ラズベリーパイとは
『ラズベリーパイ』というと食べ物を想像してしまいますが、コンピュータ機器の一つにも、ラズベリーパイという名前のものがあります。どのようなコンピュータなのか、概要や使い方についてまずは見ていきましょう。
安価なシングルボードコンピュータ
『ラズベリーパイ』は、ボードの上に電子部品と入力装置を設置しただけのシングルボードコンピュータです。イギリスのラズベリーパイ財団によって開発されました。
教育用のため数千円という安価で入手できるのですが、その多様性から、現在ではエンジニアの間でも使われるようになっています。
また、教材本来の用途として夏休みの工作キットに用いられたり、情報学部の授業で初歩的な電子機器について学ぶために利用されたりなど、さまざまな用途で使用されています。
周辺機器と接続して活用できる
数千円という安価で購入できるラズベリーパイですが、マウスやキーボード、LANケーブルやディスプレイなどのコンピュータの周辺機器と接続することで、普通のパソコンのように使うことができます。
また、電子工作用品や簡易的なサーバーとして活用できるのも、ラズベリーパイの特徴です。
さらに、『端末表示の切り替え』や『振動や音で通知する』などの処理もできるので、パソコンの周辺機器としての利用もできるでしょう。
ラズベリーパイの性能、長所は?
ラズベリーパイの、コンピュータとしての性能や長所について確認しましょう。コストや処理性能について解説します。
低コスト・省スペース
ラズベリーパイは、元々は教育用の電子機器として開発されたこともあって、最新モデルでも数千円程度の少額で購入することができます。
消費電力も低く、年間わずか数百円で利用できるので、購入と運用を合わせても非常に低コストで利用可能です。
さらに、小型カード程度の大きさのため、場所を取りません。スマホ以下の大きさでコンピュータとして利用できるのが長所と言えるでしょう。
処理性能は低い
一方、デメリットとして、基本的なスペックはやはり通常のパソコンやサーバーよりもかなり落ちます。CPU性能やI/O性能も低く、通常のパソコンのように重いアプリを複数立ち上げると、動かなくなってしまうこともあります。
また、壊れた場合に修理することが難しく、壊れた場合は交換するしかありません。メインのパソコンとして使うのは少々難しいでしょう。
ラズベリーパイでできること
ラズベリーパイに多様な用途があることは、既に説明したとおりですが、実際にどんなことができるのかを具体的に紹介します。
電子工作
ラズベリーパイは、電子工作用の機器として便利です。電子工作の初心者におすすめの使い方として、LEDを点滅させる『Lチカ』が挙げられます。
電子機器の制御に関して学びやすいので、教材として使われることも多いです。
他には、カメラモジュールを利用してデジタルカメラとして利用したり、小型モニターと組み合わせてデジタルフォトフレームとして活用したりできます。
簡易パソコン
パソコンとして利用できるのはここまで触れた通りですが、スペックとしては従来のパソコンよりも落ちるので、代用品として利用するのに向いています。
サイズが小さいことと安価であることもあり、持ち運びに便利です。
ただし、ラズベリーパイにはパソコン用のOSがインストールされていないため、ラズベリーパイ用のOSをインストールしたマイクロSDカードを用意しておく必要があります。
また、ある程度Linuxの知識も必要になるため、初心者には難しいです。
ファイルサーバー
ラズベリーパイは、簡単なファイルサーバーとして使うことができます。写真や画像の保管にも利用可能です。プリントサーバーやNASサーバーとしても使えます。
ただし、大きなファイルのやりとりや複数人が同時にアクセスするなど、普通のサーバーのように負荷をかけることはできません。
動画や大きな画像など、処理が重くなりそうなファイルについては、きちんとしたサーバーを使って管理することをおすすめします。
あくまで、個人用のサーバーとして利用することを前提で、運用について考えてみてください。
ホームページ、ブログの公開
個人で作成したホームページやブログを公開するために、ラズベリーパイを利用することができます。
簡易パソコンとしてセッティングをした上で、インターネットに接続できる環境が前提となりますが、外出先などで管理ページにアクセスできれば、公開や更新を行うことが可能です。
公開や更新には、WordPressというブログ作成ツールがよく利用されます。キャッシュ系のプラグインを利用すれば、処理速度を向上させることができますので、ラズベリーパイの性能でも対応可能です。
ラズペリーパイの初期設定
ラズベリーパイをパソコンとして運用する場合は、初期設定をしなければなりません。電源を入れるだけでは使えない点には注意しましょう。
ここでは、OSのインストール方法や日本語設定について解説します。
OSのインストール
まずは、必要な周辺機器を用意しましょう。マウス・電源アダプタ・USBケーブル・ディスプレイ・HDMIケーブル・キーボードなど、パソコンに使う機器を一通りそろえる必要があります。
また、ラズベリーパイにはストレージがないので、そのままではOSがインストールできません。そのため、あらかじめMicroSDにOSを入れておく必要があります。
ラズベリーパイ用に開発されたOS『Raspbian』(ラズビアン)がおすすめです。下記のページからダウンロードしてみてください。
準備が整ったら、ラズベリーパイを起動します。すると、中央にポップアップウインドウが表示されますので、Raspbianの横のボックスにチェックをいれてください。
再び表示されたウインドウから『はい』を選択すると、インストールが開始されます。
日本語設定
ラズベリーパイの標準言語は英語です。日本語に切り替えるには、日本語入力のためのプログラムをインストールしなければなりません。そのための手順を見ていきましょう。
まずは、パスワードの変更を行ってください。パスワードについては今後利用する機会があるため、任意のものに変えておきましょう。
インターネットに接続して、ソフトウェアの更新を行います。その後は地域設定を行い、時間や地域を日本に設定しておきましょう。
その後、日本語フォントをダウンロードし、日本語入力のためのプログラムである『iBus-mozc』をインストールしてください。
最後に、メニュー画面から『設定』→『iBusの設定』を選択し、不要な『日本語-Japanese』を削除します。これで日本語入力が可能となります。
まとめ
ラズベリーパイはさまざまな電子機器として活用できる優れたコンピュータです。LEDランプやデジカメ、パソコンとしても利用することができます。
サイズもカードサイズで小さく、持ち運びも簡単な上に、価格も数千円とかなり安いです。学生の教材として使われることもよくあります。
ただし、パソコンとして使う場合は、本物のパソコンと比べてスペックが低いという点には注意しましょう。OSのダウンロードや日本語設定も必要です。
ラズベリーパイは手軽に利用できるので、興味のある方はチャレンジしてみてください。