転職を考え始めたエンジニアが迷うのは、「今の経験年数で動いてよいのか」「年齢的にいつまでに動くべきか」「1年のうちいつ動くと求人が多いのか」の3つです。どれも周りの体験談で語られやすい一方、求人の条件や統計で確かめる機会は多くありません。

Offers に公開中の正社員求人の必須条件と年収、2年分の求人の公開月、厚生労働省の転職者の統計をもとに、キャリアの段階ごとの動きどきと、時期の選び方を整理しました。動く前に済ませておく準備も扱います。

経験年数ごとの転職の時期は必須条件の年数が目安になる

エンジニアが転職に動くタイミングは、応募したい求人の必須条件に書かれた経験年数に届いたかが目安の1つになります。Offers に公開中の正社員求人で比べると、年収の上限の中央値は、必須条件の経験年数が2年以下の求人で735万円、3年の求人で975万円、4年以上の求人で1,010万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・公開中の正社員求人・n=924・2026年10月8日時点)。

必須条件の経験年数

件数

年収の下限の中央値

年収の上限の中央値

上限800万円以上の割合

2年以下

190件

450万円

735万円

48.4%

3年

211件

540万円

975万円

74.4%

4年以上

100件

700万円

1,010万円

91.0%

記載なし

423件

540万円

1,000万円

74.0%

出所:Offers(株式会社overflow)公開中の正社員求人の必須条件と年収の集計(2026年10月8日時点・n=924)。

表の924件のうち423件は、必須条件に年数の記載が無い求人です。年数の記載が無い求人の年収は、上限の中央値が1,000万円、上限800万円以上の割合が74.0%で、3年の求人と同じ水準でした。年数の条件が書かれていない求人も応募先の候補に入るので、年数だけで動く時期を決めず、業務内容と必須スキルで届くかを確かめましょう。

年数は「Go での開発経験3年以上」のように特定の技術や役割の経験を指すことも多く、通算の開発経験とは限りません。自分の経験も技術や役割ごとに数え直しておくと、どの区分の求人に届いているかを判断しやすくなります。

ジュニアエンジニア(経験0〜3年)は満3年で応募できる求人が広がる

経験3年未満のエンジニアは、経験が満3年に届くと応募できる求人と年収の幅が広がります。上の表で、必須条件の経験年数が3年の求人は211件あり、年収の上限の中央値は2年以下の求人より240万円高い975万円でした。

満3年まで数か月なら、届いてから応募すると選べる求人が増えます。一方、教育の仕組みやレビューの文化がなく自分で学ぶしかない、運用・保守だけで新しい技術に触れられない、といった状況が続くなら、満3年を待つあいだに伸ばせる経験が少なくなります。2年以下の求人にも上限800万円以上の求人が48.4%あり、年数の記載が無い求人もあるので、今の環境で積める経験と照らして決めましょう。3年目の転職の進め方は「3年目のエンジニアの転職と何歳までの目安」で詳しく扱っています。

ミドルエンジニア(経験3〜7年)は4年以上を求める求人で年収の下限が上がる

経験3〜7年のエンジニアは、必須条件に4年以上を求める求人に届くと、年収の下限が上がります。必須条件の経験年数が4年以上の求人は、年収の下限の中央値が700万円で、下限が800万円以上の求人が31.0%ありました。3年の求人では下限の中央値が540万円、下限800万円以上は12.8%です。

この段階で転職を考えるきっかけになりやすいのは、担当が特定の領域に限られてシステム全体を見る経験が積めない、設計や技術選定に関われない、リードのポジションが埋まっている、といった状況です。設計や技術選定、チームのリードを今の職場で経験できるかを確かめ、積めないと分かった時点を動く時期の目安にします。

シニアエンジニア(経験7年以上)は年数より役割で求人を選ぶ

経験7年以上のエンジニアの転職は、経験年数ではなく、テックリードやエンジニアリングマネージャーといった役割で求人を選ぶ段階です。Offers に公開中の正社員求人で、必須条件に7年以上の経験を書いた求人は5件でした。タイトルにテックリード・エンジニアリングマネージャー・VPoE・CTO などリード職の語がある求人は74件で、年収の上限の中央値は1,150万円、そのほかの求人は900万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の記載がある公開中の正社員求人・n=937・2026年10月8日時点)。

技術的な意思決定に関われない、事業や経営との距離が遠い、CTO や VPoE への道が社内に無い、といった状況は、役割を変える転職を考えるきっかけになります。リード職の求人は件数が限られるため、気になる企業の求人が出たときに応募できるよう、職務経歴を整理しておくことが動く時期を早めます。

経験年数ごとの年収の幅を、実際の求人で確かめるのに向いているのが Offers Jobs の求人一覧です。エンジニア・デザイナー・PdM の正社員求人を職種や技術の条件で絞り込め、一覧のカードで年収を、求人詳細の業務内容・必須スキル/経験を会員登録なしで見られます。

転職で賃金が増えた人の割合は40代後半まで4割を超える

年齢ごとに見ると、転職で前職より賃金が増えた人の割合は、20代後半から40代後半まで4割を超えています。厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」によると、2025年に転職した人のうち賃金が増加した割合は25〜29歳で49.8%、45〜49歳で41.1%でした。50〜54歳では増加29.4%に対して減少が42.0%です。

年齢

賃金が増加した割合

賃金が減少した割合

25〜29歳

49.8%

23.9%

30〜34歳

48.6%

29.0%

35〜39歳

43.5%

23.9%

40〜44歳

44.9%

27.4%

45〜49歳

41.1%

30.1%

50〜54歳

29.4%

42.0%

55〜59歳

25.5%

38.9%

出所:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」表6 転職入職者の賃金変動状況別割合(2025年)。

この値は全産業・全職種の転職者のもので、エンジニアに限ったものではありません。前年の令和6年の同じ調査では、50〜54歳でも賃金が増加した割合が39.0%で、減少の28.2%を上回っていました。年齢の区切りは年によって動くので、年齢だけで急ぐより、前の節で見た経験年数と役割で届く求人を確かめるほうが判断の材料になります。30代の転職で求められることは「30代のエンジニアの転職」が参考になるので、合わせて読んでみてください。

1年の中で求人が多い月は年によって入れ替わる

1年のうち正社員求人が多く公開される月は、年によって入れ替わります。Offers の正社員求人を公開月で数えると、最も多かった月は2024年10月〜2025年9月が5月(15.6%)、2025年10月〜2026年9月が3月(15.5%)でした(Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人・n=1,298・2026年10月8日時点)。

公開月

2024年10月〜2025年9月

2025年10月〜2026年9月

1月

7.2%

10.2%

2月

6.3%

8.2%

3月

5.5%

15.5%

4月

12.2%

10.1%

5月

15.6%

4.2%

6月

10.9%

7.0%

7月

6.5%

5.4%

8月

8.1%

5.6%

9月

7.5%

9.2%

10月

4.1%

10.4%

11月

7.6%

8.3%

12月

8.5%

5.7%

出所:Offers(株式会社overflow)正社員求人の公開月の集計(2024年10月〜2026年9月・n=1,298)。

転職の時期として「2〜3月と8〜9月に求人が増える」と言われることがありますが、Offers の正社員求人では、8月と9月はどちらの年も上位3か月に入りませんでした。

月で求人の多さを読むのは難しいので、時期は自分の準備が整う時期と、次に挙げる賞与や引き継ぎの都合から決めるのが現実的です。

賞与の支給日と退職日の関係は就業規則で確かめる

賞与を受け取ってから退職したいときは、賞与の支給日と支給の条件を就業規則で確かめてから退職日を決めます。会社によっては、支給日に在籍していることを賞与の支給の条件にしています。退職の申し出の時期も就業規則に定めがあるので、支給日と合わせて逆算し、応募と面接の時期を置きましょう。

プロジェクトの区切りも、退職日を決める材料になります。担当したプロジェクトをリリースまで見届けると、職務経歴書に成果として書けることが増え、引き継ぎもしやすくなります。

入社したい企業が決まっているなら募集が出たときに動く

入社したい企業が決まっている場合は、時期を選ぶより、その企業の募集が出たときに応募できる状態を保つことが先です。リード職や新規事業の立ち上げのポジションは、組織の変化に合わせて不定期に募集されます。企業の採用ページや求人サービスで定期的に確かめ、職務経歴書をいつでも出せるようにしておきましょう。

転職のタイミングを決める前に進める準備は3つ

転職のタイミングを決める前に進める準備は、キャリアの目標を決めること、自分の経験で届く求人と年収の幅を確かめること、職務経歴を棚卸しすることの3つです。準備が済んでいれば、求人が出た時期に合わせて動けます。

  1. キャリアの目標を決める: 次の職場で伸ばしたい技術、担いたい役割(テックリード・マネジメント・専門職)、関わりたい事業を書き出す。目標が決まると、応募する求人の条件を絞れる
  2. 届く求人と年収の幅を確かめる: 気になる求人を何件か並べ、必須条件の年数が通算か特定の技術かを読み分ける。今の年収と、求人票の年収の下限・上限を比べる
  3. 職務経歴を棚卸しする: 担当した工程、チームやサービスの規模、使った技術、自分の判断で変えたことと結果をプロジェクトごとに書き出す

棚卸しした内容を職務経歴書にまとめる方法は「エンジニア転職で差別化できる経歴書の書き方」、提示された年収を交渉するときの進め方は「エンジニアの転職活動時の給与交渉」で扱っています。

2の求人の確かめに使えるのが、Offers Jobs の求人一覧です。職種や技術の条件で気になる求人を集め、求人詳細の必須スキル/経験を読み比べると、今の経験で届く求人と、あと何年でどの求人に届くかが見えてきます。