React や TypeScript で画面を作り続けてきて、年収1,000万円はフロントエンドのままで届く額なのか、別の役割に移らないと届かない額なのかを知りたい人は多いはずです。

年収1,000万円に届くスキルや役割を挙げる記事はあっても、役割ごとに上限1,000万円以上の求人の割合を数で比べた記事は少数です。

公的統計でフロントエンドエンジニアが入る職業の区分の年収を企業規模・年齢・役職の有無で分け、Offers に掲載されたフロントエンドの開発職の求人で、1,000万円が年収の幅のどこに置かれているかを並べました。次に狙う求人と、広げる役割を決めるための材料です。

ソフトウェア作成者の統計の年収換算は578.5万円

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で、Web サービスの開発を担うエンジニアが入る「ソフトウェア作成者」の年収を換算すると578.5万円です(企業規模10人以上・男女計・平均年齢37.1歳。毎月きまって支給する給与の12か月分と年間賞与などの合計を編集部が算出)。

年齢別では45〜49歳の729.2万円が最も高く、従業員1,000人以上の企業に限ると45〜49歳で806.5万円です。統計の平均で見るかぎり、企業規模と年齢を最も有利な組み合わせにしても800万円台にとどまり、1,000万円には届きません。

年齢

企業規模計(10人以上)

1,000人以上

25〜29歳

484.7万円

539.7万円

30〜34歳

559.5万円

636.1万円

35〜39歳

636.0万円

709.9万円

40〜44歳

686.3万円

746.0万円

45〜49歳

729.2万円

806.5万円

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」をもとに年収換算は編集部が算出(ソフトウェア作成者・男女計)。

年齢別の表は、同じ人の年収の推移ではなく、年齢ごとに働いている人の平均を並べたものです。平均の下には1,000万円を超える人も含まれますが、区分全体で見ると、1,000万円は年齢を重ねれば自然に届く額ではありません。

フロントエンドエンジニアは統計で「ソフトウェア作成者」に入る

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の職業分類対応表(2026年3月更新)で、「システムエンジニア(Webサービス開発)」は賃金構造基本統計調査の「ソフトウェア作成者」に対応します。

Web サービスの画面やクライアント側の実装を担うフロントエンドエンジニアも、統計ではこの区分の中で数えられる職業です。本稿は「ソフトウェア作成者」の値を、フロントエンドエンジニアの年収を測る物差しとして使います。

企業規模で年収換算は120万円以上変わる

「令和7年賃金構造基本統計調査」の企業規模別の値で「ソフトウェア作成者」の年収を換算すると、従業員1,000人以上の企業で640.9万円、100〜999人で555.0万円、10〜99人で518.2万円です(全年齢・男女計・編集部算出)。1,000人以上と10〜99人の差は122.7万円あります。

企業規模

年収換算

企業規模計(10人以上)

578.5万円

1,000人以上

640.9万円

100〜999人

555.0万円

10〜99人

518.2万円

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」をもとに年収換算は編集部が算出(ソフトウェア作成者・男女計)。

役職者を除くとソフトウェア作成者の平均は519.4万円

「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職者を除いた表で「ソフトウェア作成者」の年収を換算すると519.4万円で、役職者を含む578.5万円より59.1万円低くなります(企業規模計・男女計・平均年齢34.7歳・編集部算出)。従業員1,000人以上の企業でも、役職者を除くと561.4万円です。

統計の平均には、課長や係長などの役職に就いた人も含まれています。役職に就かずに画面の実装を担い続ける人の平均は、全体の平均よりさらに1,000万円から離れます。

区分

役職者を含む

役職者を除く

ソフトウェア作成者・企業規模計

578.5万円

519.4万円

ソフトウェア作成者・1,000人以上

640.9万円

561.4万円

システムコンサルタント・設計者・企業規模計

889.0万円

836.5万円

システムコンサルタント・設計者・1,000人以上

1,010.4万円

976.4万円

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第1表・職種第3表(役職者を除く)をもとに年収換算は編集部が算出(男女計)。

システムの全体の設計やプロジェクトの統括を担う「システムコンサルタント・設計者」は、役職者を除いても1,000人以上の企業で976.4万円です。統計の上では、役職の有無よりも、設計や統括という担う工程の違いのほうが年収の水準を大きく分けています。

エンジニア全体の職種区分と、給与所得者全体で1,000万円を超える人の割合は「エンジニアの年収1,000万円」で扱いました。

フロントエンドの求人は上限1,000万円以上が39.1%

Offers に掲載されたフロントエンドの開発職の求人では、提示年収の上限が1,000万円以上の求人が39.1%で、上限の中央値は900万円、下限の中央値は500万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=169・2022年6月〜2026年6月公開)。

提示年収は、求人が示す年収の幅です。下限は求人の要件を満たす人に示す額の下端、上限は経験と役割が合う人に出せる額の上端を指します。統計の平均では届かない1,000万円も、フロントエンドの求人の約4割では年収の幅の上側に入っています。

提示年収の上限

割合

800万円未満

34.9%

800万〜1,000万円未満

26.0%

1,000万〜1,200万円未満

20.7%

1,200万〜1,500万円未満

14.2%

1,500万円以上

4.1%

タイトルにフロントエンドの語が無いバックエンド・Web 開発の正社員求人(539件)では、上限1,000万円以上が38.8%、上限の中央値は900万円でした。上限1,000万円以上の割合と上限の中央値は、フロントエンドの求人とほぼ同じ水準です。

Web 開発の職種全体の年収帯は「Webエンジニアの年収」、求人の年収の幅の読み方は「モデル年収と求人の年収例の読み方」で詳しく扱いました。

上限が1,000万円以上のフロントエンドの求人がどの技術・事業にあるかは、Offers Jobs のフロントエンドエンジニアの求人一覧で条件を絞って確かめるのが早道です。求人一覧はログインなしで検索できます。

リードの役割を書いた求人は上限1,000万円以上が65.8%

年収を記載したフロントエンドの開発職の求人を本文の語で分けると、テックリード・チームリード・メンバーの育成などリードの役割の語がある求人(38件)は、上限1,000万円以上が65.8%で、語が無い求人(131件)の31.3%の2倍を超えました。上限の中央値は1,000万円と800万円です(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=169・2022年6月〜2026年6月公開)。

本文にバックエンド開発・サーバーサイド開発・BFF(Backend for Frontend)・GraphQL の語がある求人(47件)も、上限1,000万円以上が48.9%で、語が無い求人(122件)の35.2%を上回りました。アーキテクチャの設計・技術選定の語がある求人(40件)は45.0%です。

フロントエンドの求人本文の語

年収記載のある求人

上限の中央値

上限1,000万円以上

リードの役割の語がある

38件

1,000万円

65.8%

リードの役割の語が無い

131件

800万円

31.3%

バックエンド側の語がある

47件

960万円

48.9%

バックエンド側の語が無い

122件

800万円

35.2%

設計・技術選定の語がある

40件

925万円

45.0%

設計・技術選定の語が無い

129件

850万円

37.2%

この比較は、語が出てくる求人と出てこない求人の提示年収の違いを見たものです。リードの経験があれば年収が上がるという因果を示すものではなく、差には募集する会社の事業や規模、開発体制の違いも含まれます。

それでも表の並びは、職種名が同じフロントエンドのままでも、チームのリードやバックエンド側の開発まで任せる求人ほど1,000万円が年収の幅に入りやすいことを示しています。統計で「ソフトウェア作成者」と「システムコンサルタント・設計者」を分けていた担う工程の違いと、同じ向きの差です。フロントエンドからの役割の広げ方は「フロントエンドエンジニアのキャリアパスと必要なスキル」でも整理しています。

レビューと育成を担った範囲を数で書く

リードの役割を求める求人では、画面を実装したことに加えて、チームの開発をどう前に進めたかが問われます。コードレビューを担った人数や期間、新しく入ったメンバーの立ち上がりを支えた経験は、肩書きが無くてもリードの経験として書ける材料です。

職務経歴書には、自分が決めたコンポーネントの設計や状態管理の方針と、その結果として変わったこと(レビューにかかる時間・リリースの頻度・不具合の件数)を、チームの成果と分けて書くのが基本です。

バックエンドとの境界まで担った経験を書く

BFF や GraphQL のスキーマ設計、API(Application Programming Interface)の仕様をバックエンドの担当者と決めた経験は、画面の実装だけの経験と分けて書きます。フロントエンドの求人のうちバックエンド側の語がある求人で上限が高い傾向は、前の表のとおりです。

スキル欄の書き方の例は「職務経歴書のスキル欄の書き方」にまとめました。

リード職の求人は上限の中央値が1,200万円

テックリード・エンジニアリングマネージャー・VPoE・開発責任者などリード職の正社員求人(245件)は、上限1,000万円以上が77.1%で、上限の中央値は1,200万円、下限の中央値は700万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=245・2022年3月〜2026年9月公開)。

フロントエンドの求人の上限の中央値900万円と比べると、リード職の年収の幅は上下とも一段高い位置です。フロントエンドエンジニアが年収1,000万円を狙う道は、フロントエンドの職種のままリードやバックエンド側まで任せる求人を選ぶ道と、チームの技術判断を担うリード職へ移る道の2つに分かれます。

職種

年収記載のある求人

下限の中央値

上限の中央値

上限1,000万円以上

リード職(テックリード・EM・VPoE 等)

245件

700万円

1,200万円

77.1%

フロントエンドの求人

169件

500万円

900万円

39.1%

出所:Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=414・2022年3月〜2026年9月公開。

リード職へ移るなら、いまの職場でレビューや設計の判断を担った経験を先に積み、職務経歴書で示せる形にしておくことが応募の前提です。

チームの技術判断を担うリードエンジニアの正社員求人が、どの経験にどの年収の幅を示しているかは、Offers Jobs のリードエンジニアの求人一覧で見比べられます。担ってきた範囲に近い求人を選ぶと、次に狙う年収帯が具体的になります。

統計の年収換算と求人の提示年収は測っているものが違う

「令和7年賃金構造基本統計調査」の年収換算は、実際に働いている人に支払われた給与と賞与の平均です。Offers の提示年収は、転職者を迎える側が求人で示した年収の幅で、入社後に支払われた額ではありません。統計は「同じ区分で働く人の平均」、求人は「転職したときに示される年収の幅」を見るものとして使い分けます。

求人の上限1,000万円は、経験と役割が合う人への額で、応募すれば上限が示されるわけではありません。フロントエンドエンジニアが年収1,000万円を転職で狙うなら、求人本文が求める役割(画面の実装だけか、リードやバックエンド側の開発までか)と自分の経験を突き合わせ、上限が1,000万円を超える求人の条件にどこまで当たるかを確かめるのが近道です。統計の区分の平均も、年齢と勤め先の規模が近い行を物差しにしてください。