業務委託契約を解除したい場合どうする?解除権や解除方法を知ろう

業務委託契約の解除には、どのような手続きが必要なのでしょうか? 契約書で特別な取り決めがされていないケースでは、どうすればよいのか悩んでしまうこともあります。そこで、今回は、行政書士の榎本希さんと一緒に業務委託契約解除の流れを解説します。

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業務委託契約を解除するには

何らかの理由で業務委託契約を解除したいと考えた場合、まず契約書や民法の内容を確認することが大切です。取り交わされている内容によって、必要な手続きが変わってきます。

では、どのような時に業務委託契約解除はできるのでしょうか。 「業務委託契約を解除するためには
  • 契約内容が委任契約(準委任契約)である場合
  • 契約書に途中解除の条項が記載されている場合
  • 契約の相手方が報酬の支払をしないなどの債務不履行がある場合
  • 話し合いにより相手方が合意した場合
でなければいけません。 次に、より詳しく契約解除の方法を確認します。

まずは契約書で解除条項を確認

どんな契約であっても、解除したいと思ったら、まずは『契約書を確認』します。有効期限が記載されていて、それが間近に迫っているなら、信頼を第一に考えて期限を満了して終えるのがよいかもしれません。

有効期限までどうしても待てない事情がある場合には、解除条件の記載があるか確認します。記載されていれば、その方法で手続きを進めましょう。

解除条件の記載がされていない契約書の場合、解除の手続きで揉める可能性もあるので、注意して対応する必要があります。トラブルに発展しないよう、話し合いを基本として穏便に対応することが大切です。

業務委託の解除権について

解除権は民法で定められています。ただし、民法の規定だけでは内容が曖昧です。

債務不履行になっている状態で、企業側から解除の意思表示があった場合にしか、解除できないことになっているため、実際には『うまく機能しない』ことがほとんどといえます。

そのため、民法の規定をもとにしながらも、業務委託契約書で解除権についての文言を別途記載することがほとんどです。

業務委託契約の内容により、その契約が「委任契約(準委任契約)」の場合には双方自由に途中解除ができるのが原則です。

請負契約の場合には、業務の完成を前提とした契約であるため、原則として業務の完成前に途中解除する場合には報酬を請求することが出来ません。

業務委託契約の種類による解除の違い

業務委託契約には2種類あります。それぞれの種類によって、解除の取り扱いに違いがあるので、まずはその違いを明確にしましょう。

委任契約と請負契約にはどのような違いがあるのでしょうか。

「まず、委任契約は、

  • 原則当事者のどちら側からでもいつでも解除が可能
  • 相手方にとって不利な時期に解除をした場合には損害賠償請求をされることがある
  • 解除前に既に行った業務についての報酬は請求することが出来る

といった特徴があります。

一方、請負契約は、

  • 原則として受任者からの解除は出来ない
  • 業務の完了後に報酬を請求出来るのが原則であるため、途中解除した場合には報酬の請求を行うことが出来ない(未完成でも可分な部分で注文者が利益を受ける場合には利益の割合に応じて請求は可能)
  • 注文者からの解除は可能

といった特徴があります。」

2つの契約についてより具体的に見ていきましょう。

委任契約は期間が定められている

時給や日給で業務委託する委任では、契約期間が設けられます。そのため、その期日が近いなら、期間満了まで待つという選択肢もよいでしょう。

また、契約期間が明確なので、『満期を早める相談をすることも可能』です。比較的スムーズに話し合いで解除を進められます。

ただし、企業側が困るタイミングでの解除は、損害賠償の支払い義務が発生する可能性もあるので注意しましょう。

委任契約の場合は原則双方がいつでも契約を解除できます。

委任契約の解除の効果は将来に向かってのみ効力を有するため、既に行われた業務については報酬を請求することが出来ます。ただし契約の相手方にとって不利な時期に委任契約の解除を行った場合には損害賠償義務を負います。

請負契約は損害賠償の可能性あり

成果物を納品することで報酬を受け取る請負の場合、契約解除というのは成果物を出さないということです。つまり、契約違反をすることになります。

民法上でも、請負の場合は基本的に契約解除できないと定められているので、損害賠償を請求されることもあります。

請負契約の場合は業務の完成後に報酬を請求することが出来るのが原則であるため、業務の完成前には報酬の請求が出来ません。

注文者は成果物の納品に代わる損害賠償の請求をすることが出来ます。

こじれると『トラブルに発展しやすい』ため、契約条件を見直すことが大切です。

契約解除の進め方

契約解除を具体的に進めるには、どのような方法があるのでしょうか? できるだけ円満に解除するためには、まず話し合いを持つという姿勢が大切になります。

では、契約解除の際、どのようなことを気をつけるべきなのでしょうか。

「契約解除する際は、

  • 契約解除通知を突然送るより契約の相手方に契約解除をしたい旨を申し出る
  • 相手方に事情など、納得してもらえるように話し合いをする
  • 相手にとって不利な時期に契約解除をしないようにする
  • 請負契約の場合には原則受注者からの解除は出来ないので、相手方に合意してもらう

ように心がけましょう。」

契約解除の進め方について詳しく解説します。

法律を盾にするよりまずは穏便に話し合いを

まずするべきなのは、企業側と話し合い、『契約解除の合意を取る』ことです。契約書に解除方法が記載されていない場合でも、まずは相談し話し合うことで、円満に解決できる可能性があります。

法律を理由に進めようとすると、どうしても対決姿勢になってしまいます。すると、スムーズに進んだかもしれないケースでも話がこじれてしまう可能性があるのです。

どうしても穏便な話し合いで解決しない、契約内容自体があまりにも不当、といった場合に、次の手段として法律を参考にするとよいでしょう。

契約解除の旨を通知

会社員が退職するときに退職届を出すのと同じで、業務委託を解除するときには、『業務委託解除通知』を提出しましょう。

「業務委託解除通知」には、何を記載すべきなのでしょうか。

「業務委託契約解除の際の通知には

  • 契約解除通知書である旨
  • 日付
  • 宛名
  • 差出人
  • 誰が誰にいつから依頼している契約か
  • 契約書のタイトル
  • 契約の締結日
  • 契約解除を行う日付
  • 契約解除の意思
  • 契約解除の理由(記載しておいた方がよい)

を記載するようにしましょう。」

本文内には、いつ契約したなんという契約を解除するのか、分かりやすく記載しましょう。解除の意思について明確に書くことも大切です。 また、解除理由は必ず書かなければいけないものではありません。しかし、一般的な礼儀という観点から、書いておくのが適当です。 解除理由については相手の立場になって考えた場合に突然理由も分からずに解除されたという印象を与えることにも繋がりますので穏便に解除をするためにも記載した方が良いでしょう。 また、契約解除通知書は自身に契約の解除権がある場合に使う書面になります。 契約解除通知書を作成し、契約の相手方に郵送する場合には、相手方に届いたことを確実に証明できるよう、配達記録付きの内容証明郵便で発送するようにしましょう。

契約解除合意書を交わすと安心

話し合いで円満に解決し、業務委託解除通知を提出し、お互いの合意が取れたことを確認できたら契約解除の第一歩は無事完了です。

次に、『契約解除合意書』を取り交わしましょう。確かに合意したことを書面にして、後から意見の相違が出ないようにするのです。

まとめ

業務委託を解除したいと考えた場合、まずは契約書を確認します。解除についてどのように規定されているか確認し、それにのっとって進めるとよいでしょう。

規定がない場合には、まず話し合いの場を持ちましょう。解除の理由について説明することで、思っていたよりもスムーズに円満解除できるかもしれません。

また、解除の合意が取れたあとは、業務委託解除通知を提出し、契約解除合意書を取り交わしましょう。後からトラブルに発展しないよう、書面として残しておくことが大切です。

榎本希 [監修]

医療機関・医大の研究室にて長年勤務をした後、行政書士試験を受験。医療系許認可をメインに扱う行政書士として、行政書士のぞみ事務所を開業。再生医療関係の許認可・診療所開設・医療広告ガイドラインに基づく医療広告のチェック等の他、任意後見・契約書作成・起業支援を扱う。

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