リクルートの年収として出回る数字には、持株会社のリクルートホールディングスの平均と、住まいの情報サービス SUUMO(スーモ)や Air ビジネスツールズを手がける株式会社リクルートの平均という、対象の違う2つがあります。

転職先として見積もるなら、株式会社リクルートの平均と、公式の採用ページに載る職種ごとの想定年収をあわせて見るのが確かです。

エンジニア・PdM・デザイナーの報酬は、任される職務の価値で等級が決まるミッショングレード制にもとづいて決まります。同じ職種の公的統計と並べれば、想定年収の幅がどの水準にあるかも見えてくるはずです。

有価証券報告書で分かるリクルートの平均年収

株式会社リクルートホールディングスの2026年3月期の有価証券報告書(2026年6月19日提出)によると、主要な国内連結子会社である株式会社リクルートの平均年間給与は7,638,676円(約764万円)でした。従業員11,776名・平均年齢33.7歳・平均勤続年数6.6年の値で、前の事業年度から3.4%増えています。

持株会社のリクルートホールディングス単体の平均年間給与は11,624,997円(約1,162万円)で、こちらは従業員130名の値です。

会社(有価証券報告書の区分)

従業員数

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与

前事業年度比

株式会社リクルート(主要な国内連結子会社)

11,776名

33.7歳

6.6年

7,638,676円

3.4%増

株式会社リクルートホールディングス(提出会社)

130名

40.2歳

9.3年

11,624,997円

1.5%増

出所: 株式会社リクルートホールディングス「有価証券報告書 第66期」(2026年3月31日現在・2026年6月19日提出)。

どちらの数字も職種別の値ではなく、臨時従業員を含まない従業員全体の平均にあたります。

持株会社の平均と事業会社の平均の違い

リクルートホールディングスの従業員130名のうち123名は「全社(共通)」の区分です。有価証券報告書はこの区分を、主に持株会社のファイナンスやリスクマネジメントなどの管理部門の従業員と説明しています。

持株会社単体の平均は1,000万円を超えるものの、SUUMO・ゼクシィ・ホットペッパーなどの事業とプロダクト開発を担う社員とは母集団が別です。事業会社で働く社員の水準を知りたいなら、株式会社リクルートの約764万円を基準に置くと見誤りにくくなります。

2025年4月からHR・人材領域は別の会社が担う

株式会社リクルートのキャリア採用ページの注記によると、2025年4月から「HR・人材」領域のサービスは Indeed Japan株式会社または株式会社インディードリクルートパートナーズが提供しています。同領域のサービス開発機能等は、株式会社インディードリクルートテクノロジーズの担当です。

2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)は、この体制になって最初の事業年度にあたります。人材領域のサービスで働きたい人は、雇用元が株式会社リクルートとは別の会社になり、上の有価証券報告書の数字の対象にも入らない点に気をつけてください。

公式の募集要項に載るエンジニア・PdM・デザイナーの想定年収

株式会社リクルートの公式の採用ページで2026年10月18日に募集中だったテクノロジー職7件・プロダクト企画職4件は、11件とも雇用形態が正社員(GE社員)でした。想定年収の下限は695万〜1,585万円、上限は1,100万〜2,570万円で、同じ職種でも求められる経験と担う範囲によって幅が分かれます。

職種の区分(公式の分類)

募集職種

想定年収

テクノロジー職

シニアソフトウェアエンジニア(データアプリケーション)

1,585万〜2,570万円

テクノロジー職

バックエンドエンジニア/インフラエンジニア(グローバル推進領域)

1,100万〜1,750万円

テクノロジー職

機械学習エンジニア(グローバル推進領域)

1,048万〜1,509万円

テクノロジー職

シニア機械学習エンジニア

840万〜1,585万円

テクノロジー職

シニアデータエンジニア

775万〜1,440万円

テクノロジー職

シニアデータサイエンティスト

695万〜1,100万円

テクノロジー職

シニアアナリティクスエンジニア

695万〜1,440万円

プロダクト企画職

プロダクトマネージャー(グローバル推進領域)

1,100万〜2,570万円

プロダクト企画職

プロダクトマーケティングマネージャー(グローバル推進領域)

1,100万〜2,570万円

プロダクト企画職

デザインディレクター/UIディレクター/プロダクトデザイナー(グローバル推進領域)

920万〜1,440万円

プロダクト企画職

UX Lead/UXデザイナー(グローバル推進領域)

920万〜1,440万円

出所: 株式会社リクルート「キャリア採用 募集職種一覧」のテクノロジー職・プロダクト企画職の募集要項(2026年10月18日に Offers Magazine 編集部が確認)。

上限がもっとも高い2,570万円の募集は、シニアソフトウェアエンジニア(データアプリケーション)と、グローバル推進領域のプロダクトマネージャー・プロダクトマーケティングマネージャーです。

データ職のシニアデータエンジニア・シニアデータサイエンティスト・シニアアナリティクスエンジニアは、下限が695万〜775万円、上限が1,100万〜1,440万円でした。デザイナーの2件は、どちらも920万〜1,440万円です。

募集の職種と想定年収は時期によって入れ替わります。職種ごとの一般的な相場は、ソフトウェアエンジニアの年収やデザイナーの年収相場でも確かめられます。PdM の仕事の範囲はプロダクトマネージャーの役割とキャリアが詳しいです。

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給与の内訳とミッショングレード制の仕組み

株式会社リクルートの11件の募集要項では、報酬は月給制で、月額は基本給とグレード手当の2つで構成されています。グレード手当には時間外労働の有無に関わらず35時間分の固定残業代が含まれ、超えた分は超過勤務手当として別に支給されます。

査定は年2回あり、賞与も年2回(6月と12月)です。想定年収は、待遇の「報酬(給与賞与)」の欄に書かれた額を指します。

たとえばバックエンドエンジニア/インフラエンジニア(グローバル推進領域)は、想定年収1,100万〜1,750万円に対して、月額が716,667円〜1,029,167円です。内訳は基本給554,838円〜796,774円と、グレード手当161,829円〜232,393円でした。

ミッショングレード制で等級が決まる流れ

公式の人事制度のページによると、株式会社リクルートのミッショングレード制は年齢や入社年次、経験、性別に関わらず、任される職務に応じて等級(グレード)を決める制度です。半年ごとに個人の能力の見立てにもとづいて期待値を定め、担当する職務の価値を算定してミッショングレードとして設定します。

見立てを行うのは、上司や各組織の人材開発委員会です。高い価値の職務を担う人には年次や経験に関わらず高いグレードが設定され、マネジメントだけではなく、ハイプロフェッショナルラインなどのキャリアパスも選べると説明されています。

目標の管理には「Will-Can-Mustシート」を使い、半期に一度、本人と上司が対話しながら中身を決める仕組みです。やりたいこと・生かしたい強みと課題・業務目標の3つの欄を、本人が主体的に取り組める形にすり合わせます。制度の全体は株式会社リクルート「人事制度・仕組み」で確かめられます。

休日と働き方の条件

株式会社リクルートの年間休日は140日です。公式の福利厚生のページは、暦上の休日や年次有給休暇とは別に、取得する日を自分で決める「フレキシブル休日」を設け、会社休日と年次有給休暇の計画的付与による指定休5日を合わせると、年間平均で週休約3日になると案内しています。

募集要項の労働時間はフレックスタイム制(コアタイムなし)でした。職種や部署によっては原則理由・回数を問わないリモートワークも導入されています(株式会社リクルート「福利厚生」)。

同じ職種の統計の相場と並べて読む

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査で、プログラマーや社内システムエンジニアを含む「ソフトウェア作成者」の年収換算は、企業規模1,000人以上で640.9万円です。情報処理プロジェクトマネージャを含む「システムコンサルタント・設計者」は、同じ1,000人以上で1,010.4万円でした。

株式会社リクルートのテクノロジー職・プロダクト企画職11件の想定年収の下限(695万〜1,585万円)は、ソフトウェア作成者の1,000人以上の水準を上回るところから始まっています。

職種(統計の区分)

平均年齢

企業規模計

1,000人以上

30〜34歳(企業規模計)

ソフトウェア作成者

37.1歳

578.5万円

640.9万円

559.5万円

システムコンサルタント・設計者

38.3歳

889.0万円

1,010.4万円

866.1万円

出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第1表・職種第5表(2026年3月公表・男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。

2つの区分は、厚生労働省の「職種一覧と解説」で含まれる職種の例を見て選びました。ソフトウェア作成者にはテクニカルスペシャリスト・プログラマー・社内システムエンジニアが、システムコンサルタント・設計者にはシステムアナリストや情報処理プロジェクトマネージャが含まれます。

3つの数字は物差しが違う

有価証券報告書の平均年間給与は会社の従業員全体の平均で、統計の年収換算は企業規模10人以上の企業で働く一般労働者(短時間労働者を除く)の職種別の平均です。募集要項の想定年収は、これから採用する人に示す見込みの幅にあたります。

株式会社リクルートの平均年齢33.7歳は統計の30〜34歳の階級に入り、その階級のソフトウェア作成者は559.5万円、システムコンサルタント・設計者は866.1万円でした。年齢の近い層で並べると、会社の平均と職種の相場の位置関係がつかみやすくなります。

Offers Jobs に掲載中の正社員求人の幅も見ておくと、比べる軸が増えます。年収を記載した正社員求人では、提示年収の下限の中央値が540万円、上限の中央値が1,000万円です(Offers(株式会社overflow)調べ・年収を記載した正社員求人 n=633・2026年10月6日時点)。

リクルートへの転職で提示年収を上げるための準備

株式会社リクルートの募集要項は、応募要件(MUST)に職種ごとの実務経験を挙げています。バックエンドエンジニア/インフラエンジニアと機械学習エンジニア(いずれもグローバル推進領域)は開発実務経験3年以上、プロダクトマネージャー(同)はプロダクトマネジャーとしての実務経験3年以上が要件の一つです。

シニアソフトウェアエンジニア(データアプリケーション)では、5年以上の実務経験が要件でした。グレードは担う職務の価値で決まるため、これまで任された範囲と成果を具体的に示せるかが、提示される等級と年収につながります。

選考の流れ

11件の募集要項は、どれも書類選考から始まります。面接は3回程度とする募集が9件で、テクノロジー職の7件にはコーディングテストも含まれていました。11件とも、途中でリファレンスチェックを行う場合があると書かれています。

応募から提示までの進め方

株式会社リクルートへの応募から年収の提示までは、想定年収と応募要件を確かめ、職務の価値が伝わる職務経歴書を用意し、提示の内訳を他社の求人と比べる、の順に進めると判断がぶれません。

  1. 公式の募集要項で、応募したい職種の想定年収と応募要件(MUST・WANT)を確かめる
  2. 職務経歴書に、担った職務の範囲(設計・技術選定・チームリード・プロダクトの意思決定など)と成果を数字で書く
  3. 提示を受けたら、想定年収だけでなく月額の内訳(基本給・グレード手当)と固定残業代の時間数を確かめる
  4. 同じ職種の他社の求人と年収帯を並べ、提示の位置を確かめてから条件をすり合わせる

提示年収のすり合わせ方は、エンジニアの転職の給与交渉で手順を解説しました。

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