Offers Magazine
転職

ポートフォリオとは|IT職の転職で求人が見る中身

公開 更新
執筆者: Offers Magazine 編集部・株式会社overflow
ポートフォリオとは|IT職の転職で求人が見る中身

ポートフォリオという言葉は、金融では資産の組み合わせを、教育では学びの記録を、デザインの仕事では実績をまとめた作品集を指します。同じ語でも、読み手が何を確かめたいかで中身は変わるものです。

IT系のUI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザー体験)デザイナーやプロダクトデザイナーの求人には、完成画面を並べた作品集より、仕事の進め方が分かるポートフォリオを求めるものがあります。求人の本文が応募者に何を求めているかを手がかりに、経験者が手元のポートフォリオをどう書き直せばよいかを整理しました。

O
執筆者

株式会社overflow

Offers Magazine 編集部

Offers Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する転職サービス Offers の編集チームです。エンジニア・PdM・AI人材のキャリア・年収・転職活動に役立つ情報を届けています。

ポートフォリオの意味と3つの分野での使い分け

ポートフォリオ(portfolio)は、もとは書類を持ち運ぶための紙ばさみを表す英語で、現在は金融・教育・クリエイティブの3分野で「ひとまとめにして見渡せるようにしたもの」という意味で使われています。

語源はイタリア語の portafoglio で、「運ぶ」を意味する porta と「紙葉」を意味する foglio を合わせた語です(Online Etymology Dictionary「portfolio」)。同辞典によれば、英語で書類入れの意味に使われ始めたのは1719年から1722年ごろでした。

分野ごとに、何をまとめるかが異なります。

分野

まとめるもの

使われる場面

金融

株式・債券・投資信託など、保有する資産の組み合わせ

資産運用の配分を決める・見直す

教育

課題や作品、振り返りなど学習の記録

学習の過程を評価する・入試の出願書類

クリエイティブ・デザイン

手がけた作品と、その背景・役割・過程

就職・転職の選考、社内外への実績紹介

人事の分野では、社員のスキルや役割の構成を表す「人材ポートフォリオ」という使い方もあります。ここから先で扱うのは、デザインの仕事で使うポートフォリオ、とくにIT企業の正社員として転職するときに提出するものです。

IT系デザイナーの転職でポートフォリオが担う役割

IT系のデザイナーの転職で、ポートフォリオは職務経歴書と並べて出す応募書類で、職務経歴書が「どの案件で何を担当したか」を示すのに対し、「どう考えてその形に行き着いたか」まで示せる点が異なります。

Offers の求人ページの「サービス内容の詳細」「必須スキル/経験」「歓迎スキル/経験」「お願いする業務」の4つの欄に「ポートフォリオ」の語(英語の portfolio を含む)がある求人の割合が1割を超えるのはデザイナー職だけで、同じIT系のプロダクト職でもエンジニアやPdMの求人では、4つの欄にこの語がある求人は1%以下です。

Offers の正社員求人で、職種ごとに、同じ4つの欄に「ポートフォリオ」または「portfolio」の語がある求人の割合を数えると、次のとおりです。

職種(求人タイトルで区分)

4つの欄に「ポートフォリオ」「portfolio」の語がある求人

母数

UI/UX・プロダクトデザイナー

24件

n=93

デザイナー職全体

22.4%

n=134

PdM(プロダクトマネージャー)

1.0%

n=105

エンジニア

0.5%

n=1,765

出所:株式会社overflow「Offers 正社員求人の本文集計」(2022年3月〜2026年9月公開・2026年10月2日集計)。

UI/UX・プロダクトデザイナーの求人のうち、「必須スキル/経験」「歓迎スキル/経験」の欄に「ポートフォリオ」の語があるものは23件(Offers(株式会社overflow)調べ・UI/UX・プロダクトデザイナーの正社員求人 n=93・2022年11月〜2026年7月公開)でした。表の24件とこの23件には、どちらも同じ1社の5件が含まれますが、応募の条件として明記する求人は複数の会社に一定数あります。

表に数えなかった「選考フロー」の欄にも、ポートフォリオの提出を求める記載があります。「選考フロー」の欄まで含めて数えると、UI/UX・プロダクトデザイナーの求人は93件中46件(同じ1社の14件を含む)がこの語に触れ、エンジニアとPdMはどちらも2%未満でした。4つの欄で触れていないことは、選考でポートフォリオを見ないことを意味しません。求人票から分かるのは記載の有無までなので、デザイナーとして応募するなら、求人に書かれていなくても用意しておくのが安全です。

エンジニアの場合、公開しているコードや技術記事、職務経歴書に書いた設計の判断がポートフォリオの役割を担います。エンジニア向けの作り方はエンジニア転職のポートフォリオで職種別に整理しました。

求人本文が名指しするポートフォリオの中身

Offers の求人ページの「サービス内容の詳細」「必須スキル/経験」「歓迎スキル/経験」「お願いする業務」の4つの欄でポートフォリオに触れたデザイナー職の求人30件のうち、載せる中身としてプロセス・役割・目的のいずれかを名指ししていたのは8件でした(Offers(株式会社overflow)調べ・デザイナー職の正社員求人 n=134・2022年11月〜2026年9月公開)。

残りの多くは「提出必須」「ポートフォリオ選考」のように提出や選考の段階を書くだけで、ほかに提出の形式や、特定の業務経験を載せるよう指定するものがありました。

8件の内訳は重なりを含めて、制作のプロセスや途中の成果物(「プロセス」「中間成果物」の語か、「最終成果物」だけの掲載を非推奨とする記載)を挙げた求人が7件、自分の役割や担当箇所(「役割」「担当箇所」の語)を挙げた求人が2社の3件、プロジェクトの目的を挙げた求人が1件でした。名指しした8件の大半が見せるよう求めているのは、完成画面の見栄えより、そこに至る過程です。Offers の正社員求人の本文には、次のような書き方が見られました(社名は伏せ、文言だけを引いています)。

  • 「これまで携わったプロジェクトのプロセスや自身の役割、アウトプットがわかるポートフォリオを応募時に添付してください」
  • 「最終成果物だけが載っているポートフォリオは非推奨です」
  • 「デザインの中間成果物を含む、ポートフォリオをお持ちなこと」
  • 「プロジェクトの目的と担当箇所が記載されたポートフォリオ」

完成画面だけを並べたポートフォリオでは、採用する側は「その画面のどこまでを本人が決めたのか」「別の条件なら違う答えを出せるのか」を判断できません。中間成果物とは、ワイヤーフレーム、ユーザーリサーチの記録、捨てた案、検証の結果など、完成に至るまでの途中の成果物のことです。求人がこれを求めるのは、入社後に任せる仕事が、決まった仕様を画面にすることより、何を作るかを決める段階からの関与だからだと考えられます。

選考の進め方に同じ考え方が表れている求人もあります。Offers の求人には「実務に近いデザイン課題に取り組んでいただき、ポートフォリオと合わせてディスカッションを行う形式です。」と、ポートフォリオを選考の場で議論の題材に使うと明記するものがありました。書類に載せた判断の理由は、選考の場で深掘りされる前提で書いておく必要があります。

応募を考えている企業がポートフォリオに何を求めているかは、求人ページの「必須スキル/経験」「歓迎スキル/経験」と「選考フロー」の欄が手がかりです。Offersでは、UI/UXデザイナーやプロダクトデザイナーの正社員求人を、仕事内容や選考の流れまで含めて確認できます。

1件のケーススタディを組み立てる順番

経験者のポートフォリオは、1件の案件を「課題と目的」「役割と体制」「プロセスと判断の根拠」「結果と学び」の順に書いたケーススタディを単位に組み立てると、一部の求人が名指しするプロセス・役割・目的を1件の中でまとめて示せます。職務経歴書の案件と突き合わせて読まれるときも、この順番なら追いやすいはずです。

順番

書くこと

書き方の例(架空の案件)

1. 課題と目的

事業上の課題、対象ユーザー、制約、成功の指標

「解約の理由の上位が初期設定の分かりにくさだった」

2. 役割と体制

自分の担当範囲、チームの構成、意思決定に関わった範囲

「PdM1人・エンジニア4人のチームで、リサーチからUI設計までを担当」

3. プロセスと判断の根拠

調べたこと、比べた案、捨てた案とその理由

「3案をユーザーテストで比べ、操作の迷いが最も少ない案を選んだ」

4. 結果と学び

指標の変化、定性の反応、次に同じ課題に取り組むなら変えること

「設定の完了率が上がった。次は初回のリサーチ対象を広げる」

冒頭はデザインブリーフの形で課題と制約を書く

ケーススタディの冒頭は、デザインブリーフ(制作の前に目的・対象・制約・成功の基準をまとめた指示書)の形で書くと、読み手は最初の数文で案件の前提をつかめます。デザインブリーフは本来、依頼する側が制作者に渡す文書です。ポートフォリオでは「自分がどんな条件を受け取り、どう解釈したか」を示す枠として使えます。事業の課題、誰の何を変えたかったか、期間や技術・予算の制約、何をもって成功とするかの4つを、それぞれ1〜2文で書き出してください。

役割は担当範囲とチームの構成で書く

役割は、「デザインを担当」のような一語ではなく、チームの構成と、その中で自分が決めた範囲・決めなかった範囲で書きます。チームで作った画面をそのまま載せても、どこまでが本人の仕事なのかは読み手に伝わりません。リサーチの設計、情報設計、UIの作り込み、デザインシステムへの反映など、工程ごとに自分の関わりを書き分けると、担当範囲の広さも深さも見えてきます。

プロセスは中間成果物と捨てた案で見せる

プロセスは、ワイヤーフレームやユーザーテストの記録などの中間成果物と、比べて捨てた案を並べて見せると、判断の根拠が読み手に伝わります。完成形に至った理由は、採用されなかった案と並べたときにはじめて説明できるものです。すべての途中経過を載せる必要はありません。判断が分かれた場面を1〜2か所選び、何と何を比べ、何を根拠に決めたかを書きます。

結果は指標と定性の反応の両方で書く

結果は、事業の指標がどう動いたかと、ユーザーやチームからどんな反応があったかの両方で書きます。数値を社外に出せない場合は、実数の代わりに変化の向きや相対的な大きさで示し、出せない理由を一言添えれば十分です。うまくいかなかった案件でも、何が分かり、次に何を変えるかを書ければ、ケーススタディとして成立します。

掲載する件数と並べ方

掲載する件数に決まった正解はなく、Offers の求人ページの4つの欄(サービス内容の詳細・必須スキル/経験・歓迎スキル/経験・お願いする業務)でポートフォリオに触れたデザイナー職の求人30件がその提出について書いた箇所にも、公的な基準にも件数の定めは見当たりません。目安になるのは面接で1件ずつ説明しきれるかどうかで、応募先の事業やプロダクトに近い案件を先頭に置き、深く書いたケーススタディを数件に絞る方が、浅い作品を多く並べるより判断の材料になります。

並べ方は、新しい順よりも、応募先に対して伝えたい強みの順を優先します。BtoB の業務アプリの企業に応募するなら、複雑な業務を画面に落とした案件を先頭に置く、といった具合です。応募先ごとに先頭の案件を入れ替えられるよう、ケーススタディは1件ずつ独立して読める形にしておくと扱いやすくなります。

形式について求人が「ポートフォリオ(データまたはURL)」「PDF形式」(PDF は Portable Document Format)のように指定している場合は、それに従ってください。紙とWebの選び方や基本構成の作り方は、デザイナー転職のポートフォリオの作成方法と注意点とデザイナーの転職に向けたポートフォリオの基本構成で詳しく扱いました。

守秘義務がある案件の載せ方

在籍中の会社や前職の非公開の案件は、画面をそのまま載せず、公開してよい範囲を確かめたうえで、固有の情報を伏せて再構成した図や、実数を伏せた相対的な結果で見せます。社外に出せない案件ほど事業の中核に近いことがあり、載せ方を工夫すれば、公開済みの案件だけでは伝わらない経験を示せます。

具体的には、社名やサービス名、顧客の情報、公開前の機能が特定できる要素を外し、プロセスの図や判断の流れを抽象化して書き直すことです。Web で公開する場合は、パスワードをかけて応募先にだけ共有する方法もあります。著作権や守秘義務の考え方、アクセス制御の方法はポートフォリオ作成時の守秘義務と著作権で整理しました。

応募前にポートフォリオを見直す確認点

応募前の見直しでは、目的・役割・プロセス(一部の求人が名指しする項目)が各ケーススタディに書かれているかと、応募先の事業に近い案件が先頭にあるかを確かめます。次の表を1件ずつ当てはめれば、足りない箇所が見つかるはずです。

確認点

見直すこと

目的

事業の課題と成功の基準が、冒頭の数文で分かるか

役割

チームの構成と、自分が決めた範囲が書かれているか

プロセス

中間成果物か捨てた案が、少なくとも1か所載っているか

結果

指標か定性の反応のどちらかで、変化が示されているか

並び

応募先の事業に近い案件が先頭にあるか

守秘義務

社名・顧客・公開前の情報が特定できる要素が残っていないか

ポートフォリオで示した強みは、求人のスキル要件と年収帯に照らすと、どの求人に応募するかの判断にも使えます。UI/UX・プロダクトデザイナーの求人が本文で挙げるスキルと年収の帯はUI/UXデザイナー・UXエンジニアの年収と求人のスキルに、職種ごとの仕事の範囲はUI/UXデザイナーの仕事内容にまとめています。

AI 時代のエンジニア転職は Offers で

あなたのキャリアに合った求人やスカウトが届く、エンジニア向け転職サービスです。

無料ではじめる

正社員の求人を探す

Offers Jobs で正社員の求人を探せます。

求人を見る

Offers のイベント情報

イベント情報を見る

エンジニアの転職なら Offers

無料ではじめる

記事一覧へ