フリーランスに独占禁止法が適用される?知っておきたい規制内容

『経済の憲法』とも言われている『独占禁止法』がフリーランスの働き方にも適用される動きがあります。日本ではいまだ共通認識が浸透していないフリーランスですが、法のレベルで国から守られていることも認識してこれからの働き方を考えていきましょう。

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フリーランスに独占禁止法が適用される?

働き方改革が推進される中でフリーランスとしての働き方を選択する人が急速に増えていますが、社会実態の変化に法整備が追い付いていないという問題があります。

まだ社会の共通認識が曖昧なフリーランスは比較的弱い立場であるため、この働き方を守り健全な経済発展を望むために、フリーランスに対する仕事の発注者を『独占禁止法』の適用対象とする検討が進められています。

フリーランスにとっては自分の身を守るための知識ですので、理解を深めておきましょう。

独占禁止法とは

独占禁止法は『独禁法』とも呼ばれます。端的にいえば、資本主義経済の健全・公正な競争状態を維持するため、企業・組織の独占的・協調的・不公正な行動を防ぐための法令の総称です。

「公正かつ自由な競争を促進すること」を求め、究極的には「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること」を目的としたものが独占禁止法であるといえるでしょう。

有識者検討会の報告書を公表

『公正取引委員会』は『経済の憲法』と呼ばれる独占禁止法を執行する内閣府の外局です。

同委員会は20188月、競争政策研究センター(CPRC)内に「人材と競争政策に関する検討会」を設置しました。これはフリーランスが働きやすい環境を実現するために『人材獲得をめぐる競争』に対する独占禁止法の適用について検討を行う組織です。

同検討会の設置から半年間で6回に渡って議論を行い、20192月に報告書が公表され、フリーランスと企業・組織の関わりに独占禁止法がどう適用されるかを多面的かつ詳細に明らかにしています。

今後の日本でフリーランスに関わる独占禁止法適用のスタンダードになっていく土台が書かれていますので、理解を深めておくと良いでしょう。

対象となる人とは

今後の日本ではフリーランスの働き方に独占禁止法はどう関わってくるのでしょうか。まずは独占禁止法の適用対象になる個人・組織を見てみましょう。

業務委託契約を結んでいる人

有職者検討会の報告書では「個人として働く者」としてフリーランスを代表格に挙げ『役務提供者』と呼び、企業などの『発注者』との関係を論じています。

発注者の都合で不利益を受けかねないフリーランス間の自由競争を守るため、発注者が行う人材獲得競争にかかる共謀や不当な就業条件などが独占禁止法の適用対象になるケースを明らかにしているのです。

「個人として働く者」はエンジニア・編集者・ライター・デザイナー・アーティスト・芸能人など多岐に渡り、発注者と雇用契約でなく『業務委託契約』を結ぶ者を想定しています。

独占禁止法の規制内容を知ろう

では具体的には何が規制内容になるのでしょうか。

規制内容は主に、『自由競争減殺』『競争手段の不公正さ』『優越的地位の濫用』の観点から判断されていることを念頭において見てみましょう。

秘密保持義務及び競業避止義務

発注者が『秘密保持義務』や『競業防止義務』を合理的かつ必要な範囲でフリーランスに課すことは認められていますが、この範囲を逸脱すれば規制対象になるでしょう。

逸脱するケースとは、当該義務について発注者が事実と異なる説明を行ったり十分な説明を行わないままその履行を強いている場合や、優越的地位にある発注者が課す当該義務がフリーランスに不当に不利益を与える場合です。

専属義務

フリーランスが契約した内容の仕事に専念させるためや、フリーランスの育成に要した費用を回収する目的で、合理的かつ必要な範囲で『専属義務』を課すことは認められます。しかしやはりこの範囲を逸脱するなら規制対象となるでしょう。

事実と異なる説明を行ったり十分な説明を行わないまま専属義務を課したり、フリーランスがNOと言えない立場であることを利用して離さないようにするなら規制対象となる形です。

役務提供に伴う成果物の利用等の制限

フリーランスの役務成果物の利用については、独占禁止法では他の発注者が商品・サービスを供給することを困難にさせるという自由競争減殺の観点から規制される場合があります。

例えばフリーランスの製作物を製作者の名を出さないように義務付けられることや、実装したプログラムを他の発注者に提供することを禁じることです。

また、フリーランスの著作権を無償あるいは不当に安い価格で譲渡するよう求めることや肖像権の独占的利用などがこれに当たります。

実態より優れた取引条件

発注者がフリーランスに事実と異なる優れた取引条件を提示したり、契約に関わる条件を十分に明らかにせずフリーランスを欺いて取引させようとすることは規制対象となります。

直感的独占禁止法では競争手段の不公正さという観点から規制する形になるでしょう。

発注者の収益の確保・向上を目的とする行為

代金の支払遅延・代金の減額要請・成果物の受領拒否や、不当に低い対価での取引要請、成果物に関する権利などの一方的取り扱いは優越的地位の濫用にあたるため規制されます。

また、発注者との取引とは別の取引により、フリーランスが得ている収益の譲渡の義務付けも想定される規制対象となります。

まとめ

日本ではフリーランスはまだまだその定義やロールモデルの認識が浸透しているとはいえず、不当な取り扱いを受けてしまうケースもあるかもしれません。

しかしここまで見てきたようにフリーランスが働きやすい社会を実現するために政府も法整備からしっかりと仕組み作りを進めています。

今はまだフリーランスが日本に根付きはじめている状態で何かと不安もあるかもしれません。想定されるリスクを認識した上で、しかし国からも守られていくのだという期待感を持ってこれからの働き方を考えていけると良いのではないでしょうか。


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