アジャイルコーチとして独立して変化した3つのこと

はじめまして。アジャイルコーチとして開発現場支援をしている藤原(@daipresents)と申します。

私は、SIでエンジニア経験を積んだ後、大手IT企業やスタートアップのエンジニアリングマネージャなどを担当し、その後独立して、これまで10年以上関わってきた「アジャイル開発」の専門コーチとして活動しています。

私は勉強も兼ねて、フリーランスを経由して、株式会社を設立しました。やることは副業していた時代やフリーランス時代と変わらないのですが、働き方は大きく変わりました。

今回は、アジャイルコーチとして学んだこと、独立して学んだこと、仕事やキャリアのことを振り返ってみようと思います。

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アジャイルコーチという仕事

▲ はじめての海外旅行はアメリカ。世界最大のアジャイル開発イベントに参加。

最近ではアジャイル開発やスクラム、DevOpsが当たり前のように語られるようになってきました。私がアジャイル開発に深く関わるようになったのは、2010年の夏頃だったので、もう10年以上になります。

当時のアジャイル開発はぜんぜん「当たり前」でなく、一部の熱狂的・情熱的な人たちが取り組んでいるテーマでしかありませんでした。おそらく当時は「アジャイルコーチ」と名乗っている人がわずかしかおらず、「こういう仕事も当たり前になってほしいなぁ」と思い、自分自身もアジャイルコーチと名乗るようになりました。

仕事の中身

アジャイルコーチの仕事は様々ですが、私が考えるアジャイルコーチの仕事は以下です。

  • 現場のチーム、主にスクラムマスターを育てる
  • 相手のレベルに合わせてティーチングからはじまり、最終的にコーチングによって、自走して成果を出す人材を育てる
  • 長くても1〜2年で現場をはなれ、コーチがいなくなっても困らない現場を創る

現場にもよりますが、3ヶ月でコーチが必要なくなる現場もあれば、1年以上かかる現場もあります。しかしやることは、ゴールを設定し、そこに向かって継続的にチャレンジを行い、振り返り、またチャレンジしていく...というシンプルなサイクルです。

最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)がブームになってきたこともあり、スタートアップ中心だったアジャイル開発も、徐々に大手企業に広がってきています。アジャイルコーチはそういった企業を支援し、持続的な開発サイクルを定着させ、より良いプロダクト・サービス開発ができる現場を、開発チームとともに耕します。

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仕事観の変化:インパクトの意識が高まる

変わったことの1つ目は、仕事に対する考え方です。

インパクトを残す意識が高まる

企業で働いていると、会社のゴールがあり、そこからブレークダウンして目標が降りてきますが、独立しているので自分で全て考える必要があります。

食べていくためには売上目標を考慮しなければなりません。仕事に対しては漠然と「やりたいことは何だろうか?」をこれまでよく考えてきましたが、最近は「何をすればインパクトが大きい結果が残せて、何をしなければそうなるのか」を考えるようになってきました。

お客さまと直接やり取りしているので、結果はとても重要です。ただ、アジャイルコーチという性質上、自分だけで結果が出せません。「結果を出してもらおう」と考えるとコーチングではなくなります。このあたりのさじ加減が本当に難しいのがアジャイルコーチです。

何をしないかを決める

また、時間には限りがあり、短い期間の契約なので、何をするかと同時に、何をしないかを決める必要があります。このあたりは契約時のゴール設定で明確に行い、認識齟齬が起きないように定期的にお客さまと見直していきます。

アジャイルコーチにとってゴール設定はとても重要で、ゴールのイメージが合わないお客さまとは「お互い違うね」となるまでコミュニケーションを取り、無理に仕事を引き受けないように心がけています。無理をするとお互い苦労します。

時間意識の変化:切り替えを早める

▲ 完全リモートワークになりワーケーションで奄美大島を訪れ、生活をしながら働くスタイルも試してみました。

2つ目の変化は、時間の使い方です。

時間管理と案件ごとの切り替え

アジャイルコーチの仕事であれば、スクラムイベント(朝礼、開発の計画づくりやふりかえりなど、開発をすすめる上で必要なMTG)に参加しながらチームを支援するため、隔週2時間(月4時間)といった契約が多いです。よって、「1日8時間週X回勤務」という形とは異なるため、時間管理と案件ごとの切り替えがとても大切になります。

コロナ前は、以下のような一日でした。

  • スターバックスに行って訪問の準備
  • お客さま先に伺ってMTG
  • スターバックスに行ってMTGのふりかえり、宿題整理
  • 上記の繰り返し

宿題をすぐ終わらせて次の案件に臨む姿勢が定着

多いときで10社以上とやりとりがあり、それぞれ短い時間で成果を上げるためには、準備とふりかえりが必須。しかし、慣れが出ると成果も小さくなるため、緊張感のある忙しい毎日でした。

今は完全リモートになって、移動時間の余裕が生まれましたが、可能な限り宿題をすぐ終わらせて次の案件に臨む...という働き方は変わっていません。

ただ、どれだけ仕事に恵まれていても、それぞれの質を落としてしまえば誰もハッピーにならないので、並行する仕事の数に上限をつけるようになりました。

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仕事範囲の変化:『慣れ』をあえて捨てる

3つ目の変化は、チャレンジに対する考え方です。

『慣れ』から生じる不安

人間、やれることをやっているだけだと、何かがすり減っていくような感覚を覚えるのではないでしょうか。

私の場合、アジャイルコーチの仕事は10年以上続けているので、だいぶ慣れた仕事です。慣れてきた分、成功率はかなり高まってきたと感じていますが、慣れた分、新しいチャレンジができているか不安になるときがあります

「時が来たら習慣を捨て」て視野を広げる

そんなときに、ちょうど「テストの自動化を行いたい」という案件をいただき、テスト自動化ツールを比較調査する機会がありました。そのときに「mabl」というAIを活用したテスト自動化ツールと出会い、何かと縁もあって、日本向けビジネスの立ち上げを手伝うことになりました。

mablでの役割は「Japan Lead」。いわゆる「日本の顧客向けになんでもやる」仕事です。私は企画から開発運用の経験はありましたが、その外側になる営業、マーケティング、カスタマーサポート、カスタマーサクセスの仕事は未経験でした。

「何かチャレンジをしなければ」という事もあって、やったこともない営業などを経験し、自分の視野が広がったように思います。ひとりで何でもするのは大変ですが、おかげさまでビジネスは順調に伸びており、今後日本のメンバーもどんどん増えていきそうです。海外のメンバーとやりとりしながら自分の裁量でいろいろチャレンジできて楽しく過ごしています。

アジャイル開発の中には、「時が来たら習慣を捨てる」というアジャイルプラクティスがあります。実践するのは難しいですが、定期的に思い返すプラクティスです。

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必要なときに必要なだけ働くのも「あり」なのでは?

フリーランスでも、独立でも、会社員でも、いいところもあれば苦労もあるのが当然だと思います。

独立して、現在は9時17時勤務、1日8時間労働や、土日祝日といった、一般的な考え方に従わない生活になりましたが、これはとても興味深い経験です。平日日中に買い物に行くと、予想以上に人がいます。誰かの土日休日があるかわりに、誰かが土日働いている。そういった当たり前のことに気付かされます。

時間をかける仕事もあるとは思いますが、必要なときに必要なだけという働き方も「あり」なのではないでしょうか?

アジャイル開発やアジャイルコーチという仕事が、この10年で当たり前になってきたように、新しい働き方もこれから時間をかけて当たり前になっていくのではないかと感じています。

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