カメラの絞り優先モードとは?
一眼レフカメラなど、本格的なカメラで撮影を行うときに目にする設定が『絞り優先モード』です。このモードは、オートフォーカス機能と比べてどのような違いがあるのでしょうか?
絞り優先モードで撮影した写真は、オート設定に比べるとだいぶ変わった印象に仕上がります。まずは、設定の基本知識についてみていきましょう。
絞りの意味
『絞り』とは、カメラに入ってくる光の量を調整する部分を指しています。絞りの設定を行うときに調整する数値を『絞り値』や『F値』と呼びます。
絞り値を大きくすると、カメラに入る光の量は減少します。逆に数値を小さくすると、光の量が増加するという特徴があります。
絞り値を調整すると、一眼レフならではの『ボケ』がある写真の撮影ができます。たとえば、絞り値を大きくすると、真ん中の部分にのみピントが合って背景がボケた写真に仕上がります。
絞り以外をオートで設定してくれる
カメラには、撮影する写真の印象を変える機能が三つ備わっています。それが『絞り値』『シャッター速度』『ISO感度』です。これら三つにはそれぞれ機能があり、三つの要素をバランスよく設定することで撮影を行うのが基本です。
『絞り優先モード』を使えば、絞り値のみを好みの数値に設定して、あとの二つの数値を自動で調整するように設定できます。いきなり三つの設定を行うのが難しいという人は、まず絞り優先モードから始めてみるとよいでしょう。
絞り優先モードで気を付けるポイント
絞り値の設定のみで撮影ができる絞り優先モードですが、この設定特有の気をつけなければいけないポイントがあります。
絞り優先モードを使うときには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?いくつかの注意点についてまとめていきます。
ブレてしまう場合
絞り優先モードで気をつけたいポイントの一つ目が『手ブレ』です。写真のブレはシャッタースピードと関係しているのですが、絞り優先に設定すると、シャッタースピードは自動で設定されるということになります。
つまり、手で持って撮影するには適していない数値に調整されてしまうこともあるということです。そのため、絞り優先モードを使うとブレが激しい写真に仕上がってしまうケースもあります。
写真の明るさを変えたい場合
絞り値のみを優先していると『写真が思い通りの明るさにならない』というトラブルも頻繁に起こります。その理由は単純で、絞り値を調整するだけでは写真は明るくならないからです。
絞り優先モードを使いながらでも写真を明るくしたいときは、『露出補正』を使うという方法があります。露出補正を明るくすると自動でシャッタースピードの数値が変わり、絞り値優先モードでも明るい写真を撮ることができます。
ノイズが出てしまう場合
絞り値を優先すると自動で数値が変わるのは、シャッタースピードだけではなく、同時にISO感度の数値も変化します。
ISO感度は、暗い画面を明るくする効果がありますが、数値が上がりすぎると写真にノイズが出るという欠点もあります。
ノイズが出てしまうのはISO感度が上がりすぎている証拠です。ノイズが目立ったら、ISO感度を基準値(ISO100)まで下げ、F値を小さくすることで暗いシーンでの撮影に対応しましょう。
絞り優先以外の設定
カメラには、絞り優先モード以外にもいくつかのモード選択が用意されています。それぞれのモードごとに魅力が異なり、適しているシーンもさまざまです。
絞り優先モード以外の機能も使いこなして、被写体やシーンごとに適した撮影機能を使いましょう。
シャッター優先モード
『シャッター優先モード』は、その名の通り、シャッタースピードの設定を優先して撮影できるモードです。
仕様は絞り優先モードと変わらず、シャッタースピードのみを設定し、そのほかの二つ(絞り値・ISO感度)の調整をカメラに任せる仕組みになっています。
シャッタースピードを操作することで、被写体の動きを表現することができます。たとえば、滝を撮影するとき、シャッタースピードを遅くすると、流れ落ちる水の動きを撮影できます。
逆にスピードを速くすると、水の流れの一瞬を切り取ることができ躍動感のある写真に仕上がります。
注意したいのが、シャッタースピードを遅く設定したときです。スピードを遅くすると、レンズが光を取り込む時間が長くなるということになります。そのため、少しの揺れで写真がブレてしまうため、遅く設定するときには三脚などのカメラを固定する機材が必須となります。
マニュアル
『マニュアルモード』という機能も搭載されています。この機能は、紹介してきた三つの機能の全てを自分で設定するモードです。初心者の場合、手をつけにくい設定がマニュアルモードです。
いきなり三つの設定値を調整するのが難しいという人は、絞り優先モードやシャッター優先モードである程度感覚を掴んでからがよいでしょう。
どちらの優先モードの場合でも、画面の明るさを変更するISO感度は自分で設定するように使うのがポイントです。ノイズが出ることも防げますし、それぞれの要素が写真にどのような影響を与えるのかをなんとなく掴むことができます。
まとめ
絞り優先モードは、マニュアル機能を使いこなして撮影できるようになるための第一歩といっても過言ではありません。
基本的な数値設定や特徴さえ理解してしまえば、誰でも簡単に一眼レフ独特の写真を撮影できるため、まずは何枚も撮影してそれぞれの特徴を掴むとよいでしょう。