働き方改革におけるリモートワーク
働き方改革によって、リモートワークの浸透が進んでいますが、そもそもリモートワークとは一体どのような働き方なのでしょうか? ここでは、ガイドラインを元に詳しく解説していきます。
リモートワークとは何か
リモートワークとは、所属している会社のオフィスではなく、自宅やカフェといった離れた場所で働くことです。
またリモートワークは、テレワークという呼称が用いられることもあり、『remoto(remote)=遠隔』と『work=働く』という二つの語が合わさってできた造語です。
近年ではインターネット環境の普及によって、会社以外で働くことが容易になりました。特に育児や家事と仕事の両立において、出勤する必要がない自宅での勤務は魅力的であるとして注目が高まっています。
ガイドラインと目的
リモートワークを行う上では、企業と労働者双方が合意できるルールが必要です。ここでは、リモートワークを円滑に進める上で必要不可欠であるガイドラインについて、紹介していきます。
情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン
厚生労働省は『情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン』を定めています。
- テレワークを行う労働者にも、労働基準・最低賃金法・労働安全衛生法・労働者災害補償保険等の労働基準関係法令が適用される
- 使用者は、労働契約を締結する際、労働者に対し、賃金や労働時間、就業の場所に関する事項等を明示しなければならない
- テレワークにおいても、フレックスタイム制を活用することが可能
ガイドラインの中でも、特に重要なのが労働時間に関してです。オフィスとは異なり、自宅やレンタルオフィスでの労働時間は、管理するためのルールが必要です。本ガイドラインの留意点に沿って、適切に導入を行いましょう。
出典:情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン
テレワークセキュリティガイドライン
総務省はテレワークにおける情報漏洩を防ぐために、『テレワークセキュリティガイドライン』を定めています。
- 経営者は、テレワークの実施を考慮した情報セキュリティポリシーを定め定期的に監査し、その内容に応じて見直しを行う
- システム管理者は、情報のレベル分けに応じて、電子データに対するアクセス制御、暗号化の要否や印刷可否などの設定を行う
- テレワーク勤務者は、アプリケーションをインストールする際には、システム管理者にその旨を申請し、許可を受けたアプリケーションのみをインストールする
本ガイドラインには、トラブルの事例とその対策に関しても豊富に掲載されています。情報漏洩等のセキュリティ問題が起こった際は、本ガイドラインを参考に、適切な対応を施しましょう。
リモートワークを導入する上での注意点
リモートワークは、『Step1:環境整備』『Step2:コミュニケーションルールの設定』『Step3:組織カルチャーの再定義』という3段階に沿って導入を進める必要があります。
ここでは、導入にあたって必要不可欠であるStep1と2の注意点について説明します。
在宅環境を整える
効率を落とさずに働くことができる環境をリモートワークで実現するために、オフィス環境を再現することができるような支援を行うことが大切です。
例えば、株式会社overflowでは、以下のような支援策を実施しています。
- 椅子・机などの必要整備
- ポケットwi-fi
- 照明・マイクなどリモートワークならではの設備
いずれも従業員にアンケートを取り、要望があった社員に購入の支援金を渡すという仕組みで環境整備を支援しています。
セキュリティの強化
情報漏洩を防ぐためには、セキュリティ対策の強化が必要です。リモートワークに求められるセキュリティ対策は、難易度が高いものばかりではありません。
パスワード管理
基本となるのが、パスワード管理です。リモートワークでは、クラウドサービスを利用し、外部環境から社内システムへアクセスできるようにネットワーク環境を整えることになります。
異なるサービスで同一のパスワードを利用しないことや、定期的にパスワード変更を促すことで、徹底した管理を行いましょう。
持ち運びハードディスクの暗号化
リモートワークでは、デバイスやUSBフラッシュメモリを持ち運ぶ機会が多くなります。
そこで、デバイス内のハードディスクやSSD、USBフラッシュメモリの暗号化を設定することで、万が一紛失しても情報の流出を防ぐことができます。
人事評価制度の再構築
直接対面してコミュニケーションをとることができないリモートワークでは、社員の評価が難しいと言えます。
そこで、リモートワークを導入する際は、時間ではなく成果で評価をする評価制度が必要です。それぞれの従業員に合わせた成果や目標を定め、『目標に対しての達成度』と『取り組み方』という二軸から評価することをオススメします。
これによって従業員はモチベーションを保ちつつ、安心して作業に取り組むことが可能です。
働き方改革によるリモートワーク導入事例
企業はどのようにリモートワークを活用しているのでしょうか。具体的な導入事例をみていきましょう。
オフィス廃止の完全リモート企業『overflow』
OffersMagazineを運営する株式会社overflowでは、柔軟な働き方を実現するため、創業当初からリモートワークを前提にしています。
さらに、2020年4月には、オフィスを廃止することを発表し、物理的なオフィスに依存しない新しい企業運営を目指しています。
出典:移転をやめて、オフィスを解約する意思決定をしました withコロナ
リモートワーク に積極的に取り組んできたノウハウを生かし、以下のようなリモート導入のサポートも行なっていますので、ご興味のある方はこちらからお気軽にお問い合わせください。
- オンライン採用コンサルティング
- リモート組織構築コンサルティング
- リモートや副業についての共催オンラインイベントの開催
- オンライン取材、インタビュー
会議用メイクアプリも導入『資生堂』
資生堂は、『女性が活躍する会社BEST100』において三年連続で総合一位を受賞しています。
1990年には育児休暇制度を取り入れ、2016年からは育児や介護支援のみが対象であった在宅勤務制度を、美容部員以外の全社員に適用しました。
さらに、在宅勤務における女性の悩みをを解決する手段として、オンライン会議用の自動メイクアプリを導入しました。画面上の顔にメイクを施すだけでなく、顔色の補正・ぼかしまで行えるので、在宅勤務中でもすっぴんで会議に参加できてしまいます。
出典:資生堂
上限日数なし『リクルートホールディングス』
リクルートホールディングスは、1960年に大学生向けの求人広告事業を行う会社として創業後、現在は人材メディア事業や販促メディア事業を手がけています。
リクルートホールディングスでは、2016年から全従業員を対象に、日数上限なしのリモートワークを導入しています。
自宅以外のカフェやレンタルオフィスでも作業可能で、個人の評価は成果を持って行われます。さらに、パソコンや携帯電話などは、セキュリティ対策が施された状態で支給されます。
まとめ
今回は働き方改革の概要や、リモートワークの活用事例についてご紹介していきました。リモートワークは働き方改革のガイドラインに基づいて行うことで、生産性の向上や作業の効率化にも繋がります。みなさんもぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。