インフォグラフィックスとは
インターネットを使ったビジネスやコンテンツが増えてきている昨今、企業や個人に関わらずさまざまなツールや表現方法に注目が集まっています。
中でも注目されているコンテンツの一つが『インフォグラフィックス』です。どのようなものを指しているのでしょうか?まずは基本知識についてまとめていきます。
情報を視覚的に表現する
インフォグラフィックスとは、『情報やデータを視覚的に表現したもの』のことを言います。文字だけでは分かりづらいデータを視覚的に捉えることができるため、情報を素早く簡単に表現できるのが特徴です。
たとえば、電車の路線図や教科書に載っているグラフなどもインフォグラフィックスの一例です。目に見える形でデータが整理されるため、特徴を理解しやすく、どんな人が見ても分かりやすいという魅力があります。
インフォグラフィックスを使う理由
インフォグラフィックスを使う理由には、『伝わりづらい数値や専門的な情報でも、理解がしやすい形で表現できる』という点が挙げられます。
企業が自社のデータを知ってもらいたいとき、インフォグラフィックスを用いることで、より多くの人に成果を知ってもらうことができるため、自社のアピールもしやすくなるというメリットがあります。
そのため、近年ビジネスにおいてインフォグラフィックスを採用している企業は多く、効果的に仕事の内容や特徴を紹介している例があります。
インフォグラフィックスの実例
インフォグラフィックスの特徴を知った上で、実際どのように活用されているのか具体的な実例を見ていきましょう。インフォグラフィックスの活用例は多種多様です。それぞれの特徴について紹介していきます。
インフォグラフィックスの利用度
インフォグラフィックスを使った『インフォグラフィックスの利用度』を見ることができるサイトが登場しています。このサイトでは、インフォグラフィックスがどのくらい利用されているのかがデータとともにわかりやすくまとめられています。
たとえば、2011〜2012年にかけての1年間でどれだけの利用者が増えたのかわかるグラフや、インフォグラフィックスがなぜ効果的なのか、その特徴が図とともにまとめられています。
英語で表記されているサイトですが、インフォグラフィックスによりイラストやグラフが採用されているため、簡単な英語が理解できればなんとなく内容がわかる仕様になっています。
記録で見る富士山
富士山に関するデータがまとめられたインフォグラフィックスもあります。イラストともに文字や数字が記載されているのですが、伝えたいデータがフォントやイラストにより強調されていて、一目見ただけでさまざまなデータを読み取ることができます。
たとえば、『図解1分でわかる富士山シリーズ』では、富士山の過去最低気温や最高年齢登頂記録など、そのデータも多種多様で、見ているだけで楽しめるインフォグラフィックスです。
シンプルでわかりやすいイラストが使われているのも特徴で、どのようなデータがまとめられているのか探しやすいのも魅力的です。
車のデータをまとめた動画
大手企業であるソニー損保も、インフォグラフィックスを使ったコンテンツを発信しています。『ある車の一生-平均で見る日本の自動車』という動画では、インフォグラフィックスが効果的に使われていて、子どもでも楽しめる動画になっているのが特徴的です。
日本のさまざまなことが車を通して紹介されていて、環境や経済、文化遺産など、文字だけで見ると難しそうな内容がかわいらしいイラストとともにまとめられています。
見ているだけで数字が頭に入ってくるのは、インフォグラフィックスと動画が合わさることによる相乗効果だといえるでしょう。
あるクルマの一生 -平均で見る日本の自動車- | ソニー損保のビデオグラフィック
インフォグラフィックス動画のメリット
インフォグラフィックスを動画で活用するのが『インフォグラフィックス動画』ですが、通常のインフォグラフィックスと比べたときにいくつかのメリットがあります。
映像と合わせて表現することにより、どのような影響が及ぼされるのでしょうか?中でも代表的なメリットについてまとめていきます。
情報量を多く扱える
インフォグラフィックス動画を使うことのメリットの一つに『情報量が多く扱える』という点が挙げられます。
動画で伝えられる情報量は、文章や画像のみの場合に比べると約5000倍とされていて、1分間の動画に換算するとWEBサイト3000ページ以上に相当するというデータが出ています。
そのため、インフォグラフィックス動画を使えば、莫大なデータであっても、人々に簡単で分かりやすく伝えることができるのです。
印象を変えることができる
『印象を変えることができる』というのもインフォグラフィックス動画の特徴です。
動画では、BGMや特殊効果などの演出を加えることができます。そのため、一見すると難しそうな内容であっても、演出により親しみやすいイメージに仕上げることも可能です。
動画のイメージを変えられるという長所は非常に便利で、見てもらいたいターゲット層に合わせた演出を加えることも可能です。
年齢層の低い子ども向けに発信する際は、やわらかく分かりやすいイメージに仕上げ、ビジネスライクに仕上げたいときにはスタイリッシュな印象に作り上げることも可能です。
SNSなどで拡散されやすい
インフォグラフィックス動画は、動かないデータに比べるとキャッチーで受け取られやすいです。そのため『SNSなどで拡散されやすい』というメリットもあります。
分かりやすいインフォグラフィックス動画であれば、ある人の意見や思考を代弁するツールになり得る可能性があります。
具体的に言えば、あるSNSユーザーがインフォグラフィックス動画に共感したとき、「自分もそう思う」といった意味合いで動画を拡散して、個人の主張の代弁として使われるということです。
SNSの拡散力やユーザーは近年ますます増加しているため、拡散されやすい内容に仕上げるというのも戦略の一つといえるでしょう。
インフォグラフィックス動画の作り方
インフォグラフィックス動画の効果や特徴についてまとめてきましたが、実際に動画を作るにはどうすればよいのでしょうか?
インフォグラフィックス動画の作り方には、基本的な手順があります。一連の流れについて紹介していくので参考にしてみましょう。
目的とデータを準備する
インフォグラフィックス動画の制作にあたり、初めに行いたいのが『目的とデータの準備』です。どのような目的で動画を作成するのかをはっきりさせ、目的に沿ったできるだけシンプルな内容にするのがポイントです。
目的を決めるときには、ターゲットとなる視聴者のことも意識するとよいでしょう。年齢層や職種などを絞って考えると、動画の作り方も変わってきます。
もちろん、インフォグラフィックスにするデータを準備することは欠かせません。目的やターゲット層に合わせ、視聴者が食いつきそうなデータを中心に集めていきましょう。
絵コンテや世界観で視覚的な情報を決める
映像により表現できることの魅力は『視覚的に印象付けられる』という点です。そのため、採用するグラフやイラストは非常に大切なポイントとなります。
これらの要素を決めるときは『絵コンテ』を使って、動画の世界観を視覚的に決められるようにするとよいでしょう。動画全体の雰囲気や世界観を統一させることで、視聴者にとって見やすい動画ができあがります。
文章による説明はなるべく減らしていく意識を持って、シンプルなイラストやグラフを使って視覚的に理解できるようにすることが重要です。
パーツ作成と動画編集
映像による表現だとはいえ、ポイントで静止画を使うこともできます。静止画の中で動きをつけると、データの中でも特に注目してもらいたい箇所を目立たせることも可能です。
パーツごとに制作する工程を踏まえると、一連の流れで見たときに緩急のある動画に仕上がります。
動画編集の段階では、動きや音楽をつけていきます。動きが複雑に入り乱れたり、表示される時間を短くしたりすると、情報が頭に入りにくくなるので注意が必要です。
伝わりやすさを第一に考え、シンプルな動きと数字や文字を掛け合わせていきましょう。
インフォグラフィックスを作る際のポイント
インフォグラフィックスを作る際には、押さえておきたいポイントがいくつかあります。どのようなことに気をつければ、多くの人に見てもらえるインフォグラフィックスが完成するのでしょうか?
意識するだけで印象が大きく変わるポイントなので、チェックしていきましょう。
数字だけでなく内容にもこだわる
インフォグラフィックスでは、強調したい数字やデータを大々的に取り上げわかりやすく伝える手法が取られますが、具体的な内容を記載せず、伝えたい数字だけをピックアップしてしまうと、完全な情報を提供できない可能性があります。
一見、数字が頭に入ってくるため理解しているように感じてしまいますが、その背景にはより具体的なデータがあるはずです。
全てをインフォグラフィックスにしようとすると難しいですが、数字だけでなく、内容にもこだわることで情報の抜け落ちを防ぎましょう。
ストーリー性を持たせる
『ストーリー性を持たせる』というのも、インフォグラフィックスをよりわかりやすく伝えるための方法の一つです。
統計データは、それがグラフになっているだけでは退屈なものとして受け取られかねません。できるだけユニークな仕様にすることを試み、親しみやすいイメージに変える必要があります。
情報をどのように集め処理したのか、説明できる傾向やパターンが明確になれば、自ずとストーリー性のあるインフォグラフィックスができあがるでしょう。
階層構造で見せる
インフォグラフィックスに限らず、レポートや雑誌などにも言えることとして『人が読みやすい構造を作る』というのは基本的なポイントです。
多くの情報発信コンテンツでは、伝えたいことをきれいにまとめるために『階層構造』が使われています。
どのような形式でデータが並べられているのか、その大枠を分かりやすくするためにも、データの並べ方には階層構造を適用するとよいでしょう。
インフォグラフィックスが作れるサイト
インフォグラフィックスの作り方やポイントについてまとめてきましたが、実際に作成するにはどのようなツールを使えばよいのでしょうか?
インフォグラフィックスが作れるツールにはいくつか種類があり、それぞれに特徴が異なります。代表的に使われている三つのツールをあげるので、自分にあったツールを活用しましょう。
テンプレートから作成できるinfogr.am
テンプレートから簡単に作成できるのが『infogr.am』です。このツールでは、テンプレートを選んでデータを入力し、グラフを出力するという3ステップでインフォグラフィックスを作成できます。
グラフにもさまざまな種類があり、棒グラフ・円グラフ・点グラフ・バブル型・ヒエラルキー型など、豊富なバリエーションから選べるのも嬉しいポイントです。ベースとなるテンプレートにはすでに配色が施されているので、自分で配色する手間も省けます。
Create Infographics, Reports and Maps - Infogram
シンプルなグラフが作りたいときはEegraph
シンプルなグラフが作りたいときに活躍するツールが『Eegraph』です。エクセルやCSVからグラフを作成したいときに役立ちます。汎用性の高いデザインが多いため、企業の会議など、フォーマルな場面でも活用できるデザインが魅力です。
無料での利用が可能ですが、その際に作成できるグラフは月に五つまでとなります。また、グラフの出力や共有をしたい場合は有料会員になる必要があるので注意が必要です。
Eegraph(イーグラフ) - 美しいグラフが簡単に作成できる!グラフ作成サービス
凝ったデザインが作れるeasel.ly
『easel.ly』では、凝ったデザインのインフォグラフィックスを作成できます。このツールの魅力は、完成度の高いテンプレートです。テンプレートの文字を変えたり、イラストを加えたりするだけでも簡単にキャッチーなデザインに仕上げることができます。
イラストやラインなどのバリエーションも豊富なため、無料でありながらも十分活用できるツールです。
あえて難点を挙げるとすれば、テンプレートが完成しすぎてしまっているため、そこから手を加えるにはセンスが必要なことでしょう。
easel.ly | create and share visual ideas using infographics
インフォグラフィックスを学べる本
いろいろなバリエーションが使われているインフォグラフィックスですが、その作り方や基本知識を具体的に収録している本が発売されています。
どの本にも特徴がありますが、一冊持っていればインフォグラフィックスの作り方のイメージが湧きやすいものばかりです。中でも人気を集めているものを紹介していくので、気になるものがないかチェックしていきましょう。
たのしい インフォグラフィック入門
インフォグラフィックスだけでなく、ピクトグラムや図解などの作成法や練習法など、さまざまなジャンルを網羅しているのが『たのしい インフォグラフィック入門』です。
インフォグラフィックスの基本や、実用例などがカラー写真で取り上げられているため、読んでいてもわかりやすい入門書として人気を集めています。
作成にあたり準備するものや、わかりやすくするためのエッセンスなどについても説明されているため、一冊あると便利な初心者にもぴったりの入門書です。
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伝わるインフォグラフィックス
インフォグラフィックスには、グラフ・マップ・ヒストリー・ピクトグラムなど、いくつかのジャンルがありますが、その種類ごとにデザイン事例がまとめられているのが『伝わるインフォグラフィックス』です。
複数の事例が画像とともに収録されているため、インフォグラフィックスの実用性も理解できる一冊に仕上がっています。こちら側の意図を伝えるためにどんなことを考えればよいのかが見えてくる書籍です。
- 商品名:伝わるインフォグラフィックス
- 価格:948円(税込)
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インフォグラフィックスができるまで
世界のグラフィックデザイナー73人が作成したインフォグラフィックスが、計639図も主録されているのが『インフォグラフィックスができるまで』です。
多くの作例が載っているのに加え、プロのデザイナーが作成段階で描いていたスケッチなども収録されています。
制作から完成までの一連の流れが紹介されているほか、ラフスケッチと完成版の比較やデザイナーへのインタビューなども掲載されているため、プロによるインフォグラフィックス制作の現場を覗ける一冊となっています。
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まとめ
情報化社会と呼ばれる現代において、私たちの周りには多くのデータが溢れています。たくさんありすぎて分かりづらい情報でも、シンプルに共有できるようになるのがインフォグラフィックスです。
インフォグラフィックスを効果的に使うことで、企業や個人が伝えたい情報を多くの人に届けることができます。上手に活用して、より多くの人とデータを共有できるようにしましょう。