“神山らしさ”に出会うコワーキングスペース『神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス』

徳島県神山町にある、元縫製工場をリノベーションした「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」。「コンプレックス」の愛称で親しまれ、様々な人が行き交う“神山らしさ”を感じながら、普段と違う働き方をお試しできます。今回は運営スタッフの認定NPO法人グリーンバレー 砂田様にお話を伺いました。

「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」とは?

成長するオフィス

ここは空き家になっていた縫製工場をリノベーションし、2013年1月にオープンしたコワーキングスペースです。神山でアート事業や移住相談などに取り組む認定NPO法人グリーンバレーが運営しています。

コンセプトは「成長するオフィス」。異なる業種・才能を持った個人や企業、そして地域との交流を通して、神山発の新しいサービスやビジネスを生み出すことを目的としています

人も、事業も、この場所も、お互いに出会い、成長するオフィスであり、「また神山に行きたくなる」ひとつの理由になる場所を目指しています

余白から成長を続ける独自の空間

改修してくれた建築家の方が初めてこの建物を見たとき、今まで神山で見てきた他の建物とは異なる違和感を感じたそうです。その原因は、工場だったこの場所は少し整いすぎていて、本来の「場所の力」が去勢されてしまっているのではないか、ということでした。

場において機能や性能を充足しようとすると、それ以外の与件は排除する方が効率的です。しかしその排除されうる欠落、「何かが足りない」ということこそが、機能的な充足だけでは感じることのない生々しく力強い場所の力の源になり、私たちがその場所を愛する大きな要因になります

そこで改修予算が少なかったことも逆手に取り、あえて「残す」デザインを試みました。オフィスとして設える部分は限定し、工場の大空間はほとんど手付かずで残して、これからの展開に合わせた「成長するオフィス」をオープンさせました。

そしてその余白には7年半の間、様々な人の手と時間が加えられ、オフィスだけれど「屋根のかかった広場」のような、今日の独自の空間が作り上げられてきたと思います

神山を体験する

  • 真向かいにある眼下に鮎喰川を臨む宿泊施設「WEEK神山」に滞在すれば、徒歩30秒で神山町で暮らし・働くことを体験できます
  • 併設されているデジタル工作工房「神山メイカースペース(KMS)」は、移住してきたクリエイターを中心に運営組織され、会員になると誰でもレーザーカッターや3Dプリンターなどを活用して、様々なものづくりをすることができます
  • 隣の敷地には、有機野菜とチャボを育てている「おひーさんの農園 チーノ」があり、レンタル畑「ノラ上手」で野菜の作り方を教えてもらいながら、誰でも神山に自分の畑を持ち野菜づくりを楽しめます

利用者の声

元縫製工場をリノベーションした、「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」。秋冬にかけては薪ストーブが焚かれ、燃えている炎がいい感じ。山あいの町にある、サテライトオフィスの集積地でもありますが、人が集う場にもなっていて。この「あたたかさ」にまつわる温度感が、人が過ごす場所にとって、とても大事なんじゃないかと感じています。

出典:温度が大事だと思う理由|藤本 彩 様

コンプレックス神山はコワーキングスペースとしての運用や、企業や自治体、大学などのオフィスとしても使われているようです。フリーアドレスで好きな場所で仕事ができるようです。

出典:もくdev 開発合宿 徳島 神山町|shohei 様

今後の「働き方」の変化

自分の働き方改革

例えば、リモートワークは今まで一部の人しかできない働き方だと思われがちでしたが、今回のコロナの影響で一般企業に勤めている人達の間でも多く実践されたと思います。

今後定着するかは企業や人によって様々と思いますが、確実に働き方の選択肢の一つとして広く認知されました。

そんな風に、今までリモートワークをしたことがなくても、実際にやってみると「場所の制約」から解放されることにメリットを感じた人がいるように、今後は会社勤めをしながら副業をすること、暮らしと仕事の境目をなくすことなど、働き方には多くの選択肢があることがより認知され、自分の働き方改革にチャレンジする人が増えると思います。

すでに神山には、様々な暮らし方・働き方を実践する人たちが集まっています。それを身近に知ることができるのも、ここのコワーキングスペースの面白いポイントです。

「コンプレックス」が提供出来る価値

ここはオフィス入居メンバーを中心にしたコミュニティだけでなく、併設するデジタル工作工房と筋トレルームのメンバー、隣のレンタル有機農園メンバー、近所の高校生、たまに寄ってくれる地元のおじちゃんなど、様々な人が行き交い、まだら模様にコミュニティが重なっています。

そこに「神山らしさ」を感じますし、この場所の魅力を作ってくれていると思います。また見学自由なので、初めて神山に来た人に寄ってもらいやすさもある。なのでここは、まちと人をゆるく接続する「広場」的な存在としてあり続けたいですね。

もちろんコワーキングスペースなので仕事が捗ったりビジネスが生まれることも目指していますが、まずはここで「一緒にいる」時間を過ごしてもらい、色んな関係性が育まれていくといいなと思います

「理想の働き方」とは?

自分が大切にしたいもの

理想の働き方は人ぞれぞれだと思いますが、私が神山に来るきっかけをくれた「神山塾」という職業訓練プログラムでは、「自分で決めた、自分の在り方を大事にする働き方」を実現できるように、「自分が大切にしたいものは何か?」をじっくりと探る時間を過ごさせてくれました

私の前職は24時間シフト制の職場で体調を崩しがちでしたが、神山に来て「心身ともに健やかさを保てる環境」が一番自分の求めていたことだと気づきました。

一番大切にしたいことを手放さない働き方ができれば、新しい仕事の展開にも納得感をもって取り組めるように感じています。

働き方を「お試し」してみる

何かを選びとっていく時には「お試しできること」が重要だと思います。

理想的なイメージがあったとしても、実際にやってみると想像と違っていたり、別の良い方法があることに気づいたりすることは、日常生活でもよくあることですよね。

「新しい働き方・暮らし方を実践する」なんて思うと気持ちが身構えてしまいますが、思い切って休日の二日間だけでもお試ししてみると、色んな気づきがあると思います

今の働き方はより多様になっていますし、その実践をサポートしてくれるサービスも充実してきています。そんな風に、自分の理想的な働き方のトライアル&エラーの場としても、ぜひ地域のコワーキングスペースを活用してみてほしいです。

スタッフが語る「コンプレックス」の魅力

私がこの場所と接点を持ったのは、「神山塾」の教室としてでした。

初めて中を見た時には、大きなガラス張りの会議室や神山杉で作った家具や薪ストーブが印象的でおしゃれな空間!と感じましたが、通ううちに、誰かがものづくりしている痕跡がそこかしこに感じられたり、全国からいろんな人が見学や利用しに訪れて談笑していたりと、全体的に自由でリラックスした雰囲気が気に入るようになりました。

そして何より、この場所にいると面白い人たちに出会えるのが楽しかった

ちょうど卒塾のタイミングで募集があったコミュニティマネージャーに就任し、2年が経ちますが、今も日々新しい出会いがあって飽きないですね。

設備・入会方法

設備

神山の豊かな自然に囲まれながら、快適な通信環境でリモートワークができます。気軽なドロップイン利用から、固定席をもったサテライトオフィスの拠点にまで、幅広くご利用いただけます。スペースの貸し出しも行なっています。

  • 席数(フリー40席/固定22席)
  • 個室 3ブース
  • 会議室 2部屋
  • 高速WiFi 完備/ホワイトボード/プロジェクター/プリンター/共有キッチン/ネスカフェドルチェ

※設備の利用は、有料と無料があります。

※詳細はWEBサイトをご覧ください。

入会方法

ご見学やドロップイン・メンバー利用をご希望の場合は、WEBサイト、もしくは公式Facebookページへお問い合わせください。

  • ドロップイン (利用可能時間:平日9:00〜17:00)

    1日(8時間) 1,000円、半日(4時間) 500円

  • 契約メンバー (利用可能時間:24時間365日)

    自由席:月額8,250円(1ヶ月から利用OK)、固定席:月額15,400円、ボックス席月額33,000円

羽田から徳島空港まで1時間、さらに徳島空港から神山まで車で1時間と、実は東京から日帰りできてしまう距離にありますでも、せっかくお越しの際には、ぜひ一泊して神山の面白さを体感していってください。いつでも、お待ちしております!

(撮影:生津勝隆/ Masataka Namazu、認定NPO法人グリーンバレー)

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