組み込み開発に近い2区分の年収換算は578万〜704万円
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で、組み込み開発の仕事が重なる2つの職種区分の年収換算は、ソフトウェア作成者が約578.5万円、電気・電子・電気通信技術者が約703.9万円です(企業規模10人以上・男女計を Offers Magazine 編集部が年収換算)。
ファームウェアや制御ソフトの設計・実装が中心の人はソフトウェア作成者の水準に、回路や機器そのものの設計まで担う人は電気・電子・電気通信技術者の水準に近いと読めます。
職種区分 | 平均年齢 | 毎月の給与 | 年間賞与など | 年収換算 |
|---|
ソフトウェア作成者 | 37.1歳 | 39.08万円 | 109.51万円 | 578.5万円 |
電気・電子・電気通信技術者 | 42.1歳 | 44.86万円 | 165.62万円 | 703.9万円 |
出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」(企業規模計・男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。
年収換算は、毎月の給与(きまって支給する現金給与額)の12か月分に年間賞与などを足した概算です。
2つの区分の差は125.4万円ありました。ただし平均年齢も電気・電子・電気通信技術者の方が5歳上なので、差のすべてを仕事の違いと読むのは早計です。
組み込み開発の仕事が重なる2つの職種区分
厚生労働省「賃金構造基本統計調査 職種一覧と解説」で組み込み開発に近い区分は、ソフトウェアの仕様決定・設計・プログラミングを担うソフトウェア作成者と、電気設計や情報機器の開発を担う電気・電子・電気通信技術者の2つです。
ソフトウェア作成者の仕事の概要には、基本ソフトウェアとアプリケーションソフトウェアの両方の開発が含まれると書かれています。
職種区分 | 含まれる職種の例 | 組み込み開発で近い仕事 |
|---|
ソフトウェア作成者 | テクニカルスペシャリスト、プログラマー、社内システムエンジニア | ファームウェア・ドライバ・制御ソフトの設計と実装 |
電気・電子・電気通信技術者 | 電気設計技術員、情報機器開発技術者、制御盤設計技術者、半導体製品製造技術者 | 回路や基板を含む機器の設計と開発 |
実際の組み込みエンジニアは、ハードウェアの仕様を読みながらソフトウェアを書くため、2つの区分の境目にいることが多い職種です。自分の仕事がソフトウェアの実装寄りか、機器の設計寄りかで、当てはまる統計の水準を選ぶと相場を読み違えにくくなるはずです。
企業規模で見る2つの区分の年収換算
同じ統計を企業規模別に年収換算すると、1,000人以上の企業ではソフトウェア作成者が約640.9万円、電気・電子・電気通信技術者が約749.7万円で、どちらの区分も企業規模が大きいほど高い結果でした。
企業規模 | ソフトウェア作成者 | 電気・電子・電気通信技術者 |
|---|
1,000人以上 | 640.9万円 | 749.7万円 |
100〜999人 | 555.0万円 | 676.4万円 |
10〜99人 | 518.2万円 | 597.6万円 |
出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」(男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。
同じ組み込み開発でも、勤め先の規模が変わるだけで年収換算は100万円以上動きます。転職先を比べるときは、職種名より先に企業規模と賞与の扱いを確かめると、提示年収の差の理由を読み取りやすくなります。
年齢で見るソフトウェア作成者の年収換算
令和7年賃金構造基本統計調査の年齢階級別の値を編集部が年収換算すると、ソフトウェア作成者は25〜29歳で約484.7万円、35〜39歳で約636.0万円、45〜49歳で約729.2万円で、40代後半から50代は700万円台で横ばいでした。
年齢 | 年収換算 |
|---|
25〜29歳 | 484.7万円 |
30〜34歳 | 559.5万円 |
35〜39歳 | 636.0万円 |
40〜44歳 | 686.3万円 |
45〜49歳 | 729.2万円 |
50〜54歳 | 722.4万円 |
55〜59歳 | 719.5万円 |
出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」(ソフトウェア作成者・企業規模計・男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。
20代後半から30代後半までは5歳ごとに約75万円ずつ上がり、40代後半で伸びが止まる形です。統計の平均を見る限り、年齢を重ねるだけでは年収800万円の水準に届きにくいことが分かります。
ソフトウェア作成者の毎月の給与の分布
同じ統計の分布特性値では、ソフトウェア作成者の所定内給与額(残業代や賞与を除いた毎月の給与)の中位数は32.95万円で、下から1割の境目が24.34万円、上から1割の境目が50.88万円です。
出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第17表」(企業規模計・男女計)を Offers Magazine 編集部が万円に換算。
中位数32.95万円は、同じ区分の所定内給与額の平均35.68万円より低く、毎月の給与の真ん中は平均の印象より低めです。自分の月給がこの分布のどこにあるかを先に見ておくと、賞与の大きい会社と小さい会社を比べるときにも基準がぶれません。
組み込み職の求人の年収帯は中央値550万〜900万円
Offers に掲載された組み込み・制御ソフトの正社員求人20件の提示年収は、下限の中央値が550万円、上限の中央値が900万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した、題名に組み込み・制御ソフトの職種名がある正社員求人 n=20・2022年9月〜2026年3月公開)。
上限が800万円以上の求人は20件中14件、1,000万円以上の求人は7件です。
組み込みエンジニアの正社員求人は、Offers Jobs の組み込みエンジニアの求人一覧で探せます。求人一覧のカードには各求人の年収・雇用形態・勤務地が出るので、会員登録なしで年収帯の見比べが可能です。
年収の階級 | 下限がこの階級の求人 | 上限がこの階級の求人 |
|---|
400万円未満 | 4件 | 0件 |
400万〜599万円 | 6件 | 1件 |
600万〜799万円 | 9件 | 5件 |
800万〜999万円 | 1件 | 7件 |
1,000万円以上 | 0件 | 7件 |
下限で最も多い階級は600万〜799万円(9件)で、上限は800万円以上に多く集まっています。求人の下限の中央値550万円は、統計のソフトウェア作成者の年収換算578.5万円に近い水準です。
一方で上限の中央値900万円は、統計の2つの区分のどちらの年収換算も上回ります。求人の年収の幅は、経験の深さや担う範囲に応じて上限まで提示できるように組まれていると考えられます。
比較として、Offers の正社員求人全体で年収を記載した3,289件では、下限の中央値が540万円、上限の中央値が970万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=3,289・2022年3月〜2026年10月公開)。組み込み職の求人は、下限は全体とほぼ同じ水準です。
組み込みエンジニアの年収に差が出る2つの条件
統計の数字から読める年収の差の出どころは、担う仕事がソフトウェア寄りか機器の設計寄りかと、勤め先の企業規模の2つです。
担う仕事の区分では、統計のソフトウェア作成者と電気・電子・電気通信技術者で年収換算が125.4万円離れていました。企業規模では、どちらの区分も1,000人以上の企業が最も高く、10〜99人の企業との差は100万円を超えます。
2つのうち、転職で自分から動かしやすいのは企業規模です。担う仕事の区分は、今の経験の延長で決まる部分が大きいためです。
C++ を使う組み込み・制御系の求人で求められるスキルは「C++エンジニアの転職」で、年収1,000万円の求人に届く条件は「組み込みエンジニアが年収1,000万円に届く条件」で扱っています。
自分の年収を相場と比べる手順
自分の年収を相場と比べるときは、今の年収を毎月の給与の12か月分と賞与の合計に直し、年齢の近い統計の値と、求人の年収の下限・上限の両方に当てると位置が分かります。
- 源泉徴収票の支払金額か、毎月の給与の12か月分に賞与を足した額を出す
- 上の年齢別の表(ソフトウェア作成者)で、自分の年齢階級の年収換算と比べる
- 求人の年収帯の表で、下限と上限のどの階級に自分の年収が入るかを見る
統計の平均より高く、求人の下限の中央値550万円も上回っているなら、今の経験は求人の上限側の提示を狙える位置にあります。統計の平均を下回るなら、同じ経験でも企業規模を変えることで提示額が変わる余地があります。
比べた結果を実際の求人で確かめたいときは、Offers Jobs の組み込みエンジニアの求人一覧で、自分の経験に近い求人の年収帯を見比べてください。