派遣社員も副業は可能か
派遣社員として働きながら、副業を始めようと考えている人もいるでしょう。その理由は、収入を増やしたい、幅広くいろいろな仕事をしたいなどさまざまです。
しかし「副業をすると今の仕事を辞めさせられてしまうのでは?」と不安を抱える人もいるでしょう。不安から副業に踏み出せないという声も耳にします。
派遣社員は、副業をすることができるのでしょうか。まずはこの点について考えてみましょう。
派遣先ではなく派遣契約を結んだ会社の就業規則に従う
基本的に大切なことは、『派遣会社の就業規則に従う』ことです。就業規則をしっかり読み直し、そこで副業が禁止されていればまずは副業は諦めるしかありません。
ここで気を付けるべきことは、あくまでも自分の『派遣元企業』の就業規則にのっとることです。派遣されている先の企業の服務規程などではないことに留意しましょう。
副業禁止の場合の主な理由
多くの企業では、『許可なく他の企業等の業務に従事しないこと』という規定を設けています。企業が副業を禁止する理由は、いくつかあります。その主なものを見てみましょう。
- 副業が本業に悪影響を及ぼす可能性がある
- 副業時にトラブルが発生した場合、会社の信用を落とす可能性がある
- 社員は会社に尽くすべきという社会的風習
一方で、2018年の法改定で、副業は法律上広く許可されるようになりました。ですので、企業の規定で副業が禁止だったとしても、法律的には全面禁止にすることはできないことになっています。
出典:副業・兼業
しかし、だからと言って強引に副業に踏み込むこともおすすめできません。規定で禁止されている場合には、社内外を含め周囲の人によく相談しましょう。
副業の選び方
「派遣会社の就業規則でも副業は禁止されていない」「時間的にも融通がききそう」ということであれば本格的に副業を検討できます。新しいキャリアに向けて前進です。
とはいえ、どのような副業を、どのような環境で行っていくのかについては、慎重に判断することが賢明でしょう。新たなチャレンジである副業に意識が向きすぎ、本業の派遣での仕事がおろそかになってはいけません。
そこで副業を選ぶときに気を付けたいポイントについて、いくつか紹介します。
在宅が働きやすい
副業を始めると、複数の仕事を持つことになります。そのとき、移動にかかる時間などは思いのほか負担になるものです。
そこでまずは自宅でできる副業を検討してみてはいかがでしょうか。それなら、職場と自宅の往復にかかる時間が縮減でき、その時間を副業にあてることができます。
近年では、インターネットの普及で、不特定多数に業務を発注する形態が浸透してきました。取引先などに足を運ばなくても、仕事の成果物をインターネットで納品する仕事もたくさんあります。
自分の経験や技術を生かして、勤務先に出向く必要のないスタイルで副業ができれば、生活全体に時間的余裕が生まれるでしょう。
単発やシフトなど自身に合った条件で
副業をスタートさせると、それまでの生活とは時間の使い方が一変します。その変化に慣れるまでに一定の期間を要するという人もいるでしょう。
はじめは確実に仕事をこなしていくために、自分の力量の範囲内で単発の仕事を受けることから始めると安心です。それならば、当初想定していた空き時間で、無理なく仕事を進めていけます。
「時間が決められていないと求められる期間内に仕事を終える自信がない」というような人は、販売や接客などのシフト制の仕事を副業にしてはどうでしょうか。
派遣の仕事をベースとして予定した空き時間内で、確実に副業にあてられる範囲のシフトを組めば、納期などに悩まされることなく仕事ができます。
在宅で可能な副業
副業を考えている人には在宅での仕事がおすすめです。複数の勤務地を持つことは、心身ともにかなりの負担がかかります。
在宅での副業を選択することは、時間的なこと以外にも、さまざまなメリットがあるため、色々な意味で人生の幅を広げる在宅での副業について見てみましょう。
趣味を副業に
『好きなことを仕事にする』ことは多くの人にとって憧れの環境でしょう。そして、在宅での副業は、そのような状況を実現できるものでもあります。
ハンドメイドの小物作りが好きな人であれば、小物の販売サイトを立ち上げてみてはいかがでしょうか。自分の作品を、ネットを通して収入につなげることができます。
自分でサイトを運営することが不安であれば、販売サイトに登録してみましょう。そこで自分の作品を紹介し、誰かの目に留まれば売り上げを得られるという方式です。
また、絵を描くことが得意であれば、イラストレーターという選択もあります。出産の記念などの似顔絵・企業や自治体のロゴマークやキャラクターなど、いろいろな分野でイラストレーターが活躍しています。
スキルや経験を生かした副業
長年培ってきたスキルや経験、知識などを生かした副業をすることも可能です。その技術の専門性が高いほど、ユーザーとのつながりに恵まれる可能性も高いといえます。
グローバル化やインバウンド戦略が盛んに展開されている今、副業に翻訳の仕事も考えられます。各種パンフレットをはじめ、動画の翻訳など、幅広い仕事がある職種です。
これらのような副業では、依頼物をネットで受け取り、自宅で作業ができます。そして納品もネット上で行えるため、在宅での副業にもマッチするでしょう。
クラウドソーシングなどの利用
「依頼主やユーザーをどうやって見つけたらいいか分からない」というような人もいるでしょう。そのような場合は、『クラウドソーシング』の利用を検討しましょう。
クラウドソーシングを一言で説明すると、『ネット上で売り手と買い手をつなげるシステム』と言えます。そこには、さまざまな案件が数多く並んでいるのです。
例えば、映画紹介のブログ記事を書いて欲しいという依頼主がいます。一方で、映画を得意ジャンルとするライターが案件を探します。
両者がクラウドソーシング上でマッチングすると、どちらからか連絡を取り、取り引きするようになります。そして条件が合うと、仕事として成立するのです。
副業の確定申告
派遣で仕事をしていると、既に源泉徴収されたお給料を手にしている人がほとんどでしょう。そのため、税金の決定や申告に関する作業を知らない人もいます。
副業を始めると、一定以上の所得を得ると、税金を納めなければならなくなります。そして、そのための作業として『確定申告』が必要になるのです。
確定申告がどのようなものか分からない人に向けて、その内容について説明します。副業をする上でとても大切なことなので、よく理解しておきましょう。
20万円が基準
副業での所得が年間20万円を超えると、確定申告をして、そこで算出された税金を納める義務が生じます。これを怠ると、無申告加算税や延滞税といったペナルティーが課せられることもあるので、注意が必要です。
ここで大切なことは『収入』と『所得』の違いを理解しておくことです。はじめは、この違いがわからず戸惑うことがあります。
『収入』とは、副業によって受け取った金額です。一言でいえば『収入=売上』と考えていいでしょう。
この収入から、必要な経費を指しいたものが『所得』です。『所得=収入(売上)-経費』となります。
納税額を適正に算出するために、仕組みをよく把握しておくことをおすすめします。
確定申告が必要なケース
そもそも、確定申告が必要なケースとは、以下のようなものです。
- 給料以外にも収入がある
- 年末調整をしていない
- 副業に関係なくそもそも確定申告が義務付けられている場合
- 医療費控除・寄付金控除・受託ローン控除などを受ける場合
所得20万円以上の副業は1.に当たります。それ以外に、自分が確定申告の必要なケースに該当するかどうかを確かめてみましょう。
住民税では申告が必要な場合も
『副業での所得が年間20万円を超えると所得税の申告が必要』と説明しました。実は、これとは別に、20万円以下の所得であっても申告が必要な税があります。それが『住民税』(市町村税)です。
確定申告をしておけば、所得の内容が税務署を通じて各自治体が把握するため、住民税の額に反映されます。そして、自治体によって住民税が徴収されるのです。
しかし、確定申告されていない年間20万円以下の所得については、自治体は把握する術がありません。そのため、住民税の申告漏れにつながる可能性があるので、留意しておきましょう。
まとめ
少子化にともなう労働力不足や、人材の効率的な配置など、国は多くの人が副業をすることを求め、推奨しています。特に女性の活躍は、これからの社会にとって不可欠だと言われます。
派遣の仕事をしながら、時間的余裕を副業にあてたいと考える女性の活躍を、社会が求めているのです。自分の新しい可能性を見つけるためにも、自分に合った副業をぜひ見つけてください。