AWS資格一覧と各資格の特徴
AWS資格の概要と種類
AWS資格は、AWSのサービスに関する知識とスキルを証明する資格です。AWS資格は、大きく分けて「Foundational(基礎)」「Associate(アソシエイト)」「Professional(プロフェッショナル)」「Specialty(スペシャルティ)」の4つのレベルに分類されます。2024年5月現在、AWS資格は全部で10種類あります。
AWS資格の種類と概要は以下の通りです。
レベル | 資格名 | 概要 |
---|---|---|
Foundational | AWS Certified Cloud Practitioner | AWSの基礎知識を問う入門的な資格 |
Associate | AWS Certified Solutions Architect - Associate | AWSを用いたシステム設計に関する知識を問う資格 |
AWS Certified SysOps Administrator - Associate | AWSの運用管理に関する知識を問う資格 | |
AWS Certified Developer - Associate | AWSを用いたアプリケーション開発に関する知識を問う資格 | |
AWS Certified Data Engineer - Associate | AWSを用いたデータ分析基盤の構築・運用に関する知識を問う資格 | |
Professional | AWS Certified Solutions Architect - Professional | AWS Certified Solutions Architect - Associateの上位資格 |
AWS Certified DevOps Engineer - Professional | AWSを用いたDevOpsの実践に関する知識を問う資格 | |
Specialty | AWS Certified Advanced Networking - Specialty | AWSのネットワークに特化した知識を問う資格 |
AWS Certified Security - Specialty | AWSのセキュリティに特化した知識を問う資格 | |
AWS Certified Machine Learning - Specialty | AWSの機械学習に特化した知識を問う資格 |
以上がAWS資格の一覧です。自分のレベルや目的に合わせて、資格を選ぶことが重要です。
各資格の難易度と対象者
AWS資格は難易度によって4つのレベルに分かれていますが、それぞれの資格の難易度と対象者は以下の通りです。
レベル | 難易度 | 対象者 |
---|---|---|
Foundational | 易しい | AWSを利用したことがない、もしくは利用経験が浅い人 |
Associate | 普通 | AWSを利用した実務経験が1年以上ある人 |
Professional | 難しい | AWSを利用した実務経験が2年以上ある人 |
Specialty | 非常に難しい | AWSを利用した実務経験が2年以上あり、かつ特定分野の専門知識がある人 |
AWS資格を取得する際は、自分のレベルに合った資格から始めることが重要です。特にAWSの利用経験が浅い人は、まずはFoundationalレベルのAWS Certified Cloud Practitionerから始めるのがおすすめです。
クラウドプラクティショナーを始めとする基本資格
AWS Certified Cloud Practitionerは、AWSの基礎知識を問う入門的な資格です。AWSのサービスの概要や、クラウドの基本概念、セキュリティ、料金モデルなどが出題範囲となります。IT業界の経験が浅い人や、AWSの利用経験がない人でも取得しやすい資格となっています。
AWS Certified Cloud Practitionerの試験範囲は以下の通りです。
- クラウドの概念
- AWSの基本的なグローバルインフラストラクチャとアーキテクチャの原則
- AWSの価値提案
- AWSプラットフォーム上のセキュリティとコンプライアンス
- AWSの請求、アカウント管理、料金モデル
AWS Certified Cloud Practitionerは、AWSを利用したことがない人でも取得できる資格ですが、合格するためには一定の学習が必要です。公式ドキュメントを読んだり、オンライン学習プラットフォームを利用したりして、基礎知識を身につけましょう。
AWS資格の難易度と勉強方法
資格ごとの難易度と推奨学習時間
AWS資格の難易度は資格によって異なります。以下は、各資格の難易度と推奨学習時間の目安です。
資格名 | 難易度 | 推奨学習時間 |
---|---|---|
AWS Certified Cloud Practitioner | 易しい | 30〜50時間 |
AWS Certified Solutions Architect - Associate | 普通 | 100〜150時間 |
AWS Certified SysOps Administrator - Associate | 普通 | 100〜150時間 |
AWS Certified Developer - Associate | 普通 | 100〜150時間 |
AWS Certified Data Engineer - Associate | 普通 | 100〜150時間 |
AWS Certified Solutions Architect - Professional | 難しい | 150〜200時間 |
AWS Certified DevOps Engineer - Professional | 難しい | 150〜200時間 |
AWS Certified Advanced Networking - Specialty | 非常に難しい | 200〜250時間 |
AWS Certified Security - Specialty | 非常に難しい | 200〜250時間 |
AWS Certified Machine Learning - Specialty | 非常に難しい | 200〜250時間 |
推奨学習時間はあくまでも目安であり、個人差があります。自分のペースでじっくりと学習することが大切です。
おすすめの入門書とハンズオン
AWS資格の勉強を始めるにあたって、おすすめの入門書とハンズオンを紹介します。
まず、入門書としては以下の2冊がおすすめです。
- 「Amazon Web Services基礎からのネットワーク&サーバー構築」
- 「図解 Amazon Web Servicesの仕組みとサービスがたった1日でよくわかる」
どちらの書籍も、AWSの基本的なサービスについて丁寧に解説されています。AWSの利用経験が浅い人でも、読みやすい内容となっています。
次に、ハンズオンとしては以下の2つがおすすめです。
- 「AWS Hands-on for Beginners」(AWS公式ハンズオン)
- 「AWS チュートリアルシリーズ」(AWS公式チュートリアル)
「AWS Hands-on for Beginners」は、AWSの主要なサービスを実際に触りながら学べるハンズオンです。「AWS チュートリアルシリーズ」は、AWSの各サービスを使ったシステム構築の手順を学べるチュートリアルです。実際にAWSを触りながら学習することで、知識の定着が深まります。
効果的な勉強方法と試験対策
AWS資格の効果的な勉強方法は、以下の3つです。
- 公式ドキュメントを読む
- オンライン学習プラットフォームを利用する
- 模擬試験を繰り返し解く
AWS資格の試験範囲は、AWS公式ドキュメントに基づいています。まずは公式ドキュメントを読んで、基礎知識を身につけましょう。
次に、オンライン学習プラットフォームを利用して、より実践的な知識を身につけます。代表的なプラットフォームとしては、「Udemy」「Coursera」「AWS Skill Builder」などがあります。これらのプラットフォームでは、動画講義やハンズオンを通じて、AWSの各サービスについて深く学ぶことができます。
最後に、模擬試験を繰り返し解くことで、試験の出題傾向を把握し、弱点を克服しましょう。模擬試験は、AWS公式の練習問題集や、オンライン学習プラットフォームで提供されているものを利用するのがおすすめです。
AWS資格の合格には、継続的な学習が欠かせません。毎日少しずつ学習を積み重ねることで、着実に知識とスキルを身につけることができます。
AWS資格の取得メリットと将来性
資格取得のメリットとキャリアアップ
AWS資格の取得には、以下のようなメリットがあります。
- AWSのスキルを証明できる
- 転職・キャリアアップに有利になる
- 社内でのプロジェクト参画機会が増える
- クラウド業界での市場価値が高まる
AWS資格は、AWSのスキルを証明する強力なツールです。資格を取得することで、自分のスキルを客観的に示すことができます。特に転職やキャリアアップを考えている人にとっては、AWS資格の取得が大きなアドバンテージになります。
また、AWS資格を取得することで、社内でのプロジェクト参画機会が増える可能性もあります。AWSを導入している企業では、AWSのスキルを持つエンジニアが求められています。資格を取得していれば、プロジェクトへのアサインもスムーズになるでしょう。
AWSエンジニアの将来性と市場評価
AWSエンジニアの将来性と市場評価は非常に高いと言えます。クラウド市場は年々拡大しており、その中でもAWSのシェアは圧倒的です。多くの企業がAWSを導入しており、AWSのスキルを持つエンジニアの需要は今後さらに高まると予想されます。
実際に、AWSエンジニアの平均年収は800万円〜1,200万円程度と、ITエンジニアの中でもトップクラスの高さです。特にAWS資格を持つエンジニアは、さらに高い年収を得ているケースが多いです。
また、AWSは常に新しいサービスをリリースしており、エンジニアには最新の技術動向をキャッチアップし続けることが求められます。つまり、AWSエンジニアには、高い学習意欲と自己研鑽が必要不可欠だと言えます。その分、市場価値は高く、長期的なキャリア形成が可能な職種だと言えるでしょう。
Azureとの比較と将来性
AWSの主要な競合としては、Microsoft Azureが挙げられます。Azureは、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォームで、オンプレミス環境とのハイブリッド構成がしやすいのが特徴です。
AWSとAzureを比較すると、現時点ではAWSの方がシェアは高いものの、Azureの成長率も高く、両者の差は徐々に縮まってきています。ただし、ガートナーの調査によると、2024年時点でもAWSがクラウド市場をリードし続けると予想されています。
つまり、当面はAWS資格の方が市場価値は高いと言えますが、より長期的に見れば、AzureとAWSの両方のスキルを身につけておくことが望ましいでしょう。クラウドエンジニアとしてのキャリアを築くうえでは、複数のクラウドプラットフォームに精通しておくことが重要だと言えます。
AWS資格のロードマップと取得順番
初心者から上級者までの学習ロードマップ
AWS資格の学習ロードマップは、以下のように整理できます。
- AWS Certified Cloud Practitioner(推奨学習時間:30〜50時間)
- AWS Certified Solutions Architect – Associate(推奨学習時間:100〜150時間)
- AWS Certified Developer – Associate または AWS Certified SysOps Administrator – Associate(推奨学習時間:各100〜150時間)
- AWS Certified DevOps Engineer – Professional または AWS Certified Solutions Architect – Professional(推奨学習時間:各150〜200時間)
- AWS Certified Advanced Networking – Specialty または AWS Certified Security – Specialty または AWS Certified Machine Learning – Specialty(推奨学習時間:各200〜250時間)
まずは基礎知識を問うAWS Certified Cloud Practitionerから始め、徐々に上位の資格に挑戦していくのが王道です。Associateレベルの資格は、ロールに応じて選択するのがおすすめです。例えば、開発者ならAWS Certified Developerを、インフラエンジニアならAWS Certified SysOps Administratorを選ぶと良いでしょう。
資格取得の順番とステップアップ
AWS資格を取得する際は、無理せず着実にステップアップしていくことが重要です。一気に上位の資格を目指すのではなく、まずは自分のレベルに合った資格から始めましょう。
例えば、以下のような順番で資格を取得していくのがおすすめです。
- AWS Certified Cloud Practitioner
- AWS Certified Solutions Architect – Associate
- AWS Certified Developer – Associate
- AWS Certified DevOps Engineer – Professional
- AWS Certified Machine Learning – Specialty
この順番であれば、徐々にレベルを上げながら、体系的にスキルを身につけることができます。ただし、あくまでも一例です。自分のロールや目的に合わせて、柔軟に資格取得の順番を決めるのが良いでしょう。
各資格の有効期限と更新方法
AWS資格の有効期限は、資格によって異なります。Associate〜Professionalレベルの資格は3年、Specialtyレベルの資格は2年の有効期限があります。期限が切れる前に更新しないと、資格が失効してしまうので注意が必要です。
AWS資格の更新方法は、以下の3つです。
- 資格の有効期限の半年前から半年間、新しいバージョンの試験に合格する
- Associateレベルの資格を持っている場合、ProfessionalレベルかSpecialtyレベルに合格する
- 有効期限の半年前から半年間に、AWSが指定する学習プログラム(AWS Training & Certification Portal)を修了する
1つ目の方法が最もシンプルですが、試験に再度合格する必要があります。2つ目の方法は、上位の資格に合格することで、下位の資格も自動的に更新されるというものです。3つ目の方法は、学習プログラムを修了するだけで更新できる手軽な方法ですが、料金が発生します。自分に合った方法を選んで、計画的に資格を更新しましょう。
AWS資格試験の申し込み方法と受験の流れ
試験の申し込み手順と費用
AWS資格試験の申し込み手順は、以下の通りです。
- AWS Certification アカウントを作成する
- 受験する試験を選択し、「Register」ボタンをクリックする
- 試験日時と試験会場(またはオンライン受験)を選択する
- 支払い方法を選択し、申し込みを完了する
試験の費用は、資格によって異なります。2024年5月現在の費用は以下の通りです。
- AWS Certified Cloud Practitioner:15,000円(税抜)
- Associate〜Professionalレベルの資格:20,000円(税抜)
- Specialtyレベルの資格:40,000円(税抜)
費用は申し込み時に支払う必要があります。クレジットカードでの支払いが一般的ですが、請求書払いにも対応しています。
試験当日の流れと注意点
試験当日の流れは、以下の通りです。
- 試験会場に到着し、受付で本人確認を行う(オンライン受験の場合は、自宅などで受験環境を整える)
- 試験開始時間になったら、試験室に入室する(オンライン受験の場合は、指定の時間にシステムにログインする)
- 試験監督官の指示に従って、試験を開始する
- 試験終了後、試験会場から退出する(オンライン受験の場合は、システムからログアウトする)
試験当日の注意点は以下の通りです。
- 試験会場に時間通りに到着する(オンライン受験の場合は、事前にシステムチェックを済ませておく)
- 本人確認ができる公的な身分証明書を持参する
- 試験中は、試験監督官の指示に従う
- 不正行為は厳禁(不正が発覚した場合は、試験が無効になるだけでなく、今後のAWS資格試験の受験が制限される可能性がある)
試験会場への到着が遅れると、試験を受けられない可能性があるので、十分に余裕を持って行動しましょう。また、不正行為は厳しく罰せられるので、絶対に避けるようにしてください。
試験後の結果確認と次のステップ
試験終了後、結果は即時に画面に表示されます。合格の場合は、PDFの認定証がメールで送られてきます。また、AWS Certificationのサイトにログインすると、自分の認定ステータスを確認できます。
試験に合格したら、次のステップとして以下のようなことが考えられます。
- 認定証をLinkedInなどのプロフィールに追加し、アピールする
- AWSのスキルを活かせる案件に参加する
- 次の資格の取得に向けて、学習を継続する
せっかく取得した資格は、積極的に活用していきましょう。認定証をアピールすることで、キャリアアップのチャンスが広がります。また、AWSのスキルを実案件で発揮することで、さらなるスキルアップが期待できます。
一方、試験に不合格だった場合は、落ち込む必要はありません。不合格の理由を分析し、苦手な分野を重点的に学習することで、次回の合格につなげましょう。AWS資格の取得は、一朝一夕にはいきません。地道な努力を積み重ねることが大切です。
まとめ
AWS資格は、クラウドエンジニアとしてのキャリアを築くうえで、非常に重要な資格です。AWSのサービスに精通し、実践的なスキルを身につけることで、市場価値の高いエンジニアになることができます。
AWS資格の取得には、計画的な学習と継続的な努力が欠かせません。最初は基礎から入門し、徐々にステップアップしていくのが賢明です。また、資格の有効期限にも気をつけ、計画的に更新していく必要があります。
本記事で紹介したAWS資格の概要や勉強方法、取得のメリットを参考に、ぜひ自分に合ったキャリアプランを立てて、AWS資格取得に挑戦してみてください。なお、受験申し込みの際は、AWS公式サイトの最新情報を必ず確認するようにしてください。
AWSのスキルを身につけ、クラウドエンジニアとしてのキャリアを切り拓いていきましょう。