フォントで商用フリーのおすすめは?利用上の注意点も詳しく解説

文書の作成などに使われる文字フォントは、全体のイメージを決めるため、内容と同じぐらいの影響力を持っています。たかがフォントと言わず、こだわりをもってフォントを決めたいものですね。そこで、まずは無料のフォントを使ってみましょう。

フリーフォントの基礎知識

世の中には、手軽に使えるフリーフォントが数多く存在しています。それらを紹介していきますが、その前にそもそもフリーフォントとは何かをしっかり理解しましょう。

フリーフォントのフリーは何を意味するのか

フリーフォントのフリーとは、『無料』を意味しています。無料ですので、だれでも気軽にダウンロードして使えるのが魅力です。

著作権を放棄しているという意味の『著作権フリー』とは限らないので注意しましょう。無料でダウンロードできるとはいえ、使用方法に規定がある場合が多いので、よく確認してから使う必要があります。

なぜ無料で使用できるのか

実はフォントを作る作業というのは、かなりの労力が必要になります。なぜなら、すべての文字を手作業で作るからです。例えば英語なら、大文字と小文字合わせて52文字作ればよいのですが、日本語は漢字があるのでかなり膨大な作業になります。

この点を考えるとフォントは、本来有料で配布すべきものであって、無料というのは特殊な存在と言えるのです。ではなぜ、フリーフォントがあるのでしょうか?

フリーフォントの場合は、制作者がプロのデザイナーではない場合が多く、たくさんの人に見てもらいたい、使ってもらいたい、という思いで作られたものがあります。このような意図で作られたフォントは無料が多いのです。また著作権が切れたことで、無料になっているフォントもあります。

基本的にフリーフォントというのは、作者の厚意によって成り立っているものですので、無料配布してくれる作者に感謝しながら、規約を守って使いましょう。

フリーフォントの使い方は?

フリーフォントを使うには、フリーフォントをダウンロードし、使っているPCにインストールしなければなりません。

インストールしたフォントを使う方法は、WindowsとMacで違いがあります。まずはWindows10の場合を解説します。

お目当てのフォントをダウンロードしたら、コントロールパネルを開き、『デスクトップのカスタマイズ→フォント』へ移動します。

そのフォントフォルダに、さきほどのフォントを貼り付けるとインストールが始まるので、それが終われば完了です。その後フォントフォルダを開いて文字をコピーペーストして使いましょう。

Macの場合は『Font Book』にフォントをインストールして使います。

なおフォントファイルは、圧縮ファイルになっている場合もあるので注意が必要です。圧縮ファイルは、自動で解凍されるものもあれば、解凍ソフトが必要になることもあります。

お目当てのフォントを見つけたら、ダウンロードする前にどの形式でダウンロードされるかをよく確認しましょう。

フリーフォントの利用法には2種類ある

フリーフォントの基本を理解したところで、ここからはさらに深くフリーフォントの使い方について知りましょう。

フリーフォントには、商用利用ができるものと、個人利用に限られたものがあります。まずはこの2つの利用法の定義を確認しておきましょう。

個人利用

個人利用とは、営利目的ではない使い方のことです。商取引が発生しないSNSやブログ記事で使う時は個人利用に当たります。

ブログ記事といっても、アフィリエイトなどによって利益が出るしくみがある場合には、商用利用となります。個人か法人かに限らず、利益が出るのであれば個人利用の範囲を超えると考えましょう。

商用利用

商用利用とは、営利目的で使用することです。企業サイトでの使用はもちろん、フォントを使用した作品をネットにアップして販売するなどの行為も、商用利用に当たります。

個人での利用は無料でも、商用利用をする場合は有料になるという場合もあるので注意しましょう。商用での利用が許可されているからといって、無料かどうかは別問題ということです。

どこまでを商用利用とするかは、フォントを配布するサイトによって異なる場合がありますので、利用する際は必ず利用規約を熟読し、違反のないように使いましょう。

商用利用OKのフリーフォントの注意点

フリーフォントでも、商用OKのものはたくさんありますが、それぞれ利用規約を設けている場合がほとんどです。そこでここからは、フリーフォントを商用で使う際の注意点を見ていきましょう。

商用フリーでも条件がある場合がほとんど

フリーフォントを商用利用するのをどこまで許可するかは、著作者のサイトによってまちまちです。例えばフォントを会社ロゴや商品パッケージのロゴに使ってもいいのか、またロゴとして商標登録してもいいのかなどについて、規定はさまざまです。

また同じ使い方でも、著作者のサイトによっては無料でできる場合もありますし、有料になる場合もあります。このようにたとえ『商用フリー』を謳っていたとしても、フリーで使える範囲が限定されている場合があるので注意しましょう。

規約の内容を事前によく理解しよう

フリーフォントにあるような特別なデザインのフォントは、デザインやデータとして著作権が認められている場合があります。そのため、不正な使い方をすると、民法によって損害賠償を請求される恐れもあるのです。

このような事態を防ぐためにも、使う前にまず利用規約をしっかり読むことが大切です。

制作者のサイト以外からダウンロードしない

フリーフォントをダウンロードできるサイトは、世界中にたくさんありますが、中には制作者に無断で掲載し、ダウンロード販売を行っているサイトも存在します。

もしフリーフォントを使うなら、このような違法サイトは使わず、制作者の公式サイトからダウンロードするようにしてください。

もし制作者以外のサイトからダウンロードする場合でも、制作者サイトへのリンクが張られているか確認し、リンクがないなら使わないようにしましょう。

フリーフォントの著作権の基本を知ろう

ここで改めて、フリーフォントの著作権について解説します。

フォントのデザインには原則著作権はない

実は原則として、フォントの『デザイン』には著作権は無いと考えられています。

なぜなら、例えば誰もが使うような定番のフォントにまで著作権が発生するとなると、あらゆる書籍や出版物などを発行するたびに、フォントの著作権が問われることになり、創作活動が阻害されると考えているからです。

確かに明朝体やゴシック体など、かなり普及しているフォントに著作権が発生してしまっては、新しいフォントを考える際に、類似しないように気を配ることがかなり困難になってしまいます。

しかしこれはあくまでも『デザイン』の話です。とはいえ、オリジナリティの高いデザインのフォントについては、デザインの著作権が発生する場合もあります。

データ・プログラムとしては著作権がある

デザインのフォントには『デザイン』の著作権は発生しませんが、『データ・プログラム』としての著作権は発生します。

デザインとしては著作権はないが、データとしては著作権が認められるということは、どういう意味なのでしょうか?

これは、ただ印刷や出力をしただけならば違反ではありませんが、フォントデータを無断で配布したり、不正コピーしたりすると違反になるということです。

少しややこしいですが、フォントを利用するなら、フォントの著作権に関する知識を覚えて損は無いでしょう。

実際は作者が制定した規約が優先される

民法上でのフォントの扱いはわかりましたが、実際にフォントが取引されている現場では、制作者の裁量に任されている場合が多いです。

例えば民法上では違反でも、制作者が問題ないと判断しているなら、違反にはならないこともありえます。逆に民法上問題とされていなくても、制作者が禁止していることを行えば、それは違反となってしまいます。

このようにフォントの利用に関しては、法律よりも、制作者の規約が優先されるので、利用規約をよく読むことが重要なのです。

出典:商用フォントを使ったロゴやタイトルの著作権はどうなるの?

例えばこんな使い方をしたいときは注意

ここからはもっと具体的に、フォントの使い方について、要注意な事例を紹介します。

既存のフォントを改変して使用

例えフリーフォントであっても、フォントの形そのものを改変して使うことは禁止である場合が多いです。おそらくほとんどの人は、フォントを使うとしたら、見出しやタイトルに合わせて大きさを変えたり、色を変えたりするでしょう。

禁止しているのは、このような行為ではなく、フォントの形そのものの改変です。また改変したフォントを使った作品を販売することも禁止している場合が多いので気を付けましょう。

フォントを使ってロゴを作成し商標登録

フリーフォントの場合は、たとえ商用利用無料となっていても、フォントを使ってロゴを制作したり、それを商標登録したりということ禁止されている可能性が高いです。

もし商標登録する場合には、フォントメーカーと別途契約を結んで使う決まりになっている場合がほとんどです。

これ以外の方法でロゴを作るとしたら、知的財産権が切れているフォントを使うか、自分でオリジナルのフォントを作るなどの方法になるでしょう。

フォントを利用した商品や作品を販売

商用利用無料となっていると、どのような使い方もできるように思えますが、フォントを使った商品や作品を販売する行為も禁止されていることがあります。

例えばフォントを使ったTシャツを販売したり、書籍の表紙のデザインに使用したりなどの行為が、作品として販売することに含まれます。利用規約の中に、再配布や再頒布を禁止する事項がある場合には特に注意しましょう。

漢字も使える日本語書体フォント4選

ここからは、実際にあるフリーフォントを見ていきましょう。まずは日本語のフォントからです。

無骨な雰囲気 鉄瓶ゴシック

『鉄瓶ゴシック』は、ゴシック体のような見やすい字体でありながら、鉄瓶を思わせる骨太な雰囲気を持ち合わせた書体です。

漢字やひらがなを始め、数字や記号、カタカナ、アルファベットなど、たくさんの文字が登録されています。また使用範囲は個人、商用と幅広く、細かい規約もないので使いやすいでしょう。

鉄瓶ゴシック|フォントな自由

味わい深い毛筆風 青柳疎石フォント

『青柳疎石フォント』は、書道家の青柳疎石さんが書いた毛筆をフォント化したもので、個人、商用利用フリーの書体です。商用利用に関しても制限はなく、改変も許可されています。

収録されている文字は漢字が主ですが、JIS非漢字も収録されているので、ラテン文字なども表現できます。雑誌やCDなどのロゴに使うことも可能ですが、その際は念のため連絡しておくと安心です。

青柳疎石フォント

かわいい手書き風 えり字

『えり字』は、まるで女性が手帳に書いているような雰囲気の書体で、柔らかい親しみが感じられるフォントです。女性のポエムサイトなどにおすすめです。

文字はひらがな、漢字、カタカナ、アルファベット、記号など、文章を書くには不自由しない種類がそろっています。なお個人、商用利用可能です。フォントをダウンロードすると利用規約があるので、詳しくは規約をよく読んで、違反のないように使いましょう。

えり字

レトロでモダン うつくし明朝体オールド

『うつくし明朝体オールド』は、美しい日本語文体の代表である明朝体の要素を残しつつ横書きのサイトでも美しく見えるように工夫された文体です。大正ロマン風の、どこか懐かしく、でも新しい日本語の姿を提案しています。

このフォントは、基本的にはフリーフォントであり、商用利用も可能ですが、IPAライセンスの利用規約に準じているので、これに従って利用してください。(IPAライセンスとは、独立行政法人情報処理推進機構のライセンスのことです)

IPAライセンスを確認すると『IPAフォントの名称を変更しない』『IPAフォントに改変を加えてはならない』『IPAフォントにIPAライセンスを添付する』などの指定があります。ダウンロードしたファイル内に、規約文のテキストデータが含まれているので、必ず確認してから使用しましょう。

フリーフォントうつくし明朝体|フロップデザイン

おしゃれな英語のフォント3選

次は、おすすめの英語フォントを紹介します。

優美な筆記体 Bickham Script

『Bickham Script』は、PDFファイルなどで知られるアドビ社が公開しているフォントです。美しく流れるような筆記体で、サイトに使うと洗練された印象になります。

フリーフォントであり、個人利用、商用利用も自由です。また商標登録も可能ですので、ロゴの制作にも使えます。なおアドビ社のフォントを使う際は、アドビIDの取得が必要です。

Bickham Script|Adobe Fonts

ラフな走り書き風 Playlist

『Playlist』は、ちょっとラフな雰囲気のフォントです。あまり堅苦しい印象のサイトにしたくない場合や若者向けのサイトで重宝するでしょう。

このフォントはPixeloという海外の企業が管理しているフォントで、Pixelo Extended Licenseによって使用法が決まっています。

Pixelo Extended Licenseによると、このフォントは個人、商用フリーとなっており、販促物やウェブサイトで使えます。しかしフォントの再配布や譲渡、フォントそのものの販売は禁止されています。

Playlist|Pixelo

クールなストリート系 Streetwear

『Streetwear』は、海外のポスターなどで使われそうなフォントで、アメリカンな雰囲気や、流行のブルックリンスタイル風に仕上げたい時におすすめです。

Artimasa Studioというデザイン事務所にて制作されたフォントで、アドビ『Behance』、または『FDR.』というサイトで配布されています。

『Behance』でも『FDR.』からでもログインが必要です。名前とメールアドレスを登録し、ダウンロードリンクを入手してから使えます。なおこのフォントは個人、商用利用可能ですが、再配布や販売は禁止されているので注意しましょう。

Streetwear|FDR.

まとめ

日本語、英語問わず世界中にたくさんあるフォントは、より良いデザインを生み出すための基本となる存在です。このようなフォントが無料で使えるのは非常に魅力的です。しかし、いずれも決められたルールがあるので、ルールに従って使うようにしましょう。

今後もさまざまなデザイナーによって、たくさんのフォントが生まれてくるでしょう。そうなれば、自分の目的や好みにぴったり合ったフォントも探しやすくなり、デザインも一層はかどるようになるはずです。

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