ネットワークの設計や構築、運用を続けてきて、年収1,000万円は今の延長で届く額なのか、それとも担当の範囲を変えないと届かない額なのかを知りたい人は多いはずです。
公的統計でネットワークの技術者が入る区分の年収を年齢・企業規模・役職の有無で分け、Offers に掲載されたネットワークの業務を含む正社員求人で、1,000万円が年収の幅のどこに置かれているかを並べました。
ネットワークの経験を軸に、次に狙う求人と身につける技術を決めるための材料です。
ネットワークの技術者が入る統計の区分の年収は609.8万円
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で、通信ネットワークの技術者が入る「その他の情報処理・通信技術者」の年収を換算すると609.8万円です(企業規模10人以上・男女計・平均年齢42.2歳。毎月きまって支給する給与の12か月分と年間賞与などの合計を編集部が算出)。
年齢別では55〜59歳の777.8万円が最も高く、従業員1,000人以上の企業に限ると50〜54歳の788.2万円が最も高い値です。区分全体の平均を企業規模計と1,000人以上で見るかぎり、最も高い年齢でも700万円台にとどまり、1,000万円には届きません。
年齢 | 企業規模計(10人以上) | 1,000人以上 |
|---|---|---|
25〜29歳 | 452.7万円 | 495.7万円 |
30〜34歳 | 548.9万円 | 606.5万円 |
35〜39歳 | 604.1万円 | 653.5万円 |
40〜44歳 | 680.5万円 | 719.4万円 |
45〜49歳 | 702.1万円 | 764.1万円 |
50〜54歳 | 724.5万円 | 788.2万円 |
55〜59歳 | 777.8万円 | 752.7万円 |
出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」をもとに年収換算は編集部が算出(その他の情報処理・通信技術者・男女計)。
年齢別の表は、同じ人の年収の推移ではなく、年齢ごとに働いている人の平均を並べたものです。平均の下には1,000万円を超える人も含まれますが、ネットワークの技術を続けていれば自然に届く額ではないことが、統計の平均から読み取れます。
通信ネットワークの技術者は統計で「その他の情報処理・通信技術者」に入る
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の職業分類対応表(2026年3月更新)では、「電気通信技術者」が厚生労働省編職業分類の「通信ネットワーク技術者」に当たり、賃金構造基本統計調査では「その他の情報処理・通信技術者」に対応します。「運用・管理(IT)」も同じ区分です。
一方で、IT の基盤を設計する「システムエンジニア(基盤システム)」は、「システムコンサルタント・設計者」という別の区分に対応します。ネットワークを扱う仕事でも、統計の上では運用・通信の技術者と、基盤の設計者が別々に数えられています。
企業規模で年収換算は116.2万円変わる
「令和7年賃金構造基本統計調査」の企業規模別の値で「その他の情報処理・通信技術者」の年収を換算すると、従業員1,000人以上の企業で639.4万円、100〜999人で621.4万円、10〜99人で523.2万円です(全年齢・男女計・編集部算出)。1,000人以上と10〜99人の差は116.2万円で、年間賞与などは1,000人以上で142.0万円、10〜99人で74.6万円でした。
企業規模 | 年収換算 | うち年間賞与など |
|---|---|---|
企業規模計(10人以上) | 609.8万円 | 110.8万円 |
1,000人以上 | 639.4万円 | 142.0万円 |
100〜999人 | 621.4万円 | 101.2万円 |
10〜99人 | 523.2万円 | 74.6万円 |
出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」をもとに年収換算は編集部が算出(その他の情報処理・通信技術者・男女計)。
基盤の設計者の区分は40代の平均で1,000万円を超える
「令和7年賃金構造基本統計調査」で「システムコンサルタント・設計者」の年収を換算すると889.0万円で、年齢別では40〜44歳で1,189.0万円、45〜49歳で1,226.3万円と、平均で1,000万円を超えます(企業規模10人以上・男女計・編集部算出)。「その他の情報処理・通信技術者」の同じ年齢の680.5万円・702.1万円とは大きく離れています。
年齢 | システムコンサルタント・設計者 | その他の情報処理・通信技術者 |
|---|---|---|
25〜29歳 | 641.6万円 | 452.7万円 |
30〜34歳 | 866.1万円 | 548.9万円 |
35〜39歳 | 968.1万円 | 604.1万円 |
40〜44歳 | 1,189.0万円 | 680.5万円 |
45〜49歳 | 1,226.3万円 | 702.1万円 |
50〜54歳 | 1,103.7万円 | 724.5万円 |
55〜59歳 | 1,163.8万円 | 777.8万円 |
出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」をもとに年収換算は編集部が算出(企業規模計・男女計)。
2つの区分には、ネットワーク以外の職業も入っています。「システムコンサルタント・設計者」には IT コンサルタントやプロジェクトマネージャ(IT)も含まれるため、差のすべてがネットワークの設計の有無で説明できるわけではありません。
役職者を除いても設計者の区分は836.5万円
役職者を除いた表で換算すると、「その他の情報処理・通信技術者」は565.1万円で、役職者を含む609.8万円より44.7万円低くなります(企業規模計・男女計・平均年齢40.6歳・編集部算出)。「システムコンサルタント・設計者」は役職者を除いても836.5万円、従業員1,000人以上の企業では976.4万円です。
区分 | 役職者を含む | 役職者を除く |
|---|---|---|
その他の情報処理・通信技術者・企業規模計 | 609.8万円 | 565.1万円 |
その他の情報処理・通信技術者・1,000人以上 | 639.4万円 | 587.4万円 |
システムコンサルタント・設計者・企業規模計 | 889.0万円 | 836.5万円 |
システムコンサルタント・設計者・1,000人以上 | 1,010.4万円 | 976.4万円 |
出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第1表・職種第3表(役職者を除く)をもとに年収換算は編集部が算出(男女計)。
統計の上では、役職者を含むかどうかの差より、区分の差のほうが大きく出ています。区分の差には、基盤を設計する工程を担うかどうかに加えて、区分に含まれる職種の構成の違いも含まれます。エンジニア全体の職種区分と、給与所得者全体で1,000万円を超える人の割合は「エンジニアの年収1,000万円」で扱いました。
ネットワーク業務を含む求人の一部は上限が1,000万円以上
Offers に掲載されたインフラ・SRE(サイト信頼性エンジニアリング)系の正社員求人のうち、求人本文にネットワークの設計・構築やネットワーク機器(Cisco・ファイアウォール・BGP など)の語がある求人では、提示年収の上限が1,000万円以上の求人が36.0%で、上限の中央値は856万円、下限の中央値は472万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=86・2023年11月〜2026年9月公開)。
提示年収は、求人が示す年収の幅です。下限は求人の要件を満たす人に示す額の下端、上限は経験と役割が合う人に出せる額の上端を指します。統計の平均では届かない1,000万円も、ネットワークの業務を含む求人の一部では、年収の幅の上側に入っています。この割合は、集計した期間に掲載されていた求人の顔ぶれによって上下する目安です。
提示年収の上限 | 割合 |
|---|---|
800万円未満 | 32.6% |
800万〜1,000万円未満 | 31.4% |
1,000万〜1,200万円未満 | 23.3% |
1,200万〜1,500万円未満 | 7.0% |
1,500万円以上 | 5.8% |
上限が800万円以上の求人は67.4%です。下限の中央値は500万円に届かないため、提示年収の幅は広く、どの額が示されるかは経験と担う範囲で決まります。求人の年収の幅の読み方は「モデル年収と求人の年収例の読み方」で詳しく扱いました。
ネットワークを含むインフラの正社員求人がどの技術・事業にあるかは、Offers Jobs のインフラエンジニア求人一覧で条件を絞って確かめられます。求人一覧はログインなしで検索できます。
自動化の語がある求人は上限1,000万円以上が48.5%
ネットワークの業務を含むインフラ・SRE 系の正社員求人のうち、Terraform・Ansible・Kubernetes など構築や運用を自動化する技術の語がある求人(33件)は、上限1,000万円以上が48.5%で、語が無い求人(53件)の28.3%を上回りました。上限の中央値は900万円と819万円です(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=86・2023年11月〜2026年9月公開)。
オンプレミス・データセンターの語がある求人(30件)は、上限1,000万円以上が13.3%、上限の中央値が750万円で、語が無い求人(56件)の48.2%・900万円と差が開きました。
ネットワークの業務を含む求人の本文の語 | 年収記載のある求人 | 上限の中央値 | 上限1,000万円以上 |
|---|---|---|---|
自動化の語がある | 33件 | 900万円 | 48.5% |
自動化の語が無い | 53件 | 819万円 | 28.3% |
オンプレミス・データセンターの語がある | 30件 | 750万円 | 13.3% |
オンプレミス・データセンターの語が無い | 56件 | 900万円 | 48.2% |
この比較は、語が出てくる求人と出てこない求人の提示年収の違いを見たものです。自動化の技術を使えれば年収が上がるという因果を示すものではなく、差には募集する会社の事業や規模、開発体制の違いも含まれます。
それでも表の並びは、ネットワークの経験に加えて、構成をコードで管理する自動化の技術の語がある求人のほうが、1,000万円が年収の幅に入りやすい傾向を示しています。クラウドへ担当を広げる先の職種は「クラウドエンジニアの仕事内容とキャリアパス」が詳しい記事です。
構成をコードにした範囲と変わったことを書く
自動化の語がある求人では、ネットワーク機器やクラウドの設定を手作業で変えた経験に加えて、構成をコードで管理する仕組みを誰が作ったかが問われます。職務経歴書には、コードに置き換えた対象(ネットワーク機器の設定・VPC やサブネットの構成・監視の設定など)、置き換える前のやり方、置き換えた後に変わったこと(構築にかかる時間・設定ミスの件数・レビューの方法)を、チームの成果と分けて書くのが基本です。
オンプレミスの経験はクラウドとの接続の設計で生かす
オンプレミスのネットワークを設計・構築してきた経験は、拠点やデータセンターとクラウドをつなぐ構成、冗長化や経路の設計を説明する材料になります。経歴には機器の名前を並べるだけでなく、どの要件からどの構成を選んだかを書くと、クラウドの設計を任せる求人にも経験の中身が伝わります。スキル欄の書き方の例は「職務経歴書のスキル欄の書き方」にまとめました。
クラウドの上でネットワークを設計し、構成をコードで管理する正社員求人が、どの経験にどの年収の幅を示しているかは、Offers Jobs のクラウドエンジニア求人一覧で見比べられます。担ってきた範囲に近い求人を選ぶと、次に狙う年収帯が具体的になります。
統計の年収換算と求人の提示年収は測っているものが違う
「令和7年賃金構造基本統計調査」の年収換算は、実際に働いている人に支払われた給与と賞与の平均です。Offers の提示年収は、転職者を迎える側が求人で示した年収の幅で、入社後に支払われた額ではありません。統計は「同じ区分で働く人の平均」、求人は「転職したときに示される年収の幅」を見るものとして使い分けます。
求人の上限1,000万円は、経験と役割が合う人への額で、応募すれば上限が示されるわけではありません。ネットワークエンジニアが年収1,000万円を転職で狙うなら、求人本文が求める範囲(機器の運用までか、構成の自動化までか)と自分の経験を突き合わせ、上限が1,000万円を超える求人の条件にどこまで当たるかを確かめるのが近道です。
インフラ・SRE 系の求人の職種名や技術ごとの年収帯は「インフラエンジニアの年収」で扱いました。統計の区分の平均も、年齢と勤め先の規模が近い行を物差しにしてください。

