Blenderとは何か?
Blenderとはオープンソースの3DCGの作成ソフトで、1998年のリリースから世界中でユーザー数を伸ばしてきました。基本無料で利用できるためユーザー数が非常に多く、特に小規模な3DCG制作オフィスやフリーランスの間に利用が広がっています。学生が初めて3DCGに触れる際に利用されることも多いです。
Blenderで何ができるのか?
Blenderはフリーウェアの3DCGソフトでありながら、有名なCG制作ソフトとほぼ遜色ない機能を利用可能です。CG制作に必要な機能は一通り網羅されているため、キャラクターや背景のモデリングからアニメーションの設定、制作した3DCGを静止画として出力するレンダリング作業まで一貫して行えます。リアルに近い3D映像から、デフォルメされたキャラクターが活躍するアニメーションまで、幅広く対応できます。
Blenderの特徴
Blenderの特徴としては、次の点が挙げられます。
- フリーウェアなので無料で導入できる
- WindowsやMac、Linuxなど、さまざまなOSに対応している
- 基本英語だが、日本語でも利用可能
- 操作性やインターフェースが独特だが高機能
- 定期的にアップグレードが行われる
まず何よりも、フリーウェアなので気軽に利用することが可能で、OSを選ばないため、どのような環境でも導入できるのが特徴です。海外発のソフトなので基本は英語ですが、バージョン2.60以降日本語にも対応しています。他のCGソフトに比べて操作性やインターフェースが特徴ではあるものの、さまざまな機能を備えているため、ゲームやアニメーション制作、映画のVFXなど多方面で活用できます。
他の3DCGソフトとの違い
MAYAや3ds Maxなど、プロの現場でよく使われている有名な3DCGソフトとBlenderを比較してみると、やはり大きな違いは導入コストです。例えば、MAYAは世界中のゲーム会社やアニメーションの制作会社で導入されているCGソフトですが、ライセンス料が高額で、1ライセンスにつき1年間に約28万円掛かります。学生版は無料で利用できるものの、商用利用するとなると、まず高額なライセンス料を負担しなければいけません。
一方、Blenderはフリーウェアなので、誰でも気軽に導入・利用が可能です。さらにBlenderを使って動画の編集も可能なので、動画を仕上げるために他の編集ソフトが不可欠というわけではありません。
ただし、他のCGソフトに比べてBlenderは習得が難しいと言われることもあります。初めてCGソフトに触れる人はもちろん、別のCGソフトの扱いに慣れている人でも、使いこなせるようになるまでに時間が掛かる可能性があります。
Blenderを使える仕事は?
次に、Blenderを使ってできる仕事には、どういうものがあるか確認していきましょう。
3DCGの仕事がメイン
他の3DCGソフトと同様に、ゲームやアニメーション、VFXなど3DCGの仕事がメインになります。
近年、日本で公開された有名なアニメーション作品の一部にもBlenderが使われており、業界での知名度もさらに向上しました。ゲーム業界では、社内の制作ソフトをBlenderに移行している企業も増えてきており、今後さらにCGや映像に関わる仕事の現場で使われる機会が増えるでしょう。
出典:エヴァ制作の株式会社カラー。主力CGツールをBlenderに移行へ。|CGトラッキング
Blenderの案件で多いのは?
Blenderを使う仕事の求人案件で多いのは、やはりゲーム業界やアニメーション業界において、CGキャラクターを制作したり、3Dモーションを作ったりする仕事です。
Blenderを使いこなせるCGクリエイターやゲームデザイナーを募集している場合もあれば、3Dモデリングのディレクターを募集している企業もあります。さまざまな案件があるものの、やはり一番多いのは3Dモデリングの仕事です。
ただし、全体の案件数はそれほど多くはありません。MAYAや3ds Maxなど、CG制作の現場でよく使われているソフトに比べると、Blenderの求人案件はまだまだ少ないと言わざるを得ないでしょう。
今後増えてくる可能性は十分ありますが、BlenderだけでなくMAYAなどを使いこなせる人材の方が仕事を得やすい状況にあります。
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3Dモデリングの仕事をするには?
それでは、Blenderを使った3Dモデリングの仕事をするための方法を解説していきます。
現状、3DCGを仕事にしている人のキャリアはさまざまで、新卒や専門学校を出てすぐにゲーム会社やアニメーション制作会社に入社した人もいれば、専門知識やスキルを身に付けて、他の業界から転職した人も少なくありません。いずれにせよ、3Dモデリングの仕事をするには、次のポイントを意識する必要があります。
3DCGの素養を身に付ける
3DCGの世界は即戦力が求められます。全くの未経験からCGクリエイターを育てている企業は稀で、ほとんどの人は専門学校などで3DCGの素養を身に付けてから就職あるいは転職しています。
独学でソフトの使い方を学び、自ら作品を制作して就職に至る人もいますが、プロのクリエイターとして認められるだけのスキルが必要です。
Blenderは誰でも無料で導入できるので、まずは基本操作を覚えて実際にCGを制作してみましょう。CG制作にはデッサン能力などが問われる部分もあるので、専門学校やスクールで効率的に必要な知識やスキルを学ぶのもおすすめです。
Blender以外のソフトを身に付ける
上記のように、Blenderのみの求人案件は少な目で、MAYAをはじめとした現場で使われることの多い3DCGソフトを使えることが、応募条件になっている求人が多いです。したがって、Blender以外のソフトを使えるようになることが、3DCGの仕事をするための近道となります。
ポートフォリオを作成する
3DCGの仕事に限らず、クリエイターの就職・転職ではポートフォリオの作成が必要です。ポートフォリオとは、クリエイターが自らのスキルや実績をアピールするために作成する作品集で、企業は応募者のポートフォリオの内容を確認して、採用するかどうかを決めることがほとんどです。
たとえ独学でも、ポートフォリオを通じて十分なスキルを示せれば3DCGの仕事に就ける可能性はあるので、必ず作成するようにしましょう。
転職エージェントを利用する
実際に3DCGの業界に転職する場合は、転職エージェントを利用することをおすすめします。ゲームデザイナーやCGクリエイター向けの転職エージェントもあるので、登録すれば専任のアドバイザーが転職できる可能性や、転職に必要なスキルなどを教えてくれるでしょう。
アドバイザーを通して応募先企業の内情も知ることができるので、自分に合った企業かどうかを確認してから応募できるようになります。自分一人で転職活動をするよりも効率的で、案件を探すのも楽になるので、積極的にエージェントを利用しましょう。
Blenderのスキルを身に付ける方法
最後に、Blenderのスキルを身に付ける方法を簡単に解説しておきます。大きく分けてスクールで学ぶ方法と、独学でスキルを身に付ける方法があり、いずれのパターンでもプロのCGクリエイターとして活躍している人はいます。
スクールで学ぶ
大学や専門学校などのスクールを利用して、必要なスキルを身に付けている人は多くいます。実際に3DCGの制作現場で働いているプロから直接学べるスクールも多いので、効率的にスキルを身に付けられるのがメリットです。
就職・転職支援を行っているところもあるので、スクールを通じて実績を積んだり、フリーランスとして仕事を請けたりするようになった人も少なくありません。
独学でスキルを身に付ける
独学で必要なスキルを身に付ける方法もあります。Blenderの教本やオンライン講座などを参考に操作方法を覚えて、作品を作ってポートフォリオにまとめておけば、転職の際にスキルをアピールできます。3DCGの求人案件は、専門の大学や専門学校の卒業を応募要件にしているところはそれほど多くはありません。
そのため、独学でもプロとして仕事ができるレベルのスキルを持っていれば、採用に至るケースは決して珍しくありません。計画的に行動できる人は独学から挑戦してみても良いでしょう。
まとめ
無料で導入・利用が可能な3DCGソフト「Blender」の概要と特徴を解説するとともに、3Dモデリングの仕事をするためのポイントを解説しました。Blenderは機能が多く使いやすいソフトではありますが、仕事として3DCGをやっていくには、MAYAなどの現場で頻繁に使われているソフトも使えるようになっておくと就職や転職に有利になります。
CGに関するスキルを身に付けるには、スクールで学ぶ方法と、独学で技術を学んでポートフォリオを作成して企業にアピールする方法があります。自分に合ったやり方でスキルを身に付けましょう。