データベースのメリットや種類とは。概要や管理システムのまとめ

データベースという単語は知っていても、その概要や管理システムについて、詳しく説明できる自信がない人もいるでしょう。今さら聞けないデータベースの基礎知識や種類を知り、メリットを徹底的に活用できるスキルを身につけましょう。

データベースの基礎知識

今の情報社会を支える、なくてはならない存在が『データベース』です。しかし、これからデータベースを勉強する人にとっては、何から覚えたらよいのでしょうか。

データベースの定義・詳細・システムまで、徹底的に解説していくので、しっかり覚えて活用しましょう。

データベースとは

『データベース』(Data Base)とは、コンピューター上で、簡単に検索や蓄積ができるように整理された情報の集まりです。通常はコンピューター上の情報を指しますが、手帳の住所録などもデータベースと呼ぶ場合もあります。

具体的には、データを整理統合して格納し、そのデータを検索しやすくしたシステム全般のことで、『一定の形式で整理されたデータの集合体』と覚えておくと分かりやすいでしょう。

データと情報の違い

コンピューターを利用している人なら、一度は『データ共有』や『情報共有』という言葉を聞いたことがあるかもしれません。しかし、正確には『データ』と『情報』は性質が異なります。

データは『客観的な事実を数値・文字・図形・画像・音声などで表した内容』です。『今日の東京の天気は雷雨』や『スーパーでリンゴが1個100円の特売』は、客観的事実に基づいた内容なので、『データ』として扱います。

一方、情報は『特定の目的について、適切な判断や行動の意志決定のために活用する資料や知識』です。たとえば『東京が雷雨なら、早めの新幹線に乗ろう』とか、『今日はリンゴが安いので買いに行こう』と、データを活用し行動すれば、データは『情報』になるのです。

データベースとファイルの違い

『データベース』と『ファイル』も、よく混同されるワードです。データベースを構成するデータも、コンピューターのファイルで管理されているため、広義では『データベースはファイルシステムの一部』といえるでしょう。

プログラムの観点からみると、『ファイル』には複数のユーザーが同時に同じデータを利用する『同時実行性』を保つ仕組みがなく、開発者によるプログラムでの制御が必要となります。

『データベース』は、データ位置をプログラムで記述する必要がなく、同時実行性が保たれているので、複数のユーザーによる同時作業が可能という違いがあります。

データベースのメリット

コンピューター発明前の時代から、膨大なデータを管理するために、人間はデータベースを活用してきました。『複数データの一元管理・目的のデータの迅速な検索・データの編集が容易』ということを理解するために、年賀状を例にみていきましょう。

自宅に届いた年賀状を無造作に保管すると、年賀状の返事を書くために必要なデータを見つけるのが大変です。しかし、複数の年賀状を1カ所にまとめることで、移動や処分も簡単になります。

年賀状をハガキのまま保存するか、住所録にまとめておくかで、翌年の年賀状を出す容易さが変わります。住所録をデータベースにしておくことで、喪中や引っ越しの情報も簡単に編集や更新ができ、クラス会の案内などにも活用できます。

検索の容易性

『データベース』という言葉の起源は、米軍が由来とされています。基地内での情報が点在していて非効率的だったため、1カ所に集めて使うための『情報(Data)』の『基地(Base)』が、いつからかWeb用語として定着しました。

データベースは、特定のテーマに沿ったデータの『集合体』を、効率的に管理し、使いやすくすることを目的にしています。

特に、膨大なデータ数だと、検索には気の遠くなるような時間を要します。しかし、データベース管理なら、すぐに対象データを見つけられるのが特徴です。

同時アクセス

データベース上では、自分を含む多くの人が、検索や更新などの処理を同時に実行しています。「今は他の人が同じテーブルで作業しているから、あとで作業しよう」というようなシステムでは、実用的とはいえません。

近年のデータベースは、分離性や独立性を保証したシステムによって、複数ユーザーの処理をスケジューリングし、自分の思うままに、他人を気にせず作業ができようになっています。

結果の整合性を担保したその概念は『Serializability』と呼ばれ、『直列化可能性・逐次化可能性』と和訳されています。

バックアップ

昔のコンピューターは、停電で電源が落ちてしまったり、コンセントが抜けてしまったり、フリーズしたりすると、作成中のデータは保存されずに消えてしまいました。

しかし、近年のデータペースは、即時のバックアップが自動でされるため、作成中や編集中のデータが突然消えるトラブルは激減しました。

データベースを外部にバックアップする場合は、SQLフォーマットでエクスポートすることによって、データベースを一つのファイルでダウンロードできます。

データベースの種類

スピードと効率性の高さが必須のデータベースですが、使い勝手の良さも重要なポイントです。データベースにはいくつか種類がありますが、データベースと聞くと『リレーショナル型データベース』を想像する人も多いのではないでしょうか。

初期データベースの形式として代表的な『階層型データベース』や、利用者が増加している『ネットワーク型データベース』とあわせて、それぞれのメリットやデメリットを紹介していきます。

階層型

データが階層のように、積み重なっているデータベースを『階層型データベース』と呼びます。基本的には『ツリー構造(木構造)』で、1本の大きな幹から複数の枝に分岐しながら、最終的に多数の葉をつける構造です。

ツリー構造は、複数の要素をたどって特定の要素を生み出します。その個々の要素を『ノード』、ノード同士を連結するラインを『リンク』と呼びます。『親ノード』に、複数の『子ノード』が、『1対複数』の形でぶら下がっているのが特徴です。

結果的に、特定のデータを検索する方法が、たった一つのルートしか存在しえないため、検索速度が速いというメリットがあります。

デメリットは、それぞれの子ノードに複数の結果が生まれるため、要素が重複登録になることです。データの追加や削除の編集に対し、柔軟性が望めません。

ネットワーク型

一般的なデータベースとして、目にする機会が多いのが『ネットワーク型データベース』です。互いの要素と要素が、網の目(ネット)のようにリンクしている構造から、この名前がつけられました。

階層型データベースが『1対複数』に対し、ネットワーク型データベースでは、親ノードと子ノードが『複数対複数』で構成されています。網の目のように互いをリンクさせることで、重複登録の回避が可能になりました。

従来のツリー構造では、検索のスタート地点は親ノード限定でしたが、検索速度はそのままで検索のスタート地点を柔軟に設定できるのも、階層型にはないメリットです。ただ、ネットワークのリンクが多岐にわたるため、人間の目では視認しづらいというデメリットもあります。

リレーショナル型

ネットワーク型のメリットをそのままに、さらに利便性を高めたのが『リレーショナル型データベース』(関係データベース)です。従来の『ノード』と『リンク』で表現されていたデータベース型から、行列構成の『表』に大きくビジュアルチェンジしました。

階層型の『重複』の問題点は、列に重複しない項目名(見出し)を設定することで改善されました。ネットワーク型のデメリットだった『視認性』は、それぞれの『列』に『行』としてリンクさせることで、関係性が分かりやすくなっています。

データベース設計の作り方

『検索のしやすさ・操作の容易さ・スピード・視認性・使いやすさ』が重要な、実際のデータベース設計についてみていきましょう。

データベース設計には、『論理設計』と『物理設計』の段階があります。アプリケーション開発のメインである、論理設計の手順を3ステップで解説していきます。

エンティティの抽出と定義

『エンティティ(実体)』とは、ある共通項を持った『データの集合体』です。システム開発の『要件定義』にあたるフェーズで、どのようなエンティティが必要なのかを洗い出す作業が『抽出』です。

物理的なエンティティの例は『クライアント・社員・土地・交通手段』などです。一方、概念的なエンティティの例は『税・売り上げ・閲覧履歴・注文履歴』などが挙げられます。

各エンティティの抽出が完了したら、どのようなデータを保持するか定義しましょう。データベースにおけるエンティティは、『テーブル』という単位で表されるため、『テーブルを定義する』とも言い換えられます。

正規化

テーブルの定義が完了したら、テーブル分解をし、冗長性をなくす『正規化』を行います。どの程度の分解かによって段階は変わりますが、分解の粒度は最低3段階(第1〜第3正規形)まで達成させるとよいとされています。

正規化でよく使われる『従属』という言葉は、XによってYが一意に定まることを指し、『YはXに従属する』と表現するので、覚えておきましょう。

正規化でありがちな間違いは、一つのセルに複数の値を入れてしまうことです。特に、カンマ区切りなどで複数データを一つのセルに入れるミスがよくみられるため、きちんと一つずつ分解して格納することが重要になります。

ER図作成

『ER図』(Entity-Relationship Diagram)は、エンティティ(テーブル)同士の関係を一覧化した図です。ER図作成では、正規化されたテーブル同士を、関係性によって連結させていきます。

ER図の作成方法は、まず主キーに着目し、他テーブルの列にそのキーが含まれているかチェックします。他テーブルに存在が認められたら線で結びましょう。

データベース管理システムについて

膨大なデータを管理格納するデータベースは、たくさんの資料や書籍のある『図書館』に似ています。

図書館では、新書籍の入荷や、傷んだ書籍の入れ替えをする『図書館司書』という、管理をする人がいますが、データベース上で図書館司書の役目を果たしているのが『データベース管理システム』です。それはDBMS(Database Management System )と呼ばれます。

特に、リレーショナルデータベースを管理・運用するシステムはRDBMS(Relational Database Management System)と呼称されています。

データベース管理システムの必要性

データベースは常にそれらを監視し、新しい情報に更新するなど、適切に管理する体制が必要とされます。

しかし、人間の手でデータベースを管理することは、同じデータを追加してしまったり、誤ってデータを削除してしまったりなどの危険が伴います。また、データの量が膨大になれば、人間の手で管理するのは大変です。

DBMSは、データベースの管理を効果的にサポートし、人間が間違ってデータを追加や削除した場合でも、エラー通告してくれるため、膨大なデータベースの管理には必要不可欠なのです。

システムの特徴

DBMSは、膨大なデータを自動的に整理してくれる便利なシステムです。『データの物理的独立性』『同データの同時更新』『整合性のあるトランザクション処理』など、多岐にわたる機能を備えています。

知っておきたい用語

実際にDBMSを操作するときに、知っておきたい専門用語をまとめたので、参考にしてみてください。

SQL

『SQL』(エスキューエル)は、RDBMSで使用される、データ操作専用の『データベース言語』(問い合わせ言語)です。図書館で、図書館司書さんに「この作者のこの書籍はありますか?」と、問い合わせる様子に似ています。

ストアドプロシージャ

『ストアドプロシージャ』(stored procedure)とは、データベースに対する複数の命令を一つにまとめ、保存したものです。

『何らかの処理命令(引数)を入力すれば、何らかの回答(戻り値)を返す』プログラムの部品を『関数』(function)と呼びます。

プログラミングの分野では、引数に対して戻り値のある関数を『ファンクション』、戻り値のない関数を『プロシージャ』と区別しています。

『ストアド(保存された)プロシージャ(戻り値がない関数)』は、処理時間やネットワーク負荷の軽減、複雑なルールによるデータの整合性の保持などのメリットがあります。データベース上で動作を完結させられるため、開発言語に依存しません。

代表的なデータベース管理システム

実際に管理システムを使いたいとき、どのようなシステムを選べばよいのか、解説していきます。操作性の高さ、システムの強度はもちろん、自身のビジネスの成長に合わせたバージョンアップが可能かどうかも視野に入れ、検討してみましょう。

Oracle Database

2015年の日本国内RDBMSシェア49.9%を誇る、Oracle社製のRDBMSで、相当数の法人のデータベースに導入されているシステムです。

人間の手作業によるデータ管理の間違いを、自己稼動・自己保護・自己修復が可能なので、DBMSを初めて導入する場合でも安心して使えるでしょう。

Oracle Database

SQLServer

『SQLServer』はMicrosoft社の提供するデータベース管理システムです。シンプルな操作性で、データベース内の分析が非常に速いという特徴があります。

オンライン・オフライン問わず、さまざまなデバイスで活用できるため、効率化とコストダウンも期待できるでしょう。

SQLServer

Microsoft Access

『Microsoft Access』もMicrosoft社の提供するデータベース管理システムですが、SQLServerよりも小規模なデータベースで使用されることが多いです。

デザイン性の高いテンプレートで、Visual Basic for Applications(VBA)を使用し、ビジネスプロセスの自動化や、有用なフォームやレポートの作成もできます。

Microsoft Access

データベースエンジニア向けの資格

『データベースエンジニア』の仕事は、SQLを書き、データベースを管理する運用作業はもちろん、データベースの設計や構築が主な仕事です。

データベーススペシャリスト試験

平成30年の合格率が13.9%という、かなり難易度の高い試験です。日本国内で相当な効力を持ち、情報処理技術者試験の中でも最高レベルの難度を誇る国家資格です。

初心者の就職用としての資格というより、実務経験者が受ける試験として知られています。特定のDBMSに依存しない、データベース共通の理論や設計に関する問題が出題されます。

データベーススペシャリスト試験

OSS-DB技術者認定試験

LinuC(リナック)で有名な『LPI-JAPAN』が運営する民間資格で、『シルバー』と『ゴールド』の2段階が設定されています。『シルバー』は、データベースの設計・開発・運用ができるレベルで、『ゴールド』は、改善やコンサルティングまで行えるレベルです。

OSS-DB技術者認定試験は、企業から必要とされるデータベース技術者を認定する資格といえるでしょう。

OSS-DB技術者認定試験

まとめ

データベースは、コンピューター業界のみならず、すべての人にとって有用なシステムです。だからこそ、速さと使いやすさ、そして安全性が求められています。データベースを使いこなすことで、データから多くの価値を引き出し、ビジネスを拡大させましょう。

この記事をシェア

関連記事


副業・フリーランス

プログラミング

インタビュー

デザイン

お金

採用・組織

転職

イベントレポート