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複業で自分のフィールドを広げて「生きるように働く」ポートフォリオワーカーの働き方

2019-05-17

「一部上場IT会社×農業の生産販売会社×起業」。複数の仕事を組み合わせることで、生きるように働くことのできるフィールドを開拓してきた中村龍太さん(以下中村さん)。自ら「ポートフォリオワーカー」と名のる中村さんの働き方は、組織から個人へ、中心軸が移っていく時代を予感させます。複業エバンジェリストで、「フリーランス協会」のプロボノでもある中村さんに、お話を伺いました。

サイボウズ 社長室長、NKアグリ 印西試験圃場長、コラボワークス 代表、複業家/ポートフォリアワーカー

中村龍太さん

1964年、広島県生まれ。大学卒業後、日本電気に入社。マイクロソフト(現日本マイクロソフト)を経て、2013年、サイボウズとダンクソフトに同時転職(後にダンクソフトは卒業)。2015年、NKアグリに入社しIoTでリコピン人参を栽培。2018年、コラボワークを設立。農業×IT の複業で生まれたイノベーションや、複業家としての考え方を伝える講演実績が多数ある。2016年には「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で複業の実態を説明した、複業エバンジェリスト。

「IT×農業」複業でシナジー効果をデザイン 「生きるように」働くためのポートフォリオのつくり方

――:はじめに、ご自身のご経歴をお願いします。

中村さん

大学卒業後、日本電気で10年働きました。その後、ご縁があってマイクロソフト社で16年。6年くらい前に、サイボウズとダンクソフトの2社に同時転職しました。

ダンクソフトとは2017年に契約が終了し、2015年からNKアグリという農業の生産法人の会社に契約社員として入社しています。

今は、週4日サイボウズ、土日を含む3日間にNKアグリや自分の会社であるコラボワークスの仕事をしています。

――:サイボウズ、NKアグリ、コラボワークス、それぞれの仕事についてお聞かせ下さい。

中村さん

サイボウズでは、社長室で『チームワークあふれる社会を創る』というミッションのもと、『新しいチームワークで持続可能な社会を創る』という活動をしています。

僕のチームのテーマは三つ。「市民のチームワークで、その地域の課題を共有し、メンバーで課題解決をして持続可能性を高めること」「IoTも含めたチーム農業で、役割分担をしながら価格の安定・向上とともに、楽しい農業を目指すこと」「学校教育の現場に、保護者や周辺の企業を巻き込んでいくこと」です。

この活動と同時に、社長室長としてマネジメントもしています。

NKアグリは、和歌山県に本社がある、レタスと機能性表示野菜のリコピンニンジンの栽培と販売を行う会社です。僕は、リコピンニンジンの試験農場で、土の性質を変えて生育の管理をする仕事をしています。

サイボウズとNKアグリの仕事は、重なっている部分があるんです。NKアグリは、日本各地の契約農家でリコピンニンジンの収穫時期を予測するIoTを使っているんですが、これは僕が相談に乗って、サイボウズの仕組みを取り入れました。

NKアグリはIoT 農業を利用して、1カ月間しか収穫時期のない機能性表示野菜を、半年間流通できる体制が作れてハッピー。サイボウズも農業事例ができてハッピー。そういうことも、複業という働き方でデザインすることができるんです。

――コラボワークスでは、どのようなことをされているんですか?

中村さん

私には子供が2人いるんですが、無事社会に旅立ってくれて教育費のプレッシャーがなくなったので、もう少し自分のできること、好きなことを発信しながら仕事をしていこうかなと思い、2018年にコラボワークスを立ち上げました。

業種を決めずに自分ができることを棚卸しして、ホームページを作っている段階です。この言語化に1年ぐらいかかっていて、「自分で仕事を受ける」という作業をゆっくりと進めているところです。

――複業という働き方をしてみて、実際どうですか。

中村さん

楽しいですね。自分ができること、やりたいこと、相手が期待してくれることを分析して、仕事にできることを増やしている。それが楽しさにつながっています。

仕事で得られるものには、金融資本のお金、人的資本といわれるスキルや労働力、社会資本といわれる人脈や人との信頼関係の三つがあります。この仕事はお金主体、この仕事は次のネタや人脈のために受けよう、こっちは自分のスキルや実績を積むためにとか。報酬はお金とは限りません。

例えば、僕はパエリアを炊きながらティール組織を学ぶワークショップを行っているんですが、何回かやっていたら、大阪府八尾市からそのワークショップを開催して欲しいとオーダーがきました。その時は、自治体のホームページに実績が載ることが大切だからと、多額のお金はいただかないことにしました。

どの仕事でどの資本を得るか、ちゃんと選んでポートフォリオを組んでバランスよくやっていくと、広いフィールドで息をするように働ける可能性がひろがっていきます。

予期せぬトラブルやカルチャーギャップの障壁

――:フリーランス協会の会員になって良かったことはありますか?

中村さん

個人的な入会の動機は、「ベネフィットプラン」のフリーランス賠償責任補償ですね。

複業を始めて3年目くらいのとき、ある会社から情報漏洩を指摘されました。これに対して、実際に弁護士を紹介してもらい、問題を解消するプロセスを自分でやったことがあるんです。

その時は情報漏洩がないことで和解しましたが、また別の時に同じような解釈の齟齬があるかもしれないじゃないですか。

なので、保証があると安心して仕事ができます。

――:その時、弁護士費用はどのくらいかかったんですか?

中村さん

30万円くらいでした。フリーランス協会に入ると、年間1万円で最大1億円の賠償責任保障が得られるメリットは大きいですね。

――:複業をしていくなかで、企業との認識の違いや、実際働いてみたら扱いが違うじゃないか、というような体験があれば教えてください。

中村さん

あるメーカーのコンサルに入ったとき、そこは全く農業をやったことがない会社で、ビジネスプロセスの違いにとまどいました。契約前にわかっていたこととはいえ、もう少し柔軟にできると思っていました。

僕の得意分野は、やりながら事業を作っていくスタートアップに近いアプローチなんですが、そのメーカーはどうしても、「事業計画書を提出してほしい。プロフェッショナルなら解を出してほしい」と言います。でも、新しい事業をやるのに、やる前に解がでていたら競争力も何もないわけですよ。

企業さんも、そこの矛盾はわかっているけれど、大きな会社なので上から求められる。僕も自分のできる範囲で仕事に取り組みましたが、結果をだす前に終わってしまって。コンサルのアウトプットにまつわるギャップのせいで、お互いモヤモヤしたことはありました。

――:答えが早く欲しい企業さんと、中村さんのもっと探求すべきだろう、という考えが合わなくなってきて、中途半端な形で終わってしまったと。

中村さん

そうなんです。もうちょっとやりたいのに、もうちょっと話をすればと、思う自分がいるけれど、おそらく一緒にやっていた担当者の上長を説得することはできないでしょう。

――:企業としては、きっちり型にはまったものが必要なんでしょうね。作っていく側の人たちが指示されたことをやっていく人だけだと、振り幅に耐えられなくなるというのもあります。とくに人数が多いと。そのあたり、多分フリーランスの方と企業でずっと働いている方との違いはあるかもしれないですね。

中村さん

そうですね。キャラクターというか、振る舞い方の違いがありますね。

人生100年時代、ミドルシニアにこそ複業を

――こんな支援が欲しいなど、フリーランス協会に求めるものがあれば教えてください。

中村さん

協会に求めるということは、自分は協会のプロボノに参加しているので、自分に降りかかってくることになるんですが(笑)

やらなきゃいけないと思っているのは、僕らの世代のサラリーマン専業、特にプロフェッショナルなスキルを持っている人たちに、未来の働き方の選択肢の情報を伝えることです。

普通のサラリーマンをやっていると、55歳くらいで役職定年があって、60歳で「定年どうするの?」みたいな話があって、定年延長したとしても65歳で卒業です。でも、まだ元気じゃないですか。

一般的な普通のサラリーマンは、定年延長すると給料がガクンと下がるんです。人によっては、60歳で以前と同じ仕事をバリバリしているのに給料が半分というケースもあるわけです。同一労働同一賃金ではない。おかしいですよね。

そこで、副業がキーワードになるんです。定年延長して給料が半分になったら、勤務日数も半分にする選択肢をつくるべきだと思いませんか?

僕は、協会がそれを広げていく役割を担うべきだと思っていて、来年に向けて、代表と話をしています。

70歳定年に向けて、少しずつ本業の割合を減らしながら自立していく。バイトというやり方もあるけれど、プロフェッショナル人材なら、業務委託契約で副業をしたほうがいい。人生100年時代、どういう仕組みで定年後の生活を支えていくのか。大きな解決策のひとつに副業があると思うんです。

――:今後どのように活躍していきたいか、教えていただけますか?

中村さん

個人向けのパラレルキャリアのホームページビルダーみたいなものをつくりたいと思っています。経歴書のなかに、仕事と趣味が全部一緒になっているイメージで、できることとやりたいことが書かれている。お金か、人とのつながりか、経験か。報酬の種類もちゃんと明確にしていく。

あくまでも主体は人の関心で、仕事はその先にあるという。ちょっと大きなことを言っていますが、ひとつの実験として、今年中にやりたいですね。

――:ありがとうございました。

インタビュー:新留一輝 執筆:菅眞理子 撮影:新留一輝

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