業務委託の勤務時間は自分で決定する
業務委託の場合、勤務時間は自分で決定することになります。具体的にはどういうことなのか、契約内容と照らし合わせて見ていきましょう。
クライアントの指揮命令を受けない
業務委託では『請負契約』と『委任契約』(あるいは準委任契約)と呼ばれる契約を締結します。
この二つの方法で契約した場合、クライアントは作業者に対し指揮命令権を持ちません。この命令権の中には『作業時間や開始・終了日時の指定』も含まれます。
つまり業務委託という働き方では、クライアントが作業者に対し、勤務時間を命令することができないのです。
個人の裁量で決定できる
ではどのように勤務時間を決定するのかというと、それは作業者個人の裁量です。作業者が「今日は休み」と決めれば、その日は休みということになります。これに対してクライアントは口を出すことはできません。
ただし、業務委託では成果物を完成させることが求められていて、納品の期限も定められるのが普通です。期限までに作業が終わるようにスケジュールを組むことが求められます。
常駐案件の場合
業務委託は基本的に勤務時間を縛られることなく働けますが、『常駐案件』の場合はどうなのでしょうか?クライアントの会社に出社して働く常駐案件の場合について見ていきましょう。
契約で勤務時間を指定される場合が多い
常駐案件の場合も、業務委託であれば原則として勤務時間を指定することはできませんが、最初から契約書に盛り込まれていれば話は別です。
クライアントとしても、いくら勤務時間が自由とはいっても自分の社員が全員退社している真夜中などに働かせるのは難しいので、やむを得ない面もあるのでしょう。
契約で勤務時間を指定されている場合は、それに従って出社する必要があります。
働き方の自由度は低い
常駐型の案件は拘束時間が発生しますし、通勤しなければならないという点から、働き方の自由度は業務委託の中でも低い部類に入ります。
業務委託のメリットは自分の勤務時間を自由に作れることですが、その利点はほぼ消えてしまうでしょう。
その代わりに、安定した収入に期待が持てます。納品して契約が終わりという形態では、その後の発注がなくなれば収入がゼロになりますが、常駐型の案件であれば、コンスタンスに報酬が出ることが期待できるので、収入が安定するでしょう。
業務委託は自己管理が不可欠
業務委託で仕事をこなしてく場合は、自己管理を徹底しなければなりません。その理由について解説します。
仕事の成果で評価される
業務委託では仕事の成果で評価されます。仕事で結果を出せば次も依頼が来るでしょうし、もっと高額な報酬やポジションが用意されます。
逆に仕事ぶりがクライアントの想定していた水準を満たすものでなかったとすれば、次の仕事では呼ばれないケースも出てくるでしょう。
モチベーションや時間管理が甘いことなどが原因で、仕事のクオリティが下がってしまうようなリスクは避ける必要があります。依頼元から細かく管理されるわけではない業務委託の場合は、自己管理が不可欠ということです。
労働基準法の対象外
請負契約や委任契約など、業務委託の仕事は、労働基準法の対象外です。そのため、次のようなデメリットが発生します。
労働時間や残業時間の制限がない
労働基準法に定められている労働時間についての取り決めが、業務委託には適用されません。
雇用契約を結んでいれば、1日8時間、1週間で40時間以上の労働には残業手当をつけなければならないのですが、業務委託ではその必要がありません。
仕事の請けすぎなどによる過重労働を避けるためにも、自己管理が重要なのです。
労災保険や休業補償も受けられない
業務委託では労災や休業補償がないので、体を壊したり休んだりしても、何の補償も受けられません。
民間の保険会社を利用したり、超過労働にならないようにスケジュールを調整したりといった自己管理能力がなければ、業務委託で働き続けるのは難しいと言えるでしょう。
まとめ
業務委託では、常駐案件を除けば、クライアントから勤務時間や出勤する日時を指定されることは、基本的にありません。自分で勤務時間や休日を自由に設定できるのが、業務委託で仕事をする最大のメリットと言えます。
しかしその一方で、1日に何時間働こうが手当はつきませんし、体を壊した場合や失業した場合にも保険はききません。
また期日までに委託された業務を遂行できなければ、契約違反として損害賠償請求をされる可能性もあります。
そうならないために、自身で時間や体調、リスク管理をしっかり行わなければならないのです。業務委託で働く際に重要なのは、このセルフマネジメントの技術だと言えるでしょう。