2045年のシンギュラリティとは?将来の職業についても解説

『シンギュラリティ』とは一体何を指す語なのでしょうか。技術革新とAIの関わりについて、またそれが一定の基準を超えた場合にどうなるのかを考えてみましょう。将来的に失われる可能性が高い仕事や、仕事を続けていくにはどうするのかも解説します。

シンギュラリティの概要

『シンギュラリティ(特異点)』はある基準や一般的な手順を適用できない点を指します。

技術における特異点を考える際には、「学習する機械」である『AI(人工知能)』と、人類の技術的歴史や知能との関わりをイメージすることで理解しやすくなります。

まずは技術的特異点の概要を見てみましょう。

シンギュラリティ(2045年問題) の意味

今この瞬間も技術は進歩しています。このまま人類の持つ技術が進歩していけば、2045年には人間をはるかに超えた演算能力を持つコンピュータを買える時代になると予測されています。

さらには、この基盤があれば『自らを改良し続けるAI(人工知能)』が生まれる、という予測もあるのです。

人間は人間の持つ知能によって、人類の蓄積した科学技術の歴史をベースに『未来予測』を行います。

しかし、人類の持つ知能を遥かに凌駕したAIがその演算能力を用いて自己改良を行う時代が到来した場合、その後の歴史は従来の人類の基準では全く予測不可能な世界になると考えられているのです。

この人類の能力と社会が根底から覆る時点を『技術的特異点(Technological Singularity)』と言い、それが2045年であるという予測から『2045年問題』と呼びます。

レイ・カーツワイルの予言内容

この2045年を技術的特異点とする説を提唱した『レイ・カーツワイル』によると、技術的特異点に至るストーリーには主に2つのパターンが考えられます。

一つは、人間レベルの知能を持つAIを目指す『AGI(汎用人工知能』の進歩です。

AGIは2029年頃には解答者が機械か人間かを判定する『チューリング・テスト』を完全にクリアし、人間と同等な知能を持ったAGIが更に進歩を続け、2045年には遂に自己改良するに至り予測不能な未来が訪れると言われています。

もう一つは『ポストヒューマン』の登場によるストーリーです。

ポストヒューマンとは、人間が機械に意識の転送である『精神転送』を行ったり、人間が脳神経を機械に置き換えていくなど『サイボーグ』化した、人間の意識を持ちながら人間を遥かに凌駕する機械の演算能力を持った存在です。

ポストヒューマンの作る社会はあまりに高度で洗練され、従来の人類的尺度では全く理解不能だとされています。

シンギュラリティによる影響

以上はあくまで、レイ・カーツワイルの未来予測ですが、実際にAI開発は進歩し続け、『深層学習』の技術が確立されるなどしてむしろ予測を上回るスピードで進行しています。

AI技術革新そのものの予測は非常に困難で、過去に研究者たちが行った予測は大体が的外れなものでした。

2045年がレイ・カーツワイルの考えるような形で技術的特異点を迎える年になるかは予測不能ですが、技術の進歩、特にAI開発が進展することで起こる社会構造の変容が着実に進んでいることは確かです。

AIは人間の持つ学習機能を模擬しているため、人間が従来行なってきた仕事の代理をしばしば人間以上の効率でこなす場合があります。

特に単純計算を繰り返すような仕事ならAIがほとんど全てを代理し、ごく少数の管理者としての人間がいるだけで成り立つことが考えられます。

シンギュラリティ後も残るビジネス

AI技術革新とその活用がより高度に進んだ社会で、AIが代理しない人間が行うべき仕事を考えてみましょう。

医療分野

医療分野でAIが完全に仕事を代理することはないと考えられます。医師の知識には限界があり、思い込みも排除できないため、医療診断に関してはAIが既にある程度代理しているケースもあります。

しかし、AIが人間の感じる苦痛や「生命」の概念を理解することができるか、あるいは生命倫理を持ったAIは実現可能かというところで、AIでの完全代理は非常に困難ではないでしょうか。

医師に必要なこれらの要素をAIが持たない限り、どれだけ演算能力が高く正確な診断や執刀を行えるとしても、AIにこの業務を任せることはできないでしょう。

クリエイティブな職業

人間が求める創造的活動を機械が理解し、実際に創造することができるかといえば、これは実現困難、あるいはほとんど不可能です。

AIの見ている世界は人間のそれとは大きく異なります。AIに創造的活動を行わせる取り組みもありますが、その結果は概して非常に奇妙で、人間が鑑賞することを想定されたものとは到底言えません。

人間としての肉体や精神を持ち生まれ育ってきたからこそ、人間には人間らしい感情や欲求があります。これにダイレクトに訴えかけることができるアーティストやミュージシャンといったクリエイティブな職業は、機械が代理できないものの代表格と言えるでしょう。

AIの開発や操作

AIが自己改良することができない限り、AI開発や操作を行う人間が必要です。また、自己改良を行う「暴走するAI」が発生した場合を想定した研究開発も行われています。AIは機械であるため人間と共存することが前提です。

現状、AIがどれだけ優秀でもAIは開発者なしでは生じえないため、AIエンジニアは必要になります。人類が現在持っている技術の中で、最も高度なものの一つがAIで、社会を改善させる大きな可能性を秘めているためAIエンジニアは今後も世界的需要が増して行くでしょう。

またどれだけAIが人間の仕事を代理しても、人間社会に資するためには全てAI任せにするわけにはいきませんから、それを操作する人間は必要になります。

シンギュラリティ後はなくなると言われるビジネス

では社会がAIでの代理を許容していく、その方が効率的・有益であると考えられる仕事を考えてみましょう。

窓口業務やレジの操作

窓口業務やレジの操作に求められるのは正確で素早いタスクの進行と完遂です。

これに関しては、業務従事者の能力や体調などの人的要因に起因する非効率を排除する方が求められる業務の遂行はスムーズで間違いがないため、AIが代理することが増えていくのではないでしょうか。

ここで最低限必要なのは、誤作動などを管理したりクレーム対応をする人間です。

製造業

製造業のうち、熟練工のクリエイティビティが求められる仕事以外はAIが代理していくことが考えられます。

これはセルフレジと同じ発想で、単純作業を繰り返していく製造ラインではオートメーション化が進んでおり、素早く正確に同じ部品を作り組み立てていくことはAIが得意とする分野です。

少しのエラーもAIなら自動的に対処していくことができますので、ごく少数の管理者やメンテナンス業務者がいれば成り立ちます。

管理・監視業務

AIは画像認識や音声認識も得意であるため、セキュリティ関連の業務はAIが代理し自動化することが可能です。

不特定多数の人間を写した画像の中から特定の人物の特徴を識別するというようなセキュリティシステムは既に実用化が進んでおり、人的対処が要求される監視対象の設定や発見後の処理など以外はAIが代理していくことが予想されます。

シンギュラリティ後も仕事につくためには

AIが代理できない人間が行うべき仕事を続けて、個人の就労・生活保証をすることを考えてみましょう。

スキルを磨く

AIが代理できないスキルを磨くことが重要です。特に創造性が要求されたり、人間らしい推論や人的対処が求められる職種はAIに代理されにくいと言えるのではないでしょうか。

また、大部分はAIが代理できる仕事であっても、特別なスキルを持った人間はAI以上のパフォーマンスを発揮するとして重宝されることも考えられます。

AIを開発する側になる

AI活用が進むならAI開発をする側になれば仕事がなくなることはありません。現状、AIエンジニアは広範な深い知識・スキルが要求される高難度の職業で、これになろうとするにはかなりの教育コストを覚悟する必要があります。

しかしひとたびAIエンジニアになれれば、遠隔地でできるリモートワークの働き方を選択するなどして、いつまででも仕事をしていくことができるでしょう。

まとめ

AI開発の発達に伴い、社会により高度なAI技術が浸透していきます。

より便利な社会を作っていくことには繋がりますが、それまで人間が担ってきた仕事がAIに代理されるなど、これからを生きる人間が考えていかなければならない課題も増えていくことになります。

技術革新が進むことは止められませんので、AIと人間の関わりを知り、その先の社会でより良く生活していくことを考えていきましょう。

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