チーフエンジニアの意味
通常エンジニアは、IT技術者として開発現場でさまざまなシステムを構築・管理するのが仕事です。エンジニアとしてのキャリアを積むことで、チーフエンジニアという上級の役職に就くケースがあります。
エンジニアのトップであるチーフエンジニアは『開発技術責任者』と呼ばれ、立場に応じた責任ある仕事を任されています。チーフエンジニアの役割について、みていきましょう。
技術面の責任者で、エンジニアを束ねる立場
「エンジニア」と一言で言っても、IT業界の現場ではさまざまな役割を持つエンジニアが存在します。
プログラミングの専門家である『プログラマー』をはじめ、システムの全体的な枠組みを設計して役割を指示する『システムエンジニア』(SE)などが開発現場に関わります。
チーフエンジニアは、システムエンジニアのように全体の設計に関わるというよりも『現場』の責任者です。技術面の責任者として現場の作業を監督する立場につきます。
さまざまな業界に存在するチーフエンジニア
IT業界で比較的よく耳にする『チーフエンジニア』ですが、IT以外にも、さまざまな業界でも存在しています。
技術の開発や管理を行うエンジニアは業界を問わず重要な役割を担っているので、そのエンジニアを束ねるチーフエンジニアには、特に高いスキルを有する人が就くことになります。
自動車産業ではトヨタの制度が知られている
自動車業界を牽引する『トヨタ』の開発現場においても、現場のエンジニアのトップとして、チーフエンジニアという役職が設けられています。
トヨタにおけるチーフエンジニアは『主査』と呼ばれ、担当車種に関する企画や開発、生産や販売を一手に指揮監督する重要な役職です。
担当車種の全ての責任を主査が担うこの制度は『トヨタ主査制度』と呼ばれ、さまざまな業界で注目されています。
IT業界でのチーフエンジニアとは
IT業界において、エンジニアだけでも細かく分類すると数十種類存在します。テクノロジーの発達とともに新しい技術やサービス・プログラミング言語/フレームワークが次々と誕生し、エンジニアに求められる役割や必要とされるスキルも徐々に高くなっています。
IT業界でのチーフエンジニアとは、どのような役割を持っているのでしょうか。ここでは、IT業界におけるチーフエンジニアの役割について、具体的に解説していきます。
上級のエンジニア・プログラマー
チーフエンジニアは管理職というよりも、高い技術を持った上級のエンジニア・プログラマーです。
エンジニアとしての具体的なキャリアは所属している組織によって異なりますが、いずれの組織においても、最初は見習いのエンジニアとしてスタートします。以下は、エンジニアが歩むキャリアの一例です。
- アソシエイトエンジニア(見習い)
- エンジニア
- シニアエンジニア(経験者)
- プリンシパルエンジニア(上級)
- チーフエンジニア(開発技術責任者)
エンジニアは、実績を積むごとに徐々にアソシエイトからエンジニア、シニアエンジニアと役職が上がっていきます。
求められる役割も徐々に広くなり、上級のエンジニア・プログラマーとして、実務を行いながら部下を育成して指導する仕事も加わってきます。
開発の現場責任者
エンジニア多くの業界では、役職が上がるとマネジメントを行う時間が増え、実務を行う時間が徐々に減ってくる傾向があります。
しかし、IT業界のチーフエンジニアは、開発の現場責任者として部下のマネジメントを行いながら、自らの高い技術を活かして、より高度な部分のプログラミングを担当するなど、現場の開発にも積極的に関わることが多い役職です。
チーフエンジニアに求められるスキル
通常のエンジニアとは違って、チーフエンジニアには、開発の現場責任者としてさまざまな知見やスキルが求められます。
関わる業界や開発するサービスによって求められるものが異なるので、チーフエンジニアになるには、率先した自己研鑽が必要です。ここでは、チーフエンジニアに必要とされる具体的なスキルを三つ紹介します。
技術力
IT技術の現場には、フロントエンドやサーバーサイド、アプリやインフラなど、多くの技術分野が存在します。
実際に技術開発を行うエンジニアには、各分野の専門知識が求められます。現場に近い立場で働くチーフエンジニアには、現場で必要なあらゆる技術力を有していることが求められるのです。
幅広い知識
チーフエンジニアには、IT関連の専門的な知識以外にも幅広い知識が求められます。
例えば、クライアントと直接関わる機会があることから、クライアントの業界に関する知識を身につけることも必要です。
さらに、ユーザー目線に立ったサービス作りをするために、ユーザーが興味を持ちそうな分野についての知識を吸収するよう心がけることも大切になります。
情報収集能力
AIやビッグデータなど、IT分野では日々高度な技術が開発されています。新しいサービスも次々に生まれていることから、エンジニアは意識して情報収集することが必要です。
特に、チーフエンジニアは部下に提案や指導をする場面もあることから、情報収集のスキルは必須といえます。
セミナーや勉強会、オープンソースのライブラリなどを活用して、日頃から情報収集につとめるようにしましょう。
チーフエンジニアを目指すメリット
開発現場の責任者として重い役割を担うチーフエンジニアは、決して楽な仕事ではありません。
しかし、チーフエンジニアとして働くことで得られることは多いので、チーフエンジニアを目指すメリットはいくつもあります。ここでは、チーフエンジニアを目指すメリットについて、具体的に紹介していきます。
エンジニアとしてのキャリアを追求できる
エンジニアのキャリアとしては、プログラマーから始まり、プロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダーといった道筋もあります。
これらの職種になると、ビジネス戦略を考えたり、組織を管理したりなどのマネジメントスキルが求められます。エンジニアとして実際にプログラミングする機会からは離れがちになるでしょう。
一方チーフエンジニアは、エンジニアとして現場に近い立場で開発に関わり続けることができるので、自らのエンジニアとしての技術を追求できます。純粋にエンジニアとしてのキャリアを追求できると言えるのです。
マネジメントが苦手でもキャリアアップ可能
チーフエンジニアは、マネジメント業務を行う役職ではありませんから、マネジメントが苦手な人でも問題ありません。
職人気質で「現場でプログラミングしているのが好き」「マネジメント系の業務は担当したくない」という人のキャリアアップの道として、現場に近い上級役職であるチーフエンジニアはメリットがあると言えます。
まとめ
豊富な実務経験に基づいたスキルと幅広い知識が求められるチーフエンジニアは、開発現場のトップとしての役割があります。
チーフエンジニアは、管理者として責任のある役割を任せられるのと同時に、エンジニアとしてのスキルを磨きながら自らのキャリアを積むことができるのです。
チーフエンジニアに興味のある人は、この記事を参考にして、キャリア形成の参考にしてみてください。