iOSエンジニアの年収は、勤め先の規模や年齢に加えて、担う役割と転職先の求人が何を求めているかで大きく変わります。公的統計はiOSエンジニアを1つの職種として集計していないため、プログラマーを含む近い職種の統計と、実際の正社員求人が示す年収帯を並べて見ると、相場と上を目指せる条件が見えてきます。
iOSアプリの開発経験を積んだエンジニアにとって知りたいのは、平均値そのものより、今の年収が相場のどこにあり、次の転職でどこまで上げられるかです。統計と求人の両方から、その判断の材料を集めました。
iOSエンジニアの年収の目安
iOSエンジニアの年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の近い職種「ソフトウェア作成者」で見ると平均578.5万円、職種名にiOSを含む正社員求人の提示年収で見ると下限の中央値535万円・上限の中央値1,000万円が目安です。統計の値は、プログラマーや社内システムエンジニアを含む区分の平均で、きまって支給する現金給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を足して編集部が年収に換算しました(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表・男女計)。
求人の側では、職種名にiOSを含み年収を記載した正社員求人38件のうち、上限が1,000万円以上の求人が63.2%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・職種名にiOSを含む正社員求人 n=38・2023年10月〜2026年9月公開)。
求人の提示年収は幅で示されるため、経験者の転職では、上限の側がどこまで開いているかと、自分の経験でその上限に届くかが判断の材料になります。
公的統計で見るiOSエンジニアに近い職種の年収
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で、iOSエンジニアに近い「ソフトウェア作成者」の年収は、企業規模計で578.5万円、1,000人以上の企業で640.9万円、10〜99人の企業で518.2万円でした。区分の平均年齢は37.1歳です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表・男女計をもとに編集部が年収を換算)。
企業規模 | ソフトウェア作成者の年収 |
|---|---|
企業規模計(10人以上) | 578.5万円 |
1,000人以上 | 640.9万円 |
100〜999人 | 555.0万円 |
10〜99人 | 518.2万円 |
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査 職種一覧と解説」は、「ソフトウェア作成者」に含まれる職種の例として、テクニカルスペシャリスト、プログラマー、CG(コンピューターグラフィックス)プログラマー、社内システムエンジニアを挙げています。
iOSアプリを作る仕事はこの区分に近い一方、区分にはWebや業務システムの開発者も入っています。iOSエンジニアだけの平均ではない点を踏まえ、自分の年収を位置づける基準線として使うのが適切です。
年齢階級別に見たソフトウェア作成者の年収
年齢階級別では、「ソフトウェア作成者」の年収は25〜29歳の484.7万円から、35〜39歳で636.0万円、45〜49歳で729.2万円へと上がります(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第5表・男女計・企業規模計をもとに編集部が年収を換算)。
年齢 | ソフトウェア作成者の年収 |
|---|---|
25〜29歳 | 484.7万円 |
30〜34歳 | 559.5万円 |
35〜39歳 | 636.0万円 |
40〜44歳 | 686.3万円 |
45〜49歳 | 729.2万円 |
統計の平均は、年齢を重ねても45〜49歳で700万円台にとどまります。30代で同じ年齢の値を上回っていれば相場より上、下回っていれば転職で見直す余地がある、という目安として読めます。
正社員求人で見るiOSエンジニアの年収帯
職種名にiOSを含む正社員求人は、提示年収の下限の中央値が535万円、上限の中央値が1,000万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・職種名にiOSを含む正社員求人 n=38・2023年10月〜2026年9月公開)。
年収を記載した正社員求人の全体(540万円〜970万円)と比べると、上限の側が高い位置にあります(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=3,266・2022年3月〜2026年9月公開)。
求人の区分 | 求人数 | 下限の中央値 | 上限の中央値 | 上限が800万円以上 | 上限が1,000万円以上 |
|---|---|---|---|---|---|
職種名にiOSを含む | 38件 | 535万円 | 1,000万円 | 92.1% | 63.2% |
職種名にAndroidを含む | 50件 | 535万円 | 1,000万円 | 82.0% | 58.0% |
年収を記載した正社員求人の全体 | 3,266件 | 540万円 | 970万円 | 77.9% | 47.5% |
下限の中央値535万円は統計の平均578.5万円を下回り、38件中22件は下限が578.5万円より低い値でした。求人の提示年収は下限と上限の間に幅があり、同じ求人でも上限に近い額を示されるかどうかは、これまでの経験をどう伝えるかで変わる、というのが編集部の見方です。
iOSに関わる正社員求人は、Offers JobsのiOSの求人一覧で、会員登録なしで求人ごとの雇用形態・勤務地や、記載のある求人の年収を見比べられます。
iOSエンジニアの求人が求める技術と年収
職種名にiOSを含む正社員求人の本文には、Swiftに加えて、Kotlin、アーキテクチャ(設計方針)、SwiftUIといった語が、年収を記載した正社員求人の全体より高い割合で出てきます。Kotlinは57.9%、アーキテクチャは50.0%、SwiftUIは39.5%の求人にありました(Offers(株式会社overflow)調べ・職種名にiOSを含む正社員求人 n=38・2023年10月〜2026年9月公開)。
求人の本文に出てくる語 | iOSの求人に占める割合 | 年収を記載した正社員求人の全体 |
|---|---|---|
Swift | 92.1% | 9.9% |
Kotlin | 57.9% | 11.5% |
CI/CD(継続的インテグレーションと継続的デリバリー。Bitrise・fastlane・GitHub Actions など) | 55.3% | 16.8% |
アーキテクチャ | 50.0% | 21.5% |
SwiftUI | 39.5% | 0.7% |
Flutter | 34.2% | 7.2% |
Objective-C | 31.6% | 1.6% |
アーキテクチャの語がある求人19件の上限の中央値は1,100万円で、語の無い求人19件の900万円を上回りました。語の有無だけで分けた比較のため、この差には求人の職位の違いも含まれます。Kotlinが57.9%、Flutterが34.2%の求人に出てくることから、iOSだけでなくAndroidを含む複数のOS(オペレーティングシステム)にまたがる開発に触れてきた経験も、応募できる求人を広げる材料です。
Swiftの経験を求める正社員求人は、Offers JobsのSwiftの求人一覧でも探せます。言語の側から見た年収の相場は「Swiftエンジニアの年収相場と正社員求人の年収帯」で扱っています。
年収1,000万円に届くiOSエンジニアの条件
編集部の見立てでは、iOSエンジニアが年収1,000万円に届く条件は、アプリの設計方針を決める役割を担うこと、上限が1,000万円以上の求人を選ぶこと、その上限に届く根拠を経験で示すことの3つです。職種名にiOSを含む正社員求人の63.2%は上限が1,000万円以上で、アーキテクチャの語がある求人の上限の中央値は1,100万円でした(いずれも前の節の集計)。
公的統計の「ソフトウェア作成者」は45〜49歳の平均でも729.2万円で、年齢を重ねるだけでは1,000万円に届きません。年収の幅が広い求人で上限の側を示してもらうには、次のような経験を規模の数字と合わせて伝えることが材料になります。
- アプリ全体の設計方針(MVVM・TCA などのアーキテクチャ)を選び、チームに浸透させた経験
- UIKitからSwiftUIへの移行や、Objective-Cの既存コードの置き換えを計画して進めた経験
- CI(継続的インテグレーション)とCD(継続的デリバリー)の仕組みの整備やテストの自動化で、リリースの頻度や品質を上げた経験
- Android側のエンジニアと仕様をそろえ、両方のOSの開発をまとめた経験
テックリードやエンジニアリングマネージャーへ進む道もあります。設計とチームの両方に責任を持つ役割は、求人の上限の側を示してもらう根拠を経験として積みやすい立場です。
iOSエンジニアのキャリアパスと年収
iOSエンジニアのキャリアは、iOSの専門性を深めるスペシャリスト、設計と技術判断を担うテックリード、チームを率いるエンジニアリングマネージャー、AndroidやFlutterを含めたモバイル全体を担う道の4つに分かれます。どの道でも、担う範囲を広げてきた経験が、転職で年収の上限の側を示してもらう材料になる、というのが編集部の見方です。
進む道 | 担う範囲 | 年収を上げる材料 |
|---|---|---|
スペシャリスト | SwiftUI・パフォーマンス・アクセシビリティなどの深い専門 | 難しい課題を解いた実績と、その効果の数字 |
テックリード | アプリ全体の設計方針と技術選定 | アーキテクチャの判断とチームへの浸透 |
エンジニアリングマネージャー | 採用・育成・開発の進め方 | チームの規模と成果 |
モバイル全体 | iOS・Android・Flutterをまたぐ開発 | 複数OSの設計をまとめた経験 |
隣の職種の年収は「Androidエンジニアの年収相場と正社員求人の年収帯」、クロスプラットフォームの求人が見るスキルは「Flutterエンジニアの資格と年収、求人が見るスキル」で確かめられます。
iOSエンジニアの将来性と求人の求める経験
iOSエンジニアの求人は、iOSアプリの実装に加えて、SwiftUIへの移行やAndroidとの連携といった周辺の経験を合わせて求める形になっています。職種名にiOSを含む正社員求人では、SwiftUIの語が39.5%、Kotlinの語が57.9%の求人にありました(Offers(株式会社overflow)調べ・職種名にiOSを含む正社員求人 n=38・2023年10月〜2026年9月公開)。
SwiftUIとUIKitの両方の語がある求人も7件あり、既存のアプリを保ちながら画面の作り方を新しい仕組みへ移していく仕事が、iOSエンジニアに任される場面は続くと編集部はみています。iOSの経験を軸に、設計の判断と他のOSとの連携を積み重ねていくことが、将来の選択肢と年収の両方を広げる道筋です。
モバイル全体の需要の見通しは「モバイルエンジニアの将来性と需要・年収・転職のポイント」で扱っています。
iOSエンジニアが転職で年収を上げる進め方
iOSエンジニアが転職で年収を上げるには、自分の年収を統計の年齢と企業規模で位置づけ、上限の側が開いた求人を中心に比べ、応募書類で担った範囲と判断を具体的に書く、という順で進めます。
- 前の節の統計で、同じ年齢・同じ企業規模の「ソフトウェア作成者」の年収と今の年収を比べる
- 求人を比べるときは、提示年収の上限と、本文にアーキテクチャやSwiftUIなど自分の経験と重なる語があるかを確かめる
- 職務経歴書には、担当したアプリの規模、設計方針を選んだ理由、移行や自動化で変えたことを数字と合わせて書く
- 提示年収の幅が示されたら、上限の側に届く根拠を経験から示して交渉する
職務経歴書の書き方は「エンジニアの職務経歴書の書き方」、提示年収の交渉は「転職時の給与交渉のタイミングとプロセス」で扱っています。

