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インタビュー

デザインエンジニアのキャリア生存戦略。さくらインターネット・小木曽氏が積極的にパラレルキャリアに取り組む理由とは

デザイナーに特化するのではなく、エンジニアのスキルを加え、戦略的に「デザインエンジニア」としてのキャリアを歩む小木曽氏。氏はなぜ積極的にパラレルキャリア(本業と副業を持つ働き方)に取り組んでいるのか。そしてなぜ本業の舞台を、サーバーに圧倒的な強みを持つさくらインターネット株式会社に移したのか。自称・凡人が選んだ生存戦略は、明確かつクリエイターが目指すべき新たなキャリア像となるだろう。今回はさくらインターネットの人事部・川村氏にも同席していただき、パラレルキャリアを容認する制度構築の背景や管理部門からみるパラレルキャリアのメリット、そして自社にもたらす好影響についても話を伺った。

さくらインターネット株式会社 管理本部 人事部

川村貴宏 氏

メーカーの採用・労務担当を経て、2014年11月にさくらインターネットに入社。労務全般を担当。同社の働き方を改善する「さぶりこ」の起案者の1人。現在も社員の働きやすい環境の実現を目指して奔走する日々を送る。マイブームはバーチャルYouTuber。

さくらインターネット株式会社 技術本部 UXデザイングループ

小木曽槙一 氏

受託案件中心の制作会社を経て、2019年3月にさくらインターネットに入社。デザインエンジニアとしてプロダクト開発に向き合う。ネット上では@kgsiで活動中。海外旅行が大好き。

「デザインエンジニア」への転身によって、
ものづくりに徹底的にこだわりたい

――:まずはこれまでの経歴をお聞かせください。

小木曽槙一氏(以下、小木曽氏):前職では10年ほどWeb制作会社で主にBtoB向けのWebサイト構築を手掛けていました。デザイナーとしてUI/UXデザインやマークアップなどを担ってきたのですが、エンジニアリング領域の知見も広げ始め、エンジニアとしてもプロダクト開発に関わるようになっていきました。

そして2019年3月に、さくらインターネットにジョインし、デザイナー、エンジニアとしての経験を元に「デザインエンジニア」として、現在は主にコントロールパネルのUI設計からチームのスケジュール管理といった管理業務など、幅広くチャレンジさせていただいています。

さくらインターネット株式会社
技術本部 UXデザイングループ 小木曽槙一氏

――:「デザインエンジニア」へと舵を切ったキッカケは何だったのでしょうか?

小木曽氏:もともとHTMLやCSS、JSなどはデザイナー時代から触っていたのですが、エンジニアリング領域に対しての知見がないと、エンジニアとコミュニケーションを図ることが、デザイナーとしても難しいと感じていました。

そこで前職では、デザイナーとエンジニアを兼任し、領域を意識せず、フレキシブルにプロジェクトへ携わるようになった次第です。

――:その後、なぜさくらインターネットに転職されたのでしょうか?

小木曽氏:まず、転職の理由は主に2つありました。1つ目は、エンジニアリングのスキルをさらに高めていきたかったこと。2つ目は、今までずっと受託側にいたのですが、事業会社でサービス開発に携わってみたいという気持ちが大きくなったということです。

弊社に決めたポイントとしては、働き方に関して非常に自由な制度が用意されていることが大きかったですね。あと、前職で弊社のサービスを使っていたのも大きいです。ヘビーユーザーでしたので、愛着がありました(笑)

ピンチを強みに変えた、独自の制度「さぶりこ」

――:その転職の決め手になった制度について教えていただけますか?

小木曽氏:「さぶりこ※(Sakura Business and Life Co-Creation)」という制度です。「社員を信頼して作った制度だ」って代表の田中もよく話しているんですけど、非常に自由だと思います(笑)

その日の業務が終わっていれば定時の30分前に帰宅できる「ショート30」や当日申請で10分単位で勤務時間をスライド可能な「フレックス」、「どこでもワーキング」(リモートワーク)などの制度は日常的に使われており、私も転職後からすぐに活用しています。特に家庭を持たれている方は、臨機応変に時間と場所を選んで仕事ができるので、働きやすさを感じていると思います。

――:さぶりこの内容についてもう少し詳しく教えてください。

川村貴宏氏(以下、川村氏):さぶりこは定期的にアップデートしていて、いまは7つの制度があります。

先ほど小木曽からあった3つ以外にも、副業に挑戦可能な「パラレルキャリア」、20時間分の残業手当を先に支払う「タイムマネジメント」や「リフレッシュ」、「ファミリータイム」があり、他にも社員にとって望ましい制度があれば今後ここに加えていく予定です。

ちなみに、パラレルキャリアでは基本的に会社への事前申請や報告は一切不要としています。ただ、社会保険の変更など、事務的な手続きが発生する際にだけ、事前に連絡をもらうようにしていますが、それ以外は性善説に則って社員に自由に任せています。

――:HPを拝見しました。「社員ファースト」すぎる内容のように感じましたが、この制度はどのような背景があって生まれたのでしょうか?

川村氏:「さぶりこ」を作ったのは2015年のことです。背景としては、当時の人事部にはさまざまな課題がありました。

正直にお話しますと、2010年代の前半ぐらいから全社的に「効率化」を重視しすぎる社風に変わったんです。例えば、社員の働く場所を1箇所に集める、新卒採用は行わず、即戦力の中途社員だけを採用する、徹底したコストカットで利益を最優先させるといった体制でした。

結果、利益率は上がりましたが、社員の働きがいが著しく低下したんです。入社希望者も下がり続けるなか、退職者だけが増えていくばかりでした。

さくらインターネット株式会社
管理本部 人事部 川村貴宏氏

――:大きな危機感を感じられていたのですね。

川村氏:はい、それが如実に現れたのが、2015年2月です。「働きがいのある会社」ランキングに参加するため、社内で「Great Place to Work®」の調査を実施したら、「働きがいがある」と回答した社員が55%しかいなくて......。

そういう状態のときに、会社として何をしていくべきかを経営陣と徹底的に話し合いをしました。ただ、働きがいを会社から提供するのは難しいんですよね。会社から「働きがいを感じろ」とは言えないですし。

そこで、「やりがい」とは社員が自分のやりたいこと、満足のいく仕事をしていること。その中で、社員一人ひとりが自然に感じるものだという考えに至り、会社ができることはその手前、つまり「働きやすさ」を整えることじゃないかと考えました。こうして「さぶりこ」の構想が生まれたのです。

副業にも集中できるからこそ、大きな責任も伴う

――:小木曽さんは2019年3月頃からパラレルキャリアに積極的に取り組んでいるそうですが、そのキッカケは何だったのでしょうか?

小木曽氏:前職を辞めたことがターニングポイントでしたね。もともと色々やってみたい性格というのもあるのですが、退職後に知人などから「これできない?」ってデザイン相談をいただくことが何件かあり、そこから副業が始まりました。

その後、いくつかの副業マッチングサービスにも登録するようにもなり、そちら経由でも副業をしています。以前、私が登壇した資料にも記載しているのですが、「買えるAbemaTV」などの企業で、プロダクト開発を手伝わせていただきました。

――:Offers」にもその頃に登録をされたんですよね。

小曽木氏:はい、「Offers」に登録して驚いたことが2つありました。1つ目は登録が簡単すぎたこと。SNSアカウントと連携させて、いくつかの必要項目を入力したら、あっという間に登録できました。「あれ、これで終わり!?」と最初はびっくりしましたけど(笑)

2つ目は、特に企業検索とか何もしなくても、たくさんの会社からオファーのご連絡をいただけたことです。スタートアップを中心に、0→1のプロダクト開発にも携われるお誘いをいただき、とてもワクワクしました。「Offers」運営元であるoverflowからもご連絡をいただいたんですよ(笑)

――:その節はお世話になりました(笑)

小曽木氏:いえいえ、こちらこそ!ちなみに、そのときoverflowで開発のお手伝いしたBtoC向けの新サービスが9月中旬〜下旬にリリースされる予定です。

――:小木曽さんが副業先を選ぶ際には、どのような判断軸がありますか?

小木曽氏:稼働時間を調整できるかどうかですね。例えば、即レス対応や日中作業を希望されるお仕事は、本業との兼ね合いもありますのでお断りしています。

基本的には、夜に作業でき、決められた期間内で納品すればOKというようなお仕事であればありがたいです。あとはリモートで対応できるかも重要視しています。現在携わっている副業でも、基本的にそのような働き方をしており、コミュニケーションもSlackで完結するようにしています。

――:本業と副業の両立は難しい面もあると思いますが、小木曽さんはどのように分けていますか?

小木曽氏:平日はさぶりこの「フレックス」を利用して、自分で副業の時間を作っています。例えば出社を遅らせて朝だけ作業したり、夜早めに帰宅した作業したりなどですね。

土日に関しては両方フルに稼働するのは難しいですが、場合によってはどちらか1日を使って集中して作業してます。

――:副業をする上で心がけていることはありますか?

小木曽氏:「報告・連絡・相談」を徹底しています。できないものはできないって言わなきゃいけないし、できるけどちょっと待ってほしいという時も早めに相談・報告しています。

特にリモートだと相手はこちらの状況が見えないので、自分が今どういう状況であるのかを早めに相手に伝えることが大事だなと思ってます。こちらから能動的に伝えないと相手は分かってくれないですし、そこは徹底してやらなきゃいけないところです。

副業で、使っていないスキルの低下を防ぐ

――:本業が第一ではあると思いますが、さくらインターネットに入社して、ご自身のキャリアをどのように形成していきたいかなどの考えはありますか?

小木曽氏:まずは転職の目的でもあった、エンジニアリングのスキルを伸ばしていきたいですね。今まではエンジニアとしてサービス運営に関わることが少なかったので、大規模サービスにも携わっていきたいと思っています。

あとは弊社はいわゆるサーバーサイドが強い会社だと思ってて、自分自身そこは苦手なので、注力的に伸ばしていきたいなと思います。社内にはその分野では第一人者といえるハイスキルな方も多く、積極的にスキル・ノウハウを吸収していきたいです。

――:スペシャリストではなく、ゼネラリスト志向なんですね。

そうですね。特定の分野を専門的に突き詰めてやるのは、自分の性格やキャリア的に難しいかなと思っていて。幅広くするってことにフォーカスして、プロダクト開発の全体を見渡せられるようなポジションの確立を目指していきたいと思ってます。

――:小木曽さんが副業を始めてから4〜5ヶ月が経過しますが、振り返ってみていかがでしょうか?

小木曽氏:いろんな軸がありますが、やはり本業で自分が経験できてないことに関われるのは、自分のキャリアにとって大きなアドバンテージがあると感じています。

今、弊社内での自分の役割は、デザイナーが不足しているのでデザイン業務が多い状況です。そのため、エンジニア業務に関わる時間が少なくなっているので、本業で「やっていないこと」や「やれないこと」を経験し、腕が鈍らない(=スキルが落ちない)ようにするためにも副業っていいですね。

それに自分がやった分だけスキルもお金も返ってきますし、すごくやりがいを感じています。一方で失敗した分も返ってくるので気をつけないといけないですね(笑)

――:副業で得た知見を本業で生かせた事例はありますか?

小木曽氏:ありますね。例えば社内で使ってるツールは「Sketch」が多いんですけど、副業でしたら「Figma」などを使うことが多いんです。

自社で使っていないツールを実際に触ってると、仮に社内で導入しようか検討するときに、知見があるのでアドバイスがしやすくなります。

――:人事からの目線として、社員が副業を頑張ってる姿を見ていかがですか?

川村氏:率直に言うと、さぶりこの中に「パラレルキャリア」を入れてよかったなと思いました。横で聞いていて安心しました(笑)

社内だとどうしても工程の一部しか携われないであるとか、事業目的に即した仕事しかできないケースは当然ながら発生します。そこで社員がやりたいこと、気になること、チャレンジしたいことに副業を通じて積極的に取り組んでもらうことで、そこで得た知見やスキルを本業で生かしてもらえればと思っています。

ゼネラリストを目指すことが一つの生存戦略

――:今後、クリエイターの働き方はどのようになると思われますか?

小木曽氏:大きな会社では分業が進んでいる傾向があると思いますので、そこに副業という形でジョインできる機会はこれから増えていくと思います。今、弊社では副業として参画していただく形はご用意できていないですが、それも近い将来には可能になってくるのではないかと思ってます。

そして企業規模問わず、クリエイターが多くの会社で副業できる環境が整えば、クリエイターの活躍の場はさらに広がると思います。そうなると、会社に依存せず、自活できるようなスキルを身につけていく流れになっていくんじゃないでしょうか。

それに、自分のリソース(スキル)を本業だけじゃなくて、外にも向けていくと、社会的にもwin-winな関係になれるんじゃないかと。そういう環境がどんどん整ってくればいいかなって思ってます。

――:一方で、クリエイターは今後さらに企業から選ばれる時代になると思います。選ばれるクリエイターになるためには何が必要でしょうか?

小木曽氏:ゼネラリストになるかスペシャリストになるか、どっちかになると選ばれやすいのかなと思ってます。自分は特定の領域に特化していくタイプではありませんし、スペシャリストには本当にすごい方がたくさんいらっしゃるので、そこで勝負するのは難しい、と判断しています。

それよりも幅広く理解して、さまざまな業態にも合わせられるような人材になろうと思っています。中途半端だと「誰でもできるじゃん!」となってしまうので、どっちかというと、「これできますか?」って聞かれたときに「できます。その方法は〜」と言える人材になろうという思想です。

自分は本当に凡人なんで、いざというときに応用がきくゼネラリストでやっていった方がいいかなって個人的には思っています。専門性を突き詰めている天才って、頭の中がどうなってんのって思うくらいすごい人達たちばかりなんです。そういう方たちをリスペクトしつつ、その方たちの70点ぐらいを目指そうと思ってます(笑)

――:ありがとうございました!

  • インタビュー:佐藤剛史
  • 執筆:讃岐勇哉
  • 編集:佐藤剛史/新留一輝
  • 撮影:三田村優

Updated : 2019-08-21

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