MOS試験を受けるメリット
マイクロソフトオフィススペシャリスト(略称:MOS)は、マイクロソフト社が提供している、ワード、エクセル、アウトルック、パワーポイント、アクセスの5つのツール『マイクロソフトオフィス』を操作するスキルを証明する国際的な認定試験です。
5つのツールそれぞれに試験があり、取得することによって社会で活躍するためのスキルを身につけることができるのです。
マイクロソフト社はウィンドウズを全世界の市場に販売している大企業です。認定試験に合格することは、そんなマイクロソフト社が発行するソフトウェアを自在に操作できるという社会的な証明を手にすることにもなります。
ここでは、MOSを取得することで得られる具体的なメリットをいくつか列挙します。
PCスキルを客観的に証明できる
マイクロソフトオフィススペシャリストは日本だけでなく世界においても認知度の高い国際的な資格です。この試験の資格を有することで、オフィス関連ソフトを幅広く活用できる人材であることを世界中の会社にアピールできるのです。
また、パソコンスキルの向上や社会に出て活躍する国際的な人材を育成する目的で、学生を対象に毎年『MOS学生世界大会』が開催され、世界中から多くの若者が参加しています。MOSの資格を有している高校生以上であれば、誰でも参加できるのです。
MOSはそれだけ客観的にパソコンのスキルの高さを証明できるといえるでしょう。
実践的な能力が身につく
MOSの資格を取得するためにツールの勉強をすることで、実践的なパソコンスキルを身に付けることにもつながります。
マイクロソフトオフィスは世界中のさまざまな組織で利用されていますから、それを使いこなせる人材は現場の即戦略として活躍することが期待できるのです。
国際資格として履歴書に書ける
世界ではボーダーレス化が進んでおり、海外で活躍したいと思っている人の数も多くなっています。しかし世界で活躍する人材になりたいのであれば、世界中で通用するスキルや資格が必要です。
その点、MOSの資格を持っていれば、一般的なパソコンスキルを保持していることを世界中の企業や組織にアピールできます。履歴書に記載することで採用側の目を引くことができるでしょう。
MOSの種類
MOSの5つのツールの中で、ワードとエクセルには『スペシャリスト』と『エキスパート』の2つのレベルの試験が用意されています。
スペシャリスト試験では、それぞれの機能の基本的な知識と技能について問われます。エキスパート試験においては、はさらに高度な知識や技能について問われる内容となっています。
通常はスペシャリスト資格を取得してエキスパート試験に臨みますが、最初からエキスパート試験を受験することも可能です。
また、マイクロソフトオフィス製品はバージョンごとに新しい機能が追加・改良されているので、MOSはバージョンごとに試験が設けられています。
スペシャリスト
ワードのスペシャリスト試験はコンピューターを使った実技試験です。試験時間は50分間用意され、文字サイズやフォントの変更、表の作成や編集、印刷など、ワードの基本的な操作能力が試される内容となっています。
エクセルのスペシャリスト試験もワード試験と同じく、パソコンを使った実技試験が50分間実施されます。数式や基本的な関数の作成、グラフ作成やセルの書式設定など、エクセルの基本操作ができるかどうかを判定する試験内容です。
エキスパート
スペシャリストのさらに上位に位置付けられるエキスパート試験も、スペシャリスト同様、パソコンを使った実技試験が実施されます。試験時間も同じく50分間です。
ワードのエキスパート試験では、スタイル機能や目次・索引作成などの長文機能についてのスキルや、他のアプリケーションからデータを取り込めるかどうかなど、ワードの高度な機能に関する問題が出題されます。
エクセルのエキスパート試験では、条件付き書式や入力機能の設定、マクロの作成や編集、ピポットテーブルでのデータ分析といった、エクセルの高度な知識が問われています。
マスター認定
スペシャリスト試験やエキスパート試験のさらに上位には、『マイクロソフトオフィススペシャリストマスター』という称号が用意されています。
ワード・エクセルそれぞれのスペシャリスト、エキスパート試験に合格するだけでなく、パワーポイントの試験の合格、アクセスかアウトルックいずれかの試験の合格という4つの資格を取得したものだけが、マスター認定されるのです。
難易度と合格率
普段からマイクロソフトのアプリケーションを利用する人も多いことから、受験生の中にはさほど試験勉強をしなくても合格できると思っている人もいます。
しかしこの試験はそこまで簡単ではありません。一番難易度の低いスペシャリスト試験でさえ、合格するには事前に対策を立てて学習する必要があるのです。ここではMOSの難易度や合格率について解説します。
難易度は低め
マイクロソフトオフィススペシャリストはバージョンごとに出題形式が若干異なり、難易度も変わってきます。
MOS2010は、前後の問題に関連性がない一問一答形式の出題形式なので、操作の意味が理解できていなくても、単体で知識を暗記すれば答えを導き出せます。
MS2013では、未完成のファイルを完成させるファイル完成型の試験となります。前後の問題と関連性があるので、操作性を理解しておかなければ解けない問題が出題されます。
そして、MOS2016ではマルチプロジェクト型が採用されています。プロジェクトごとにタスクが用意されており、1つのタスクが理解できなければプロジェクト全体に支障が生じます。
バージョンごとに出題形式が異なり、バージョンが上がるごとに徐々に難易度が上がっていると言われていますが、全体的に難易度は決して高くありません。
スペシャリストレベルの合格率
マイクロソフトオフィススペシャリスト試験の合格率は公表されていません。しかし、大手パソコンスクールの発表によれば、スペシャリストレベルで7~8割の受験生が初受験で合格しています。
この数字から、パソコンスクールなどで実践的な学習をしている場合は、比較的合格率が高いことが分かります。複数回受験した人の数を含めると、さらに合格率は高くなるでしょう。
MOSに合格するための勉強時間は?
いかなる試験においても、合格するためには一定の勉強時間を確保する必要があり、MOSも同じです。
もちろん合格するために費やす時間は、その人の能力やスキルによって異なります。しかし、確実に合格するためには誰しも試験問題に一度は目を通し、学習する時間を確保する必要があるでしょう。
勉強なしで合格できるのは一握り
マイクロソフトオフィススペシャリスト試験は、実務的な知識や技能を問う試験です。すでにビジネスや社会の現場でパソコンに慣れ親しんでいる人の中には、実務能力が高く、勉強時間をほとんどとらずに合格する人も稀にいます。
しかしその数はほんの一握りです。自分も仕事で毎日パソコンを使っているから大丈夫だろうと安易に考えることはおすすめできません。
試験に合格するためには、自分の実力を冷静に分析することが大切です。合格するために必要な知識を把握し、身に付けるためにどれくらい勉強量を確保する必要があるのか、自分なりに認識しておきましょう。
必要な勉強時間の目安
公式ホームページには、マイクロソフトオフィススペシャリストの試験に合格するためには、1000点満点中550~850点程度が得点できることが合格の目安だと記載されています。
合格に必要な勉強時間は、一般的に初学者であれば1日2時間の勉強を2カ月間継続する必要があると言われています。すでに一定のスキルを持っている人であれば、2~3週間の勉強時間を確保すれば十分でしょう。
いずれにしても、自分の今の能力と合格レベルとされる能力にどの程度開きがあるのかを見極めながら、自分に必要な勉強時間を確保することが大切になります。
独学で合格するための勉強法
マイクロソフトオフィススペシャリスト試験に合格するためにスクールに通って勉強する人もいれば、独学で学ぶ人もいます。スクールで学習すれば、実力のあるインストラクターが指導してくれるので、分からない箇所を教えてもらいながら勉強することができます。
しかし、すでに一定のパソコンの知識やスキルを持っている人や実務の現場でオフィスを頻繁に利用している人であれば、独学でも合格は十分可能です。
ここでは、独学でMOS試験に合格するための具体的な勉強法を紹介します。
勉強にはオフィスソフトが必須
試験勉強を始めるにあたり、専用のテキストはもちろんのこと、オフィスソフトも必要になりますので、いずれも事前に用意しましょう。
勉強を効果的に進めるためには必要とされる知識をテキストで学び、ある程度理解したら、その範囲をオフィスソフトで実践します。インプットとアウトプットを交互に繰り返すことで、新しい知識がしっかり記憶され、自分の実力になっていくのです。
自分のレベルを把握する
ある程度パソコンを操作できて、オフィスを操作できるにもかかわらず、勉強時間が少ないために合格できないケースが見られます。自分の実力を過信してしまい、必要な知識を身につけないまま受験してしまったからです。
MOS試験に確実に合格するためには、現在の自分のレベルを客観的に把握することが必要です。
テキストで出題問題に取り組めば、合格レベルに達するためには何をどれくらい学習すればよいのかが分かります。そのためにも、インプットとアウトプットを繰り返して学習を進めることが必要になるのです。
最初は暗記が重要
マイクロソフトオフィススペシャリスト試験では、オフィスに関する専門用語がいくつも使われます。初学者はその専門用語すら初めて目にすることが多いので、まずは言葉を暗記する必要があるでしょう。
慣れない単語や言い回しの難しい言葉に最初は戸惑うかもしれませんが、何度も繰り返すことで慣れてきて、すぐに覚えられるはずです。
初心者はPCになれることから始める
初学者の中には、そもそもパソコンにすら触れたことのない人も沢山いるでしょう。MOS試験はパソコンのスキルを問う試験なので、パソコンスキルは必須です。勉強を進める際は必ずそばにパソコンを置き、実際に触りながら学習するとよいでしょう。
中級者、上級者はテキストで勉強を
すでに一定のパソコンスキルを持っている中級者や上級者は、テキストを中心に学習を進めるとよいでしょう。当たり前に思っていた知識がまだ身に付いていない場合や、新たな発見がある場合もあります。
テキストで学びながら適宜パソコンに向かって内容を確認し、効率的に勉強をすすめることをおすすめします。
参考書、過去問を解く反復もおすすめ
基本的な知識をテキストで学んだあとは、参考書や過去問を解いて実践力を高めましょう。MOS試験は時間に制限があることから、本番では時間との戦いになります。
過去問に何度も繰り返して取り組むことで試験形式を身に付けることができ、問題にスピーディーに取り組むことが可能となるのです。
MOS受験におすすめのテキスト
受験勉強をするにあたり、テキスト選びは重要です。内容が薄すぎるものや、解説が不足しているテキストを使ってしまうと、かえって合格から遠ざかる可能性もあります。
受験勉強に使用するテキストは、そのテキストを使って合格した人の声を聴くことが重要です。評判の高いテキストを利用して勉強することで、正しい方向で学習を進めることができます。
ここでは、MOS受験におすすめのテキストを紹介します。
よくわかるマスターシリーズ
おすすめのテキストは『よくわかるマスターシリーズ』です。多くの合格者が受験勉強の際に活用しており、評価の高いテキストだと言えます。
試験の内容をこれ一冊で学ぶことができ、試験に出題されやすいポイントをきちんと押さえています。模擬試験もついており、9割以上正解になるまで何度も繰り返すことで、合格レベルの知識を身につけることができるでしょう。
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MOS試験の受け方
MOSの受験には、『全国一斉方式』と『随時試験』の2つの試験があります。受験方法によって試験の受け方が変わりますので、以下具体的に解説します。
受験申込方法
全国一斉方式の受験方法では、試験日の約1カ月前よりインターネットや書店で申し込むことができます。
随時試験の場合は、試験会場へ直接申し込むことが必要です。試験会場や申し込み方法は試験会場によって変わるので、MOSのホームページで確認する必要があります。
いずれも受験料の支払いが必要になります。安心して受験ができるように、指定の支払い方法を選択して迅速に手続きを済ませましょう。
受験の流れ
試験当日のスケジュールは、全国一斉試験も随時試験も同じです。事前に郵送される受験票にスケジュールが記載されています。当日は受験者IDとパスワード、写真付き身分証明書、受験票が必要となりますので、忘れずに持参しましょう。
試験の際は指定された席に着いてパソコンに向かいます。受験者ID でログインし、チュートリアルが行われた後に試験が開始されます。
試験終了後はパソコンの画面に得点と合否の結果が表示されます。合格した場合は『合格認定証』が郵送されますので、大切に保管しましょう。
受験に際する注意点
受験当日は、試験時間に間に合うよう、時間に余裕をもって試験会場に向かいましょう。試験開始前に10分ほどチュートリアルが行われるので、その分を考慮して早めに到着することを心がけてください。
学生には学割があります。試験当日は学割に有効となる学生証を持参しましょう。学生証を忘れると受験することができません。忘れないように必ず確認して試験会場に向かいましょう。
まとめ
社会に出て仕事を行うにあたり、確かなスキルや認知度の高い資格を保有することで、社会に必要とされる人材になることができます。何より自分自身のスキルに対する自信へとつながります。
マイクロソフトオフィススペシャリスト試験は、パソコンスキルの証明となる資格です。国際的に認知されていることからも、国境を超えて活躍する足掛かりとなりえるのです。
正しいやり方で努力することで多くの人が取得できる資格が、MOS認定試験です。ぜひともこの資格を取得して、社会進出の足がかりとしてください。