20代のエンジニアの年収は、同じ年齢でも担う工程と勤め先の規模で大きく変わります。平均年収の記事を読んでも、自分の年収が高いのか低いのか、転職したらどのくらいの求人に応募できるのかは見えにくいままです。

公的統計で20代の年収を職業の区分と企業規模ごとに分け、Offers に掲載された正社員のエンジニア求人で、必須条件の経験年数によって提示年収がどう変わるかを並べました。開発やインフラの実務を数年続けてきた人が、いまの年収の位置と次に応募する求人の年収帯を確かめるための材料です。

20代エンジニアの統計上の年収は363.0万〜641.6万円

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で、開発を担う人が多く入る「ソフトウェア作成者」の年収を換算すると、20〜24歳で363.0万円、25〜29歳で484.7万円です。システムの設計やプロジェクトの統括を担う「システムコンサルタント・設計者」は、20〜24歳で476.6万円、25〜29歳で641.6万円でした(企業規模10人以上・男女計。毎月きまって支給する給与の12か月分と年間賞与などの合計を編集部が算出)。

年齢

ソフトウェア作成者

システムコンサルタント・設計者

20〜24歳

363.0万円

476.6万円

25〜29歳

484.7万円

641.6万円

30〜34歳

559.5万円

866.1万円

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」をもとに年収換算は編集部が算出(企業規模計・男女計)。

25〜29歳の平均の勤続年数は、ソフトウェア作成者で3.7年、システムコンサルタント・設計者で3.3年です。20代後半は、平均すると同じ勤め先で3年余り働いた時点です。2つの区分の差は20代のうちから開き、30〜34歳ではソフトウェア作成者が559.5万円、システムコンサルタント・設計者が866.1万円になります。年齢別の表は同じ人の年収の推移ではなく、年齢ごとに働いている人の平均を並べたものです。

2つの区分に入る職業

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の職業分類対応表(2026年3月更新)では、「システムエンジニア(Webサービス開発)」「システムエンジニア(受託開発)」「プログラマー」「ソフトウェア開発(スマホアプリ)」が「ソフトウェア作成者」に入ります。「システムエンジニア(基盤システム)」「プロジェクトマネージャ(IT)」「ITコンサルタント」は「システムコンサルタント・設計者」です。

Web サービスやアプリの開発を担う20代の多くは、ソフトウェア作成者の行が物差しになります。職種ごとの年収帯は「システムエンジニアの年収」と「Webエンジニアの年収」で詳しく扱っています。

25〜29歳は勤め先の規模で年収換算に最大236.0万円の差

「令和7年賃金構造基本統計調査」で25〜29歳の年収を企業規模別に換算すると、システムコンサルタント・設計者は従業員1,000人以上の企業で738.1万円、10〜99人の企業で502.1万円となり、差は236.0万円です。ソフトウェア作成者は1,000人以上で539.7万円、10〜99人で433.1万円で、差は106.6万円でした(男女計・編集部算出)。

企業規模(25〜29歳)

ソフトウェア作成者

システムコンサルタント・設計者

1,000人以上

539.7万円

738.1万円

100〜999人

459.1万円

603.8万円

10〜99人

433.1万円

502.1万円

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」をもとに年収換算は編集部が算出(男女計)。

差は毎月の給与と賞与の両方から生じています。25〜29歳のソフトウェア作成者では、毎月きまって支給する給与が1,000人以上の企業で35万6,800円、10〜99人の企業で30万2,300円、年間賞与などが111万5,400円と70万3,100円でした。いまの年収を統計と比べるときは、年齢だけでなく、勤め先の規模が近い行を物差しにすると位置を読み違えにくくなります。

求人は年齢ではなく必須の経験年数で条件を示す

転職の求人では、応募の条件は年齢ではなく経験年数やスキルで示すのが原則です。厚生労働省は「労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)では、事業主に対し、募集・採用において年齢を理由とした制限を設けることを禁止しています」と説明しています(募集・採用における年齢制限禁止について。例外事由は同ページの資料に記載)。

Offers に2026年9月までに掲載された正社員のエンジニア求人で、必須条件に「3年以上」のような経験年数を書いた求人(830件)のうち、求める年数が3年以下の求人は80.2%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=830・2026年10月8日集計)。

20代後半で3年前後の実務経験がある人は、経験年数を書いた求人の多くで必須の年数を満たせる位置です。年齢で応募先を狭めず、必須条件の年数と中身を読んで応募先を選ぶのが現実的です。

必須の経験年数3年の求人は下限の中央値600万円

Offers の正社員のエンジニア求人を必須の経験年数で分けると、提示年収の下限の中央値は、1〜2年以上を求める求人(333件)で450万円、3年以上(333件)で600万円、4〜5年以上(148件)で700万円でした。上限の中央値は800万円・1,000万円・1,100万円です(Offers(株式会社overflow)調べ・2026年10月8日集計)。

必須の経験年数

年収記載のある求人

下限の中央値

上限の中央値

下限600万円以上

下限500万円未満

1〜2年以上

333件

450万円

800万円

21.0%

64.0%

3年以上

333件

600万円

1,000万円

51.4%

17.7%

4〜5年以上

148件

700万円

1,100万円

74.3%

11.5%

記載なし

673件

550万円

1,000万円

-

-

出所:Offers(株式会社overflow)正社員求人のうちエンジニアの職種名の求人(n=1,503・2026年10月8日集計)。

提示年収は、求人が示す年収の幅です。下限は必須条件を満たす人に示す額の下端、上限は経験と役割が合う人に出せる額の上端を指します。統計で25〜29歳のソフトウェア作成者の年収換算は484.7万円で、3年以上を求める求人の下限の中央値600万円は、この平均を上回る位置にあります。ただし統計は働いている人に支払われた額の平均で、求人は転職者に示す年収の幅なので、同じものを測った比較ではありません。

求人の年収の幅の読み方は「モデル年収と求人の年収例の読み方」で詳しく扱いました。

自分の経験年数で応募できる求人の必須条件は、Offers Jobs の公開求人で職種を絞って確かめられます。求人一覧はログインなしで検索でき、求人詳細の必須スキル・経験も登録なしで読めます。

経験3年以下で応募できる求人の年収帯は職種で異なる

必須の経験年数が3年以下の Offers の正社員求人を職種区分で分けると、提示年収の下限の中央値は、バックエンド・Web 開発(278件)で485万円、フロントエンド・モバイル(144件)で500万円、インフラ・SRE(107件)で474万円でした。上限の中央値は800万円・869万円・869万円です(Offers(株式会社overflow)調べ・2026年10月8日集計)。

職種区分(必須の経験年数3年以下)

年収記載のある求人

下限の中央値

上限の中央値

バックエンド・Web 開発

278件

485万円

800万円

フロントエンド・モバイル

144件

500万円

869万円

インフラ・SRE

107件

474万円

869万円

リード職(テックリード・EM 等)

81件

700万円

1,200万円

データ(データエンジニア・データサイエンティスト等)

46件

600万円

1,000万円

出所:Offers(株式会社overflow)正社員求人のうち必須の経験年数が3年以下のエンジニア求人(2026年10月8日集計)。

経験の年数が同じでも、チームを率いる役割やデータの領域を求める求人では、下限の中央値が600万円以上になっています。

20代で年収帯を上げるには担った範囲を経験として示す

Offers の正社員求人では、必須の経験年数が長い求人ほど提示年収の下限の中央値が高く、必須条件に並ぶのは、年数と、担う業務や使う技術です。4〜5年以上を求める求人に応募するときも、年数に加えて、その年数で何を任されたかを書類で示せるかが問われます。

必須条件の年数を自分の経験に当てはめて数える

求人の「3年以上」は、職種の経験年数を指すことも、特定の言語やクラウドの経験年数を指すこともあります。職務経歴書には、言語やクラウドごとに使った期間を分けて書いておくのが確実です。求人の必須条件の年数と、そのまま照らし合わせられるからです。

設計や技術選定を決めた経験を書く

20代のうちでも、機能の設計やデータの設計、ライブラリの選定を自分で決めた経験があれば、担った範囲として書けます。決めた内容とその理由、決めた後に変わったこと(リリースの頻度・障害の件数・レビューの時間)を、チームの成果と分けて書くのが基本です。スキル欄の書き方の例は「職務経歴書のスキル欄の書き方」にまとめました。

転職の時期を経験年数の区切りで考える

Offers の正社員のエンジニア求人では、必須の経験年数は1年・2年・3年・5年で書かれることが多く、4年はわずかです。3年以上を求める求人の下限の中央値は600万円で、1〜2年以上を求める求人の450万円を上回ります。いまの職場で担う範囲を広げてから動くか、区切りを超えた時点で動くかの判断は「エンジニアの転職タイミング」で扱っています。

必須の経験年数と年収帯の組み合わせを職種ごとに見比べるときは、Offers Jobs の公開求人を使ってください。いまの経験年数で応募できる求人と、あと1〜2年で届く求人を分けて見ると、次に狙う年収帯が具体的になります。

統計の年収換算と求人の提示年収は、測っているものが違う

「令和7年賃金構造基本統計調査」の年収換算は、実際に働いている人に支払われた給与と賞与の平均です。Offers の提示年収は、転職者を迎える側が求人で示した年収の幅で、入社後に支払われた額ではありません。統計は「同じ年齢・区分・規模で働く人の平均」、求人は「経験年数と担った範囲に応じて示される年収の幅」を見るものとして使い分けます。

20代のいまの年収を確かめるなら、統計の年齢と企業規模が近い行を物差しにします。転職で狙う年収帯を決めるなら、求人の必須の経験年数と中身を読み、自分の経験がどの条件に当たるかを確かめるのが近道です。30代以降に年収帯を上げる役割は「エンジニアの年収1,000万円の条件」で扱っています。