ネットワークインフラとは
ネットワークインフラエンジニアを目指していくには、まずはインフラの基礎知識を理解することが大切です。インフラやシステムとは何か、言葉の意味を解説します。
ハードとソフトに分けられる
インフラとは、基盤や下部構造などの意味を持つ観念的な言葉です。ITインフラという場合は、企業活動をITの面から下支えする基盤のことを指します。
ネットワークインフラは、企業における社内ITインフラとほぼ同義です。インターネットやパソコンを使うための重要な基盤となります。
ネットワークインフラはハードとソフトに分けることが可能です。ハードには、サーバー・ネットワーク機器・ストレージ・パソコンなどが該当します。ソフトにあたるのは、ハードに組み込まれたOSやミドルウェアなどのプログラムです。
アプリとインフラを合わせてシステムになる
インフラと関連性の高いシステムという言葉の意味も押さえておきましょう。システムとは、インフラとアプリを合わせたものです。
アプリもインフラに使われるソフトウェアの一種ですが、インフラと組み合わせて使うアプリは、業務やサービスに合わせて個別に開発されたものを指します。
一方、インフラで使われるソフトウェアは、ハードウェアと組み合わせて使うために開発されたシステムソフトウェアと呼ばれるものです。システムソフトウェアのOSは、通常のデスクトップOSと異なり、主にシステム向けのOSが使用されます。
ネットワークインフラエンジニアの仕事内容
ネットワークインフラエンジニアは、主にネットワークインフラの設計・構築・運用の業務を担当します。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。
設計
インフラやシステムを構築する前に行う作業が設計です。要件定義を基に、要件や機能を反映させた仕様書・設計書を作成します。
設計業務では、基本設計と詳細設計に分けて作業を進めていくのが基本です。基本設計でシステムの概要的な部分を設計し、詳細設計ではプログラマー向けの設計を行います。
予算決めやスケジュール作成も、設計で行う重要な作業です。設計後に行う構築と同様、設計は上流工程として扱われるため、エンジニアには高いレベルのスキルを求められます。
構築
設計書や仕様書に基づき、実際にネットワークインフラを作っていく仕事が構築です。ネットワーク機器やサーバーなどのハードをつなぎ、システムソフトウェアを設定します。
ハードの接続やソフトのセットアップが完了したら、正常に動作するかテストを行わなければなりません。負荷への耐性や遅延の発生具合なども併せてチェックします。
クラウド上でネットワークを構築する場合は、クラウドサービスに関するスキルや知識も必要です。近年はクラウドサーバーに移行する企業が増えているため、クラウド型ネットワークインフラへの理解も重要となります。
運用
構築が完了したネットワークインフラに対しては、保守・運用業務が発生します。動作を監視し、必要に応じて保守を行うのも、ネットワークインフラエンジニアの仕事です。
トラブルが発生した際は、迅速かつ適切な対応が求められます。幅広い知識や経験が必要な業務であるため、ベテランのエンジニアと一緒に経験を積むのが基本です。
適切な運用業務を行うためには、設計・構築の段階で運用設計を慎重に検討しておく必要があります。セキュリティ機能に問題がないかチェックすることも、運用での重要な業務です。
ネットワークインフラエンジニアになるメリット
ネットワークインフラエンジニアには、どのようなメリットがあるのでしょうか。仕事を通して感じられる魅力や将来性の高さについて解説します。
需要が高く社会貢献できる仕事
企業のみならずさまざまな場所で用いられているネットワークインフラは、生活になくてはならない基盤です。インターネットがなくならない以上、ネットワークインフラエンジニアは数十年後も求められ続けるでしょう。
やりがいや魅力を感じやすい点もメリットです。世の中に必要不可欠なインターネットの土台に携われるため、常に社会貢献していることを実感できます。
社会のIoT化がさらに進めば、通信システムの下支えを構築する仕事の需要は、これまで以上に高まっていくでしょう。ネットワークインフラエンジニアとしての技術を身に付けておけば、転職の際にも有利です。
仕事のスケールが大きい
ネットワークインフラエンジニアが行う仕事の多くは、大規模なインフラやシステムに携わる業務です。数百台のコンピューターを接続するシステムや、大人数のユーザーが利用するサービスのネットワークなどを扱う業務が多くなります。
どんなに規模の大きなシステムであっても、末端のアプリをつなげる必要がある限り、インフラは欠かせない要素の一つです。仕事が無事に完了した後は、大きな達成感を得られるでしょう。
スケールの大きい業務に関わることで、エンジニアとして多くの経験を積める点もメリットです。ネットワークインフラエンジニアは、影響力の強い仕事に従事したい人に向いています。
ネットワークインフラエンジニアの資質
多くのネットワークインフラエンジニアは、主に以下三つの共通した資質を備えています。ネットワークインフラエンジニアに向いている人の特徴を知っておきましょう。
細かな作業・機械が好き
ネットワークインフラエンジニアは、ネットワークの構築作業で多くの物理的な機器を扱います。パソコンの組み立てなど、機械類をいじるのが好きな人に向いた職種です。
ネットワークの配線をつないでいく仕事は細かな作業となるため、手先で器用に物を操れる人もスムーズに業務を進められるでしょう。特に、経験が浅いインフラエンジニアは、機器を扱う作業に回されるケースが多くなります。
小さなミスによく気が付く人も、ネットワークインフラエンジニアに向いていると言えるでしょう。ITインフラは些細なことが原因でトラブルを起こすケースが多く、細部まで検証して正解を導ける能力が求められます。
知的好奇心が強い
ITインフラの分野では、日進月歩で新しい仕組みや技術が生み出されています。知的好奇心が強い人なら、常にアンテナを張り続けていられるため、最新の情報をタイムリーにキャッチすることが可能です。
日々の業務においても、ネットワークインフラの仕事ではさまざまな疑問が発生します。システムの動作に直接関係しない疑問に対しても強い探求心を持てれば、エンジニアとして大きく成長できるでしょう。
さまざまなIT分野と関わり合いながら業務を進めていくネットワークインフラエンジニアは、他分野への興味・関心が強いほど仕事で有利になります。
円滑なコミュニケーション能力も
ネットワークインフラエンジニアとして活躍している人の多くは、円滑にコミュニケーションをとれる能力を持っています。プロジェクトの基盤となる部分に携わるため、他のメンバーと適切に意思疎通を図れるスキルは必須です。
ネットワークインフラを構築する際は、正確に要件をヒアリングする必要があります。保守運用の業務でも、トラブルの発生状況をきちんと説明できなければなりません。
黙々と作業に取り組むことが多いプログラマーなどの職種と異なり、ネットワークインフラエンジニアは頻繁に人と接するタイプの職種です。コミュニケーション能力が高い人は、ネットワークインフラエンジニアに向いています。
ネットワークインフラエンジニアに必要なスキル
ネットワークインフラエンジニアになるには、さまざまなスキルを身に付ける必要があります。習得しておきたい主なスキルを覚えておきましょう。
プログラミング言語の知識・スキル
Web系の仕事に携わるネットワークインフラエンジニアは、サーバーやネットワークの運用でプログラミングを必要とするケースがあります。Python・Ruby・Javaなどの人気言語を習得しておけば、ネットワークエンジニアとして仕事の幅を広げられるでしょう。
アプリケーションエンジニアやサーバーサイドエンジニアが不足している現状においては、これらのプログラミング業務を担当することも多くなっています。
クラウドの普及に伴い、クラウドサーバー管理のためのスクリプトを書く機会が増えている点もポイントです。スクリプトを書くには必ずプログラミング言語を用います。
設計スキル
インフラの設計に携わるネットワークインフラエンジニアには、ITインフラの設計スキルが必要です。サーバーやネットワークの配置を整理する能力が求められます。
サーバーの種類や数、ネットワークの種類などを考慮しながら、予算の範囲内で物理構成と論理構成を作成しなければなりません。
設計スキルは、保守運用担当からのキャリアアップを図るためにも必須のスキルです。書籍やサイトを活用した独学でも、十分に習得を目指せます。
サーバー・クラウドサーバーに関する知識
インフラに関わる全ての業務において、サーバーや関連機器のスキルは必須です。Unix・Linux・Windowsなど、サーバーを運用するためのOSについても学んでおく必要があります。
クラウドの普及に伴い、近年はクラウドサーバーを用いたインフラ構築が主流です。オンプレミス型に対応するスキルだけでなく、AzureやAWSなどの主要クラウドサーバーのスキルも習得しておきましょう。
いずれは、クラウドサービスの組み合わせだけで、システムを構築できる時代が来るともいわれています。しかし、少なくともこの先10~20年間は、まだまだサーバーのスキルが求められ続けるでしょう。
ネットワーク知識
サーバーの知識と同様に、インフラにおける全ての業務で必須となるのがネットワークの知識です。設計・構築・運用のいずれにおいても、ネットワークのスキルは大きく絡んできます。
ネットワークの高いスキルがなければ、クライアントの要望を満たす設計・構築はできません。保守運用業務をきちんと遂行するためにも、ネットワークスキルは不可欠です。
クラウドネットワークに関わるケースでは、クラウドを活用するための柔軟なネットワークの知識が求められます。通信や仮想化など、クラウド化に対応できるスキルの習得が必要です。
セキュリティに関する知識
インフラの設計・構築を行う際は、セキュリティに関する知識が必要です。サーバー・データベース・ネットワークを外部の脅威から守るために、セキュリティ製品を導入しなければなりません。
基本的には、豊富な経験を持つサーバーサイドエンジニアがセキュリティの担当です。ただし、企業によっては、ネットワークインフラエンジニアがセキュリティの仕事を行うケースもあります。
保守運用の担当者は、インフラの監視業務が中心となるため、セキュリティに関する高い知識は求められません。保守運用からキャリアアップしたい場合は、セキュリティのスキルも高めておく必要があるでしょう。
ネットワークインフラエンジニアの勉強法
ネットワークインフラを効率的に学習する方法を紹介します。独学なら書籍やサイトの活用、より積極的に学びたいなら勉強会への参加がおすすめです。
書籍・サイトを活用
ネットワークインフラを独学で勉強するなら、書籍を活用しましょう。体系立てて知識やスキルを習得できることが、書籍で学ぶメリットです。
ネットワークインフラの学習サイトを利用すれば、動画で分かりやすく学べます。スマホがあればスキマ時間を有効活用して勉強できる点も強みです。
勉強会に参加する
実践的なスキルを身に付けたい場合は、勉強会に参加するのがおすすめです。現場で実際に働くエンジニアから、生きた情報や知識を得られます。
仕事の手順やトラブルシューティングなど、実務について深く知れる点も魅力です。現場で必要なスキルの強度も、業務ごとに教えてもらえるでしょう。
ネットワークインフラの勉強会は、基本的にオンラインで開催されます。非営利のコミュニティとなっているため、余計なことを考えずに安心して参加できる点もメリットです。
まとめ
ネットワークインフラエンジニアは、ITインフラの設計・構築・運用業務に携わる職種です。仕事のスケールが大きいため、業務ごとに大きな達成感を得られます。
多くの企業から一定のニーズがある上、将来性が高い点もメリットです。必要なスキルを習得し、ネットワークインフラエンジニアを目指してみましょう。