コーディングテストは、実務経験の長いエンジニアでも油断できない選考です。日々の開発では設計やレビューに時間を使っていても、制限時間の中でアルゴリズムの問題を解く機会はほとんど無いからです。

選考のどこでコーディングテストを受けるのかを Offers の正社員求人のデータで確かめ、出題の形式ごとの準備、面談で聞いておくこと、本番での解き方を、転職を考える経験者エンジニアに向けてまとめました。

コーディングテストは転職の選考で技術の実力を確かめる試験

コーディングテストは、応募者に実際にコードを書いてもらい、職務経歴書や面接の受け答えだけでは分からない技術の実力を確かめる選考です。転職の選考では、書類選考やカジュアル面談の後、面接の前後に置かれることが多く、結果が次の面接の材料になります。中途の選考で見られるのは、問題を解けたかどうかに加えて、解き方の選び方、コードの読みやすさ、考えた道筋を説明する力です。

出題の形式はオンライン試験・ライブコーディング・持ち帰り課題の3つ

コーディングテストの形式は、オンラインの自動採点の試験、面接官の前でコードを書くライブコーディング、数日の期限で課題を作って提出する持ち帰り課題の3つに分かれます。形式によって準備の中心が変わるため、受ける前にどの形式かを確かめておくと、練習の時間を無駄にしません。

形式

進め方

見られやすい点

準備の中心

オンライン試験

決められた時間内にブラウザ上で問題を解き、テストケースで自動採点される

正しさ・計算量・時間内に解き切る力

時間を計って問題を解く練習

ライブコーディング

画面共有や対面で、面接官と話しながらコードを書く

考えた道筋の説明・質問への対応・詰まったときの立て直し

声に出しながら解く練習

持ち帰り課題

小さなアプリや API を期限までに作り、リポジトリで提出する

設計・テスト・README・コミットの分け方

実務と同じ品質で小さく作り切る練習

評価されるのは正しさに加えて計算量・読みやすさ・説明

コーディングテストの評価は、答えが合っているかだけでは決まりません。入力が大きくなっても時間内に動く計算量になっているか、変数名や関数の分け方が読みやすいか、境界の値や空の入力を扱えているか、なぜその書き方を選んだかを説明できるかまでが見られます。

経験者の選考で特に比重が大きいのは説明です。入社後にコードレビューや設計の議論をする相手として、考えを言葉にして伝えられるかを確かめる場でもあるためです。正しく動くコードを書いても、選んだデータ構造の理由を聞かれて答えられなければ、評価は伸びません。

エンジニア職の求人の1割がコーディングテストを課す

Offers に載るエンジニア職の正社員求人のうち、選考工程(求人票の選択項目)にコーディングテストを置く求人は10.0%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=1,606・2022年3月〜2026年10月公開の正社員求人・2026年10月集計)。工程の選択項目には入れず、選考の流れの説明文に「技術課題」「コーディングテストを実施する場合がある」と書く求人を含めても、エンジニア職の求人の11.8%です(同調べ・n=1,882)。

コーディングテストを課す求人は多数派ではありませんが、10件に1件の割合で選考に入っている計算です。2026年10月5日時点で公開中の求人だけに絞ると4.6%(同調べ・n=587)と低く、割合は時期や集計の範囲で変わる値です。どの会社が課すかは求人ごとに違うため、応募の前に選考の流れの欄を読んで確かめてください。

コーディングテストは面接より前か1次面接の後に置かれることが多い

コーディングテストを選考工程に置く求人では、工程の並びで面接より前に置く求人が60.9%、1次面接の後が32.3%、2次面接以降は6.8%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=161・2026年10月集計)。コーディングテストの前にカジュアル面談を置く求人は63.4%で、カジュアル面談の次にコーディングテスト、その結果を見て面接という流れが目立ちます。

コーディングテストの置き場所

求人の割合(n=161)

上位3社を除いた割合(n=118)

面接より前

60.9%

46.6%

1次面接の後

32.3%

44.1%

2次面接以降

6.8%

9.3%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・選考工程にコーディングテストを置くエンジニア職の正社員求人・2026年10月集計。

求人の件数が多い上位3社の43件は、すべて面接より前に置いていました。上位3社を除くと、面接より前と1次面接の後がほぼ半々になります。会社の数で見ても、コーディングテストを置く50社のうち25社が主に面接より前、21社が1次面接の後でした。

転職する側にとっての意味は、準備を応募の後に始めると間に合わない場合があることです。面接より前に置く会社では、書類選考やカジュアル面談の数日後に受験の案内が届きます。コーディングテストのある会社に応募するなら、応募を決めた時点で練習を始めておくのが安全です。

試験の形式や時間を求人票に書く会社はわずか

コーディングテストの形式や所要時間を求人票に書く会社はほとんどありません。選考にコーディングテストや技術課題がある Offers のエンジニア職の求人(66社)のうち、選考の流れの説明に「オンラインコーディングテスト」「Home Work などの課題の提出」のような形式まで書く会社は4社で、コーディングの試験の所要時間を書く会社はありませんでした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=223・2026年10月集計)。

形式が分からないまま練習すると、オンライン試験向けの問題演習ばかりして、持ち帰り課題で設計やテストの書き方を問われる、といったずれが起きがちです。カジュアル面談や選考の案内のメールで、次の点を聞いておくと準備の的を絞れます。

  • 形式(オンライン試験・ライブコーディング・持ち帰り課題のどれか)と、制限時間か提出の期限
  • 使える言語と、エディタや実行環境の指定の有無
  • 公式ドキュメントの参照・検索・生成AIの支援ツールを使ってよいか
  • 結果が次の面接でどう扱われるか(コードを面接官と振り返る場があるか)

選考の流れを質問するのは失礼ではなく、準備に真剣な応募者として受け取られます。面談での質問の仕方は「カジュアル面談の準備と当日の流れ」でも扱いました。

Offers は、エンジニア・デザイナー・PdM の正社員求人を探せ、経歴を登録すると企業からスカウトが届くサービスです。気になる求人の選考の流れを読み比べ、コーディングテストの有無と置き場所を応募の前に確かめておくと、準備の順番を決めやすくなります。

練習は苦手の特定・基本の反復・本番の形式での練習の順に進める

経験者のエンジニアがコーディングテストに備えるときは、最初に本番と同じ時間制限で問題を解いて苦手を見つけ、次に頻出のデータ構造とアルゴリズムを使い慣れた言語で書けるようにし、最後に本番の形式に合わせた練習をする、という順で進めると無駄が少なくなります。仕事で使う技術の知識は既にあるので、学び直しの範囲を苦手に絞れるのが経験者の強みです。

最初に苦手な分野を本番と同じ時間制限で確かめる

練習の最初の1回は、解説を読まずに、本番と同じ制限時間で数問を解いてみてください。時間内に解けなかった問題を「解き方が思いつかない」「解き方は分かるが書くのが遅い」「書けたが境界の値で間違える」に分けると、次に何を練習すべきかが見えます。

LeetCode や AtCoder のような練習サイトは、問題の難易度や分野で絞り込めるので、苦手な分野だけを集中して解くのに便利です。どのサイトを使うかより、同じ分野の問題を続けて解き、解けなかった問題を数日後に解き直すことのほうが力になります。

頻出のデータ構造とアルゴリズムを使い慣れた言語で書き直す

コーディングテストで繰り返し出るのは、配列と文字列の操作、ハッシュ(辞書・集合)を使った探索、スタックとキュー、ソート、二分探索、木やグラフの探索(幅優先・深さ優先)です。どれも実務で使う機会はありますが、ライブラリに任せていることが多いので、自分の手で書く練習が要ります。

計算量の差が出やすい例が、要素がすでにあるかどうかの判定です。Python の公式 Wiki「TimeComplexity」によると、CPython で list に対する x in s は O(n)、set に対する x in s は平均 O(1)(最悪は O(n))です。重複の判定を list で書くと、入力が大きいオンライン試験では時間切れになることがあります。

# 重複があるかを判定する(list で探すと O(n^2)、set で探すと平均 O(n))
def has_duplicate(nums):
    seen = set()
    for n in nums:
        if n in seen:
            return True
        seen.add(n)
    return False

言語は、普段の業務で一番書き慣れた言語を選ぶのが基本です。応募先が言語を指定する場合を除き、標準ライブラリの使い方を迷わず書ける言語のほうが、時間を問題そのものに使えます。

本番の形式に合わせて声に出す練習と作り切る練習を分ける

ライブコーディングがある会社を受けるなら、問題を解くときに考えていることを声に出す練習をしておきます。黙って解ける人でも、話しながら書くと手が止まりやすいものです。録音して聞き直すか、同僚や友人に面接官役を頼むと、説明が飛んでいる箇所に気づけます。

持ち帰り課題がある会社では、問題演習より、小さなアプリを期限内に作り切る練習が役に立ちます。README(リポジトリに置く説明のファイル)に動かし方と設計で判断したことを書く、テストを付ける、コミットを意味のある単位に分ける、といった仕事の基本がそのまま評価の対象です。

本番では解く手順を言葉にしながら進める

コーディングテストの本番では、問題文の条件を確かめる、素朴な解き方から書く、改善点を説明する、という手順を言葉にしながら進めると、解き切れなかった場合でも評価を拾えます。特にライブコーディングでは、黙って考え込む時間が長いほど、面接官は何を考えているかを評価できません。

問題文の条件と制約を確かめてから書き始める

書き始める前に、入力の大きさ、空の入力や負の数があり得るか、出力の形式を確かめてください。オンライン試験では問題文の制約の欄を読み、ライブコーディングでは面接官に「入力の長さはどのくらいを想定していますか」のように聞きます。入力の大きさが分かれば、どの計算量まで許されるかの見当がつきます。

例を1つ手で解いてから書き始めるのも有効です。手で解いた手順をそのままコードにすれば、思いつきで書き直す回数が減ります。

解けないときは素朴な解き方から書いて改善点を説明する

最適な解き方が思いつかないときは、全部の組み合わせを試すような素朴な解き方を先に書き、動くことを確かめてから改善するのが安全です。何も書けないまま時間が切れるより、動くコードと「この部分を集合に置き換えれば計算量を下げられる」という説明が残るほうが評価されます。

書き終えたら、空の入力や要素が1つの場合などの境界の値で、自分のコードを手で追って確かめてください。オンライン試験では、提出の前に自分でテストケースを足して実行できることが多いので、その機能を使います。

生成AIや検索の使用可否は事前に確かめて規則に従う

コーディングテスト中に公式ドキュメントの参照・検索・生成AIの支援ツールを使ってよいかは、会社ごとに規則が違います。使ってよいと案内されていない道具は使わず、迷ったら受験の前に問い合わせてください。

使ってよい試験でも、出てきたコードを説明できなければ評価にはつながりません。生成AIを使ってよい課題では、どこを任せ、どこを自分で判断して直したかを README や面接で説明できるようにしておくと、実務での使い方を伝える材料になります。

実務の成果物があればコーディングテストの不安を補える

実務経験のあるエンジニアは、コーディングテストの点数だけで評価されるわけではなく、公開できるコードや職務経歴書の実績でも力を示せます。Offers のエンジニア職の求人には、ポートフォリオ(GitHub のリポジトリなど)が充実していれば技術テストを省くと選考の流れに書く会社もありました(Offers(株式会社overflow)調べ・2026年10月集計)。

公開できるコードが無い人は、職務経歴書に、担当した機能の設計判断や性能の改善を数字とともに書いておくと、テストの後の技術面接で話の材料になります。成果物の見せ方は「エンジニアの転職に成果物は必要か」、コーディングテストの後に続く技術面接の準備は「エンジニア面接の技術質問攻略法」で詳しく扱いました。

コーディングテストに落ちたときは形式と原因を切り分ける

コーディングテストで不合格になっても、エンジニアとしての力が足りないと決まったわけではありません。時間内に解き切れなかったのか、解き方が思いつかなかったのか、説明がうまくできなかったのかを切り分けると、次の選考までに直す点が1つに絞れます。

不合格の理由を会社から聞ける場合は、教えてもらえる範囲で聞いておくのが近道です。聞けない場合も、解けなかった問題の分野と形式を書き留めておけば、次の応募先の形式に合わせた練習に役立ちます。

応募の前に確かめておきたい3つのこと

コーディングテストのある選考に臨む前に確かめておきたいのは、選考の流れのどこでテストを受けるか、形式と制限時間、使ってよい道具の3つです。Offers の求人データでは、コーディングテストを置く求人の60.9%が面接より前に置いていました(Offers(株式会社overflow)調べ・n=161・2026年10月集計)。応募を決めた時点で求人票の選考の流れを読み、書かれていない点はカジュアル面談で聞き、その答えに合わせて練習の中身を決めてください。