プロダクトマネージャーとして副業をする上で意識すべきこと

「副業をするなら、PdMという言葉にこだわらないことが大切」と語るのは、PdMとして3社で副業をされてきた田野さん(@hikoharu06)です。

業務の幅広さやマネジメントという業務の特性から、PdMとしての副業は厳しいのでは? と思う方も多いかもしれません。

田野さんは副業という限られた時間の中でどのように価値を発揮しているのでしょうか。実際の案件内容や気をつけている点について伺いました。

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プロダクトマネージャーだからこそ副業するべき理由

はじめまして、田野(@hikoharu06)と申します。今年の6月に起業し、現在はfintech系のスタートアップでCTOを勤めています。

もともと、リクルートのスタディサプリというサービスのPdMをしていましたが、その傍ら、3社で副業のPdMとして活動していました。

とはいえ、PdMの副業はまだまだメジャーではありません。今回は副業としてPdM業務をこなすメリットや気をつけるべき点についてご紹介します。

▲運営中のブログ 

まずは、そもそもなぜ副業すべきか、という点からご紹介したいと思います。

多様な会社/ドメインで実践経験を積める

W型人材」という言葉もありますが、PdMにとって、異なる現場(人数/フェーズ)・プロダクトでの経験はキャリアにとても役立つと考えています。

そもそもPdMの仕事は、課題を見つけて、それを機能追加や運用改善で解決していくことです。その課題自体は、プロダクトにある場合もあれば、開発組織にある場合もあります。

課題は会社の規模感やドメインで変わるため、多様な現場で実践経験を積めるのが副業の魅力です。

事業の成長の過程を間近で見ることができる

また、スタートアップの事業の成長過程を現場で感じ取ることができるのも魅力です

書籍やブログなどでも、事例を知ることはできますが、本当に知りたい細かな情報はその場にいて自らやってみないとわかりません。読むだけなのと、現場にいて情報を元に何かしらの行動を求められるのでは、同じ情報でも得られるものが全く違ってきます。

世の中のベストプラクティスを学びつつ、現場での手触り感のある課題に合わせて微妙にアジャストしていきながらPDCAを回すことで、PdMとしての引き出しを増やすことができるのは副業の価値の1つです。

実際のプロダクトマネージャーとしての副業案件は?

▲過去のイベントでの写真 

では、実際にはどのような案件があるのでしょうか。

副業案件はスタートアップが中心

それぞれ以下のような案件です。稼働時間は案件や時期によって大きく変わり、30〜60時間/月のペースで入っていました。

大企業の場合、PdMが不足しても社内の配置転換で充足するケースも多いので、PdMの案件としてはスタートアップが中心になるのではないかと思います。

1社目:Webサービスのスタートアップ

  • 事業内容:グルメアプリの開発
  • 組織:業務委託のみ。数名の規模
  • 社員:3名
  • 業務:コーディングや採用、組織体制の立て直し

1社目は知人の紹介で参画しました。

業務内容は、エンジニア色の強めなPdMで、採用を行いつつ、コードもガリガリ書いていました。メンバーは業務委託のみでしたが、組織、フローを整えて、安定的に開発が行える状態にしていました。

案件の終了は、主力としていたグルメアプリの開発が落ち着いたタイミングです。

2社目:VR系のスタートアップ

  • 事業内容:VRのプロダクトの開発
  • 組織:特徴として、インターンが多め
  • 社員:3名
  • 業務:エンジニアやインターンのマネジメント
  • 期間:6ヶ月

2社目は友人の紹介で始めた副業先です。もともと、スタートアップのアクセラレータプログラムに参加する予定で、そのプログラム終了までの契約でした。

業務内容は1社目と変わり、チームでのプロダクト開発を進める上でのアドバイザー業務が中心になりました。

無事にプロダクトはリリースし、契約終了となりました。

3社目:Maas系のスタートアップ

  • 事業内容:複数のMaas系のプロダクトの開発
  • 組織:メガベンチャーや外資出身メンバーが中心
  • 社員:60名
  • 業務:リリースから数年経ったエンハンスフェーズのプロダクトのPdM
  • 期間:1年

1社目、2社目と立ち上げたばかりのスタートアップでPdMをしてきて、もう少し成長した企業で経験を積みたいと思っていた所でSNSでお声がけ頂いたのが3社目です。

プロダクトとしてもある程度型はできて、成長中だったため、CSとの連携体制の整備や、プロダクト指標の定義、モニタリングなど、よりプロダクトのグロースに焦点が当てられていた点が、2社目までとの違いです。

順調にグロースしていましたが、事業上の意思決定により、担当業務の優先度が変わり案件終了となりました。

プロダクトマネージャーはmust haveを目指そう

▲過去のイベント登壇時 

いくつかの企業で副業をしてきて感じたPdMの副業に必要な「must have」を貫く姿勢について説明したいと思います。

アドバイザー的なnice to haveの姿勢では成果が出ない

技術に強みのある技術顧問の場合、技術についてのアドバイスをするだけでも価値を生むことができますが、PdMの場合、スクラムチームに入り込み、スケジュールに責任を持つなど、プロダクトを直接推進し成果を出すことが求められます。

私は特にプロジェクトマネジメントなど現場に近いオペレーション部分に強みのあるPdMのため、スタートアップで副業のPdMとしてジョインする場合、いてくれたら嬉しい(= nice to have )ではなく、無くてはならない( = must have )を目指さないとそもそも価値を発揮しづらいのです。

私の場合は特に1社目で顕著で、最初は must have なポジションとしてジョインしても、方針転換で役割が不明確になり、nice to have な役割に甘んじてしまい、結果的に契約終了となったケースがありました。

最初は副業で上記の役割がやれるか不安でしたが、施策単位で担当しスコープ、必要な関係者を狭めるなど、工夫をすることによって十分可能だと感じています。

スタートアップでは、業務内容だけでなく、全社の方針やプロダクトそのものが頻繁に変更しがちなため、期待される役割の変化を敏感に感じ取ることが大切です。

限られた時間の中で成果を出すために気をつけること

私の場合、月で30~60時間ほどを副業に当てていました。限られた時間の中で成果を出すために気をつけていたことを紹介します。

PdMが限られた時間で成果を出すためには、どのIssueに取り組むか、で9割決まると思っています。

ポジションの高い人の知見・後押しをいかに有効に使うか

まずは、ポジションの高い人(=事業全体を俯瞰できる人)の後押しを得ることが大切です。

対象のイメージ

  • 10人未満の場合:代表
  • 10人以上60人以下の場合:ミドルマネジメント

必要な理由は次の2つ。

  • プロダクトの負債の箇所を的確に把握するため
  • 社内の協力を得やすくするため

▲絡み合う問題のイメージ 

それなりに成長したプロダクトの負債は複雑に入り組んでいるため、 最もインパクトのある部分を特定して、効率よく進めるというのが極めて難しいです。

地道に、それぞれの専門ごとの担当者にヒアリングするなどして解きほぐしていく必要がありますが、副業の場合は時間がありません。

ポジションが高く、事業を俯瞰で見ることのできる人にまとまった時間を得て、一気に課題を整理していくことが必要です。

また、PdMといえど、副業でジョインした当初は、既存のメンバーの特徴や志向がわからなかったり、そもそもメンバーからの信頼をすぐには得られなかったりして、上手くワークできない環境にあります。

トップダウンの積極的な後押しを得ることで、開発を進める上でのキーパーソンを教えてもらったり、他メンバーからの協力を得やすしたりすると良いでしょう。

正社員以上に敏感になる必要のあること

副業である以上、コミュニケーションは基本的にチャットツールになります。時間的にも常にチェックできるわけではないので、本業以上にアンテナと想像力を働かせるように、気を張っています。

限られた情報の中、想像力を働かせ、いかに事業のコンテキスト・戦略を理解するか、が大切だと思います。

また、PdMの性質上、自分のアウトプットだけで完結することはあまりなく複数のステークホルダーと協力しながら、最終的にユーザーに届きます。

そのため、ユーザーに早く機能を届け成果を出すためには、どのステークホルダーを巻き込みながら進めると全体が一番効率よく運用されるか、を意識しながら進める必要があります。

場合によっては、トップダウンの協力を得つつ、進めると良いでしょう。

PdMという言葉にこだわらないことが大切

PdMというと「プロダクトのビジョンを定める」、「Why、Whatを決める」みたいなイメージがありますが、副業で教科書的なPdMをやることはほぼなくて、切り取られた施策の推進や、何でも屋に近い役割を求められることが多いと思います。

いわゆるPdMのイメージに縛られず、事業の状況を見つつ、欠けている部分と自分の活かせそうなスキルをすり合わせながらやれることを見つけていく、くらいの方が上手くいくと思います。

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