フリーランスは賃貸契約が難しい?
まずはフリーランスの賃貸契約の難しさについて解説します。多くの場合、フリーランスは賃貸契約が難しいといわれています。
社会的信用が低い
賃貸契約を結ぶとき、不動産会社は『社会的信用』で契約を判断します。会社員であれば安定した収入があるため、賃貸契約を結ぶのは難しくありません。
ところがフリーランスは、仮に好調な業績であっても、肩書きだけで『収入が不安定』と判断されやすいのが実情です。賃貸契約をスムーズに進めるには、様々な対策を行う必要があります。
中でも重要な項目は『家賃の支払い能力』を示すことであると言えるでしょう。
収入を証明できる書類の準備を
フリーランスが家賃の支払い能力を示すには『収入を証明できる書類』を準備する必要があり、これに該当するものは『住民税の課税証明書』か『所得税の納税証明書』ですが、場合によっては確定申告書の控えでも認められることがあります。
住民税の課税証明書は毎年6月に発行されます。5月以前に書類を取得しようとすると前々年度のものになるので、注意が必要です。所得税の納税証明書は納税地となる税務署から発行されます。
e-taxを利用して確定申告を行えば、オンラインでの交付請求ができて発行がスムーズです。
いずれの場合も、所得税の納税証明書を交付してもらうには確定申告をしていることが前提となります。
貯金を多めにしておくのも有効
賃貸契約で重要視される項目は、家賃が支払えるかどうかです。収入を証明すること以外でも、貯金を多めにしておくのは有効です。
1〜2年程度の家賃支払いができる貯金額があれば、賃貸契約もスムーズに進むでしょう。
多めの貯金がある人なら、不動産会社も「しばらくは家賃支払いに問題ない」と判断できるわけです。
その他、実家が持ち家であったり、保証人を用意できたりするなら、賃貸契約は結びやすくなります。保証人が用意できなくても『保証会社』を利用できる物件もあります。
引っ越しに関わる手続きとは
賃貸契約が済んでもそれで終わりではありません。引っ越しに関わる手続きをする必要があります。
税務署関係の手続き
フリーランスとして個人事業主の開業届を出していると、税務署への手続きが必要になる場合があります。
開業届を提出する際に記載した住所から引っ越すことで、納税地が変わる場合は『所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書』を出す必要があります。
こちらの届出書を提出するのは、『引っ越し前の住所を管轄する税務署』となりますので、提出する際は注意が必要です
書類の提出は引っ越し後、すぐに行うことが望ましいです。
郵便局での手続きを有効活用
郵便局では郵送物の転送手続きをしましょう。旧住所へ送られてくる郵送物を新住所に転送してくれます。住所変更を知らせていなかった宛先からも転送されますので、非常に便利なサービスです。
必ずしないといけない手続きではありませんが、有効活用すれば、新住所の伝達漏れによって重要書類が旧住所に届いてしまうということを防げます。
引っ越し費用は経費として扱える?
フリーランスなら節税のため、引っ越し費用を経費として扱えるのかは気がかりなポイントだと思います。基本的には、引っ越しに関わる多くの費用経は費として扱うことができます。
敷金、礼金の扱い
賃貸契約をするときに支払う敷金は経費として扱えません。汚損などがなければ退去時に戻ってくるお金だからです。もし退去時に返金されなかった場合は『修繕費』として計上してください。
礼金は20万円未満なら地代家賃として経費計上が可能です。20万円以上の場合は資産で処理しましょう。賃貸期間か5年間で減価償却します。その場合の勘定科目は『長期前払費用』となります。
ただし、自宅兼事務所の場合は礼金の家事按分を忘れないようにしましょう。
引っ越しそのものにかかる費用
引っ越しをするときは業者の利用が想定されます。引っ越し業者を利用したら、かかった費用を『雑費』として計上できます。
敷金や礼金以外にも不動産業者を通せば、仲介手数料が発生します。仲介手数料は支払手数料として勘定科目を追加するか、雑費で処理しましょう。
ここでも注意が必要なのは住居を自宅兼事務所にする場合です。住まいの床面積に対する仕事部屋の割合で経費にできる金額が決まることが多いです。
延床面積のうち30%を仕事部屋として利用しているなら、引っ越しに関する費用の30%を経費として計上できるのです。
また、引っ越した後の家賃についても同様の割合で経費計上ができます。
火災保険など
賃貸住宅の多くは火災保険に加入しています。支払った保険料は経費にすることが可能です。『損害保険料』や『支払保険料』で処理しましょう。
こちらも、自宅兼事務所ならば家事按分をして計上します。
まとめ
フリーランスが賃貸契約をするのは難しい場合があります。引っ越しを考えたら、収入を証明する書類をもとに不動産会社に相談しましょう。
無事に引っ越しが完了したら税務署や郵便局で関連する手続きを行い、新住所での生活をスタートさせてください。
住居が自宅兼事務所ならば、引っ越しにかかる費用を適切に家事按分して経費計上しましょう。