カジュアル面談の準備で候補者がやることは、自分の仕事を短く話せるようにしておくことと、その会社で確かめたいことを質問の形で用意しておくことの2つです。面接のように志望動機や自己PRを作り込む必要は基本的になく、企業の説明を聞きながら、転職先として検討する材料を持ち帰ることが目的になります。
スカウトや求人をきっかけに面談へ誘われたものの、何を話せばよいのか、どこまで聞いてよいのかが分からず迷う人は少なくありません。面談の進み方、職種ごとの質問の例、年収や働き方の条件の確かめ方、面談の後に何が来るかを、Offers に掲載された求人の選考ステップと公的な資料をもとにまとめました。
カジュアル面談は選考に進む前に企業と候補者が互いを知る場
カジュアル面談は、応募や選考に進む前に、企業と候補者が仕事の中身や働き方について情報を交換する場です。Offers が採用企業向けに公開しているヘルプ記事「カジュアル面談を行う 〜1. 概要編〜」(2023年9月更新)は、カジュアル面談を選考に進む前の相互理解の場と位置づけ、候補者側の目的を、企業の情報を集めて事業やサービスへの理解を深めることと、選考に進む前の不明点を解消することとしています。
同じヘルプ記事は、企業がカジュアル面談で避けるべきこととして、志望動機を聞くこと、履歴書や職務経歴書の提出を求めること、面談の内容で合否を連絡することの3つを挙げています。候補者はまだ応募を決めていない段階なので、志望動機を用意していなくても失礼にはあたりません。
ただし、面談の運び方は企業ごとに違います。求人の選考フローの欄に、面談で話した内容は選考に含めないと書く企業もあれば、カジュアル面談と1次選考を兼ねると書く企業もあります。案内に「カジュアル面談」とあっても選考の要素があるかどうかは企業によるので、面談の前に求人票の選考フローを確かめておくと安心です。面談が実質的な面接だった場合の備え方は「カジュアル面談が実質面接だったときの準備」で扱っています。
カジュアル面談と面接の違いは目的・書類・合否の3点
カジュアル面談と面接は、目的、書類の要否、合否の有無の3点で違います。面接は企業が候補者を評価して合否を決める選考の場で、カジュアル面談は合否を出さずに、企業と候補者が互いを理解するための場です。
項目 | カジュアル面談 | 面接 |
|---|---|---|
目的 | 企業と候補者の情報交換・相互理解 | 企業が候補者を評価する |
話の中心 | 企業側の説明と候補者の質問 | 候補者の経験と受け答え |
書類 | 求められないことが多い | 履歴書・職務経歴書を出す |
志望動機 | 聞かれないことが多い | 聞かれる |
合否 | 出さない | 出す |
出所: Offers ヘルプセンター「カジュアル面談を行う」(2023年9月更新)をもとに編集部作成。
Offers のエンジニア・デザイナー・PdM の正社員求人の67.9%が選考ステップにカジュアル面談を含む
Offers に掲載されたエンジニア・デザイナー・PdM の正社員求人のうち、選考ステップを記載した求人の67.9%がカジュアル面談をステップに含んでいました(Offers(株式会社overflow)調べ・n=1,731・2026年10月集計)。カジュアル面談を含む1,175件のうち87.7%は、カジュアル面談を選考ステップの最初に置いています。
カジュアル面談より前に書類選考を置く求人は、1,175件のうち133件(11.3%)でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=1,175・2026年10月集計)。選考ステップの並びで見ると、書類選考をカジュアル面談より前に置く求人は少数です。ただし Offers の採用企業向けヘルプは、面談の前に候補者の Offers のプロフィールを確認するよう企業に勧めているので、書類を出す前でもプロフィールの経歴は読まれることがあります。
選考フローが「書類選考→カジュアル面談」の順になっている求人では面談の前に書類が要るので、応募の前に求人票の選考フローの欄を確かめましょう。
カジュアル面談の当日の流れの一例は30〜45分で4つの段階
カジュアル面談の当日の流れの一例は、30〜45分ほどの時間で、自己紹介、企業と事業の説明、募集しているポジションの説明、質疑応答の順に進む形です。Offers の採用企業向けヘルプ記事「カジュアル面談を行う 〜2. 事前準備・当日編〜」(2023年9月更新)は、30〜45分の面談を想定して次の流れを例に挙げています。
段階 | 目安の時間 | 企業側が話すこと | 候補者がすること |
|---|---|---|---|
1. アイスブレイク・自己紹介 | 5〜10分 | 面談に出る人の役職と経歴、入社したら上司か同僚か人事か | 現職の業務を簡単に話す |
2. 企業説明・事業紹介 | 10〜15分 | 創業の経緯、ミッション、サービス、チームの構成と技術スタック | 気になった点を書き留める |
3. 業務内容の説明 | 5分 | ポジションの業務内容と募集の背景 | 自分の経験との接点を探す |
4. 質問〜終了 | 5〜10分 | 候補者の疑問に答える | 用意した質問をする |
出所: Offers ヘルプセンター「カジュアル面談を行う 〜2. 事前準備・当日編〜」(2023年9月更新)をもとに編集部作成。
時間の配分を見ると、企業と業務の説明(10〜15分と5分)が面談の中心で、候補者がまとめて質問できるのは最後の5〜10分です。冒頭で説明の途中に質問してよいかを確かめ、最後にまとめて聞こうとせず、話題が出たところで聞くのが時間を有効に使うこつです。
聞くべき質問は、面談に出る人が入社後の上司か、同僚か、人事かで変わります。同じヘルプ記事も企業側の自己紹介でこの点を伝えるよう勧めているので、冒頭で相手の立場を確かめておきましょう。求人によっては、選考フローの欄にカジュアル面談の担当者(CTO や現場のマネージャーなど)や形式(オンラインなど)が書かれていることもあります。
カジュアル面談の前に候補者が準備する5つのこと
カジュアル面談の前に候補者が準備するのは、現職の仕事の短い説明、企業とプロダクトの下調べ、確かめたいことの質問リスト、転職の温度感と希望条件の整理、求められたときに出せる職務経歴書の5つです。どれも面接対策のように作り込む必要はなく、面談の時間を情報交換に使うための下ごしらえです。
現職の仕事を1〜2分で話せるようにする
自己紹介は、現職で何を作り、どんな役割を担っているかを1〜2分で話せる長さにまとめておけば足ります。Offers の採用企業向けヘルプは、カジュアル面談で「自己PRをお願いします」のような選考風の聞き方を避け、候補者には現職での業務内容を簡単に尋ねるよう勧めています。
話す順番は、所属と職種、担当しているプロダクトや領域、最近取り組んだこと、面談で聞きたいことの4つが基本です。この順にすると、相手が説明の重点を決めやすくなります。
現在は〇〇株式会社で、〇〇(業界・サービスの種類)のバックエンド開発を担当しています。
チームは〇名で、主に〇〇(言語・基盤)を使い、最近は〇〇の改善に取り組みました。
今日は、〇〇のチームの体制と開発の進め方を伺えればと思っています。
短くても経験が伝わるのは、職種ごとに話の軸を変えたときです。エンジニアは担当領域と技術スタック、関わったシステムの規模を、デザイナーは担当したプロダクトと工程(リサーチ・UI・デザインシステムなど)を、PdM はプロダクトの領域、意思決定の範囲、追っている指標を中心に話しましょう。
企業の事業・プロダクト・技術の発信を調べておく
企業研究は、面談で説明される内容を聞き取るための下調べとして、事業の中身、プロダクト、開発組織の発信の3つを見ておけば十分です。同じヘルプ記事のシリーズは、企業に面談の前日までに会社紹介資料やプロダクトの紹介記事を候補者へ送るよう勧めているので、届いた資料があれば必ず目を通しておきましょう。
- コーポレートサイトと採用ページ(ミッション、事業、会社紹介資料)
- プロダクトそのもの(無料で使える範囲で実際に触る)
- テックブログ、デザインブログ、登壇資料、公開しているリポジトリ
- 直近のプレスリリース(資金調達、新しい事業、提携)
- 求人票(業務内容、募集の背景、選考フロー)
調べながら、分からなかったことや意外だったことを書き出しておくと、そのまま質問の候補になります。
確かめたいことを優先順位つきの質問にしておく
質問は、転職先を選ぶときに自分が重視する軸から逆算して、優先順位をつけて書き出しておくのが基本です。前述のヘルプ記事の例では最後の質疑の時間は5〜10分なので、全部は聞けない前提で上から順に聞けるようにしておくと、面談の後に判断材料が足りないという事態を防げます。具体的な質問の例は次の章にまとめました。
転職の温度感と希望条件を言葉にしておく
企業は面談の冒頭で、候補者がどこに興味を持ったのか、転職をどのくらい具体的に考えているのかを聞くことがあるので、今の温度感を正直に答えられるようにしておくことが大切です。前述のヘルプ記事も、面談の最初に候補者の温度感や気になっていることを聞くよう企業に勧めています。
「情報収集の段階で、半年以内に動くかを考えている」「条件が合えば早めに動きたい」のように、時期と状態を一言で言える形にしておくと、企業側も説明の重点を合わせやすくなります。希望する年収の幅や働き方の条件も、譲れないものと調整できるものに分けて整理しておくと、条件の質問をするときに迷いません。
職務経歴書は求められたら出せる状態にしておく
カジュアル面談の前に職務経歴書を求められることは多くありませんが、面談の後に書類選考へ進む求人があるので、求められたらすぐ出せる状態に整えておくと選考に早く進めます。Offers の求人では、カジュアル面談の次のステップが書類選考の求人が27.6%ありました(Offers(株式会社overflow)調べ・n=912・2026年10月集計)。
Offers の採用企業向けヘルプは面談の前に候補者の Offers のプロフィールを確認するよう企業に勧めているので、職務経歴書を出す前でもプロフィールの経歴を最新の内容にしておきましょう。
面談の前に履歴書が要るかは「カジュアル面談で履歴書は必要か」、エンジニアの職務経歴書の構成は「エンジニアの職務経歴書の書き方」にまとめました。経歴を手早く整理したいときは、エンジニアと PdM に特化した Offers の職務経歴書作成・添削サービス(β版・無料)で、キャリアコンサルタントによる30分のオンラインインタビューをもとに職務経歴書を作成できます。転職を決める前の経歴の棚卸しにも使えるサービスです。
カジュアル面談で聞く質問は判断したいことから選ぶ
カジュアル面談で聞く質問は、入社を判断するために知りたいことから選ぶのが近道です。求人票や採用ページで分かることを聞き直すより、仕事の進め方、チームの課題、評価のされ方など、中で働く人に聞かないと分からないことを優先すると、面談の時間を判断材料に変えられます。
判断したいこと | 質問の例 |
|---|---|
入社後の仕事 | このポジションの人に、最初の半年で期待していることは何ですか |
チームの状態 | チームの人数と役割の分担、いま一番困っていることを教えてください |
仕事の進め方 | 企画から公開まで、誰がどの順番で決めていますか |
評価とキャリア | 評価はどの単位で、何を基準に決まりますか |
働き方 | リモートと出社の割合、チームでよく使う連絡の手段は何ですか |
選考の流れ | 選考に進む場合、この後はどのようなステップになりますか |
相手が答えやすい質問の中心は、面談の相手が人事なら制度や選考の流れ、現場のマネージャーやエンジニアなら仕事の進め方やチームの課題です。
エンジニアが確かめておきたい質問
エンジニアは、技術スタックの名前より、開発の進め方と技術的な負債への向き合い方を聞くと、入社後の働き方が具体的に見えます。技術スタックは求人票や技術ブログで分かることが多いので、そこから一歩進んだ質問を用意しましょう。
- リリースの頻度と、デプロイまでの流れ(コードレビュー、テスト、CI/CD)
- 技術的な負債の量と、改善に使える時間の取り方
- 障害対応やオンコールの体制
- 技術選定を誰がどう決めているか
- プロダクトマネージャーやデザイナーとの関わり方
デザイナーが確かめておきたい質問
デザイナーは、デザインが意思決定のどの段階から関わるのかと、制作の範囲を聞いておくと、期待される役割とのずれを防げます。
- ユーザーリサーチや要件定義に、どの段階から参加するか
- UI の制作と、ブランド・グラフィックの制作の比重
- デザインシステムの有無と、運用している人
- デザインのレビューを誰がするか、デザイナーは何人いるか
- 成果をどの指標や観点で振り返っているか
PdMが確かめておきたい質問
PdM は、意思決定の範囲と、プロダクトの方針を誰が持っているかを聞くと、任される権限と責任の釣り合いを確かめられます。
- ロードマップと優先順位を決める権限の範囲
- 経営や事業部門と方針をすり合わせる場
- 追っている指標と、直近の目標
- 開発チームの人数と、PdM 1人が担当する範囲
- データ分析の環境と、ユーザーの声を集める仕組み
年収や働き方の条件はカジュアル面談で確かめてよい
年収や勤務地、業務の範囲といった条件は、カジュアル面談で確かめてかまいません。厚生労働省の求職者向けリーフレット「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」(2023年6月作成)は、労働条件の一部を求人の後で示す場合でも、原則として面接などで求職者と最初に接触する時点までに全ての労働条件が明示されることになっているとし、明らかになっていない条件がないか面接等で企業に確かめることが大切だとしています。
同じリーフレットによると、2024年4月から、企業が求職者に示す労働条件に、従事する業務の変更の範囲と就業場所の変更の範囲が加わりました。変更の範囲には将来の配置転換などの見込みも含まれるので、求人票に書かれていなければ面談で聞いておくと判断に役立ちます。
聞き方は、「差し支えなければ、このポジションの年収の幅を教えていただけますか」のように求人の条件として尋ねると、自然に話題にできます。カジュアル面談は自分の希望額を交渉する場ではないので、交渉は選考が進んでからのオファー面談などで行いましょう。
カジュアル面談の服装と環境は案内に合わせる
カジュアル面談の服装は、企業から「服装自由」と案内されていれば普段仕事をするときの清潔な服装でよく、案内がなければシャツやジャケットなどのオフィスカジュアルを選ぶと場違いになりません。迷ったら、面談の日程を調整するときに服装の指定があるかを聞いておくと確実です。
オンラインの面談では、通信、カメラとマイク、背景と明るさを前日までに確かめ、案内された URL から入れるかも試しておきます。在職中なら、勤務先のパソコンやアカウント、会議室を使わないのが基本です。対面の面談では、受付の方法と所要時間を確かめ、余裕を持って到着しましょう。
カジュアル面談で避けたい振る舞い
カジュアル面談で避けたいのは、質問を用意せずに説明を聞くだけで終わること、現職の機密に触れる話をすること、条件の話だけで時間を使い切ることの3つです。カジュアル面談は選考ではないとされていても、面談の内容は社内で共有されることがあります。Offers の採用企業向けヘルプ記事「カジュアル面談を行う 〜3. 終了後の流れ編〜」(2023年9月更新)は、企業に面談の議事録や所感を面談の管理画面や採用管理システム(ATS)に記録し、次の担当者に引き継ぐよう勧めています。
質問がないまま終わると、企業からは転職への関心が薄いように見え、自分の側も判断材料を持ち帰れません。現職の話をするときは、開発中の機能、顧客名、売上などの公開されていない情報を伏せ、自分の役割と工夫したことを中心に話すのが無難です。条件の質問は大切ですが、仕事の中身を聞かずに条件だけを尋ねると、面談の目的である相互理解が進まないまま時間が終わってしまいます。
カジュアル面談の後は次のステップに合わせて準備する
カジュアル面談の後に選考へ進むなら、次に来るのが1次面接か書類選考かを確かめ、それに合わせて準備します。Offers に掲載されたエンジニア・デザイナー・PdM の正社員求人で、カジュアル面談の後のステップまで書いた912件のうち、次のステップは1次面接が62.3%、書類選考が27.6%、コーディングテストが5.0%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=912・2026年10月集計)。
次のステップ | 割合 | 準備すること |
|---|---|---|
1次面接 | 62.3% | 面接の日程の候補、志望の理由と経験の説明 |
書類選考 | 27.6% | 職務経歴書・履歴書 |
コーディングテスト | 5.0% | テストの形式と使う言語の確認 |
2次面接 | 2.5% | 1次面接と同じ準備 |
出所: Offers(株式会社overflow)調べ・カジュアル面談の後のステップまで書いた正社員求人 n=912・2026年10月集計。
同じ912件のうち83.2%は、カジュアル面談より後に面接を2回以上置いていました。カジュアル面談では志望動機を問われなくても、選考に進めば面接で志望の理由を聞かれるので、面談で聞いた話のうち心が動いた点を書き留めておくと、志望の理由を組み立てる材料になります。
Offers の採用企業向けヘルプは、企業に面談のお礼のメッセージをなるべく当日中に送り、選考に誘うよう勧めています。企業から連絡が来たら、選考に進むか、検討の時間がほしいか、見送るかを返しましょう。選考に進みたいと伝えるメールの例文は「カジュアル面談後に選考へ進むメール例文」にまとめました。
カジュアル面談から話を始められる求人を探すなら、Offers に経歴を登録しておくと、企業から直接スカウトのメッセージが届くことがあり、エンジニア・デザイナー・PdM の正社員求人の面談に進めます。
カジュアル面談の準備の要点
カジュアル面談の準備は、現職の仕事を1〜2分で話せるようにし、確かめたいことを優先順位つきの質問にしておけば、面接のような作り込みは要りません。Offers の求人ではカジュアル面談を選考ステップの最初に置く形が多く、書類選考を面談より前に置く求人は少ないので、職務経歴書は求められたら出せる状態に整えておけば足ります。ただし面談の前に Offers のプロフィールが企業に読まれることはあるので、プロフィールの経歴は最新にしておきましょう。
当日は、Offers の採用企業向けヘルプが例に挙げる30〜45分ほどの面談の中で、企業の説明を聞きながら仕事の進め方やチームの課題を質問し、年収や業務の範囲などの条件も遠慮せずに確かめましょう。面談の後は、次のステップが1次面接か書類選考かに合わせて準備を進めると、選考に進むと決めたときに手戻りがありません。

