フリーランスになって大変だと感じること
フリーランスは、企業や団体に属さず個人で仕事を請け、その報酬を収入源とする働き方です。『会社のルールに縛られず自分らしく働ける』として近年注目されていますが、フリーランスならではの大変さがあることも忘れてはいけません。
フリーランスとして働く人は、どのようなことを大変だと感じているのでしょうか。
仕事のことが頭から離れない
残業や休日出勤が多い会社員の中には、「フリーランスになれば仕事中心ではない生活ができる」などの憧れを持っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、実際にフリーランスになって「会社員時代よりも仕事中心の生活になってしまった」と感じる人が多くいます。というのも、フリーランスは自由時間が多いからこそ、仕事とプライベートを分けにくいのです。
会社員なら、帰宅した後は自分の時間です。オンとオフがきっちり分かれているため、オフには好きなことを楽しめます。一方、フリーランスには決まった勤務時間や場所が無く、オンとオフの切り替えが曖昧です。
適切にスケジュール管理できない人は仕事にかかりきりとなり、常に『頭の中は仕事でいっぱい』の状態になるでしょう。
日々の経理処理が負担
1人で働いていると、業務以外の雑務や事務作業も行わねばなりません。特に、日々の経理処理は面倒なことが多く、帳簿を管理したり領収書をまとめたりといった作業を負担に感じる人も多いでしょう。
個人で働くからには、適切な会計管理も重要な仕事の一つです。いい加減な会計処理は確定申告時にトラブルになるほか、万が一、税務調査が入った時にペナルティを科せられるおそれがあります。経理処理のためにもしっかり時間を割くことが必要なのです。
悩みを共有する相手がいない
会社員なら、仕事で悩みやトラブルがあった場合、同僚に愚痴ったり上司に相談したりできます。ところが、個人で働くフリーランスは人間関係が狭くなりがちで、意識して他人と繋がろうとしない限り、相談できる相手を見つけるのは困難です。
トラブルにあっても頼れる相手は無く、孤独に耐えながら仕事をする人も少なくはありません。
仕事と収入についての悩みが大きい
2015年に『株式会社 日本アプライドリサーチ研究所』が行った調査によると、約7割もの人が「フリーランスとしての不安や悩みがある」と答えました。
その悩みの多くは、フリーランスの魅力であるはずの『仕事の自由度が高いこと』に関係するものですが、具体的にはどのような面がフリーランスで働く人を悩ませているのでしょうか。
出典:『株式会社 日本アプライドリサーチ研究所』による調査結果
収入が安定しない・仕事が見つからない
フリーランスは案件ごとに契約を結び、成果物の納品をもって収入を得ます。
しかし、仕事はいつでも必ずあるというわけではなく、継続的な顧客がいない限りは、その都度新たに仕事を取ってこなければなりません。
好条件・高単価の案件を任されても次の保証は無く、見えない先行きに不安を抱えて働いている人もいるでしょう。
仕事を受けすぎて余裕がない
本来なら余裕を持って働けるはずのフリーランスですが、スケジュールを詰め込み、休む間もなく仕事をする人もいます。
このような人の多くは、『収入や仕事が安定しない』ことに強い危機感や不安を持っており、自身の限界いっぱいまで仕事を請けてしまうのです。
また、駆け出しだったり交渉が上手くできなかったりするフリーランスなら、『仕事を断れない』というケースも多々見られます。「断ったら次が無いかも」「納期の延期を言い出しにくい」などと感じるため、余裕の無いスケジュールで働くことになってしまうのです。
営業が苦手
会社なら営業担当者が仕事を取ってきてくれますが、フリーランスは営業も自身の仕事です。とはいえ、営業経験が無ければ売り込み方や仕事獲得の方法も分からないので、営業活動そのものが大きな負担となるでしょう。
どんなにすばらしいスキルや知識があったとしても、実際に仕事を請けられなければ収入には繋がりません。営業に不慣れな人は、本業よりも営業に頭を悩ますこととなるのです。
大変さを解消する対策
適切にスケジュールを管理できない人ほど業務時間が長くなり、非効率です。特にフリーランスで働く場合、働く時間や場所の管理が重要な課題となるでしょう。フリーランスが無理せず効率よく働くには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
勤務時間を決める・定休日を設ける
作業時間に縛られないのがフリーランスのメリットですが、日々の勤務時間や定休日は適切に設定するのがベターです。仕事とプライベートをきっちり分けることで、オンとオフの切り替えが明確になり、結果として仕事の効率が上がるでしょう。
労働者には法で定められた『法定休日』があり、1週間に1日あるいは4週間に4日以上の休日を取ることが定められています。これは、超過労働が精神にも肉体にも悪影響を及ぼし、仕事の効率の低下や心身不良を引き起こすためです。
フリーランスも仕事の効率性を重視するなら、一定期間ごとの休みをもうけ、心身ともにリフレッシュするようにしましょう。
高性能な会計ソフトを活用する
会計管理が負担になる人は、クラウド会計ソフトなどを活用するとよいでしょう。
高性能な会計ソフトを利用すれば、金額や項目を入力するだけで適切な会計管理が可能です。クレジットカードや銀行口座と連動させる機能があれば、入出金時に自動で項目を追加してくれます。
毎日帳簿とにらめっこする必要がないため、日々の負担は大幅に軽減されるでしょう。
コワーキングスペースで作業をする
自宅にいるとダラダラしてしまう人は、コワーキングスペースに足を運んでみてはいかがでしょうか。
コワーキングスペースとは、誰でも自由に利用できるワーキングスペースです。仕事をするのに必要な電源やWi-Fi、事務用品などが揃っており、月額制あるいはドロップイン(時間単位で利用するプラン)で利用できます。
業務の種類にかかわらず、同じような働き方の人が集まるため、情報交換や仲間作りにも有益です。
事務所を借りると賃料がかかるうえ、必要な設備を自費で整えなければなりません。しかし、コワーキングスペースなら必要十分な設備がすでに整っており、事務所を借りるよりも安い料金でオフィスとして使えます。
日々、コワーキングスペースに『出勤』するようにすれば、オンとオフの区別がつきやすくなり、仕事にも集中して取り組めるようになるでしょう。
フリーランスにはメリットも多い
フリーランスの大変な面ばかりを見てきましたが、もちろん、フリーランスならではのメリットもたくさんあります。ここでは、フリーランスで働くうえでのメリットを見てみましょう。
働く場所や時間を選べる
会社や団体に属さないフリーランスは、勤務場所や時間を自由に選べます。会社員のように激しい通勤ラッシュに悩まされることも、思わぬ転勤を命じられることもないため、業務以外のストレスに悩まされることは少なくなるでしょう。
家にずっと居たい人は一日中在宅勤務もできますし、あちこち出かけたい人は海外で働くことさえ可能です。
自身の理想のワークスタイルを実現しやすいのが、フリーランスならではの魅力と言えます。
自分が得意なことに専念できる
フリーランスになれば、どんな仕事を選ぶかは自身の裁量で決められます。
会社員なら意に沿わない仕事も引き受けねばなりませんが、フリーランスなら『断る』という選択肢があるのです。興味がある案件、あるいは得意な案件のみに専念できるため、仕事にやりがいを感じられます。
まとめ
フリーランスは自己裁量の範囲が広い分、適切にスケジュール管理できない人ほど際限なく働くことになってしまっている場合が多いです。「仕事や収入が無くなるのでは」という不安を抱える人は多いですが、仕事の効率という観点からすれば、適度に休みを入れつつ働くのがベターでしょう。
フリーランスには、『収入や仕事が不安定』な一面があります。しかし、スキルを上げて実績を積めば、定期的に仕事を得ることは可能ですので、必ずしも悲観する必要はありません。
自己管理やスケジュール管理を適切に行えば、フリーランスならではの『仕事の自由度が高い』というメリットを十分に享受できるでしょう。