副業で給与所得を得ている人は要確認。税金の基礎知識まとめ

副業解禁ムードが漂う昨今、複数の会社から給与所得を得ている人が増えています。もちろんそれ自体に問題はありませんが、税金や社会保険についてはきちんと承知しておく必要があるでしょう。副業で給与所得がある場合、どのような影響があるのでしょうか。

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給与所得とは

団体や企業に属して副業した場合、所得の区分は『給与所得』となります。給与所得のベースとなるのは『給与収入』ですが、ここから経費を差し引いて所得を出すことは認められていません。

給与所得を算出する方法について、詳しく見てみましょう。

給与から給与所得控除分を引いた額

給与所得は、『給与収入-給与所得控除』で算出されます。給与所得控除とは、給与所得者に適用される控除です。年収が65万円未満の場合は、控除額は一律65万円ですが、これを超えると年収ごとに控除額は変わります。

額の詳細については、以下の表を確認してください。(平成29~30年分)

給与等の収入金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%(65万円に満たない場合は65万円)
180万円超360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超1000万円以下 収入金額×10%+120万円
1000万円超 220万円(上限)

出典:給与所得控除|国税庁

ちなみに、会社から源泉徴収票を受け取っている場合は、『給与所得控除後の金額』が給与所得に該当します。

給与所得は経費を控除できない

給与所得を算出する際、自営業者や個人事業主に認められている『経費の控除』は認められていません。

給与所得者でも、仕事のためにスーツを購入したり消耗品を自前で購入したりすることはあるでしょう。これらを経費計上できないとあれば、「給与所得者は不遇だ」と感じる人もいます。

しかし、給与所得者は経費を計上できない代わりに、先述した給与所得控除が認められています。これは自営業者や個人事業主には適用されません。経費控除が無いからといって、給与所得者が不利益を被っているというわけではないのです。

事業所得、不動産所得、雑所得は経費算入可

サラリーマンが何らかの副業をした場合、給与収入以外で考えられる収入としては、『事業収入』や『雑収入』というケースがほとんどでしょう。加えて、家賃収入などがある人は、不動産収入もあり得ます。

これらの収入については、必要経費を差し引いて所得を計算することが可能です。収入を得るためにかかった費用については、領収書などをきちんと保管し、確定申告時に正しい所得を申告できるようにしておきましょう。

給与所得は複数箇所から受け取り可能

本業がある場合でも、副業が認められているのであれば、複数社から給与所得を得ていても問題はありません。ただし、税の申告手続きについては少々面倒になるため、詳細を確認しておくことをおすすめします。

年末調整ができるのは1箇所のみ

給与を複数社から得ていても、年末調整は1つの会社でしか行えません。

年末調整とは、源泉徴収額を計算し、税金の精算を行う仕組みです。会社がこの年末調整を行ってくれることにより、通常、会社員が確定申告をする必要はありません。

副業で数社から給与を得ている人は、本業の会社など、多くの給与を得ている会社で年末調整します。

ただし、1社のみの年末調整によって確定した所得税額には、副業分の所得税が含まれていません。そのため、会社員でも確定申告をしなければならない場合があるのです。

副業収入が20万円以上なら確定申告が必要

副業している会社からの給与収入が『年間20万円以上』ある場合は、確定申告が必要です。申告の際は本業・副業を合わせた給与所得額を記載し、正しい納税額を算出しましょう。

一見面倒にも思える確定申告ですが、申告によるメリットを享受できるケースもあります。

たとえばパートやアルバイトの場合は、正社員の給与よりも高い割合の源泉徴収税が差し引かれます。もしも税金を多めに支払っていれば、確定申告によって一定額の還付が受けられるでしょう。

社会保険料、住民税の扱い

複数社から給与所得を得ている場合、社会保険料や住民税についても知っておく必要があります。給与の受け取り先が増えると、本業一本の場合と比較して、どのような影響があるのでしょうか。

給与をもらうと社会保険料に影響がある

副業によって複数社から給与所得を得る場合、条件によっては副業先でも社会保険に加入する必要があります。この場合、当然社会保険料は増額します。

平成29年4月からは、社会保険加入の条件が引き下げられ、より多くの人が社会保険の加入対象となりました。そのため、次の条件をすべて満たす場合は、副業先でも厚生年金保険や健康保険に加入しなければなりません。

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 1カ月の賃金が8万8000円以上
  • 雇用期間の見込みが1年以上
  • 会社規模が従業員501人以上(500人以下の場合は、労使の合意を得ていればよい)

『本業で社会保険に入っているから、副業では不要』という人は、上記の条件に該当しないよう、労働時間を調整したり小規模な会社を選んだりなど、働き方を考える必要があるでしょう。

雇用保険は1箇所のみ

社会保険は重複して加入できる一方で、雇用保険については1カ所のみでしか加入できません。ほとんどのケースでは、本業の会社で加入するので、副業先では雇用保険未加入となります。

住民税は特別徴収か普通徴収が選択できる

住民税は『都道府県民税』『市区町村税』の2つを合わせたもので、前年の所得から算出する『所得割』と一律に課せられる『均等割』をあわせて納税額が決定します。

徴収方法には『特別徴収』と『普通徴収』があり、給与所得者の場合は特別徴収をします。これは給与から住民税を天引きして徴収する徴収法で、別途納付の必要はありません。

副業がある場合は、副業を含めた総所得をベースに納税額が算出されるため、本業のみの時よりも、税負担は大きくなるでしょう。副業で増えた負担を本業から差し引きたくない、という人は普通徴収に切り替えることも可能です。

普通徴収とは自分で税金を納付する方法で、年4回にわけて納付します。普通徴収に切り替えたい場合は、確定申告時に住民税の納付方法を『自分で納付』に○をしましょう。

まとめ

副業が認められているならば、給与所得を複数社から受け取っても問題はありません。ただし、所得金額によっては確定申告の必要があります。加えて社会保険加入の条件を満たしている場合は、副業先でも社会保険に加入することになります。

「社会保険料や税申告の負担が増えて、副業のメリットが感じられない」ということにならないよう、効率のよい働き方を目指しましょう。


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