フリーランスのObjective-Cの案件の特徴
Objective-Cのエンジニアが求められる案件には、どのようなものがあるでしょうか。また、Swiftが登場したことによりどのような影響があったでしょうか。まずは、フリーランスのObjective-Cエンジニア向けの案件について、その特徴をみていきます。
iOSアプリの開発案件がほとんど
Objective-Cは、macOSをはじめとするApple製品向けのソフトウェア開発に用いられる言語です。しかし、実際のObjective-Cの案件はほとんどがiOSアプリに関するものです。その中でも、既存アプリの改修を行うものが多くを占めているのが特徴です。
また、今までObjective-Cを用いて開発してきたアプリをSwiftに書き換えるような案件も目立ってきています。SwiftがiOSアプリ開発の主流となってきた今では、Objective-Cで新規にアプリを開発する案件はほぼ無いと思って良いでしょう。
Objective-Cの案件の例
Objective-Cの案件は、仕様書に沿って既存アプリの改修を行うことがほとんどです。新規機能の追加や、ユーザーインターフェイスの改善などを行います。必要に応じて詳細設計も行います。Objective-Cの実装経験があるエンジニアにとっては、スキルを十分に活かせる案件が揃っていると言えるでしょう。
フリーランスのObjective-Cの案件の単価・相場はどのくらい?
Objective-Cの案件には、既存のiOSアプリの改修や機能追加の案件が多いということをみてきました。ではフリーランスとして案件を受ける場合は、実際にどの程度稼ぐことができるのでしょうか。ここでは、フリーランス向けのObjective-Cに関する案件の単価・相場をみていきます。
大体70万台後半円/月からが相場
案件掲載サイトによると、Objective-Cの案件の平均単価は、月収70万円台後半くらいからが相場となっています。iOSアプリ開発に関する十分な経験年数と高いスキルがあれば、月収は80万円以上になる場合もあります。
今後の展望は?
Swiftの登場によって、Objective-Cエンジニアが今後も活躍を続けられるのか不安に思っている人も多いでしょう。しかし、企業がこれまで積み上げてきたObjective-Cの資産が今すぐになくなるというわけではありません。とくにフリーランスのObjective-Cエンジニアにとっては、狙い目とも言える案件がまだまだあります。
Swiftの登場で求人トレンドは下降気味
2014年にSwiftが発表されて以降、iOSアプリの開発においてはSwiftが事実上Objective-Cの後継とみなされています。これまでObjective-Cでアプリ開発を行ってきた企業でも、Swiftへの置き換えが進みつつあります。また、Objective-Cベースのアプリに新規機能を追加する際にも、Swiftが採用されるケースが増えてきています。市場全体として見ればObjective-Cの需要は下降傾向にあります。
新規の学習者は少ない
徐々にSwiftへの移行が進む中で、これからObjective-Cを学ぶメリットは薄れてきています。新規アプリの開発に限れば、Objective-Cを使わなくてもSwiftの知識のみで対応することが可能だからです。
そのため、iOSアプリの開発に新たに参加するエンジニアにとって最初に学ぶ言語はSwiftが主流になっています。Objective-Cを新たに学習する人が今後増えていくことは考えにくいでしょう。
案件競争率も低下するか
Objective-Cへの需要が減少する中、その求人数も事実減少傾向にあります。とはいえ、Objective-Cエンジニアへの需要はまだすぐには無くなりません。
既にObjective-Cを習得しているフリーランスのエンジニアにとっては、このような案件は狙い目と言えるでしょう。また、新規参加者が減っていることも案件獲得の面では有利とも言えます。Objective-Cの開発はニッチであるため、単価も高い水準を維持しています。
フリーランスのObjective-Cの案件でよくある必須要件と歓迎要件
ほとんどのObjective-Cの案件では、即戦力が求められます。では、iOSアプリを開発する企業にとって、どのような人材が即戦力として歓迎されるのでしょうか。ここでは、フリーランス向けのObjective-Cの案件で実際によくある必須要件と歓迎要件についてみていきます。
アプリの開発経験は必須
Objective-Cの案件では、少なくとも1年以上のiOSネイティブアプリの開発経験が必須となっていることがほとんどです。既存のiOSアプリの改修業務が多いことから、即戦力が求められるためです。
場合によっては、仕様策定から任される案件もあるため、アプリの企画や要求分析にも関わった実務経験があれば歓迎されるでしょう。さらに、社外メンバーとの折衝やベンダーコントロール、プロジェクトチームの進捗管理といったマネジメント業務に関する案件もあります。Objective-Cの経験に加えてプロジェクトマネジメントやPMOの業務経験があれば、このような案件も引き受けることが可能でしょう。
フリーランスのObjective-Cの案件の受注単価を上げるために必要なこと
Objective-C案件の受注単価は、経験年数とiOSアプリ開発のスキルの高さで差が出てくることはすでに述べた通りです。では、さらに高い単価を狙うにはどうしたら良いでしょうか。そのために今後身につけるべきスキルと、狙い目の案件の特徴について説明します。
Swiftの習得
Objective-Cの求人数が下降傾向にある一方、Swiftの求人数は増えてきています。身もふたもない話ですが、Objective-Cのエンジニアは今後Swiftに移行するのが時流に合っているでしょう。すでにObjective-Cの知識・経験があるエンジニアなら、新たにSwiftを習得すれば引き受けられる案件の幅は広がります。
今後iOSアプリのジャンルに新規参加する人の多くはSwiftのみを学習することが予想されますから、Objective-CとSwiftの両方のスキルを併せ持つことは大きな強みになるでしょう。とくにObjective-CからSwiftへの置き換えを行う案件や、Objective-CとSwiftが混在するような開発案件では、Objective-CとSwift、両方のスキルを持っている人が必要とされます。
既存の大規模サービスを狙う
Swiftはバージョンを重ねるごとに着々と改良が行われていて、バージョン4.0以降はプログラミング言語としての完成形に近いところまで来ています。しかし、Objective-Cからの移行は急がない方が良いと判断している企業もまだあります。
例えば、Objective-Cによるアプリを既に高い品質水準で稼働させていて、Swiftへの移行がメリットになりにくい場合などです。Objective-Cによる既存の大規模サービスは、このような条件によく当てはまります。受注単価も高いので、フリーランスとしては狙い目です。
これからSwiftを習得する予定があるなら、実際に手を動かしながら学習を進め、その成果としてObjective-Cとの比較記事などをQiitaのようなエンジニア向けサイトやブログ、SNSに投稿していくという方法もおすすめです。Swiftへの移行を検討している企業に対し、スキルをアピールすることができるでしょう。
まとめ
Objective-Cの求人数は、だんだん減ってきています。しかしSwiftへの移行は敢えて急がないという企業もあり、すぐに案件がなくなってしまうことはないでしょう。単価も高い水準を維持しており、フリーランスとしてはまだまだ狙い目です。Objective-Cのスキルを活かした仕事をこなしながら、新たにSwiftを習得することも検討してみてください。両方のスキルがあれば、引き受けられる案件の幅はさらに広がります。