UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザー体験)を設計するUI/UXデザイナーの求人では、ユーザーの調査やデザインシステムの整備に触れた求人のほうが、触れていない求人より提示年収の中央値が高めです。デザインと実装の両方を担うUXエンジニアは厚生労働省の賃金構造基本統計調査に独立した区分がなく、この統計の平均だけでは年収の目安をつかみにくい職種です。

ここでは Offers に公開された正社員求人の年収帯と求人本文のスキル要件、厚生労働省の賃金統計を並べ、経験者が年収を上げるためにどの経験を伸ばせばよいかをまとめました。

UI/UXデザイナー求人の提示年収の中央値

Offers に2022年11月〜2026年7月に公開された正社員のUI/UX・プロダクトデザイナー求人では、提示年収の下限の中央値が500万円、上限の中央値が800万円でした。93件のうち、上限が800万円以上の求人は53件、1,000万円以上の求人は25件です(Offers(株式会社overflow)調べ・年収記載のある正社員求人 n=93・2026年10月集計)。

下限は「経験が浅くても応募できる入口」、上限は「経験と役割が合えば出せる額」を示します。上限の中央値800万円は応募者全員に提示される額ではありません(中央値は Offers(株式会社overflow)調べ・n=93)。同じ求人データでは、ユーザーリサーチやデザインシステムの整備に触れた求人のほうが、触れていない求人より上限の中央値が高めでした。

自分の経験で届く年収帯は、実際の求人の下限と上限を見比べると確かめられます。Offers Jobs では、会員登録なしでUI/UXデザイナーを含むIT職のいま募集中の求人を検索し、求人ごとの提示年収を見られます。

賃金構造基本統計調査にはUI/UXデザイナー単独の区分がない

厚生労働省の賃金構造基本統計調査は職種を「デザイナー」1区分で集計しており、この調査からはUI/UXデザイナーだけの平均年収は得られません。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」を Offers Magazine 編集部が年収換算すると、デザイナー(企業規模10人以上・男女計)は約539.6万円で、広告・紙媒体・工業製品のデザイナーも含んだ数字です。

UI/UX・プロダクト職の求人の上限の中央値800万円は公的統計のデザイナー平均を約260万円上回り、下限の中央値500万円は約40万円下回ります。求人が提示する年収の幅と、在職者に支払われた賃金の平均という、性質の違う数字を並べた比較です。企業規模別・年齢別のデザイナーの年収は「デザイナーの年収相場とUX・プロダクトデザイナーの年収帯」で表にしています。

UXエンジニアの年収は統計の平均ではなく求人の年収帯で見る

UXエンジニアの年収は、公的統計の平均よりも、同じ役割を募集する求人の年収帯で見るのが実態に近い職種です。UXエンジニアは、ユーザー体験の設計とフロントエンドの実装を1人で担う職種で、賃金構造基本統計調査に「UXエンジニア」の区分は無く、近い区分としてデザイナーの年収換算約539.6万円と、プログラマーやシステムエンジニアを含むソフトウェア作成者の年収換算約578.5万円の2つが参考になります。

いずれも厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第1表の企業規模計・男女計を、Offers Magazine 編集部が年収換算した値です。

2つの年収換算は、広告・紙媒体のデザイナーや業務システムのプログラマーも含む幅広い職種を平均した値にとどまります。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)にも「UX/UIデザイナー」の項目があり年収の目安が載っていますが、デザインと実装の両方を担う役割を分けて示したものではありません。年収の目安として見るべきなのは平均値ではなく、同じ役割を募集する求人の年収帯です。

近い目安として、求人本文にコーディングの語があるUI/UX・プロダクトデザイナー求人32件は、提示年収の下限の中央値が450万円、上限の中央値が700万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収記載のある正社員求人 n=93・2026年10月集計)。デザイナー求人のうち実装も求めるものの値で、UXエンジニアの求人そのものの年収帯ではない点に注意してください。

Offers ではUXエンジニアという職名の求人は少なく、実装の経験はUI/UXデザイナー求人の条件にも載る

UI/UX・プロダクトデザイナーの求人93件のうち、HTML(HyperText Markup Language)・CSS(Cascading Style Sheets)・React・Vue・TypeScript・JavaScript・コーディングのいずれかの語が必須条件・歓迎条件にある求人は28件、業務内容や開発環境の説明まで含めた求人本文全体では32件でした。

UXエンジニアとして転職先を探すなら、「UI/UXデザイナー」「プロダクトデザイナー」「フロントエンドエンジニア」の求人も検索の対象に入れ、本文の実装要件を確かめると候補が広がります。求人の探し方は「UXエンジニアの転職事情」にまとめています。

UI/UX求人が求めるスキルはFigmaとリサーチが上位

Offers に公開された正社員のUI/UX・プロダクトデザイナー求人93件の本文では、Figma の記載がある求人が72件で最も多く、ユーザーリサーチが39件、デザインシステムが36件、コーディングが32件と続きました(Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人 n=93・2022年11月〜2026年7月公開)。Figma は求人本文に載る件数が最も多いツールで、その先の調査・仕組みづくり・実装の経験は、記載のある求人とない求人に分かれます。

求人本文に載るスキル・ツール

記載のある求人の件数(93件中)

Figma

72件

ユーザーリサーチ(インタビュー・ユーザビリティテストを含む)

39件

デザインシステム

36件

コーディング(HTML・CSS・React・TypeScript など)

32件

生成AI・AI

20件

定量の指標(KPI・A/Bテストなど)

18件

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・求人タイトルに UI・UX・プロダクトデザイナーを含む正社員求人 n=93・2022年11月〜2026年7月公開・2026年10月集計。

Figma 以外の5項目は、いずれも93件中39件以下で半数に届きません。これらの経験は、記載のある求人に応募するときに他の応募者との違いとして示せる材料になると考えられます(求人の記載件数からの編集部の推測です)。

UIデザイナーとUXデザイナーは担当する範囲が違う

UIデザイナーは画面のレイアウト・色・文字・操作の反応といった、ユーザーが直接触れる部分を設計します。UXデザイナーはユーザーリサーチやカスタマージャーニー、情報設計、ユーザビリティテストを通じて、サービス全体の体験を設計する役割です。

求人によっては、両方を1人で担う「UI/UXデザイナー」や「プロダクトデザイナー」として募集される場合がある点も押さえておきたいところです。職種ごとの年収の詳細は「UIデザイナーの年収」と「UXデザイナーの年収」、職種の定義は「UI/UXデザイナーの仕事内容と他のデザイン職との違い」で扱っています。

UI/UXデザイナーが年収を上げる3つの方法

経験者のUI/UXデザイナーが年収を上げる方法は、リサーチから仕様決めまで担当範囲を広げる、デザインシステムの整備を担う、提示年収の上限が高い求人へ転職して成果を数字で示す、の3つです。年収の記載があるUI/UX・プロダクトデザイナー求人のうち、ユーザーリサーチの語がある39件は下限の中央値550万円・上限の中央値850万円で、無い54件の500万円・750万円を上回りました。

デザインシステムの語がある36件も550万円・825万円で、無い57件の500万円・750万円より高い水準です(Offers(株式会社overflow)調べ・年収記載のある正社員求人 n=93・2022年11月〜2026年7月公開・2026年10月集計)。求人本文の語の有無と提示年収の関係を見たもので、経験そのものが年収を押し上げる幅を測ったものではありません。

リサーチから仕様決めまで担当範囲を広げる

ユーザーインタビューやユーザビリティテストを自分で設計し、結果を仕様に落とすところまで担うと、上限の高い求人に応募できる経歴になります。ユーザーリサーチの記載がある求人は93件中39件で、Figma の72件より少ない項目です。記載件数は経験者の数を示すものではありませんが、リサーチを求める求人では、調査を自分で設計した経験が評価の材料になると考えられます。

担当する機能の利用率や継続率を追い、デザインの変更と数字の変化を結び付けて説明できるようにしておくと、評価の場面でも使えます。定量の指標に触れた求人は93件中18件とまだ少数です。

デザインシステムの整備を担い、実装の経験は年収と分けて考える

デザインシステムの整備は、デザイナーとエンジニアの間の受け渡しを減らす経験として求人に載り、記載のある求人は提示年収の中央値も高めです。Offers の正社員のUI/UX・プロダクトデザイナー求人では、デザインシステムの記載がある求人が93件中36件でした。コンポーネントの設計をエンジニアと合意し、運用のルールまで決めた経験は、記載のある求人に応募するときの材料になります。

HTML・CSS・Reactなどの実装の経験は、同じ求人データからは年収を上げる経験とは言えません。コーディングの語がある求人32件は下限の中央値450万円・上限の中央値700万円で、無い求人61件の500万円・800万円を下回り、必須条件・歓迎条件だけで数えても同じ向きでした。求人本文の語の有無と提示年収の関係を見たもので、実装の経験そのものが年収を下げる幅を測ったものではありません。

実装の経験は、UXエンジニアとしての経歴やフロントエンドエンジニアの求人への応募につながるものとして考えるのが実態に近いでしょう。

提示年収の上限が高い求人へ転職し、成果を数字で示す

年収を大きく上げたいなら、提示年収の上限が800万円以上の求人を転職先の候補に入れてください。Offers に公開された正社員のUI/UX・プロダクトデザイナー求人では、上限800万円以上の求人が93件中53件と半数を超えました。

応募の前に、担当した改善ごとに「課題・自分の役割・変更内容・前後の数字」をまとめておくと、面接でも年収交渉でも根拠として使えます。見せ方は「デザイナー転職のポートフォリオ」を、年収を伝えるタイミングは「転職時の給与交渉のタイミングとプロセス」を参考にしてください。

UI/UXデザイナーのキャリアパスの3方向

UI/UXデザイナーの経験を積んだ先の道は、デザインの専門性を深めるリードデザイナーやUXリサーチャー、チームの採用と育成を担うデザインマネージャー、プロダクトの方針を決めるプロダクトマネージャーの3方向に分かれます。どの道でも土台になるのは、担当範囲を画面から事業の成果へ広げてきた経験です。

リードやマネージャーは、メンバーとは別の求人として募集される場合があります。リサーチと事業の指標まで担ってきた人にとっては、プロダクトマネージャーへ進む道も十分に選べる範囲にあります。PdMへの移行を詳しく扱ったのが「プロダクトマネージャーのキャリアパス」の記事です。

UI/UXデザイナー・UXエンジニアの年収の要点

UI/UX・プロダクトデザイナーの正社員求人の提示年収は、下限の中央値が500万円、上限の中央値が800万円です(Offers(株式会社overflow)調べ・年収記載のある正社員求人 n=93・2022年11月〜2026年7月公開)。UXエンジニアは賃金構造基本統計調査に区分がありません。実装の経験は、UI/UXデザイナー求人の必須条件・歓迎条件に載るほか、タイトルにUI/UXを掲げるフロントエンドエンジニアの求人でも求められます。

年収を上げる道は、リサーチから仕様決めまで担当範囲を広げること、デザインシステムの整備を担うこと、提示年収の上限が高い求人へ移って成果を数字で示すことの3つです。実装の経験は、Offers の求人データではコーディングの語がある求人のほうが提示年収の中央値が低く、年収を上げる経験とは言えません。まずは自分の経験に合う求人の年収帯を確かめ、今の年収との差を知るところから始めてください。