について把握している同僚なら、仕事上の疑問やトラブルを相談するのも容易です。
しかし、フリーランスの場合は、そもそも同僚と呼べる存在がいません。疑問があっても自分で調べて解決していくしかなく、雑談や愚痴を言う機会もないでしょう。
クライアントとのやりとりもPCで完結するケースが多いため、「1日誰とも口を聞かなかった」という状況が増えていきます。
不安な気持ちを共有できない
1人で抱え込んでいる不安な気持ちは、理解や共感を示してくれる相手がいれば、『自分は1人ではない』『味方がいる』と思えます。
しかし常に1人で働くフリーランスの場合、このような気持ちを共有できる相手がいません。そのため、抱えた不安や孤独はため込んでいくしかなく、やがては精神的に不安定な状態になってしまうでしょう。
昨今では、フリーランスとして働きながらも、うつ病になる人が増えています。気持ちを共有できる相手がいないということは、ストレスを増やし、心のバランスを崩す原因となるのです。
フリーランスが利用できる相談窓口
仕事の受注から財務処理まですべてを1人でこなさなければならないからこそ、フリーランスには様々なトラブルの発生が考えられます。
自分の力でどうにかなることならよいですが、手に負えないトラブルに見舞われた場合は、どうすればよいのでしょうか。
トラブル発生時に利用できる、相談窓口を紹介します。
税金、確定申告の相談窓口
税金や確定申告など、会計や財務処理の疑問は、『日本税務研究センター相談窓口』で相談可能です。
こちらは税理士が所属する業界団体『税理士会』が行っている一般納税者向けのサービスで、税に関する疑問や質問に対し無料で電話相談に応じてくれます。
国家機関ではないものの、税理士会は営利団体ではありません。営業トークや余計な話を聞かされる心配はなく、プロの税理士が真摯に対応してくれるでしょう。
ただし、こちらの相談窓口では、個別の案件には対応できないと定められています。法律上の規定などの質問しか受け付けられないため、注意が必要です。
- 機関名:公益財団法人日本財務研究センター
- 電話番号:03-3492-6016
- 開室日:月~金曜日
- 受付時間:10:00~11:30、13:00~15:30
- 休室日:休日・祝日、夏期休暇期間(8/10~20)、年末年始(12/27~1/6)そのほかセンターが特に定めた日
- 公式HP:公益財団法人日本財務研究センター
法的なトラブルは法テラス
契約や支払のトラブルで法的手段を考える場合は、まずは『法テラス(日本司法支援センター)』に相談するのがベターでしょう。法テラスはとは、国が設立した、法的トラブル解決のための総合案内所です。
相談すれば問題解決に必要な法制度や関係機関を紹介してくれるほか、無料法律相談も受けられます。「法律的なことはよく分からない」「どう対応したらいいかわからない」という時でも解決の方向性を示してくれるので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
- 機関名:日本法支援センター法テラス
- 電話番号:0570-078374
- 受付日:月~土曜日
- 受付時間:9:00~21:00(月~金)、9:00~17:00(土)
- 公式HP:日本法支援センター法テラス
専門家の無料相談を活用
具体的にどこに相談していいかわからない、という場合は、悩みに応じた専門家をマッチングするサービスを利用すると便利です。基本的にサービス利用料はかからないため、気軽に利用できるメリットがあります。
このサービスで利用できるジャンルは、労働問題から税金対策、資産形成など、多岐にわたっているのが特徴です。
フリーランスとして感じている疑問が複数あったり、適切な相談機関がわからなかったりする場合は、このようなサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
悩みを共有する仲間を作ろう
1人で働くが故のデメリットを受けやすいフリーランスは、同じ境遇の仲間を得ることで孤独や不安を感じにくくなります。悩みを共有できる仲間を見つけるには、どうすればよいのでしょうか。
フリーランス協会に入会
フリーランス協会とは、2017年に設立された、フリーランスのための支援団体です。正式名称は『プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会』と言い、多様化している労働環境で、フリーランスが活躍しやすい基盤作りを目的に活動しています。
入会することで組織独自の保険に加入できるほか、コミュニティのへの参加やコワーキングスペースでの優待を受けられるなどのメリットがあります。
コワーキングスペースは全国にあるので、居住地から近いコワーキングスペースが利用できます。このような場に足を運べば、同業者とも知り合えるうえ異業種のフリーランスとも出会えるでしょう。
ちなみに、会員種類は『無料会員』と、福利厚生サービスが充実した『一般会員』とがあります。入会の際は、自分の働き方等を考慮して選びましょう。
- 組織名:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
- 住所:東京都中央区八重洲2-8-7 福岡ビル4FDIAGONAL RUN TOKYO内
- 年会費:無料(無料会員)、1万円(一般会員)
- 公式HP:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
勉強会や交流会へ参加
フリーランス向けに開催される勉強会や交流会への参加も仲間を作るきっかけの1つです。勉強会なら仕事に必要な知識を得つつ、スキルアップも図れます。
また、他者とのコミュニケーションをメインとした交流会なら、業界の流行や最新の情報を入手するチャンスとなるでしょう。
フリーランスが参加しておきたいイベントとしては、以下のようなものがあります。
- 企業とワーカーのマッチングサイト主催のイベント
- 地域の中小企業などが主催するセミナーや交流会
- 有料会員制オンラインサイトのオフ会
- 人気ブロガー等が開催する交流会
集うのは同じようにフリーランスで働く人ばかりのため、1人でも気後れせずに参加できるのではないでしょうか。多めに名刺など用意して、積極的に交わりましょう。
まとめ
1人で働くフリーランスは、雇用者のような手厚い保護は受けられません。トラブルにも1人で対応しなければならないため、いざという時の相談場所や相手を確保しておくのは重要なことです。
フリーランスとして働くなかで税や法律のトラブルが発生した場合は、1人で悩まずに公的機関等に相談しましょう。
また、横のつながりを強化して、頼れる仲間が見つかれば、フリーランスという働き方もぐっと楽になります。勉強会や交交流会を積極的に活用し、愚痴や不安を話し合える同業者をみつけてみてはいかがでしょうか。