地元で始めたデザイナーとしてのキャリアの悩み
地元に戻ってキャリアを始めたのは、地元の方が頼れるひとが多かったからです。
都内でも内定を貰いつつも「このまま就職し結婚して、もしこどもを授かった時に東京で頼れる人が少ない状態が自分にとって幸せなのか」を考えて、地元にUターン就職する決心をしました。
しかし、地元に戻った私に待っていたのは「現場職の人との賃金格差」でした。友人と月給もボーナスも、地元デザイナーの事務職の私は倍近く差がありました。そうして副業としてのWebデザイナー人生も同時にスタートすることになります。
副業を始めた経緯
本業以外に収入を得る方法についてSNSで情報収集を行い、収入で困っているデザイナーさんや事務職の方と繋がって意見を交換していました。
そうしている内に、デザイン業界のディレクターさんや制作会社の人の目に留まりお声かけいただくようになりました。そこにDMで資料制作のデザインを依頼してくださる方が現れたのが副業としての始まりでした。
当時はオンラインでお仕事をいただくような経験がなかったので、詐欺ではないか、費用を払われないのでないかと心配事が多くありました。
案件と出会うにはネットとローカルの両方が大切
ネットで案件に出会う3つの経路
仕事は主にネットで3つの方法で得ています。1つ目が先ほどのHPからのお問い合わせ、2つ目がSNS、そして3つ目がエージェントになります。
3つそれぞれの特徴を私にくる相談の場合ですが、簡潔に要点をまとめます。
HPでの案件
SEO対策をしているキーワードの案件が多いです。僕でいうと地元の名前で検索する人が多いので、ジャンル的には縛りがなく、地元愛が強い人が多い印象です。
SNSでの案件
Twitterは特殊で案件の他に、今後案件が発生した時のために面談をして可能であれば業務委託を結んでおきたいという人も多い印象です。案件相談内容で言うと、ローカルよりはBtoBが多く、ハイテクやIoT系などが多いです。
Instagram(Facebook)は、個人経営者や事業者から直接ご連絡をDMでいただくことが多いです。商材は化粧品系や美容系等、女性や若者の一般消費者に向けてのものが主になります。
エージェントでの案件
「営業をする人の手腕や範囲による」ところが正直な話になります。良い人に当たれば、全国から自分に合った案件を探して取ってきてくれます。ここが一番のメリットです。
他との違いは、お客様から相談してきていただくのではなく、自分の条件に合致するものだけを紹介していただけるのが強みです。対して、クリエイターとしての個性や強みがない人は案件の紹介が少ないという場合もあるので注意です。
地域名の検索で上位表示されるホームページ
▲実際のホームページ( https://primitive-seed.com/ )
特にホームページはフリーランスとして活動する上で最重要なものです。私は独立時に今のHPを独自ドメインで運用を始めました。(独自ドメインというのは、自分の好きなURLでドメインを購入することです。屋号や会社名で取得することが一般的です。)開始当初は営業時のポートフォリオサイトとしての利用目的でした。
しかし、だんだんとHPからの案件相談が増えることで、いつしか24時間不眠不休で営業してくれる相棒であることに気付きました。そこで本格的にブログ機能を搭載し、地元のSEOに強い運用をしていくことにしました。
そのおかげで地元の市名とWebデザイナーやグラフィックデザイナーで検索して、基本的に1ページ目に表示されるようになりました。(アルゴリズムの変更で1〜2ページで変動あり)
その効果で地元の企業さんや県外に進出している地元出身の方・経営者の方からお声掛けいただく機会が増えました。
商工会でもらえる名簿
ネットでの集客に加えて、開業当初はオフラインの機会も積極的に利用すると良いと思います。
地元での営業方法についてのヒントとして、各地に点在する商工会議所に入会すると、会員の名簿等をいただくことが出来ます。その名簿を営業のリストとして、会社名を検索して古いHPのままの会社に営業をするという方法が使えます。
また、そこでも自分の制作したい業界や業種に絞って営業も出来るので、特にしたい仕事が固まっている人にもおすすめの方法です。
オフラインとオンラインの案件のトレンド
新型コロナの影響で、イベントがオンラインかオフラインか時期により変動することが増えてきました。それに伴い、様々な業界でもWebと紙の需要が逆転しています。
例えば、新型コロナの感染者数が増加傾向にあるとオンラインイベントが増えるので、バナーやWebデザインの需要が高まります。対して感染者数が減少傾向にあると、オフラインイベントが増えるのでイベント現地でのフライヤーやポスターの需要が高まり、紙のデザインの仕事が増えます。
以上のことから、私はWebと紙の2つのデザイナーとして活動することで、売上の平均化を図っております。
クライアントは地元2 : 県外8
地元企業と県外企業(リモート)の発注割合は、地元2 : 県外8といった割合です。
これも理由がありまして、地方での仕事はWebやデザインのリテラシーや知見が不足している企業が多いです、そのため相談や見積もり、納品に至るまでかなりの時間を使います。そのため、県外からの受注比率を10にした方が売上や効率はあがります。
しかし、せっかく地元にいるなら少しずつでも田舎を都会のリテラシー水準に高めたいので、私は地元の方とも可能な割合で仕事をしております。Zoomやチャットサービスの使い方からレクチャーすることが多いです。
これも現状であれば電話で済ませた方が手っ取り早いのですが、お客様の今後を考えるとZoomやチャットを使えるようにしておくことで、事業拡大や可能性を広げることに繋がると考えているからです。
私のような考えがある人が他にもいるので、コロナ禍がはじまった当初はZoomやチャットを使用することが出来ない人が多かった田舎でも、比較的使える経営者や担当者が増えてきたと最近感じています。
どんどん地元で働きやすくなっている
私が独立したのは、2020年1月。ピンときた人はいるでしょうか? そう、新型コロナの最初の感染者が報告された月です。副業としてのデザイナーで生計が立てられると確信して開業をしたのに、3月までには業界全体が冷え込み、かなりの仕事を失注しました。
そんな中でもZoomで面談可能な企業様とお話をし、1件ずつ業務委託をしてくれる取引先を増やし、半年後には元の予定売上を稼げるようになっておりました。
そうして、今では自分から営業をする必要がなく、3つの方法から集客の仕組み化ができているおかげで、収入にも余裕が生まれ、マイホームを建て家事や育児をする時間を作ることまで出来るようになっております。日を重ねるごとにSNSとHPは成長して行きますので、より盤石になっているイメージです。
はじめは、周りとの収入格差を埋めたくて軽い気持ちでスタートした副業でしたが、今では事業として成り立つレベルまで成長することが出来ています。
生活にかかる支出が少ない田舎だからこそ、リモートで都会でも田舎でも同じように収入を得ることが出来るこのご時世に副業やフリーランスを始めて、豊かな生活を目指してみてはいかがでしょうか?